- 著者
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山本 道也
- 出版者
- 流通経済大学
- 雑誌
- 流通經濟大學論集 (ISSN:03850854)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.1, pp.15-30, 2002-07
- 被引用文献数
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1990年に行われた1旬につき2回,計54回の2.5km-帯状センサスにより,茨城県竜ヶ崎市近郊(竜ヶ岡)では,7科43種2,726個体のチョウが目撃され,群集構造,種数,個体数,多様性,優占種の季節変化について解析が行われた。以下はその結果である。1.総目撃個体数5以上のチョウ33種の26の調査季節への個体数分布マトリックスに,群分析と主成分分析を併用して,四つの群集と,四つの活動季節を分類した。2.3月上・中旬,6月下旬,7月中旬および8月下旬〜11月には,ヤマトシジミ>キチョウ>イチモンジセセリ=オオチャバネセセリ>キタテハが優占する全15種からなる秋群集が成立していた。3.3月上旬〜5月上旬,5月下旬〜7月中旬,8月下旬〜11月には,モンシロチョウ>ツバメシジミ>ヒメウラナミジャノメが優占する全12種からなる春秋群集が成立していた。4.3月上・中旬,6月下旬,7月中旬〜11月には,アオスジアゲハ>アゲハが優占する全15種からなる夏群集が成立していた。5.5月中旬には,コチャバネセセリが優占する初夏群集が成立していた。6.総目撃種数,総目撃個体数,多様性値から判断して,調査地のチョウ群集は1985年の落ち込みから回復し,調査初期の状態に戻ったと判断された。