著者
百町 満朗
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.123-127, 2013-08-25 (Released:2016-03-22)
参考文献数
37
被引用文献数
1
著者
都丸 敬一 日高 醇
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.65-69, 1957

1954年にわが国で製造されていた紙巻6種,刻3種及びそれらの屑,葉巻1種及びパイプ2種の21の製造工場の製品について,TMVの含まれている状態を研究した。紙巻は実験した126例中123例(97%),刻は42例中36例(86%),屑はそれぞれ124例(98%)及び41例(98%),葉巻は3例中3例,パイプの日光は3例中3例TMVが検出された。桃山は3例中にいずれも検出されなかつたが,そのうちの焦がしてない黄色の成分からは検出された。N. glutinosaを用いたlocal lesion法による結果では,紙巻と刻,及び各々とその屑の間の濃度の差には,一定の傾向は認められなかつた。ゴールデンバット新生及び光の3例の濃度は同一重量の罹病生葉に含まれる量の5×10-4~10-4であつた。罹病生葉の汁液は10-6まで病原性をもつから,伝染原としてはかなりの濃度であろう。電子顕微鏡による観察では,製品たばこから抽出して精製したTMVの長さの分布は,紙巻を接種したタバコ及びTMVの普通系を接種したタバコからとつたTMVとほぼ同様であつたが,前2者には短い粒子の多い傾向があつた。
著者
挾間 渉 森田 鈴美 加藤 徳弘
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.243-248, 1993
被引用文献数
11

キュウリの代表的なブルームレス台木として使用されている‘スーパー雲竜’と,従来から使用されブルームの発生が多い台木の‘新土佐1号’を供試して,褐斑病の発病推移を比較検討した。この結果,褐斑病の発生は,ブルームレス台木への接ぎ木により著しく増加する傾向が認められた。この傾向は特にビニールハウス栽培において顕著であった。台木の違いによる葉中無機成分含有率を比較したところ,必須元素の含有率に差異は認められなかったが,ブルームレス台木接ぎ木区のキュウリ葉ではケイ酸含有量がきわめて少なかった。さらに,ケイ酸無施用で栽培したキュウリは,ブルームレス台木栽培の場合と同様,褐斑病に対する侵入阻止および病斑拡大阻止作用が低下する傾向が認められた。これらの結果から,ブルームレス台木への接ぎ木キュウリにおけるケイ酸の吸収阻害と褐斑病に対する病害抵抗性の低下との関連が示唆された。
著者
後藤 和夫 中西 勇
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.117-120, 1951
被引用文献数
7

麥畑に穗が出揃ふ頃, 緑一色の内に火に焙られたような淡褐色の穗が散生する病氣が昭和20年頃から奈良縣下に注目せられ, 桑原技師から細菌病ではないかと標本と共に提示せられた。この病氣は輕い時には全面に點々と出るが, ひどい時は二, 三坪位の激甚な小集團が麥畑のあちこちにできて, その部分では全穗の1/3位が穗燒になると云う程であつて麥作上からも看過し難い。著者等は昭和22年から餘暇を以て研究に着手し漸く一部の成績が得られたので取纒め報告する。この研究に當り農林省農業技術研究所向技官には種々御指導を賜つた。三重大學農學部岩田教授には多大の御援助を寄せられた。又大阪府立農事試驗場の桑原技師(當時奈良農試)には病材料等につき御骨折頂いた。記して各位に感謝の意を表する。
著者
堀 正太郎 卜藏 梅之丞
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.27-31, 1918-02

