著者
浦 正広 山田 雅之 遠藤 守 宮崎 慎也 安田 孝美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.143-150, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
9

バルーンアートは,バルーンにより動物などの形状を制作するアート技法である.1本,もしくは,複数本のバルーンをひねることにより,様々な形状が生成できる.バルーンアートの造形はシンプルであるが,想定された完成形状から制作手順を推測することは容易ではない.そこで,本研究では,バルーンアートのための構造解析手法と難易度評価手法を提案する.1本のバルーンにより制作されるバルーンアートの完成形状をグラフで表現すると一筆書きができることから,グラフからオイラー経路を求め,その経路に基づき制作手順を導出する.また,1つのバルーンアートに対し,一般に複数の制作手順が存在するため,制作過程におけるバルーンの変形操作の難しさを定量的に評価し,導出される制作手順の難易度を比較する.実際のバルーンアート作品に提案手法を適用することで,その有効性を確認する.
著者
尼岡 利崇 Hamid Laga 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.151-159, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
13

3次元形状測定により観客の身体形状、動作を実時間で測定しインタラクティブアートのコンテンツとするCollective Bodyを提案する。本作品は、観客の身体形状から生成した3次元モデルに観客の身体動作によって実時間で特殊視覚効果を与える作品である。本作品では、グラフィックスと特殊視覚効果をそれぞれ2種類ずつ実装した。3次元モデルは、パーティクルの集合体で表現し、特殊視覚効果は生命活動をモチーフとしパーティクルそれぞれに運動方程式を与え独自に挙動させることで表現した。ユーザーは、自分自身の身体形状、動作から生成された3次元モデルを自由視点で鑑賞することにより、本作品を通し新しいインタラクティブ体験が出来ると共に新しい視点で自身の身体を捉えることが可能となる。
著者
徳山 喜政 今野 晃市 曽根 順治 Janaka Rajapakse R.P.C.
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.1-9, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
18

CGアニメーションでは,人物や動物などのキャラクターの形状モデルが重要である.これらの形状を複数枚のBazier, B-splineやNURBSなどのパラメトリック曲面で表現する場合,曲面同士を滑らかに接続するのは困難であり,複雑な処理を必要とする.この問題を解決するために,近年細分割局面(Subdivision Surfaces)がよく利用されている.しかし,デザイナーが直観的にモデリングすることができる効率的なモデリング手法の確立は依然として大きな課題である.一方,複雑な自由曲面形状を設計するための手法として,曲面の境界曲線を入力して曲面メッシュを生成し,境界で囲まれた領域をGregoryパッチで内挿する手法がある.このような手法は,曲線メッシュを直接修正することで,意図する形状を得ることができるため,細分割曲面を利用する方法と比較して,直観的な形状変形を行うことができるという利点がある.本研究では, Catmull-Clark細分割曲面とGregoryパッチ両方の特徴を生かすために,ポリゴンメッシュから同一位相をもつ曲線メッシュをCatmull-Clark細分割法則に基づいて生成し,生成された曲線メッシュを直接変形し,変形された曲線メッシュ形状をポリゴンメッシュへ反映させるような局所変形手法を提案する.本手法は,曲線メッシュ上の頂点や稜線に変形を施した場合,その頂点や稜線につながっている曲面形状しか変形されないのが特徴である.また,曲線メッシュ上の任意の範囲を指定し,指定した範囲外の曲面との連続性を保ちつつ,範囲内の曲面を自由に変形することも可能である.曲線メッシュ上の変形をポリゴンメッシュへ反映させることで,ポリゴンメッシュで行いにくい局所変形や直観的な変形が実現できる.
著者
内平 博貴 宮下 芳明
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.10-19, 2010 (Released:2010-04-30)
参考文献数
29

本稿では,電子楽器であるサンプラーのメタファを取り入れることによる書道の新しい表現手法を提案する.目的は描画ツールで困難であった筆のかすれなどの表現を容易にすることと,楽器としてのサンプラーのメタファを取り入れることにより書道の新しい表現方法を提案することである.本システムはモデルとする書をマウスポインタでなぞることによってスキャニングし,描画画面でサンプル群を出力することにより描画を行う.本研究はさらにミキサーやエンベロープ・ジェネレータといった機能を導入し,出力画像の編集を行えるように改良している.また,サンプリング元を参照し閲覧できる機能を設け,サンプリング楽曲のように鑑賞時に参照元を発見する喜びを書に付与することで,さらに新しい表現,鑑賞スタイルを提案する.
著者
松本 遥子 堤 孝広 寺澤 玲緒 宮田 直貴 藪 慎一郎 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.66-73, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
13

