著者
鈴木 和明 齋藤 豪 張 英夏 近藤 邦雄 中嶋 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.91, no.12, pp.2961-2972, 2008-12-01

ドット絵とは,1990年代前半までの据置き型ゲーム機や現在でも携帯型ゲーム機などで用いられる低解像度の画像の表現手法であり,その表現手法を用いて制作された画像でもある.ゲーム制作などでドット絵が大量に必要になる場合,アーティストが1枚1枚描かなければならず制作に手間がかかるため,本研究では計算機によってドット絵風のキャラクタ画像を生成する手法を提案する.ドット絵風の画像を生成するために,写真から輪郭線を抽出して,その輪郭線をもつ画像を縮小する.はじめに,抽出される輪郭線がドット絵において頻繁に用いられる形状になるように,Canny edge detectorに対してドット絵作成に特化した変更を行い,そのCanny edge detectorを用いて輪郭線画像を生成する.次に,そのような輪郭線をもつ画像を縮小するが,既存の縮小手法では,画像がぼやけたり,画像の輪郭線が途切れたり,画像の線と線が隣接し潰れてしまう問題があった.これらの問題を解決するために,輪郭線を保護しつつ縮小するアルゴリズムを提案する.これらのアルゴリズムを用いて,ドット絵風のキャラクタ画像を生成した.
著者
藤澤 瑞樹 齋藤 豪 奥村 学
出版者
The Japanese Society for Artificial Intelligence
雑誌
人工知能学会論文誌 = Transactions of the Japanese Society for Artificial Intelligence : AI (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.483-492, 2004-11-01
参考文献数
9
被引用文献数
3

Previous commentary systems generate commentaries only from the viewpoint of a commentator. However there are various viewpoints for comments, and such different viewpoints invoke various comments. The amount of information about a situation may differ between the viewpoints, and the understandings of the situation may also differ between them. In this paper, we propose a method to generate commentaries automatically so that users can easily understand situations by taking into account the different understandings of the situations between viewpoints. Our method is composed of two parts. The first is generation of comment candidates about the current situation, unexpected actions, intentions of players by using a game tree. The second is comment selection which chooses comments related to the prior one so that listeners can compare the situations from different viewpoints. Based on our approach, we implemented an experimental system that generates commentaries on mahjong games. We discuss the output of the system.
著者
宮田愛 齋藤豪 真野航
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.343-344, 2014-03-11

日本のセルアニメーションでは、キャラクタは動作の強調や簡略化によって、現実ではありえない動作や変化をすることが多い。しかし、その非現実的な動作や変化は、視聴者には大きな違和感を与えていない。先行研究では、キャラクタの振り向き動作の顔描画に着目し、それがどのように描画されているのかを分析していた。そして、セルアニメーション特有の変化について3DCGアニメーションとの比較を行い、考察をしていた。本研究では、先行研究よりも分析に用いる3DCGアニメーションのフレーム数を増やすために、3DCGアニメーションのシーンを多く収集し、分析を行なってその結果を先行研究と比較し考察を行う。
著者
豊浦 正広 五十嵐 哲也 齋藤 豪 寺田 貴雅 茅 暁陽
雑誌
研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:21888949)
巻号頁・発行日
vol.2016-CG-162, no.1, pp.1-7, 2016-02-01

カラー写真などの任意の画像から多色織ジャカード織物パターンを生成する.ジャカード織物は数百本から数千本の並列化された経糸と緯糸が交差して構成され,各格子点での経糸と緯糸の上下を定義することで模様を作り出すことができる.多色織パターンは,各行各列の経糸色・緯糸色と格子点での上下関係を示す二値画像によって表現できる.従来法ではグレースケール画像のみを対象にしたり,カラーチャンネルごとに独立に処理したりしていたために,入力画像が持つ色調や陰影を十分に保つことができなかった.本研究では多色織パターンの生成のために (1) 任意色の経糸・緯糸による画像二値化,(2) 入力画像に適切な糸色の自動選択を提案する.実験では,生成されたパターンから製織した結果を示し,提案手法の有効性を示す.
著者
齋藤豪 井元 崇之 中嶋 正之
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グラフィクスとCAD(CG) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2001, no.89, pp.47-52, 2001-09-13

