著者
SEKIYA Toru 関谷 融
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:2432616X)
巻号頁・発行日
no.1, pp.95-107, 2016-12-28

長崎県立大学では、大学COC事業に伴い、平成27年度入学生から、前期15回の講義と、8・9月期における4泊5日の実地実習形式の授業の組み合わせによる「長崎のしまにまなぶ」をスタートさせた。地域振興及び地域の抱える課題に関する理解とその解決を志向した取り組みであることを謳い、国際情報学部及び国際社会学部ではこれを1年次前期の全学教育必修科目として設定している。 本研究は、集団活動困難者(本学のCOC実地実習プログラムは宿泊を伴う離島エリアでの実施のため)に対する代替プログラムの案例及び適用要件を検討するために、COC採択された大学でフィールドワーク(インターンシップをCOCとしているものを含む)を必修としている事例において、上記懸案がどのように処置されているかを調査し、「代替活動」の運用・再設計に向けた知見を得ることを目的とした。
著者
吉澤 和子 吉澤 和子
出版者
長崎県立大学
雑誌
長崎県立大学看護栄養学部紀要 (ISSN:18841759)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.31-38, 2015

背景 2015年 6 月、米国食品医薬品局(FDA) はトランス脂肪酸が「安全と認められる(generally regarded as safe: GRAS)食品」ではない、と定義づけ、食品への添加を 3 年で禁止すると発表した。米国で1993年、8 年に亘る前向きコホート研究によりトランス脂肪酸が冠状動脈心疾患のリスクを高めることが発表されていた。しかしこの知見が政策決定に十分に活かされることはなく、2016年使用禁止に至るまで長い時間が経過した。目的 1993年トランス脂肪酸の健康への悪影響があることを示した研究発表から、2016年の使用禁止に至った背景を概観し要因を考察した。方法 文献データベースPubMedを用いてキーワードにより検索を行い、その中で栄養情報について妥当性が確認されている文献を用いて行う。結果 PubMedを用いた文献検索で得られた文献の中で栄養情報に妥当性があるものを選定した。2009年に発表したMozaffarian, Aro and Willettが行ったメタ・アナリシスによりトランス脂肪酸が冠状動脈心疾患のリスクを高めることを明らかにしている。考察 2015年 6 月の米国FDAのトランス脂肪酸の使用禁止の発表に至った主な要因は2つ考えられる。一つはトランス脂肪酸の栄養成分表示の義務化や含量規制だけでは医療費増大の抑制が困難なこと、もう一つはメタ・アナリシスなどエビデンス・レベルの高い知見の蓄積あり説得力を高めたことが考えられる。
著者
松本 勇
出版者
長崎県立大学
雑誌
長崎県立大学論集 (ISSN:09188533)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.111-186, 2007-12
被引用文献数
1

