著者
千田 益生
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.85-91, 1987-03-18
被引用文献数
16

試作したバネ式用手力量計を用い, 仰臥位における下肢外転, 下肢伸展挙上(SLR)および両側同時SLRの最大等尺性収縮の力を足関節部で測定した.経年変化の探索は, 体重とKaup指数によって定めた標準体格者626名(11〜79歳)を対象とした.下肢3動作の最大等尺性収縮力値は, 男女とも10歳代後半あるいは20歳代にピーク値を示した.女性では14歳ですでにピーク値に近く, 40歳代までの差がわずかであることが男性と異なった.60歳代の筋力をピーク年代のそれと比較すると, 3動作とも男性では約50%, 女性では約70%であった.性差は11歳群以外にみられ, 3動作ともピーク年代の男女比が2対1で最も差があった.
著者
出江 紳一 安崎 文子 石田 暉
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.36, no.6, pp.405-409, 1999-06-18

発語の誤りを分析し,Wernicke(W)失語における発語障害の機序が日本語でも音韻選択の障害であることを検証した.対象は脳梗塞によるW失語3例で,標準失語症検査,Token test,語音弁別検査,音節分解検査により,軽度・中度・重度とそれぞれ評価された.発語検査は,1〜6音節の単語の絵カード呼称・復唱・仮名漢字単語音読を行った.その結果,軽・中度例では音韻性錯語と音の修正接近が多く,重度例では新造語が多かった.音韻性錯語の殆どを占めた置き換えと転置の誤りを分析すると,重症であるほど子音の誤りが多かった.この結果から,日本語のW失語の発語障害に子音の選択障害が重要な位置を占めると示唆された.
著者
豊倉 穣 本田 哲三 石田 暉 村上 恵一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.29, no.2, pp.153-158, 1992-02-18
被引用文献数
8

注意障害に対する訓練として,SohlbergらのAttention process trainingを日本語訳し,原版よりその手技を簡便化したうえで外来患者の家庭訓練に用いた.注意障害を有する脳障害患者の慢性期2症例で施行した結果,注意障害評価法としての机上テストで改善が認められ,日常生活上,社会生活上にもその効果が示唆された.以上よりAPTは認知リハビリテーションの一手技として有効である可能性が示された.
著者
新藤 恵一郎 辻 哲也 正門 由久 長谷 公隆 里宇 明元 木村 彰男 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.9, pp.619-624, 2004-09-18
被引用文献数
2

書痙患者に対する低頻度反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)の有効性を,ペン型簡易筆圧計を用いて検討した.書痙患者5例および健常群5名に対して,rTMSを一次運動野直上に安静時運動閾値の95%の刺激強度で1,500回施行した.書痙患者では,字体および書字評価のすべての指標(書字時間,最大筆圧,平均筆圧,変動値)で改善がみられたが,特に書痙患者に特徴的な拙劣さの指標である変動値の改善が著しかった.一方,健常群への影響は認めず,変動値において「健常群・書痙群」「rTMS前後」カテゴリー間の三元配置分散分析に有意な交互作用(p<0.01)を認めた.本研究により,rTMSによる書痙患者への効果が示され,また,簡易筆圧計による4つの書字評価の指標を組み合わせることにより,より鋭敏にrTMSによる治療効果をとらえることができる可能性が示唆された.
著者
山内 秀樹 米本 恭三
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.46-51, 1997-01-18
被引用文献数
11

若年(4カ月齢), 老齢(20カ月齢)ラットに後肢懸垂を実施し, 骨格筋の萎縮に対する活動制限期間中の等尺性運動の影響を収縮張力の変化から検討した。ヒラメ筋の湿重量, 最大張力は若年, 老齢期ともに後肢懸垂により著しく低下し, その低下率に加齢の影響はみられなかった。後肢懸垂に伴う最大張力の低下に対する等尺性運動の軽減効果は老齢期に比べ, 若年期で高い結果であった。以上の結果は, 活動低下に伴う筋の廃用性萎縮に対する運動効果は加齢に影響されることを示唆する。活動制限期間中の運動効果は老齢期においても認められることから, 筋萎縮進行の防止策としての筋運動の有用性が示された。
著者
橋本 圭司 大橋 正洋 渡邊 修 宮野 佐年
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.253-256, 2002-05-18
被引用文献数
5

A thirty-seven-year-old man with cognitive, emotional and behavioral dysfunction due to anoxic encephalopathy after a myocardial attack was admitted to nor hospital. The purpose of thin hospitalization wan to evaluate bin impairment and to help bin family to care him at home. Din brain dynfunction wan no nevere that he could not participate in the ordinary rehabilitation program. Bemoan of hin condition, nor rehabilitation team and hin wife communicated closely to obtain mutual agreement shoot the way to deal with his difficult behavioral problems. The therapists treated him with whatever the way that can bring up patient's better responses. As a result of such transdinciplinary team (TDT) approach for about five months, he became to show less problematic behaviors and to be able to live with bin family at home. The TDT approach is reported to be effective to those who have cognitive and behavioral problems such as this patient.
著者
小川 真司 赤星 和人 高橋 修 永田 雅章 千野 直一
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.320-324, 2005-05-18

正中神経感覚神経伝導検査の手掌部刺激は, 刺激部位, 記録部位が統一されていない. 手掌の刺激部位を定め, 逆行性感覚神経伝導検査を施行した. 記録電極は中指掌側近位指節関節付近に設置した. 刺激電極は手掌部, 手関節部, 肘関節部に設置した. 立ち上がり潜時の平均は, 手掌部で1.14msec, 手関節部で2.39msec, 肘関節部で5.98msecであった. 頂点潜時の平均は, 手掌部で1.66msec, 手関節部で3.00msec, 肘関節部で6. 82msecであった. 振幅の平均は, 手掌部で
著者
粕谷 大智 江藤 文夫
出版者
社団法人日本リハビリテーション医学会
雑誌
リハビリテーション医学 : 日本リハビリテーション医学会誌 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.12, pp.836-841, 2004-12-18

関節リウマチ(以下RA)は,関節を主症状とする全身性の慢性炎症性疾患である.寛解と増悪を繰り返しながら徐々に進行し,治療しないで放置すると関節の破壊と変形をきたし,日常生活の活動を著しく低下させる.RA患者の病苦は単に患者の身体面のみにとどまらず,広く精神的,社会的,経済的側面を含む生活全体に及んでいる.近年,このようなRA患者の多面的病苦をQOL(quality of life)の視点から総合的に捉え,これを定量的に測定することにより,患者個人の健康レベルの評価や疾患の臨床経過のフォローアップと治療に役立てていこうとする試みがなされるようになった.2002(平成14)年度の厚生労働省の調査によれば,骨関節,リウマチ性疾患は脳血管障害と並んで,肢体不自由の主要を占めており,脳卒中,老衰,転倒骨折に続く寝たきりの原因の第4位を占めている.一方,厚生労働省が毎年行っている国民健康調査によればRA患者の3〜10%は医療機関と併せて鍼灸,マッサージの治療を受けており,臨床上疼痛の軽減や可動域の拡大などを認めており,QOL向上に役立っている.