著者
三好 順也 高橋 暁 三島 康史
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.73, no.3, pp.199-206, 2012 (Released:2013-12-05)
参考文献数
36
被引用文献数
2

陸から海へ流入する栄養塩負荷は,その一部をノリ養殖によって回収・利用されており,海から陸へのフローの一つとしての役割を担ってきた。しかし近年,各地でノリ色落ちの被害が頻発しており,顕著な生産量の低下を招いている。そこで瀬戸内海の東部に位置し養殖ノリの産地である備讃瀬戸海域を対象として,養殖被害の生じやすい地区を明らかにするとともに,ノリ漁場への栄養塩供給に着目し,ノリ生産密度との関係について解析を行った。その結果,岡山県側では大きな変動は確認されないものの,生産規模の大きい香川県東部では2002年度に生産量の落ち込みが確認された。1995~2006年の2月における溶存態無機窒素の平均濃度からは,色落ち被害の始まる3μg-at L-1を全域で下回っており,備讃瀬戸海域はノリ養殖被害の発生する可能性の高い海域であることが考えられた。また備讃瀬戸東部の東讃地区は,平均潮流流速10 cm sec-1に満たないほどに潮流が弱く,栄養塩の供給不足となる可能性が高い海域であると考えられた。さらに栄養塩フラックスに対して,単位面積あたりのノリ生産量の大きい香川県東部で養殖被害が生じていたことから,栄養塩供給と生産密度のバランスはノリ養殖被害発生の一要因であることがわかった。
著者
山内 健生 有山 啓之 向井 哲也 山内 杏子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.223-229, 2006-12-01 (Released:2008-03-21)
参考文献数
30
被引用文献数
3

2002年の5-6, 10-12月に, 島根・鳥取県境に位置する中海において, オゴノリGracilaria asiatica とスジアオノリEnteromorpha prolifera に生息するヨコエビ相の調査を行った。その結果, 7科10種3117個体のヨコエビ類を確認した。これらのうち, Eogammarus possjeticus, Apocorophium acutum, アリアケドロクダムシMonocorophium acherusicum, トンガリドロクダムシMonocorophium insidiosum, ツルギトゲホホヨコエビParadexamine setigera, アゴナガヨコエビPontogeneia rostrata, ヒゲツノメリタヨコエビMelitasetiflagella, シミズメリタヨコエビMelita shimizui の8種は中海における新記録種であった。なお, これらの種が採集された水域の塩分濃度は9.99 psuから25.9 psuの範囲内であった。中海のオゴノリ葉上ヨコエビ相においてはモズミヨコエビAmpithoe valida が優占種であり, スジアオノリ葉上ではトンガリドロクダムシが優占した。
著者
三嶋 康七
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.28-30_5, 1934-06-15 (Released:2009-06-12)
著者
吉村 信吉
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.151-156, 1942-05-20 (Released:2009-06-12)
参考文献数
2
著者
上野 益三
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1-2, pp.106-113, 1940 (Released:2009-06-12)
参考文献数
8
被引用文献数
1

玉川毒水導入前,最後の夏に於ける田澤湖の生物群聚り状態を記述した。更に,田澤湖と同程度の貧榮養の深いカルデラ湖(洞爺湖及び池田湖)の生物群聚と比較した。又,毒水導入による湖水の酸性化に伴ひ,田澤湖の生物群聚が,屈斜路湖のやうな状態を經て,猪苗代湖のやうな状態に逹するのではないかと豫想した。
著者
佐藤 隆平
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3-4, pp.96-104, 1952-03-25 (Released:2010-11-22)
参考文献数
25
被引用文献数
1

1) 酸性の玉川の水を導入してから8年7ケ月を経過した昭和23年夏期に於ける田沢湖の湖沼條件及び生物相を調査した.2) 田沢湖に導入された玉川の酸性の水は15~25℃であるので, 所謂楔状の成層をなして等温の10~20m層を拡散し乍ら流出口に達するが, 長期間に深層迄影響を及ぼしその実測値は現在pH4.3~5.3を示してゐる.3) 動物性浮游生物としてはScapholeberis mucronata, Chydorus sphaericus及びCyclops strenuus, 植物性浮游生物としてはOscillatoria sp.が見出された.之等の中でScapholeberis mucronataが爆発的に大量に発生し表層に於て1m3当り4636個かぞへられた.4) 底棲生物としてはエスリカ幼虫がウグイの胃中より見出されたので, 之から本種の棲息してゐることが推察される.5) 魚類としてはアメマス, ウグイ及びギギの棲息してゐることが確められたが, 從來田沢湖に饒産してゐたクニマスは著しく減少したか或は絶滅に近い状態にあるものと推察される.
著者
松井 魁 和井内 貞一郎
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.31-44, 1937 (Released:2009-06-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 2

