著者
宮國 泰史 福本 晃造 佐藤 洋俊 大塩 愛子 杉尾 幸司 Miyaguni Yasushi Fukumoto Kozo Sato Hirotoshi Oshio Aiko Sugio Koji
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.92, pp.179-187, 2018-02

現在の教育現場ではICT やデジタル教材の導入・活用が求められる一方で,導入検討の際に重要となるはずの,同一のテーマに対するアナログ教材とデジタル教材が学習者にどの程度の学習成果量の差を生むかに対する情報の蓄積は不足している.本研究では,論理的推論を育成する知育パズル玩具「Chocolate Fix」について,学習者が実物のパズルピースに触れて課題を解く従来型のアナログ玩具と,同じ課題をiPad のデジタルアプリケーションとして画面上で体験するデジタル玩具の二種類を用意し,この二種類のパズル玩具を用いた公開講座を小・中学生を対象に実施した.公開講座において受講生が規定時間内に解いた問題数を記録し,インターフェースの違いに対する受講者の学習成果量の差を比較した.また,受講生及びその保護者に対して実施したアンケートから,教材のインターフェースの違いに対する受講者の意識・感想の抽出にするとともに,教育現場におけるICT 機器の導入に対する保護者の意見を抽出した.調査の結果,受講生のiPad アプリ版の回答数と実物版の回答数と統計上有意な差は見られなかったものの,アナログ玩具での回答数がデジタル玩具での回答数を上回る傾向があった.一方で,「どちらをもう一度やりたいですか?」という設問に対しては,受講生の内9名はデジタル玩具を指向するなど,学習成果量と受講生の興味が必ずしも一致しない傾向がみられた.これらの結果をもとに,教育におけるICT 機器導入の有用性について議論する.
著者
戸崎 敬子 Tozaki Noriko
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.205-216, 2006-03

The purpose of the present study was to clarify the status of special classes in Okinawa Prefecture described in the reports of four national surveys of special classes, run by the Ministry of Education in Taisho Era. Those surveys were done by the School Health Department and the Social Education Department of the Ministry in the years 1923 to 1926. In the reports, we can find some information about special classes in Okinawa Prefecture in those days. The information includes not only the number of schools which had the special classes, the number of special classes and pupils in the classes, but also the details of the case of special classes in Asato Elementary School. This paper analyzed the description connected with Okinawa Prefecture in the four reports. The results were as follows: (1) There were some special classes in Okinawa Prefecture during the prescribed timet (2) the classes were organized based on the grades in main subjects of pupils, and (3) the average number of pupils per class was more than 50.
著者
戸崎 敬子 Tozaki Noriko
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.70, pp.15-23, 2007-01

The purpose of this paper is to explore the first case of educational practice for children with disabilities in Okinawa Prefecture. It was a class specifically targeted at children with visual or hearing disabilities and was developed in Tokeshi elementary school by Ishun Yonamine, the principal of the school at the time. This paper attempts to clarify the actual status of the class, using mainly a report by Yonamine, which was found recently in an old issue of educational magazine. The report was based on his experiences with educational practice for children with visual or hearing disabilities. The results of this study were as follows; 1) It is likely that the practice of special class started in 1906, because the head of Nakagami County ordered Tokeshi elementary school to decrease the children who could not enter school and Yonamine had been much interested in educating these children with special needs. 2) The students of the class were those with visual or hearing disabilities in the school district, and 3) The class was closed down in 1908 when Yonamine went to Tokyo to study education for children with visual or hearing disabilities. While he was studying in Tokyo, he was forced to transfer from Tokeshi elementary school to a different school.Therefore, the class existed only for nearly two years.
著者
與儀 峰奈子 與儀 峰奈子
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.58, pp.95-108, 2001-03

非言語情報伝達(nonverbal communication)は、顔の表情、頭の動き、視線、対人間距離、手の動き等を通じて表され、コミュニケーション活動において極めて重要な役割を担う。なかでもジェスチャー(身振り)は様々な角度からの研究がなされており、その意味や機能が解明されつつある。教室における教師と生徒間のコミュニケーションにおいても、多種多様なジェスチャーが観察される。本論文では、特に教師の用いるジェスチャーに焦点を当て、効果的で生徒の興味を引き付ける授業を行うためにはどのようなジェスチャーが有効であるかを考察する。分析対象は沖縄在留米軍基地内の小学校で行われた1年生対象の道徳の授業で、約1年間にわたりビデオ録画を行った。教師はスクールカウンセラーで、ジェスチャーを効果的に用いながら非常に魅力的な授業を展開した。本稿では、具体的にどのようなジェスチャーが用いられ、それがどのような意味を持ち、どのような機能を果たしているのかを分析・考察した。そして、授業内容を理解させるという目的だけでなく、低学年児童の興味と集中力を持続させ教室に規律を保たせるためにもジェスチャーが有効であることが観察された。
著者
吉葉 研司 吉田 安規良 中尾 達馬 Yoshiba Kenji Yoshida Akira Nakao Tatsuma
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.181-193, 2014-08

