著者
丹野 眞智俊
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学児童教育学研究 (ISSN:13420305)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.1-10, 2003-03-01
被引用文献数
1
著者
笹川 洋子
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
親和國文 (ISSN:02879352)
巻号頁・発行日
vol.32, pp.84-109, 1997-12-01

最近の笑いの研究動向として、相互作用に位置づけて笑いをとらえ直そうという試みがあるが、現段階での研究例は少ない。このような笑いを明らかにするには、さらにどのような場面で、どのように笑いが起こるかを観察する必要があろう。そこで、本稿では電話会話に現れる462の笑いの場面をデータとし、笑いの役割を探る試みを行う。データの分析にあたって、以下のように分析の範囲と分析視点を措定する。まず、笑いを自分の感情をありのままに表現する「自己開示」の笑いと、印象操作を意図した「自己呈示」の笑いに分ける。しかし、自己開示の笑いは、意図せざる結果であり、本稿の考察目的とする、笑いがどのように対人関係に規定されるかという問いをたてることができない。にのため、分析対象からはずす。そして、ここでは自己呈示の笑いのみを考察の対象とする。次に、自己呈示の笑いをとらえる視点として、ゴフマンのフェイス・ワークの概念を借用し、笑いを(1)共感を示しあう呈示儀礼の笑い、(2)話し手が聞き手のフェイスを脅す意図はないことを示す回避儀礼の笑い、(3)自己のフェイスを調節する品行の笑いに分類する。さらに、それぞれの笑いについて、会話データを用いて考察を加え、相互行為において笑いが儀礼行為の方略として多様な役割を担っていることを明らかにしていく。
著者
小林 勇
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
親和國文 (ISSN:02879352)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.40-60, 1993-12-01
著者
犬飼 朋恵 河原 純一郎
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では,注意制御機能を中心とした認知機能の男女差にテストステロンが及ぼす影響について調べた。テストステロンの分泌量は,人差し指と薬指の長さ比及び唾液から測定した。認知課題には,男性優位とされる非標的に紛れた標的を報告する時間的探索課題と心的回転課題,実際の動きと反転してディスプレイに呈示されるマウスの軌跡を見ながら指定された英数字を辿るマウス反転課題の3つを用いた。実験の結果,指の長さ比と心的回転課題の成績との間に相関が認められた。唾液中のテストステロンの分泌量と3つ課題の成績には相関が認められなかった。このことから,テストステロンが認知機能に及ぼす影響は限定的であることが示唆された。
著者
大島 剛 安部 計彦 高木 裕子
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 = Review of Kobe Shinwa Women's University (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.137-146, 2008-03-01

全国児童相談所の一時保護所担当心理士(以下一保心理士)の配置や役割の現状および,児童心理司が一保心理士の役割についてどのように考えているか,について調査検討を行った。自由記述を含む質問紙調査を行い,回答のあった122ヶ所の児童心理司,43ヶ所の一保心理士の結果を分析した。一保心理士は回答のあった75ヶ所中43ヶ所(57.3%)に配置され,うち女性31名(73.8%),平均年齢28.07歳,平均経験年数1年10ヶ月,36ヶ所(83.7%)で1人配置,非常勤37名(88.1%),週平均3.52日,1日平均6.56時間,有資格19名(44.2%),うち心理系資格13名(30.2%)であった。一保心理士の役割や業務はまだ明確に確立されていないが,「ア.一時保護所内の心理的業務(対子ども)」「イ.一時保護所内の心理的業務(対職員)」「ウ.一時保護所内の一般的業務」「エ.児童相談所の心理的業務」「オ.児童相談所の一般的業務」の5つの内容に分類して,児童心理司が考える理想と一保心理士の実際の状況のギャップを検討した。アとウが多く大筋では傾向は似ているが,一保心理士はより一時保護所内の直接的な業務にどっぷりと使っている傾向が見られた。一保心理士は非常に経験が浅い若手が中心であり,目の前の業務に追われているため,児童心理司ほど児童相談所の中の位置づけやその役割を十分に認識できにくい状況にあることも推測される。自由記述から,長いスパンで個別ケースの「これまでとこれから」を見ていく児童心理司と,集団の中の個として「今ここで」を大切に見ていく一保心理士の役割の違いが鮮明になった。
著者
辻 憲男
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
no.30, pp.7-26, 1996-10

『群書類従』神祇部所収の「松浦廟宮先祖次第并本縁起」の中に、藤原広嗣(?-七四〇)の上表文なるものを載せる。これは従来、後世の偽作と見なされてきたが、かりに上代の漢文として読んだ場合、いかなる問題が生ずるか。本文に乱れがあり、文意の通りにくい箇所もあるが、まずは語句・表現に即して略注をのみ施し、この問題について若干の私見を示すことにした。
著者
山口 巖
出版者
神戸親和女子大学
雑誌
神戸親和女子大学研究論叢 (ISSN:13413104)
巻号頁・発行日
no.35, pp.63-90, 2002-03

二重振り子の周期的な振る舞い,特に2つの振り子の初期角度が大きい場合の周期的な振る舞いが数値的な方法で調べられた。2つの振り子の初期角度の特別な組み合わせに対して,2つの振り子が同方向に振動する場合,下側のおもりは静かに手放されてから最下点まで徐々に加速され,その後手放した位置とは上側のおもりの固定点を通る鉛直軸に関して反対側の対称な位置まで徐々に減速される。その後,逆の経路をたどって最下点まで徐々に加速され,続いて徐々に減速されて手放した位置まで戻る。この振動が周期的に繰り返される。一方,上側のおもりは静かに手放されてから徐々に加速されるが,最下点の手前で減速され,その後最下点を通過してしばらくは加速され,その後手放した位置とは上側のおもりの固定点を通る鉛直軸に関して反対側の対称な位置まで徐々に減速される。その後,逆の経路をたどって最下点の手前まで徐々に加速され,その後減速されて最下点を通過し,続いてしばらくは加速された後,徐々に減速されて手放した位置まで戻る。この振動が周期的に繰り返される。そして,2つの振り子の振幅は位相を等しくして同じ周期で振動することが見いだされた。2つの振り子が逆方向に振動する場合は,同方向に振動する場合の上側と下側のおもりの振動の仕方を入れ替えた場合に対応するように周期的に振る舞うことも見いだされた。2つのおもりの時間経過に伴う運動エネルギーと位置エネルギーの変化からこれら周期的な振る舞いは説明できる。また,二重振り子の周期的な振る舞いが2つの振り子の初期角度の数多くの組み合わせ(小さい角度の組み合わせからかなり大きい角度の組み合わせまで)に対して一般的な特性であることが数値的に見いだされた。2つの振り子の初期角度が極端に大きい場合の2つの振り子の振る舞いについても言及し,カオスを特徴づける数理的性質の1つである「初期値に対する鋭敏な依存性」を確かめることにより,その振る舞いがカオス的であることの傍証を与える。