仮想世界内で自律的に行動できるキャラクタのアニメーションを生成するために、一連の動作すべてを事前に決定しておくことはできない。そこで、キャラクタの様々な状態をノードとし、動作の断片をリンクとするモーショングラフを定義し、任意の次の状態が指示された場合に、自動的にパスを決定して一連の動作を生成する手法を提案する。 さらに重み付きパス探索の手法を用いることにより柔軟なアニメーション生成を可能にする。In the case of generating animation of autonomous characters in virtual world, We can not prepare every action sequence. Therefore, we designed a graph style data structure, called Motiongraph. Each node has a posture of a character and links which have action segments. When a new target posture is ordered, a path is selected automatically from the graph and a sequential motion is generated. In addition, by defining ``hastiness'' values to links and by using a weighted path search algorithm, more suitable motion could be selected in situations.
著者
尼岡 利崇 Hamid Laga 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.151-159, 2009 (Released:2010-01-13)
参考文献数
13

3次元形状測定により観客の身体形状、動作を実時間で測定しインタラクティブアートのコンテンツとするCollective Bodyを提案する。本作品は、観客の身体形状から生成した3次元モデルに観客の身体動作によって実時間で特殊視覚効果を与える作品である。本作品では、グラフィックスと特殊視覚効果をそれぞれ2種類ずつ実装した。3次元モデルは、パーティクルの集合体で表現し、特殊視覚効果は生命活動をモチーフとしパーティクルそれぞれに運動方程式を与え独自に挙動させることで表現した。ユーザーは、自分自身の身体形状、動作から生成された3次元モデルを自由視点で鑑賞することにより、本作品を通し新しいインタラクティブ体験が出来ると共に新しい視点で自身の身体を捉えることが可能となる。
著者
尼岡 利崇 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.90-99, 2009 (Released:2009-08-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1 1

本論文では、色空間と2次元視覚情報を融合し3次元コンピュータグラフィックス(以後3次元CGとする)を生成する手法について提案し、その手法を用いた2つのインタラクティブアート作品+1D,NeoCubismを制作した。画素が持つ明度により新たな次元を与える事で2次元映像を3次元化した。これにより、色空間を俯瞰する視点(以後概念的視点とする)が生まれ、我々の視点(以後物理的視点とする)と概念的視点の両方を持つ3次元CGを生成出来た。+1Dでは、提案手法と実時間映像を組み合わせることで、観客は自身の身体形状および動作によって色空間を体験することが可能となった。NeoCubismでは、提案手法から得られる概念的視点と多視点の概念を発展させ、4台のカメラを用いた多視点実時間映像から単一の3次元CGを生成した。これにより、物理的多視点に概念的視点が加わり、新たな多視点映像作品として日常には無い視覚体験を観客に与えることが可能となった。
著者
張 暁華 中西 良成 小林 希一 三ッ峰 秀樹 齋藤 豪
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.8-14, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

カメラの実写映像に基づいた立体物の電子映像部品化を目的として、被写体の表面反射パラメータ、すなわち、拡散反射および鏡面反射パラメータを良好かつ安定に求める方法を開発した。これまでは反射パラメータを求めるに当って、先ず、拡散反射成分と鏡面反射成分を分離してから求めていたが、この場合、被写体が複雑なテクスチャを持つ場合、あるいは、鏡面反射成分が多い場合には分離が良好に行えず、パラメータの取得が困難であった。本方法は、従来の方法と異なり、光源および被写体の色信号を予め知ること無しに、パラメータフィッティング法を用いて一挙に反射パラメータを求めることを特長としている。また、求めた反射パラメータを用いることにより、従来困難であった被写体に対しても拡散反射成分と鏡面反射成分を良好に分離することが可能である。論文では、反射パラメータの取得法の詳細、実験結果、考察等について述べる。
著者
齋藤 豪 井元 崇之 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌 (ISSN:13472267)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.22-29, 2002 (Released:2008-07-30)
参考文献数
12
被引用文献数
2

仮想世界内で自律的に行動できるキャラクタのアニメーションを生成するために、一連の動作すべてを事前に決定しておくことはできない。そこで、キャラクタの様々な状態をノードとし、動作の断片をリンクとするモーショングラフを定義し、任意の次の状態が指示された場合に、自動的にパスを決定して一連の動作を生成する手法を提案する。 さらに重み付きパス探索の手法を用いることにより柔軟なアニメーション生成を可能にする。
著者
尼岡 利崇 Laga Hamid 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
芸術科学会
雑誌
芸術科学会論文誌
巻号頁・発行日
vol.8, no.4, pp.151-159, 2009

