著者
伊藤 大介
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.101-110, 2007

最近、大量の自然言語データを迅速に処理できる手法として、テキストマイニングが注目されている。本稿では、美術館来館者の生活における美術館の存在意義を明らかにするとともに、大量の自然言語データの迅速な処理が可能であるテキストマイニング手法のアンケート調査データ処理への応用可能性も同時に検討する。本稿で用いたデータは、静岡県立美術館において開催された企画展観覧者を対象としたアンケート調査データのうち、自由回答設問への回答を使用する。
著者
徳永 高志
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.65-81, 1999-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
29

宝塚少女歌劇の伴奏オーケストラから発展し、1926年に設立された宝塚交響楽団は、戦前の関西地方における唯一のプロオーケストラであった。このオーケストラは、大資本阪急の後ろ盾を得たことにより、急速な発展を遂げたものの、それゆえに、1930年代半ばになると、阪急と少女歌劇の動向によって活動の停滞をも余儀なくされた。本稿では、今まで、ほとんど知られていなかった宝塚交響楽団の運営の実態を、未刊行史料を用いて明らかにする。
著者
秋葉 美知子
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.49-61, 2002-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
46

今日的意味でのパブリック・アート概念の成立は、1967年にNEA (全米芸術基金) が「アート・イン・パブリック・プレイス」プログラムを創設したことに起源をもつ。本稿は、このプログラムによる第一号作品として1969年にグランドラピッズ市に設置されたアレクサンダー・カルダーの彫刻「ラ・グランド・ヴィテス」をパブリック・アートの嚆矢と位置づけ、その設置に至る経緯を考察することにより、米国におけるパブリック・アートのオリジナル概念を論じる。
著者
砂田 和道
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.5, no.3, pp.87-99, 2007-03-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
55

音楽アウトリーチ活動の有効性は実施する音楽家の手法、資質に依存される。クラシック音楽家の養成過程を検証することで、社会情勢の変化に即した音楽家養成と、地域文化振興に有意義な音楽家の必要性が明らかになる。またアウトリーチ活動を媒体とし大学と地域の連携は音楽家、大学、地域の再生に繋がり、地域文化振興に有益である。
著者
伊藤 裕夫
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.19-26, 1999-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
12
被引用文献数
1
著者
高木 俊行 守屋 秀夫 清水 裕之 小野田 泰明
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.37-45, 2000

本研究は、有価証券報告書を活用して民間の劇場の経営実態を明らかにすることを主な目的とする。損益計算書の営業損益の部に着目し、歌舞伎座、コマ・スタジアム、松竹、新橋演舞場、東宝、御園座、明治座の7社に関する売上高と経費の内訳を分析した。新橋演舞場と明治座を除く5社については、開銀企業財務データバンクを使用して売上高と経費の時系列変化を検証した。分析の結果、わが国の商業劇場の経営実態を大まかに把握することができた。
著者
古賀 弥生
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.57-64, 2005-03-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
21

公立文化施設については、近年その運営を民間セクターに委ねる事例が各地で見られるようになりつつある。公立文化施設の運営には地域との関係性の視点が不可欠であるが、実際には地域との関わりが薄いことが九州地区での調査から明らかになった。公立文化施設の運営主体の選択にあたっては、地域に関わる人材・機関のネットワークで市民、NPO、企業、自治体等が持ちうるメリットを出し合える関係づくりが急務である。
著者
渡部 薫
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.49-59, 2004-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
47

本稿は、経済の文化化の意味するところを経済活動における手段的価値と内在的価値の対立関係の中に見出し、経済活動における創造性の価値が増大している一方で管理化が進行しているという現在の状況を2つの価値の関係においてどう解釈するかという問題を設定し、その解釈を試みた。その結果、創造的活動は管理的要請に従属させられるのではなく、基本的に内在的価値に基づいていること、他方で、手段的合理性の追求はもっぱら手段的活動において強く作用しており、創造的活動による価値の創造は手段的活動によって支えられている、すなわち、手段的価値が内在的価値を支えているという関係に基づいていることが示された。
著者
溝上 智恵子
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.75-79, 1998-10-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
20

東西冷戦終結後、民族紛争が多発した。こうした現状を踏まえ、近年、アイデンティティや民族意識、エスニシティに関する議論が盛んである。本稿では、自己や他者のイメージ形成という視点から文化ナショナリズムを考え、それと文化施設との関連性について問題提起を行ったものである。ナショナリズムの形成に文化施設、なかでも博物館・美術館の果たしてきた役割を中心に検討し、最後にナショナリズムそのものの変容が指摘される現在、これからの博物館・美術館が果たす役割にも考察した。
著者
後藤 和子
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.1-17, 2003-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
42