国内航空輸送の参入規制及び運賃規制に対する規制緩和はまず参入規制について昭和45年(1970)からのいわゆる「45・47体制」が昭和61年(1986)に廃止されたのを手始めに,高需要路線の「ダブル・トリプルトラッキング化基準」の緩和,平成9年(1997)の同基準の廃止により弾力的な路線設定が可能となるなど段階的に進められた。平成10年(1998)の需給調整規制の廃止に向けた「運輸政策審議会交通部会」の答申により平成11年(1999)6月航空法の一部改正法の成立を見て,平成12年(2000)2月需給調整規制の廃止により市場原理と自己責任の原則により事業経営を行うこととなった。運賃規制についても認可制から平成2年(1990)の標準原価の導入,平成7年(1995)5月の「営業政策的割引運賃設定の弾力化」,平成8年(1996)の「幅運賃制度」の実施を経て平成12年(2000)2月には需給調整規制の廃止に併せてすべての運賃が認可制から事前届出制へと移行した。離島航空路線など市場原理のみでは日常生活に不可欠な航空輸送サービスを確保出来ない分野については,平成10年(1998)の同答申でも生活路線の維持方策の確立を確認し,その必要性とコストとを勘案した上で,一定の範囲内でその確保に配慮することが必要との考え方を示している。需給調整規制の廃止による航空会社間の競争の激化は航空会社内の内部補助の幅を狭め,航空会社の市場からの撤退を招く。しかし離島航空路線はナショナルミニマムの観点から,たとえ不採算であっても生活路線についてはその維持を図る必要がある。このための補助政策としては従来から航空機購入補助,空港使用料軽減,固定資産税の軽減などが実施されて来た。これらの補助の他に平成11年(1999)新たに運航費補助が追加された。しかし離島航路で実施されているような財政的にも安定した補助政策である「離島空路整備法」の制定は未だなされていない。またその支援については支援制度の設計は国が行うが,具体的な対象路線の選定や維持などは地方公共団体が主体的に行うことを求められている。航空輸送の特性は高速性にその利便性があり,長距離輸送にその優位性を発揮出来る。しかし「航空ネットワーク機能」もまたそれらと同様重要である。離島航空路線は比較的短距離なものが多く,その輸送特性が必ずしも十分に発揮出来ないだけではなく,近年代替交通機関である船舶の高速化が飛躍的に向上している。一方離島は人口の減少,経済の低迷などを背景に旅客需要の減少を招いている。需給調整規制の廃止は不採算路線の集中する離島航空路線を直撃し減便,休廃止,内部補助の期待できないより小規模な航空会社への移管,航空機の小型化などを招いている。このような離島航空路線の環境変化を背景として長崎県にある離島航空路線でも減便,休廃止,航空会社の移管,航空機の小型化が進んでいる。特に9人乗りのアイランダーなど小型機で運航されていた上五島空港と小値賀空港は平成18年(2006)4月の路線の全面廃止と共に空港ターミナルビルは解散し,空港そのものの「廃港」を余儀なくされる状況にある。新上五島町と小値賀町は両町主導のもとで2年間の猶予期間のうちに空港の機能を何とか維持し,廃港を避ける方策を現在模索している。本稿では上五島空港および小値賀空港を中心に長崎県における5つの離島空港とそれぞれの路線の沿革と現況を高速船との競合という視点からまず分析する。高速船との競合は壱岐空港,福江空港でも見られる。たとえ船舶の高速化によって離島住民の利便性は改善されているとはいえ,離島住民の移動手段は船舶と航空機のみである。特に離島の地域振興は観光に支えられる部分が大きい。航空のネットワーク機能はこの点でも重要である。次に上五島・小値賀空港の廃港問題と県及び関係市町村の路線維持に対する対応を長崎県の翼であるオリエンタルエアブリッジ(旧長崎航空)の沿革と会社がかかえる問題点を詳細に振り返えると共に,その将来を展望することにより人口減少,高齢化,経済の疲弊,競争の激化という離島がおかれている非常に困難な社会経済情勢の中で今後どのような方策をとれば離島の航空路線を維持していけるのかについて,ナショナルミニマムと地域活性化という視点から考える。
著者
山口 義彦
出版者
長崎県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

女性の肥満の原因を明らかにするために、女性ホルモン(エストロゲン)が、重要な食欲抑制ホルモンである「レプチン」の働きにどのような影響を及ぼすか調べました。レプチンの働きがよくわかるように、レプチン受容体(レプチンを受け取るタンパク)の遺伝子を組み入れた細胞を用いました。その結果、女性ホルモンは、レプチンの働きを強める、すなわち、女性ホルモンが食欲を抑制することが推測されました。
著者
LEE Hyong Cheol 李 炯喆
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:18838111)
巻号頁・発行日
vol.14, pp.77-87, 2014-01-15

宮澤喜一と言えば、戦後日本の政治外交と経済に深くかかわった戦後史の証人である。占領から経済摩擦にいたる対米関係のみならず、アジアの隣国とも深く関わっていて、教科書問題の際の近隣諸国条項、PKO 協力法、従軍慰安婦問題(河野談話)、新宮澤構想などの決定と政策を打ち出した。そのため、毀誉褒貶相半ばする異色の保守政治家である。首相としての評価は高くないが、宮澤の政治活動には並の保守政治家とは異なる戦前の意識、自由主義、アジア認識が通底している。決して弱腰、優柔不断のせいではなく、彼の信念に由るものである。
著者
香取 淳子 香取 淳子
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:18838111)
巻号頁・発行日
no.12, pp.93-107, 2011