本稿では,ウェアラブル楽器の一環として,あるいはウェアラブルコンピューティング技術のファッション応用に対する具体的実現としての「着るピアノ」について,導電性布素材を用いた新しいアーキテクチャを提案する.提案するアーキテクチャでは「服としての一体感を演出するために,なるべく布素材を用いる」「機能分化により軽量化を図る」「意図しないシーンで音が出ることを防ぐ」「鍵盤レイアウトの自由度を向上させる」の特徴を有し,衣服としての着心地,着るピアノとしての操作性,デザインの自由度などについて大幅な改善を実現したものである.本提案は,「着るピアノ」の改良,ということのみならず,ウェアラブル基盤としての導電性布素材の新しい利用方法を模索するものとの位置づけも可能である.
著者
秋田 純一 森脇 裕之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.74-80, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
6

近年,その豊かな表現力や高い演出効果から,広報告知や広告媒体として大型のディスプレイを見かける機会が多くなった.しかし,建築物に取り付けるタイプの大型ディスプレイの場合は予算的・作業工程面の制約が多く,従来では,単発的なイベントや,変則的な形状では採用を見送られるケースも多く見受けられる.また,クリスマス時期のイルミネーションに用いられるライン状に並んだ光源の点滅制御では,限定的な点滅パターンを上回るような表現効果を得ることが難しい.本稿では,このようなニーズをふまえ,簡単な構成で自由に画素を配置し,規模の大きい画面を構築できる汎用性の高いディスプレイシステムGuerrila Displayの設計について述べる.このような自由度の高いシステムにより,大型映像によるダイナミックな空間演出がより身近なものになるばかりでなく,従来は実現が困難であった曲面や不定形な形状物への設置なども容易になり,飛躍的に演出表現の幅が拡がることが期待できる.
著者
野田 貴彦 野村 健太郎 小室 直之 鄭 韜 楊 深 宮田 一乘
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.81-89, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
13

本論文では,カクテルのアナロジを用いることにより風景画像を作成するシステムを提案する.このシステムではカクテルの材料を風景の要素とし,それらをシェーカで混ぜる事で風景を作成する事が出来る.作成される風景画像はシェーカを振ることでリアルタイムに変化し,体験者は風景画像を作成している感覚を持つことが出来る.また,風景の要素の組み合わせで,出来上がる風景画像は異なってくる.これにより,体験者はオリジナルの風景画像を作成する事ができる.
著者
尼岡 利崇 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.90-99, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本論文では、色空間と2次元視覚情報を融合し3次元コンピュータグラフィックス(以後3次元CGとする)を生成する手法について提案し、その手法を用いた2つのインタラクティブアート作品+1D,NeoCubismを制作した。画素が持つ明度により新たな次元を与える事で2次元映像を3次元化した。これにより、色空間を俯瞰する視点(以後概念的視点とする)が生まれ、我々の視点(以後物理的視点とする)と概念的視点の両方を持つ3次元CGを生成出来た。+1Dでは、提案手法と実時間映像を組み合わせることで、観客は自身の身体形状および動作によって色空間を体験することが可能となった。NeoCubismでは、提案手法から得られる概念的視点と多視点の概念を発展させ、4台のカメラを用いた多視点実時間映像から単一の3次元CGを生成した。これにより、物理的多視点に概念的視点が加わり、新たな多視点映像作品として日常には無い視覚体験を観客に与えることが可能となった。
著者
高橋 里奈 若林 尚樹
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.100-107, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
5

本研究では,新江ノ島水族館と共同で研究開発した展示コンテンツを題材に,シミュレーションコンテンツの可能性とその操作性のデザインについて提案する.海の生態系を擬似的に再現した水族館の展示水槽と,海をシミュレーションした展示コンテンツを組み合わせて相互に利用することで,展示水槽を見ているだけでは気づかない新たな発見や体験をすることができると考えられる.本論文では,海の中をシミュレーションするための技術の検討及び,コンテンツの設計,操作性のデザイン,ユーザインターフェイス,コンテンツの設置環境に関して報告する.
著者
内田 悠美子 伊藤 貴之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.108-119, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
25
被引用文献数
2 1