3次元形状測定により観客の身体形状、動作を実時間で測定しインタラクティブアートのコンテンツとするCollective Bodyを提案する。本作品は、観客の身体形状から生成した3次元モデルに観客の身体動作によって実時間で特殊視覚効果を与える作品である。本作品では、グラフィックスと特殊視覚効果をそれぞれ2種類ずつ実装した。3次元モデルは、パーティクルの集合体で表現し、特殊視覚効果は生命活動をモチーフとしパーティクルそれぞれに運動方程式を与え独自に挙動させることで表現した。ユーザーは、自分自身の身体形状、動作から生成された3次元モデルを自由視点で鑑賞することにより、本作品を通し新しいインタラクティブ体験が出来ると共に新しい視点で自身の身体を捉えることが可能となる。
著者
史 発 齋藤 豪
雑誌
第81回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2019, no.1, pp.115-116, 2019-02-28

3次元コンピュータグラフィックスを用いた服のモデリングは、映像業界やファッション業界で多用されている。よれはCGに現実感を与えるのに大きな働きをするが、その形状は布の素材や縫製などに影響されるため、自然なよれをモデルに付与するのは困難である。本研究ではこの問題に対処するため、ユーザの入力に応じて布モデルの面積を部分的に増加させ、物理パラメータを局所的に変更し物理シミュレーションを行うことで、その部分をよれとしてモデルに容易に付与することのできる手法を提案する。提案手法は対話的な速度で実行可能であり、提案手法を用いて布モデルに様々なよれを付与した結果を示す。
著者
松田 慶士 千葉 宣孝 杉田 篤紀 馬渡 貴之 水落 美紀 野村 悠里 渡邉 和宏 齋藤 豪 櫻井 淳 木下 浩作
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.229-233, 2019-12-31 (Released:2019-12-31)
参考文献数
10

症例は40歳代, 男性。意識を消失し, 駅構内の階段から転落したため救急搬送された。来院時, 意識レベルは改善していたが, 特異的な顔貌, 眼瞼下垂, 前頭部脱毛, 全身の筋萎縮を認めた。血液検査で炎症反応の上昇があり, 胸部X線・CT検査では肺炎像を認めたが, その他の検査で意識消失の原因となる所見はなかった。搬送時の身体所見から筋強直性ジストロフィーを疑った。把握ミオトニア, 叩打ミオトニア試験は陽性。針筋電図検査でミオトニー放電を認め, 急降下爆撃音を聴取した。遺伝学的検査で, ミオトニンプロテインキナーゼ (DMPK) 遺伝子のCTG反復配列を約600リピート認めたため, 筋強直性ジストロフィー1型と確定診断した。筋強直性ジストロフィーは多彩な症状を示し, 場合によっては意識消失し死に至ることもある疾患である。意識消失発作は, 救急診療で多く遭遇するが, 本症例のような比較的稀な疾患が隠れている場合があることも念頭に置くべきと考える。
著者
猪瀬直人 齋藤豪
雑誌
第76回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2014, no.1, pp.317-318, 2014-03-11

我々が複数の色の組み合わせを美しいと感じるとき、その色の組み合わせは色彩調和が取れている。色彩調和は色空間における色同士の位置関係で表現可能であると考えられており、これまでに様々な色彩調和論が提案されている。これらの理論は色彩設計や色変換の研究で利用されているが、従来の色彩調和を利用した研究の多くは色相しか考慮していない。そこで、本研究ではColoroid表色系における色彩調和に関するデータを組み合わせることで、色相・彩度・明度の全てを考慮した色彩調和度を考案し、3次元色空間上で可視化する手法を提案する。本可視化手法により、どの色が色彩調和に影響を与えているかの確認が可能となる。
著者
猪瀬直人 齋藤豪
雑誌
第75回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.263-264, 2013-03-06

色彩調和とは複数の色を組み合わせることでまとまりのある美しさを作り出すことであり、私達が普段見た時に美しいと感じる景色や画像では色彩調和が取れていることが多い。この色彩調和の法則を定義したものが色彩調和論であり、画像処理においては画像の調和度を評価したり、調和の取れる配色になるように色変換が行われている。本研究では、カラー画像の色彩調和度を3次元色空間上に可視化する手法を提案する。画像に用いられている色の分布を3次元色空間上に表示し、その画像の調和が取れているかどうか、調和が取れていない場合にはどの部分が原因となっているのかを確認する。
著者
馬場 銀河 齋藤 豪
雑誌
第77回全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, no.1, pp.119-120, 2015-03-17

