著者
倉智 博久
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.62, no.4, pp."N-31"-"N-33", 2010-04-01
著者
水野 重光
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.171-175, 1967-02

超音波診断の実用化は世界にさきがけてわが国で行なわれたものであり,研究開発の水準もあえて現在世界のトップレベルにあるということができる.しかし,一般に広く臨床的に応用されるに至つたのはここ数年のことである. 産婦人科領域への超音波診断技術の導入はわが国で和賀井らが,英国でI.Donaldらが1958年ごろからほぼ同時に開始したが,妊娠子宮を含む下腹部腫瘤は超音波診断の好対象となり得る条件を備えており,最近米国でも研究が盛んになつてきた.わが教室でよ導入の初期から今日まで広く検討を続けており,すでに日常検査法の一つとして採り入れるほどこなつている.超音波診断が産婦人科でどのようこ応用され得るか,我々の行なつている方法を中心に紹介してみたい.
著者
宮河 昭夫
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.15, no.14, 1963-12

従来行われて来た生物学的妊娠反応は多数の実験動物を必要とし, 且つ長時間を要し, その煩雑性は日常誰もが痛感して来た所である. HCGを免疫反応によって定性, 定量せんとする試みは1931年以降, 多数の研究者によって検討されて来たが, Bioassayに代る程の良好な成績はえられなかった. 近年, Wideら, Robbinsらは方法論的に更に進んだ免疫反応によって単時間に, 特異的に尿中HCGのImmunoassayが可能であると報告した. そこで私は従来漠然としていたAntihormoneの性状をしらべると共に, Immunoassayの特異性及び感度を検討し, 臨床応用を行った. Antihormoneの性状を検討するためにOuchterlonyのGel拡散法によって抗原, 抗体分析を行った. 免疫学的妊娠反応はRobbinsらのLatexagllutination Inhibition Reactionによって行った. 成績は次の如くである. 1)抗原として使用したCommercial HCGは抗原分析の結果, 血清, 尿蛋白成分のContaminationがあり, 家兎抗血清にはそれらと反応する非特異性抗体の産生が起こることを明らかとした. 2)家兎抗血清を血清, 尿蛋白成分によって吸収を行うとHCGを含む試料に対して特異的であり, Antihormoneの確認が可能であった. 3)免疫学的妊娠反応は吸収抗血清を使用することによって特異性反応を示し, 感度8~10iu/ccでもって臨床応用出来た. 4)即ち正常妊婦223例では妊娠初期98.9%, 中期94.8%, 後期85.1%の陽性率であり, 後期に於てやゝ成績の低下をみたが, 全体として93.3%の陽性率であった. 5)外妊の疑, 胞状奇胎, 絨毛上皮腫患者では100%の定性率であった. 6)筋腫, 頚癌患者などの非妊婦人に於ては99.1%の陰性率であった. 7)Friedman反応と平行して行った35例は全例共一致した. 8)以上363例に行った免疫学的妊娠反応の定性率は95.6%であった. 9)正常妊婦の尿中HCGの定量を行い, 妊娠初期に一峰性のある定量曲線かえられ, 妊娠初期115555iu/1, 中期35333iu/1, 後期26666iu/1の定量値をえた. 胞状奇胎, 絨毛上皮腫患者に於ても治療処置後のHormone定量が可能であった. Antihormoneの性状をしらべることによって特異性のある抗血清がえられ, Robbinsらの方法を検討し, 臨床試料に於て95.6%の定性率があり, 定量への応用の可能であることを明らかにした. 本法の臨床的意義は極めて大であると考えられる.
著者
足高 善雄
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科学会雑誌 (ISSN:03009165)
巻号頁・発行日
vol.19, no.10, pp.1267-1271, 1967-10
著者
森川 重敏 石川 順子 釜付 弘志 新里 康尚 渡辺 朝香 石川 洋 千原 啓 永田 哲朗 米谷 国男
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.1495-1502, 1990

当科で行っている塩酸 Bupivacaine を用いた持続硬膜外麻酔 (以下硬麻) による無痛分娩の安全性の確立を目的として, 硬麻下に生まれた新生児の神経行動および長期予後として, 乳児の精神発達について比較検討した. 合併症のない満期産頭位経腔分娩例中, 無作為に抽出した硬麻群72例 (吸引分娩 (以下VE) 33例, 非吸引分娩 (以下NSD) 39例), 同様に対照群として非硬麻群28例 (VE 13例, NSD 15例) について, 1) 局麻薬 Bupivacaine 濃度と Neurological and Adaptive Capacity Score (NACS) (Amiel-Tison et al.) を用いた新生児の神経行動との相関, 2) 新生児における NACS と総哺乳量および新生児体重減少との関連, 3) 長期予後として, 津守・稲毛による乳幼児精神発達質問紙を用いた乳児の精神発達について比較検討し, 以下の結果を得た. 1) 局麻薬 Bupivacaine の母体静脈血, 臍帯静脈血, 臍帯動脈血中濃度は, すべて Bupivacaine 総投与量と相関していた. そして, 新生児の神経行動 (NACS) は, Bupivacaine 総投与量が多いほど, 不良であることが判明した. 2) 硬麻下に生まれた新生児の1時間以内の NACS は, 分娩様式の別なく不良であり, この抑制傾向は, 生後3日目まで残っていた. 3) Bupivacaine 総投与量と分娩所要時間は相関していた (r=0.85). また, 分娩所要時間が200分以上の群は200分未満の群に比較して, 新生児の1時間以内の NACS は, 硬麻の有無, 分娩様式にかかわらず, 抑制傾向がみられた. 4) 新生児の総哺乳量は, 硬麻群において, 生後2日目まで抑制傾向がみられたが, 生理的体重減少では差はみられなかった. 5) 長期予後としての乳児の精神発達は, 生後11ヵ月, 3ヵ月, 6ヵ月時, 硬麻群, 非硬麻群間に有意差を認めず, 児の精神発達は良好であった. 以上, 硬麻は安全性の高い, ほぼ理想的な無痛分娩法といわれているが, 新生児の神経行動から短期予後について検討すると, まだ改善すべき点があると思われる. しかしながら, 児の長期予後としての精神発達は問題ないと考えられる.