本論文では, 対話的な詳細度制御によって大規模時系列データの可視化を実現する一手法を提案する.本手法では時系列データを表す折れ線グラフをクラスタリングし, 各クラスタの中心に近いグラフのみを表示する.これにより, グラフの表示本数を低減することで表示結果の煩雑さを抑え, かつデータ全体の特徴を逃さない表示を実現する.また本手法は, 詳細度制御後の可視化結果画面から, ユーザが着目したグラフをインタラクティブに選択するための, ユーザインタフェースを併せ持つ.これを用いることでユーザは, 選択したグラフと同じクラスタ内にあるグラフを表示させることができる.よって, ユーザが着目した特徴をもつデータについて, 対話的に詳細度を再制御できる.著者らは, 日本全国の気温データに提案手法を適用し可視化を試みた.本論文では, 詳細度制御とグラフ選択のインタフェースの利用により気象現象を解析した例を紹介する.
著者
武田 祐樹 坂口 嘉之 田中 弘美
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.132-143, 2008 (Released:2009-01-14)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

織物の異方性反射特性を表現するためには,任意の入射方向の入射光に対する任意の視方向への反射光の比率を表す双方向反射分布関数(BRDF) が必要である.本論文では,光沢のあるシルクライク織物を対象とし,繊維の断面形状と織構造の違いにより織物の光沢感に相違が現れることに着眼し,入射方向を固定し反射光の分布を多視点観測した,少数視点画像に基づいた効率的なBRDF の自動生成法を提案する.まず,無彩色(黒色)の織物表面に対し入射方向を鉛直方向に固定し,織構造の直交二軸性に基づいて選択された1/8 球の視点範囲内で,少数の多視点画像を獲得し鏡面反射光の分布を観測する.獲得した観測画像データを用いて基準異方性反射分布と呼ぶ基準鏡面反射モデルを生成する.次に,入射方向を変化させた場合の基準異方性反射分布の変化を多視点から観測し,獲得した多視点画像から,光の反射と屈折を表すフレネル効果を考慮した反射光解析により,直交二軸性の異方性反射特性を抽出する.得られた特性に基づき,基準異方性反射分布から高精度のBRDF を生成する.生成したBRDF を用いて異方性反射レンダリングを実現し,同素材の任意に彩色されたドレス着装シミュレーション実験結果から提案手法の有効性を確認する.
著者
Francisco J MENENDEZ Osama HALABI FUJIMOTO Tadahiro CHIBA Norishige
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.1-14, 2009 (Released:2009-06-02)
参考文献数
22
被引用文献数
1

The reflectance of fabric surface is commonly represented by a bidirectional reflectance distribution function (BRDF). To generate the image-based BRDF from measured data, it requires an enormous amount of measurements. In this paper, we propose an efficient image-based method for rendering the anisotropic BRDF of silk-like woven fabrics based on the micro facet surface geometry determined by the cross-sectional shape of fibers, twist of yarns, and type of weave. We develop an image-based method for generating the BRDF of silk-like woven fabrics from measurement of the reflectances caused by the incident light only in the direction perpendicular to the fabric's surface.
著者
小野 智司 森永 健介 中山 茂
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.25-34, 2009 (Released:2009-06-02)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本論文は,2次元バーコードの一種であるQRコードの視覚的誘引性および一目瞭然性を高めることを目的として,QRコードにイラストや写真を上書きする方式を提案する.提案する方式は,イラストの配置決定を最適化問題として定式化し,汎用の最適化アルゴリズムを用いることで,QR コードに埋め込まれたデータを損なうことなく,イラスト等をQRコード上に配置することができる.本論文で提案する方式を用いて,実際にイラスト入り静止画および動画QRコードを生成できることを示す.
著者
今泉 仁美 伊藤 貴之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.43-50, 2008 (Released:2009-08-12)
参考文献数
12

我々は3次元コンピュータグラフィクスのための新しい形状モデリングシステムIGELを提案する.IGELは発泡スチロール等の加工に用いるヒートカッターを模することで,直感的な3次元形状モデリングを実現するものである.IGELはスケッチ入力によってヒートカッターと同等な操作を実現する.スケッチ入力には2次元モードと3次元モードがあり,ユーザは2つのモードを自由に切り替えられる.2次元モードは,ヒートカッターの電熱線の形状を自由に設計するものである.3次元モードは,電熱線を用いて発泡スチロールを切るためのものである.我々の実装では,発泡スチロールの表面形状を三角形メッシュで表現し,電熱線の軌跡が描く曲面との交差処理によってその三角形メッシュを加工するものである.本論文では,IGELの処理手順と3次元形状加工例を示し,今後の展望を議論する.
著者
野間田 佑也 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.43-54, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本稿では,漠然とした検索要求下におけるレシピ探索を支援することを目的とし,その実現のアプローチとして情報視覚化を利用したレシピ探索システムを提案する.本システムでは,ユーザが行う一連の探索過程を,ユーザからの個々の検索要求および検索結果となる個々の情報をノードとするグラフとして表現する.また,本システムの有効性を評価するために,本システムを一人で使用する場合と,複数人での利用を想定し,評価実験を行った.実験後のアンケートの結果と考察から,本システムは,漠然としたレシピ探索に対して有効であることが確認された.
著者
野間田 佑也 中野 敦 星野 准一
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.55-64, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
13
被引用文献数
1