After Chinese government adapted the economic reform policy in 1978, advertising broadcasting and CCTV(Chinese Central Television) started. China's TV system was reformed several times depending on the progress situation of the economic reform. The aim of this study is to explore the relationship of Chinese government andCCTV by the materials based on some academic papers, books, and statistical data. As aresult, despite of many changes during three decades since 1978 it is thought that thefundamental role of CCTV as a mouthpiece for the Chinese Communist Party and thegovernment is still maintained.PDF図表カラーあり
著者
香取 淳子 KATORI Atsuko
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:18838111)
巻号頁・発行日
no.12, pp.93-107, 2011

PDF図表カラーあり
著者
荻野 晃
出版者
長崎県立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

体制転換期(1988~1989年)のハンガリー外交について、ソ連、東ドイツ、ルーマニアとの関係に焦点をあてて考察した。2013年度には、カーダール書記長の退陣にいたるまでの対ソ関係を分析した。次に、2014年度には、西ドイツ亡命を希望する東ドイツ市民へのオーストリア国境の開放をめぐる東ドイツとの交渉過程を検証した。最終の2015年度には、1980年代後半の難民流入をめぐるルーマニアとの関係を中心に論じた。研究を進めていく過程で、体制転換の国際的背景としてのヒトの移動の自由の重要性を理解できた。
著者
KATORI Atsuko 香取 淳子
出版者
長崎県立大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:18838111)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.109-122, 2011-12-12

The value of Vietnam's E&M(entertainment & media)market is expected to exceed $2 billion in 2013, says PricewaterhouseCoopers. So Vietnam's media contents market is expected to become a bigger one during these several years. The aim of this study is to figure out the flow of media contents in global era by analyzing Vietnam’s market. The materials of this study are some statistical data about Vietnamese society and some academic papers about Japanese TV dramas and Korean TV dramas. In the past both had similar experiences about getting into Vietnam contents market. But now Korean dramas are very popular in Vietnam, on the other hand Japanese dramas aren't broadcasted. From this phenomenon the requirements to get into Vietnams market are thought as follows, 1. Sale of TV dramas fitting to Vietnam's social situation. 2. Sale in sets with TV dramas and advertisers. 3, Price setting of TV dramas matching with Vietnam's economic situation. 4. Having coproduction system with Vietnam's TV stations. After all it was revealed that the success of Korean dramas in Vietnam's market is brought with media contents, capital and industries. In the global era cultural imperialism may have to be reinterpreted. PDF図表カラーあり
著者
森谷 智子
出版者
長崎県立大学
雑誌
嘉悦大学研究論集 (ISSN:18841104)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.1-17, 2012-03

2007年2月にサブプライム問題が表面化し、その後、2009年にかけて金融危機が生じたのは記憶に新しい。サブプライム危機が発端となり、証券化商品市場に対する様々な問題が指摘されることになった。このようなことを受け、今回の金融危機の原因究明が早急に求められている。これまで、投資するうえで安全性が高いと評価されてきた証券化商品の信用力が問われると同時に、証券化商品の発行額が低迷している。今回の金融危機は、証券化という金融技術が招いたと一般的に批判されているが、格付機関による格付けの甘さ、さらには大手金融機関(投資銀行)のお金の流れに対する問題をも指摘されるようになっている。こういった根本的な問題を解決するために、2010年7月、米国においてドッド=フランク法が施行された。このドッド=フランク法は、1930年代の脆弱な金融制度を抜本的に変革するものとして期待されている。この法律に基づき、現在、金融機能全体の見直しが進められている。そこで、本稿では、今後、証券化商品市場を再活性化させていくためには、どのような施策が必要であるのかについて検討している。
著者
西島 博樹 山口 夕妃子 岩永 忠康 柳 純
出版者
長崎県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

東アジア地域における小売行動と小売構造の動態分析を実施した。グローバリゼーションにおける小売行動の実態調査として、東アジア地域に進出している日系小売企業にインタビュー調査を実施した。また、消費者行動の変化を調査する目的で中国地方都市の商店街において現地消費者を対象としたアンケート調査を実施した。国際化という大きな波は東アジア地域の小売行動に大きな影響を及ぼしているが、同時に、地域の独自性への対応もまた必要であることが明らかとなった。