著者
佐藤 清隆
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 文学篇 (ISSN:03896072)
巻号頁・発行日
vol.16, pp.149-165, 1978-12-01

画期をなす当該イングランド社会は貧民(the poor)が未だ嘗てないほど王国のあちこちに発生し、そのことが一つの大きな社会問題となって来る時期である。16世紀に入るとそれまで「教会」中心であった救貧が国家や諸都市の世俗的権力による貧民政策へと転換されるのもこの夥しい貧民の発生と深く関連している。つまり、国家による一連の救貧法施行やロンドンを初めとする多くの諸都市による貧民の調査、乞食厳禁、強制的な救貧税の徴収、病人の慈恵院収容、怠惰者・浮浪者の矯正院収容等さまざまな救貧政策の実施がそのことを物語っている。ところで、これらの政策の対象とされた貧民の世界はどのような様相を呈していたであろうか。
著者
中畑 充弘
出版者
明治大学大学院
雑誌
政治学研究論集 (ISSN:13409158)
巻号頁・発行日
no.26, pp.1-30, 2007

企業内における部門間のコンフリクト(とりわけ「タスク・コンフリクト」)の諸場面をとり挙げながら、各部門間の対立ないし衝突時に、如何なる解決法が採られ、どのような統一・収敷法が模索されているのかを精査することが目的である。各部門間のコンフリクトのケース・スタディを含め、文化人類学的手法を援用しカンパニー・グラフィー(「社誌」ないし'会社の生活誌')の構成を試みる。さらに、それら問題状況ないし葛藤の克服に「会社神話」なるものがコンフリクトの統合・収束に一役買っていること、そしてその「会社神話」が各部門の統一見解やモラールの結束を図る上で、如何に巧妙に活用されていることを示すものである。コンフリクトの諸場面を因果的に切り取って観察していくと社内諸部門、売上先の購買部門との狭間で、より複雑怪奇な様相もしくは駆け引きや戦略が見てとれる。
著者
平野 恵
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 文学篇 (ISSN:03896072)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.377-395, 1992-02-15
著者
佐藤 幸男
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 政治経済学篇 (ISSN:03896064)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.241-258, 1974-12-01

日常生活の中で我々は「選挙」、「就職」、「結婚」とかの決定を迫られたり、定めなけれぽならない状況が数限りなく存在している。この意思決定の問題は人間の社会生活だけに限らず、経営レヴェル、国家レヴェルにおいても複雑な構造をもち、人間一人では解決されない幾多の難問をかかえこんでいる。『三人寄れば文珠の智恵』という諺にもあらわれているように、このような難問を解決する為に、集団や組織が構成される。多段階組織では中井正一氏のいう「正しく考え、それを他に対して正しく主張する」ことが、いかなるメカニズムを通して疎外されたり、行なわれたりして合理的な決定を生みだすのか。筆者の論点はそこにあり、研究対象にもなる。
著者
大橋 裕美
出版者
明治大学大学院
雑誌
文学研究論集 (ISSN:13409174)
巻号頁・発行日
no.26, pp.333-350, 2006

『維新前後』は、「素人」の劇作家・岡本綺堂が初めて二代目左団次に書いた作品で、「白虎隊」と「奇兵隊」という二つの戯曲から成る。綺堂は「奇兵隊」で、「髪梳き」という歌舞伎や新派に頻出する劇作法を引用し、女方の市川莚若を配して左団次の「英雄」役を引立たせた。また「白虎隊」では、左団次がそれまでに手がけた、松居松葉作『袈裟と盛遠』や『ヴェニスの商人』等の作品をふまえ、「今迄の芝居には余り見掛けない」「老人」役を用意した。左団次はこれを、「従来の調子」を離れた台詞と動作で演じて成果をあげたが、この役は通常の「老役」を超えた、一人の老人」役として綺堂が造形したもので、同じ綺堂の『修禅寺物語』にもつながっている。