1. スデヱビは湖岸至る所に廣く分布し.底質及び水生植物の繁茂の有無と分布との關係は顯著でない。2. 夏期に於ける深度と分布との關係に就いては,水深25m迄は比較的多數棲息し,特に15m以淺は最多數を示し,30m以深は激減す。本湖の水温躍暦は10~15mである點から,蝦は水温.10℃以上に好んで棲息するものの如くである。蝦の漁場は30m以淺である。3. 雄蝦は雌蝦より軆小形で,雌蝦の生物學的最小鱧長は3.78cmを示し,體長4.5cm以上のものは殆ど全部雌蝦である。4. 深度の相違に依つて性比を異にし,5m以淺に於ける雌蝦100尾に對する雄蝦の百分率は6%に過ぎないが,水深24~52mに於ては71.06%を占め,又,雌蝦の抱卵率は淺部94.3%,深部16.7%を示す。5. 深慶の相違に依る體長の相違を認めたが,この原因ば性比に基くものである。6. 抱卵數は體長と正比例して増加す。卵の大きさは1.3~1.6mmを示し卵徑は卵の發育に伴つて増加し抱卵數の多寡に關係しない。7. 夏期蝦筌で漁獲される蝦の大きさは體長1.8~6.3cmで體長4.0~4.2cmが最多である。本蝦は1年で成熟するものの様で,産卵後も生き殘るらしい。
著者
吉村 信吉
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2-3, pp.55-62, 1943-09-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
7
被引用文献数
1 1

1. 上富には地下水面の深さから云つて三種の地下水がある。最も淺いものは年中宙水をなし,中位のものは低水時には一時的に宙水となるが,高水時には下位の一般自由地下水と一緒にになる。下位の地下水面は柳瀬川,入る間川の水と平衡を保ち,低水時には河水面に等しい所まで低下する。2. 深井戸の多くは中位の深さの井戸の底を昭和8,9年の渇水に際し掘り拔いたものである。その結果將來中位の深さの井戸水は釜.減少するであらう。3. 上富の發生當時には現在のやうに深く且平時湛水の厚い井戸は存在せず,中位の高水時以外は湛水の少い井戸に依存したのであつた。當時としては中位の井戸を掘ることも容易でなく.元祿時代まで聚落を發生せしめなかつた原因をなしたのであつた。それ以後には地下水状態は必しも居住を決定してゐない。深井戸は最近の渇水時に掘つたものである。昭18.V,17
著者
中井 克樹
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.277-280, 2009 (Released:2011-02-16)
参考文献数
12
被引用文献数
3 2
著者
國安 理奈子 森川 和子
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.95-103, 2006-08-20 (Released:2008-03-21)
参考文献数
19

表面の物理的構造が異なる2種類の自然礫, 泥岩と砂岩に生息する付着微生物群集について, 分離した細菌株の生理学的性質とLV-SEMによる付着状態を比較した。付着微生物群集の採取は表層部とクラック (孔隙) 深部を区分するため, 超音波処理により分画採取した。礫当たりのコロニー形成細菌数は, クラックサイズの大きい砂岩の試料で高い傾向にあった。超音波処理時間の違いによる分画毎の細菌数は, 泥岩では表層部の分画において高く, 砂岩では下層分画において高かった。分離細菌株の種類構成は泥岩・砂岩とも分画毎に異なり, 上層から順次剥離している様子がうかがえた。砂岩の下層分画の細菌株は単一種類と見られ, クラック内で増殖した可能性が考えられた。また, 砂岩の表層部と泥岩のクラック深部の種類構成が類似していることが明らかにされ, 下層分画に生息する細菌株は両礫間で異なった。LV-SEMによる礫表面の観察からも, 超音波処理による付着微生物群集の剥離のされかたは礫種により異なり, 礫に形成される付着微生物群集は基層となる礫の表面構造を反映してパイオニア微生物が規定される可能性が示唆された。
著者
江草 佐和子 坂田 宏志
出版者
日本陸水学会
雑誌
陸水学雑誌 (ISSN:00215104)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.273-276, 2009 (Released:2011-02-16)
参考文献数
4
被引用文献数
3 2

ヌートリアは,毛皮用の家畜として日本に導入された。本稿では,兵庫県における急激な分布と被害の拡大の過程について報告する。アンケート調査の結果,2007年には,兵庫県内の4195集落のうち2349 集落でヌートリアの目撃あるいは被害が確認されていることがわかった。有害捕獲等による捕獲数は,1007頭であった。捕獲努力量は,より深刻な農業被害をもたらすアライグマと比べると少なかった。