本研究の目的は、2013年度の教職実践研究・教職実践演習(沖縄こどもの国と連携して実施した「ドリームフェスティバル2013」という行事の企画・運営)を通して、受講生たちが教員として求められる資質・能力を習得しているかどうかを明らかにすることであった。今回の実践を通して、受講生22名は、行事運営能力や対人関係能力、使命感や責任感、子どもや大人さらには社会に対する理解、特別活動としての指導力等を定着し得ていたことが確認できた。The purpose of this study was to reveal whether participants had enough ability and equipment as elementary or junior high school teachers. 22 participants were engaged in the Practical Seminar for the Teaching Profession, which included planning and managing school-related special events, named "Dream Festival 2013" (which was held with Okinawa Zoo & Museum). As a result, it could be interpreted that they had enough ability to plan and manage events, interpersonal ability, sense of mission, responsibility, deeper comprehension about human being (e.g., children, adults, and society), and leadership of special activity.
著者
金城 須美子 田原 美和 Kinjo Sumiko Tahara Miwa
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第一部・第二部 (ISSN:03865738)
巻号頁・発行日
no.47, pp.181-189, 1995-10

米国統治時代、沖縄に導入された洋風(米国系)ファーストフードが、沖縄県民の食生活にどの様に受け入れられているのか、その利用状況と意識調査を行った。調査対象は琉球大学学生と社会人(沖縄銀行行員)である。その結果は次の通りであった。1.琉球大学学生の県内出身学生は県外学生に比較して洋風ファーストフードの利用頻度は高く、外食産業(飲食店)の中で最も多く利用している。利用回数は、月に2回以上と答えた者が県内学生は76.8%で県外学生の52.2%に比べて多い。2.洋風ファーストフードの嗜好性については、県内・県外学生で大差はないが、ビックマック、モスバーガー、ピザ、タコスなどは県内学生に好まれている。3.洋風ファーストフードを利用することについて、琉球大学学生は肯定的な意識があり、今後も取り入れたいとする者が約60%あった。4.社会人の洋風ファーストフードの利用頻度は若い年代ほど高いが、50代以上の年代でも月1回以上利用している者が約50%であった。また、今後も食生活に取り入れたいと回答した者が、どの年代も54%以上あり、利用することに肯定的な意識をもっている。5.米国資本のA&Wが導入されて30年を経た現在、洋風ファーストフードは手軽な食事、あるいは間食・主菜に利用され、沖縄の食生活スタイルに定着している。これは米国統治によって、県民がアメリカ型食生活を直に体験し、それを受け入れたことが大きく影響していると考える。
著者
城間 繁
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:0386572X)
巻号頁・発行日
no.13, pp.167-187, 1970-03
著者
嘉数 朝子 井上 厚 田場 あゆみ Kakazu Tomoko Inoue Atushi Taba Ayumi
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 (ISSN:13453319)
巻号頁・発行日
no.55, pp.221-232, 1999-10

本研究の目的は、(1)生活習慣と学習習慣、ストレス反応、および体温との関連を検討すること、(2)被験者を低体温群と普通体温群の2群に分け、生活・学習習慣、ストレス反応の両群間の違いを検討すること、であった。主な結果は次の通りであった。生活習慣とその他の要因との間には関連があった。一方、学習習慣は、ストレス反応や体温との間には関連はみられなかった。このことから、小学生においては、学習習慣、ストレス反応、体温は生活習慣の影響を受けることが示唆された。また、生活習慣尺度の中の「遅刻」の項目に関して、学習習慣の3下位因子の全てと関連がみられたことから、「遅刻」は学習習慣の形成に最も影響を与えることが示唆された。また、低体温群と普通体温群の間で、生活・学習習慣とストレス反応には違いはみられなかった。
著者
藤原 綾子 Fujiwara Ayako
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第二部 (ISSN:03865746)
巻号頁・発行日
no.27, pp.p369-380, 1984