計算機上の画材シミュレータにはデータ利用による様々な利点がある。流体力学に基づいた画材シミュレーション手法は数多く提案されており、我々もこれまで、使用データ量を抑えることが可能な二次元格子を用いて厚みのある絵具による表現が可能な手法を提案してきた。本稿では更に実用性を高めるため支持体の凹凸をモデル化し、表面張力項を付与することで凹凸面上での絵具の挙動を表現可能な手法を提案する。レンダリングの際には格子内部を連続関数近似することで絵具表面での光の反射および屈折を精度よく計算し高品質画像を生成する。得られる結果画像を既存手法の結果と比較し評価することで本手法の有用性を示す。
著者
真野 航 齋藤 豪
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, no.55, pp.25-28, 2013-11-29

セルアニメーションにおけるキャラクタは、非現実的な動作や変化といった現実の人間とは異なった描画のされ方をしている。しかし、その描画は視聴者に大きな違和感を与えない場合が多い。すなわち、ただ単純に3DCGモデルを画面に投影したものとは異なるが、見る者に違和感を与えないような描画のされ方をしている。本稿ではキャラクタの振り向き動作時の顔の描画の分析をするために作成した、フレーム毎に顔の各要素の特徴点位置を記録するプログラムについての報告と、要素間の距離変化の分析の報告を行う。
著者
真野 航 齋藤 豪
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.25-28, 2013

セルアニメーションにおけるキャラクタは、非現実的な動作や変化といった現実の人間とは異なった描画のされ方をしている。しかし、その描画は視聴者に大きな違和感を与えない場合が多い。すなわち、ただ単純に3DCGモデルを画面に投影したものとは異なるが、見る者に違和感を与えないような描画のされ方をしている。本稿ではキャラクタの振り向き動作時の顔の描画の分析をするために作成した、フレーム毎に顔の各要素の特徴点位置を記録するプログラムについての報告と、要素間の距離変化の分析の報告を行う。
著者
奥村 敦史 齋藤豪 奥村 学
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.23, pp.63-70, 2003-03-06
被引用文献数
5

感性を表す言語であるオノマトペ(擬音語・擬態語)は新語・造語が多く,既存の辞書には語彙が不足している.また,既存の自然言語処理用コーパスにもオノマトペはあまり出現しない.そこで本研究では,自動生成したオノマトペ候補語をクエリとしてWeb上のテキストを検索し,候補語を含む用例を取得することでこれをコーパスとみなす.次に得られたコーパスを解析し,候補語がオノマトペかどうかの判定を行う.オノマトペと判断された語については,係り受け解析結果の頻度情報などを利用し,その語義や用法を得る.最後に,複数の候補語の語義を照らし合わせて,語義間の距離を定義したオノマトペ概念辞書を構築する.Onomatopoeias which express sensibility include many new words and coined words, and the existing dictionaries are insufficient of their vocabularies. Furthermore, onomatopoeias seldom appear in the existing corpus for natural language processing. In this work, we generate candidate words of onomatopoeias automatically and search the text on the Web with a search engine using the candidates as a query. Therefore we can acquire a corpus containing examples of the candidates. Then, we process the corpus and judge whether each candidate is onomatopoeia or not. If a candidate is judged to be an onomatopoeia, we give its sense and usage from results of syntactic analysis, and construct a concept dictionary of onomatopoeias.
著者
安田 浩志 齋藤 豪 中嶋 正之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.92, no.2, pp.255-261, 2009-02-01

工業製品の評価及び映画を含むエンターテイメント分野において,実際の人間による実現が困難な場面でのシミュレーションを行うため,計算機上で人体機構を再現する手法への需要が高まっている.本論文では特に人体のもつ機構特性の一つである関節可動域に注目し,簡略化された球関節人体モデルにおいて関節可動域のもつ解剖学的特性を再現する手法を提案する.多関節筋による影響から,一部の関節可動域は完全に独立ではなく隣接する関節の状態に大きく影響を受ける.しかし,関節ごとを独立に扱う従来の可動域表現ではこの変化を再現することができない.提案手法では,モーションキャプチャ装置を用いて混合正規分布による確率密度関数として関節可動域を決定する.まず,自己組織化マップにより非均一である計測データからの安定した関節可動域推定を実現し,次に正規分布間の共起関係により,複雑な筋骨格モデルを用いることなく多関節筋による影響の近似を可能にした.