歐洲大戦亂の突發以來菌類並に細菌の培養に殆んど缺くべからざるペプトーンの輸入途絶したる爲其市價は戦前に比すれば八倍乃至十倍に騰貴し内國製品と雖も尚ほ一封十五圓の時價を保てり。之が爲菌類並に細菌研究所の培壤に要する經費は著しく増加し、就中我邦にて汎く野鼠驅除に應用せらるる野鼠窒扶斯菌の培養は甚だ失費多きことゝなれり。是れ著者の一人が培壤製造上ペプトーンに代用すべき經濟的物料の研究に著手せる動機とす。硫酸アムモニア、炒大豆粉、大豆粕等に就て試驗を行ひたるに大豆粕は最も良結果を奏し、其細〓せるもの三十瓦(水一立に對して)は二十瓦のペプトーン(細菌學上普通に使用する分量)に代用し得べきことを發見せり。此大豆粕煎汁にて寒天、膠、ブイヨン培壤を製して野鼠窒扶斯菌、諸種の植物病原菌並に非病原菌の培養を試みしにペプトーン添加の培壤と毫も異なることなく、野鼠窒扶斯菌の如きは一層良好の發育を爲せり。是を以て大正五年以來西ケ原農事試驗場に於ては特別なる研究の場合以外には菌類並に細菌の培養には皆此大豆粕煎汁培壤を使用することとなり、又府縣農事試驗場にて野鼠驅除用の野鼠窒扶斯菌は一般に本培壤を使用するに至れり。之が爲我邦の各農事試驗場の菌類及細菌研究室の培壤に要する經費は著しく節約し得られたり。今時價に依り培壤一立に要する費用を比較すれば次表の如し。 [table] 大豆粕の分析表に據れば微生物の營養となる主要成分は粗蛋白質(カゼイン)及可溶性無窒物(水酸化炭素物)にして、可溶性窒素の量の多少にあらざることは次に記す大豆粕煎汁及ペプトーン溶液中に存在する全窒素量の比較に依りて明かなり。[table] 斯くの如く大豆粕煎汁に溶解せる全窒素の量はペプトーン溶液の其れの約二十分一の少量に過ぎず而も尚は微生物の蕃殖の良好なるは窒素以外に他の螢養分の存在するを以てなり。 製法 能く乾燥せる淡色の光澤ある大豆粕を撰ぶベし、黴菌の蕃殖せるもの、濕りたるもの、褐色のもの等は煎汁褐色を帯ぶるを以て用ゆべからず。先づ大豆粕を鐵槌又は刃物にて適當の大さに碎き次に鐵製乳鉢にて細〓し、其三十瓦を蒸溜水一立の割にてコルベンに盛り蒸氣釜にて一時間半煮沸す。煎汁は中性にして寛るく綿栓を施したる漏斗に注下して濾過し粗渣を去るべし。濾液は帯青黄白色、二%のペプトーン溶液よりも其色遙かに淡し。煮沸中に蒸發せる水の減量は之を補ふも補はざるも可なり。斯く製造したる大豆粕煎汁の濾液を以て普通の方法手續きに依り、ブイヨン、寒天、膠の各培壤を製す。唯注意すべきはカゼインは酸に依りて沈澱するを以て此煎汁にて酸性培壤を製すること能はず。又肉越幾斯は少しく酸性なるが故に先づ重炭酸曹達の飽和液を煎汁に加へて鹽基性ならしめ然る後に肉越幾斯を加ふべし、然らざれば培壤は溷濁す。
著者
SHEKHAWAT G.S. SRIVASTAVA D.N.
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.4-6_1, 1972
被引用文献数
4

えい花および種子の生育ステージごとに,穂にイネ条斑細菌病菌を接種したところ,子房,雄ずいおよび胚乳はいずれも褐変もしくは黒変して枯死し,えいは褐変した。成熟した種子では,えいの内側に病原菌が残存しているのを発見した。<br>幼芽は,発芽中にえいの内側で越冬した菌によって汚染される。鞘葉,不完全葉および第1葉は,それぞれ開口した気孔,半開口および正常な気孔を通して,順次感染する。第1葉の伸長によって,病原菌は地上部へと運ばれる。出穂時の種子感染は,止葉上の噴出菌泥によっておこる。
著者
岸 国平 我孫子 和雄 高梨 和雄 矢野 龍
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.288-296_2, 1973