ジーパン着用に環境や性別がどのように影響を与えているのかを明らかにするため,新潟の学生,沖縄の学生を対象に意識と実態について調査を行った結果,以下のようなことが明らかになった。1)ジーパンの所有率は両大学生とも高く,全体の99%の人が所有していた。女子にくらべ男子の方が所有率が高く,10本以上の所有者もいた。新潟と沖縄では地域差は明らかでなく個人差が大きい。耐用年数は3~5年で,若干女子の方が長く着用している。2)ジーパンの着用開始時期については新潟大,琉大ともに小学生と中学生の頃と答えた人が多い。3)着用頻度では地域差の影響はなく,男女間で異なり,男子が頻繁に着用している。4)主に着用する季節は,新潟の学生が合着,冬着であるのに対し,沖縄の学生は一年を通しての年中平均着であった。5)ジーパン生地としての14オンス綿デニムの保温力を他のスラックス生地と共に試験した結果,中程度の厚さをもつ紳士服地(ウーステッド)と同等の保温力を有し,コール天と大差はなく,冬の衣服として役立つことがわかった。6)洗濯の目安では,男女差が大きく、男子はかなり汚れてから洗濯する割合が高かった。7)着用理由としては,男女ともに汚れても気にならない,活動しやすしい,洗濯が簡単をあげていた。特に女子は活動しやすしいを強く意識している。両大学生ともジーパンを実用的な衣服として高く評価していることが明らかになった。8)ジーパンの着用が許される時,場所,場合として,日常的な行動範囲は八割以上の学生が許されるとみている。さらに非日常的な場である入学式や卒業式へもかまわないとみている学生が二割程度いた。9)ジーパン着用時の本人の気まずい経験では,男子が入学式,結婚式というような非日常的な行動範囲である時・場所をあげたのに対し,女子は日常的な時や場所をあげていた。10)ジーパン着用者から受けた不快な経験では,琉大の方が新潟大より高い比率がみられ,いずれでも女子の方が男子よりも高かったが,中でも琉大女子は全体の35%が経験者であった。その内容は汗くさい,汚れている等衛生的なことをあげていた。最後に,本調査に御協力下さいました,新潟大学の阿部好策先生をはじめ学生諸氏,および本学教育学部の学生諸氏,家政学科卒業生の島袋睦枝さんに深く感謝申し上げます。
著者
藤原 綾子 Fujiwara Ayako
出版者
琉球大学教育学部
雑誌
琉球大学教育学部紀要 第二部 (ISSN:03865746)
巻号頁・発行日
no.27, pp.p381-390, 1984

大学生の衣服の一つであるジーパンに関する意識や実態が10年前と現在でどう変わったのかを明らかにする目的で昭和47年の琉球大学教育学部学生を対象に行った調査と昭和57年本学教育学部学生を対象に行った調査を比較検討して次の結果を得た。1)10年前と現在の学生を比較すると男子はほぼ同程度の着用があるが,女子は減少してた。この原因は女子の他の服(ワンピースやスカート)への移向が大きいためである。2)ジーパン愛用の理由として,10年前の学生が男女共に,丈夫で季節に関係なく着られるという経済的理由をあげたのに対し,現在の学生は,汚れても気にならず,手入れが容易であるという実用的な理由をあげていた。3)ジーパンを着用できる時,場所,場合として,10年前の学生は日常的な時や場所だけを考えていて冠婚葬祭の場は絶対にいけないと考えているのに対し,現在の学生は入学式,卒業式まで着用してよい,そして時には結婚式などの着用も考えている。現在の学生にとっては入学式や卒業式はもはや日常的な時,場所になっているようである。4)ジーパンという衣服を10年前の男子学生は年中着用できる衣服,作業服ととらえているのに対し,現在の男子はどこへでも着ていける衣服ととらえ,衣服観は10年前と現在で大きく変化している。女子学生は10年前,現在とも大きな変化はなく,性差を意識せずに着られる衣服,季節に関係なく着られる衣服,遊び着,作業着としてとらえている。5)全体としてジーパンは10年前から現在まで,実用的な衣服であって,ファッショナブルな個性を表現する衣服ではないようである。おわりに本調査に御協力下さいました本学教育学部花城梨枝子先生,卒業生の島袋睦枝さんに深く感謝申し上げます。