The purpose of this paper is to make the theoretical framework of Creative City, from the point of view of cultural policy, cultural economics and economic geography, looking at the concepts of ‘creative milieu’ and ‘social interaction’ and solidarity. At first, I analyze when and how cultural policy made their connection to creative city idea and what was the main issue in these process. Secondly, circulation of cultural activities (production-consumption-evaluation-stock-learning-production) in cultural economics will be examined and the concept of ‘creative milieu’ and ‘social interaction’ in economic geography theory are looking into. Thirdly, I am suggesting the theoretical framework by situating the circulation of cultural activities in the context of place. Several cultural clusters will be provided as a sample of these framework.
著者
宮崎 刀史紀
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.89-97, 2003-03-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
46
被引用文献数
1

文化政策への人々の関心は様々である。また、その関わり方も多様である。本稿では、入場税撤廃運動をとりあげ、どのような主体が何故いかに入場税という「文化政策」に関心をもち行動したかについて考察する。この運動では、価値論的問題へ主たる運動原理が変化したことで、運動への支持が拡大し、運動の関心も文化政策一般へと広がった。要求や提言を政策化し実現しようとする市民の運動として、この運動は重要な意義をもつ。
著者
阪本 崇
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.35-45, 1999-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
25

消費者の選好を変化させる要因の一つとして消費の持つ学習効果が挙げられる。本稿では、短期的効用最大化、確率論的学習という2つの仮定の下に、マルコフ連鎖を利用してこの現象をモデル化する。その上で、市場には人的資本レベルの異なる複数タイプの個人が存在することを前提に市場における人口分布と需要量に関するシミュレーション分析を行い、その分析結果を踏まえ、文化的財の需要に対する価格政策と教育政策との効果を比較する。
著者
大橋 敏博
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.25-29, 1998-10-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
19

書籍、新聞等の出版物 (著作物) の再販制度の存続の是非については、その文化的な意義と経済的な競争政策の両面から様々な議論が見られるところである。本稿では、我が国で出版物 (著作物) 再販制度が設けられた歴史とその背景となった海外の状況や現状等を中心に再販制度の文化的意義を考察するものである。
著者
端 信行
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.4, pp.11-17, 1999-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
10

本稿は、中央省庁再編関連法の成立にともなって、文化庁の下部組織である国立美術館・博物館が2001年より独立行政法人への移行が決まったことを受けて、あらためて美術館・博物館の抱える今日的課題を明らかにしておこうとするものである。とりわけ今日の美術館・博物館における運営上の〈独立性〉の欠如がすべての今日的課題の根元にあるとの認識に立って、〈独立性〉をいかに実現するかをめぐって議論を展開した。
著者
塩田 眞典
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.107-120, 2003-03-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
56

セルゲイ・ディアギレフ率いるバレエ・リュスの活動は20世紀前半の文化状況に大きな足跡を残した。本稿では、興行師としてのディアギレフの活動を文化史的視点と経済学的視点とを交えて考察する。この作業を通して、特定の文化ビジネスに企業者の果たす役割を分析する。また、文化企業者ディアギレフを異分野仲介者 (境界人) として把握することにより、文化・芸術を享受する人々の眼には視えにくい彼の仕事の意味を明らかにする。
著者
山田 浩之 新井 益洋 安田 秀穂
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.49-55, 1998-10-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
29

東京都内の芸術文化活動による経済波及効果を産業連関表を用いて分析したところ、東京都地域内では、建設工事や土木工事に投資するよりも芸術文化に投資した方が大きな効果をもつことが判明した。また、芸術文化活動による経済波及効果を東京都地域とニューヨーク・ニュージャージ大都市圏とで比較すると、東京都地域の方が経済波及効果が低くなっており、東京都地域において芸術文化が経済を活性化する力は今後一層、強まる可能性がある。
著者
増淵 敏之
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.19-29, 2005-03-31 (Released:2009-12-08)
参考文献数
38
被引用文献数
1

国内の音楽ソフト産業は転換期を迎えている。市場規模の縮小傾向の中で、消費者の多様化、配信のビジネス化などの問題に直面し、メジャー各社は試行錯誤を繰り返しているように見える。しかしその傍でメジャーとは一線を画したインディーズ (独立系音楽ソフト会社) が活発化し始めていて、特に地域に依拠する企業の成功事例も出てきている。本稿ではそういった音楽産業の国内地域での産業化の可能性を、事例を挙げて考察する。
著者
河口 淑子 多治見 左近
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.63-77, 2000

本研究では、地域の文化活動の実態をとらえることを目的とし、奈良市内の公民館における自主グループ活動に注目した。グループ活動の目的は大別すると3つに分類され、これらの目的はグループが結成される段階で大方決まっていた。目的別に活動の形態、頻度などに特徴があり、また、問題点はそれらの間で異なっていた。公民館を使用する最大の理由として、無料で使用できること、立地条件のよさなどがあげられた。しかし、場所取りや駐車場に関する不満が多く、自由に使用できる空間の整備が必要である様子がうかがえた。
著者
池上 惇
出版者
Japan Association for Cultural Economics
雑誌
文化経済学 (ISSN:13441442)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.1-14, 2001-09-30 (Released:2009-12-08)
参考文献数
125