1. 黄色網斑病はスモモのホワイトプラム,Methley, Burbank, Hungarian-prune, Red June, Beauty, Santa Rosa,大石早生などの品種およびサクラの染井吉野,孫普賢,嵐山,類嵐,関山などの品種に自然発生が認められた。<br>2. 本病は接木によってスモモおよびサクラから,モモ,ウメ,アンズ,スモモ,サクラ,オウトウなどに伝染した。<br>3. 本病はスモモおよびサクラではyellow vein net, yellow line pattern, chlorotic ring spot, chlorotic spotなどの症状を示し,モモ,アンズ,オウトウなどでは主としてline patternを,ウメではyellow vein netおよびline patternを生ずるとともに著しい萎縮症状を示した。<br>4. 本病罹病樹からは1種の汁液伝染性ウイルスが分離されたが,本ウイルスはキュウリの接種葉にlocal lesionを生ずるのみでGatjang,ペチュニア,<i>N. tabacum, N. megalosiphon, N. glutinosa, C. amaranticolor, C. quinoa</i>などFulton, Kirkpatrickらがplum line pattern virusの寄主として報告した植物に感染しなかった。<br>5. 本病およびリンゴモザイク病はともにクサボケに伝染し,きわめて類似した症状を示したが,本病はリンゴに感染せず,またリンゴモザイク病はモモに発病しなかった。
著者
笹谷 孝英 野津 祐三 小金澤 碩城
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.24-33, 1998-02-25
参考文献数
38
被引用文献数
3

日本の異なる地域および植物から分離したインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV)28分離株について, 判別植物の反応と血清反応を比較した。BYMVはインゲン15品種の反応で4つのPathotypeに分けることができた。Pathotype Iはインゲン品種の本金時のみに全身感染を示し, 他の品種には局部感染であった。Pathotype IIは本金時, ケンタッキーワンダーおよび他4品種に全身感染を示し, Pathotype IIIは本金時, ケンタッキーワンダー, マスターピースおよび他4品種に全身感染を示し, Pathotype IVは今回用いた15品種すべてに全身感染を示した。Pathotype II に属するBYMVはソラマメにおいて他のPathotypeに属すものより高い種子伝染性を示した。BYMVあるいはクローバ葉脈黄化ウイルス(ClYVV)に対する16種のモノクローナル抗体(MAb)を用いたTAS-ELISAで, BYMV28分離株には血清学的差異が観察され, 病原性とある程度一致したが, ポリクローナル抗体を用いたDAS-ELISAでは, 分離株間での顕著な差異は観察されなかった。MAb-1F3はPathotype I, II, IIIとClYVVの1株と反応した。MAb-2C4はPathotype IIのみと反応し, MAb-5F2は今回用いたBYMVとClYVVすべての株と反応した。MAb-2B4, -2C5, -3F9, -3F11, -4G8および-4H9はPathotype IIとIIIのすべてと, Pathotype IとIVの一部の株と反応した。MAb-1A2と-2H8はPathotype IIIとClYVV2分離株と強く反応した。以上より, 日本のBYMVは病原性および血清学的に変異に富んでおり, 4つのPathotypeに分かれることが明らかとなった。
著者
岸 國平 古川 聡子 小林 享夫 白石 俊昌 酒井 宏 田中 一嘉
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理學會報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.43-49, 1998-02-25
被引用文献数
1

堀による命名以後, アナモルフの記載等に疑問を残したまま放置されてきたネギ黒渋病について研究し, 以下のような事実を明らかにした。(1) 群馬県下仁田町で, 多年にわたり自家採種と連作が繰り返されてきた同町特産の下仁田ネギに, 本病が毎年激しく発生することが認められた。(2) 本病の発生は下仁田町を含む関東北部,東北,北海道地域で多く認められ, 関東南部および関東以西の地域ではまれにしか認められなかった。(3) 培養菌叢片およびほ場病斑の成熟子のう胞子を用いて行った接種実験において, いずれも自然発病と同様に病徴を再現した。(4) 観察されたすべての自然発病および人工接種病斑においてテレオモルフは形成されたが, アナモルフは全く認められなかった。(5) 本病菌の培地上の生育適温は約20℃, 子のうの成熟適温は20〜25℃, 子のう胞子の発芽管伸長の適温は20〜25℃であり, 生育とpHの関係はpH4〜9で生育し, 6〜9で最も良かった。