著者
寺内 正紀
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.244-247, 2005-04-18

変形性関節症と骨粗鬆症は共に高齢者にみられる疾患であり,この2疾患の関係については多くの研究がなされてきた.特に変形性股関節症,全身性関節症と骨粗鬆症の関係については古くから論じられてきた.これらの研究によると,この2疾患は共存することは少なく,相反する疾患と考えられている.しかし変形性膝関節症と骨粗鬆症との関係の研究は少ない.Hannaらは変形性膝関節症を有する患者は骨塩量が保たれているとすると報告している.これに対しMallucheらは骨粗鬆症患者にも変形性膝関節症が見られると報告しており,意見が一致しない.変形性関節症は関節軟骨を中心とした関節の構成体が徐々に退行性変性を来たし,疼痛,変形,腫脹などが生じる疾患である.変形性膝関節症の場合,下肢アライメントの変化が病態の進行に大きな役割を果たすとされる.日本人の場合,内側を中心に変性が進み内反膝を呈する内側型のものが圧倒的に多い.
著者
矢形 幸久
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.8, pp.556-562, 1998-08-18
参考文献数
27
被引用文献数
5

本研究は, 内側広筋優位の強化を目的とした大腿四頭筋等尺性収縮訓練について調べたものである. 5種類の大腿四頭筋等尺性収縮訓練について, 健常者群15名(15肢), 廃用性筋萎縮がある患者群11名(15肢)における内側広筋, 外側広筋, 大腿直筋の筋活動を表面筋電図積分波形の最大波高で評価した. その結果, 従来的な開運動鎖での四頭筋セッティングに比べ, 足部回外位の足底接地で股内転等尺性収縮と同期して行うセッティングにおいて, 外側広筋に対する内側広筋の比(VM/VL)は高値を示した. 膝伸展等尺性収縮訓練では, 股内転等尺性収縮との共同運動を足部回外位の閉運動鎖で行うことにより, 内側広筋の収縮が外側広筋より優位となる.
著者
佐直 信彦 中村 隆一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.399-403, 1993-06-18
被引用文献数
18

歩行可能な脳卒中片麻痺患者50症例を対象として,10m距離の最大歩行速度,立位時の両足圧中心累積移動距離(SP),両膝伸展・屈曲の等速性筋力を測定し,年齢や性などの個人情報および神経学的所見との関連を検討した.重回帰分析の結果では,最大歩行速度の決定因は患側膝伸展カとSPであり,筋力が低く,SPが大きいほど歩行速度は遅かった.SPの決定因は開眼時では患側膝伸展力,発症からの期間,体重,門限時では患側膝伸展力,感覚障害,年齢であった.脳卒中後,立位バランス保持の感覚運動機能は視覚系への依存が高まり,その再統合にはかなりの時間を要する.
著者
三宅 直之 柳原 幸治 新藤 直子
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.10, pp.644-648, 1999-10-18
被引用文献数
1

家事動作での能力障害とその自立度との関係を調査した.対象は知的低下のない84名の女性脳卒中患者であった.調査した家事動作は料理・掃除・洗濯・買い物の4項目であった.その結果,16名が4項目全てをこなし,22名が全て行えず,残りの46名は一部分の項目を行っていた.数量化I類による分析では,歩行能力と上肢機能の回復の程度が最も家事動作の遂行度に影響を与えた.また,今回の対象では,高次脳機能障害,加齢自体は,遂行度に与える影響は小さかった.積極的に主婦業をこなすには,屋外歩行の自立,補助手以上の回復が望まれた.多くの対象者が家族内の他のメンバーから援助を受け,また家事動作能力が低いほど,より多くの援助がなされていた.(リハ医学1999;36:644-648)