イベントデータを時系列に配列したタイムラインは,時間的な関係性を提示する手法として広く利用されている.人物の経歴や物事の歴史などを調べる際には,ある特定のタイムラインだけではなく,その他のタイムラインに含まれる出来事との関連性も理解することが重要となる.しかしながら,テキストベースの異なるタイムラインを比較参照し,出来事の時間的な位置関係を理解しながら,出来事間の関連性を理解することは困難である.そこで本稿では,情報視覚化によって複数のタイムラインの関連性の理解を支援するシステムVISTORYを提案する.提案システムでは,複数のタイムラインと相互関連性の視覚的なオーバービューをユーザに提示することにより複雑な関連性の理解を助ける.本稿では,提案したシステムを被験者に利用してもらい,その様子の観察と実験後のアンケートに基づき,提案システムの有用性の評価を行った.
著者
橋田 朋子 苗村 健 佐藤 隆夫
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.75-84, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
61

即興的な音楽表現システムは,音楽の新しい楽しみ方や体験を提供する効果的なメディアとして,近年非常に注目されている.この中でも,ユーザが自由に創意を発揮する事と,即興的音楽表現に必要な技法に気が付いたり練習する事を,違和感なく促すシステムに,筆者らは特に興味を持っている.本論文ではまず,数多く提案されている即興的な音楽表現システムの中で,技法習得を伴う創意発揮を実現するシステムの位置づけを歴史・エンタテインメント・教育の観点から行う.さらに該当する事例の比較検討を通じ,創意や表現の楽しさを損なう事なく,技法の自発的な練習を促すための効果的な支援・デザイン手法について明らかにし,今後の動向を展望する.
著者
山澤 舞子 伊藤 貴之 山下 富義
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.85-96, 2008 (Released:2008-07-30)
参考文献数
20

本論文では,階層型多変数データを可視化する一手法「十二単ビュー」を提案する.既に報告されている「平安京ビュー」が階層型データ中の各データ要素をアイコン表示したのに対して,「十二単ビュー」では個々のアイコンに割り当てられた変数の数だけの色を割り振り,この色の濃さによって各データ要素の多変数の値を表現する.また,拡大表示時にはデータの葉ノードを単位として変数値を表示し,縮小表示時には下位階層の変数値を統合し,上位階層のみを表示する,というような詳細度制御を実現する.本論文では,薬物群の分子構造情報と実験値を格納したデータベースより構築される階層型多変数データを例として,「十二単ビュー」の有用性を議論する.また,いくつかのユーザテストにより,可視化結果の有効性を検証する.
著者
八木 麻理子 川田 洋平 藤澤 誠 三浦 憲二郎
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.97-101, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1

美的曲線は,対数(等角)らせん,クロソイド曲線,さらにインボリュート曲線を含むとともに,接線ベクトルの積分形式としてのみ与えられている場合であっても対話的な生成,変形が可能であり,実務への応用が期待されている.しかしながら,これまでに提案された3点による美的曲線セグメントの入力法では,曲率が単調に増加,または減少する美的曲線セグメント1本しか入力することができず,曲率が増減し曲率の極値を持つ曲線や曲率の正負が反転する変曲点を持つ曲線を入力することができない.そこで,本研究で液晶ペンタブレット等で入力された点列からの$G^1$連続性を持つ美的曲線セグメント列の生成法を提案する.
著者
山本 景子 金谷 一朗 佐藤 宏介
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.102-112, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
21
被引用文献数
2 2

本論文は,工業デザイン支援システムのための三次元形状操作インタフェースに関するものである.従来のコンピュータ支援設計(CAD: Computer Aided Design) システムは,操作が複雑かつ非直観的であるため,専門のCAD オペレータを介して形状操作する必要があり,デザイナの造形上の意図を直接表現することが困難という問題がある.本論文では,複合現実感技術によるデザイン支援システムのための新たなユーザインタフェースを提案する.本提案インタフェースは,道具を握るときの手のフォームを埋込型センサにより取り込むことによって,実際に道具を持ち替えるのではなく握りを変えることによって道具を持ち替えるのと同様の効果をもたらすものである.著者らは本提案の試作システムを作成し,評価実験により三次元形状デザインシステムの入力インタフェースとしての有効性を確認した.