著者
岩本 彰
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.62, no.3, pp.225-229,a2, 1994

学生会員の中には新社会人としての出発を控た方や, 来年度の就職に対する活動を開始された方もおられると思う。最近, 幾つかの大学の就職説明会に, 企業側の立場で参加させていただく機会があり, 学生のコンサルタント業務に対する興味の高さを実感した。とくに, 1989年に日本が世界一の政府開発援助供与国となり, 開発途上国に対する援助が身近となったこともあって, 海外の農業・農村開発に対する数多くの質問が寄せられた。<BR>このような状況に鑑み, 本報文は, コンサルタント業務の概要と海外における農業・農村開発プロジェクトの実状について述べるとともに, コンサルタントの将来の課題について考察を加えたものである。
著者
井上 敬資 増川 晋 中里 裕臣 中西 憲雄
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.8, pp.691-694,a2, 2005

2003年には宮城県沖, 宮城県北部, 十勝沖地震が発生し, 2004年には紀伊半島南東沖, 根室半島南東沖, 釧路沖, 新潟県中越地震が発生した。さらに2005年には福岡県西方沖地震が発生し, マグニチュード6以上を記録する大規模地震が頻発している。このような大規模地震では, 被災が広範囲に広がり, 農地や農業用施設など多くの箇所で災害が発生する。大規模地震が発生した場合に被災する可能性のある範囲や施設を推定することは, 被災の有無の点検や復旧計画等に有効な情報となる。本報では大規模地震発生時に被災する可能性のある範囲や施設を推定するシステムについて紹介する。
著者
Hiroyuki ARITA Tatsumi TOMOSYO Hidesato KAWARA
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
Rural and Environment Engineering (ISSN:02878607)
巻号頁・発行日
vol.2002, no.42, pp.44-59, 2002 (Released:2010-10-27)
参考文献数
23

In devising an agricultural policy in Japan, the difficulty lies in that the policy must deal with the unpredictability of the food supply in the long-term perspective, while acting on the present structure of agricultural production which has been producing shortterm excesses. Considering the quite unfavorable conditions determining agricultural land resources in Japan (e.g., an absolute shortage of farmland resources that is aggravated because existing farms are frequently abandoned), it is necessary to separate the issue of agricultural land resource conservation from the issue of achieving the target of food selfsufficiency, and to take the necessary measures for agricultural land resource conservation immediately. The core of farmland policy lies in conservation of the agricultural land resources as such, and this issue is more serious than the issue of food self-sufficiency as related to the utilization of these land resources. This paper will propose extensive management as a means of conserving agricultural land resources and discuss basic concepts pertaining to this form of agricultural management.
著者
篠 和夫 中崎 昭人
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.107-111,a1, 1988

1986年12月18日, 高知県沿岸に竜巻が発生。上陸し, 施設園芸ハウスなどに総額1億円近くの被害をもたらした。被害の実態調査を行い, 過去の同様の風害調査をも参考にして施設園芸ハウスの耐風性に関する問題点について述べた。今回の園芸ハウスの被害は3O棟 (約1.5ha) で, 内, 全壊が12棟であり, その内11棟は鉄・木併用切妻型ハウスであった。破壊形態は柱以外の部材が飛散することに特徴があるが, 基礎の折損あるいは抜け上がりも見られた。鉄骨パイプハウス1棟は圧壊されていた。<BR>また, 1948年以降に高知県地方で捕捉されている29個の竜巻発生地点および最近の竜巻発生時の気象的特徴についても若干述べた。
著者
河野 英一
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.69, no.7, pp.717-722,a2, 2001

日本大学・生物資源科学部・生物環境工学科では, 平成12年12月に認定希望分野を「農業工学関連分野・農業土木プログラム (土, 水, 基盤および土, 水, 環境)」として, JABEE認定審査の試行が実施された。<BR>本報では, この試行審査をめぐる日本大学の対応の概要を述べる。主な内容としては, 試行審査を何故希望したか, 試行実地審査がどのように経過し, どのような内容であったか, 試行自己点検書の作成では何に留意すればよいか, どのような試行審査結果を得て, それに日大側がどのように対応したか, などである。
著者
河崎 和明 菊池 一雄 和田 充和
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.7, pp.647-650,a3, 2003

第3回世界水フォーラムにおいて, 水田の多面的機能やかんがい農業の多様性・地域性等について, 一般市民に対してもできる限りわかりやすく, 楽しく理解してもらうことを目的として, 農業農村整備事業関係11団体で組織する「水と食と農フェア実行委員会」の主催により, 3月21-23日にかけて, 京都市左京区岡崎「みやこめっせ」においてフェア (展示) を実施した。<BR>3日間で約3万人の見学者があり, 大盛況のうちに一般市民に対し, 水田の多面的機能等について効果的なPRを行った。
著者
高橋 強 西口 猛
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.139-144,a1, 1987
被引用文献数
1

集落排水処理施設において, 地形条件の異なる2ヵ所の施設へ流入する汚水量を観測した結果, 雨水の流入が顕著であり, 計画値として用いられた地下水流入量をはるかに上回る雨水の流入が観測された。<BR>そこで, 雨水の流入経路を探るために汚水管内の送煙試験, テレビカメラによる管内観察を行い, その結果に基づいて, 雨水の流入を防止するための対策について考察した。
著者
金子 良 上村 春美
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木研究 (ISSN:18847218)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.113-118, 1961

The value of evapotranspiration (E. T.) observed by a lysimeter does not correspond to that from a field having large area in natural condition.<BR>So it is worth making study to estimate E. T. from a field by the hydrological method without using a lysimeter.<BR>The presnt data were obtained on sandy soil at the meteorological observation place and the neighbering orchard of the National Institute of Agricultural Sciences in Hiratsuka.<BR>On the sandy land where surface run off does not occur, the following hydrological relations can be obtaind : <BR><I>P</I>=<I>E</I>+<I>M</I>+<I>G</I>… (1) <BR><I>G</I>= (<I>G</I><SUB>2</SUB>-<I>G</I><SUB>1</SUB>) +<I>H</I>·<I>pa</I>… (2) <BR>where P : precipitation, <I>E</I> : evapotranspiration, <BR>M : change of soil moisture, <BR>G : recharge of ground water, <BR>G1 : ground water flowing in to the locality from upper reach, <BR>G2 : ground water flowing away from the locality to downstream reaches, <BR>H : change of ground water level, pa. : air capacity of soil in the part of changing ground water level.<BR>A small rainfall on dried soil or no rainfall gives, G_??_0. In this case, the decrease of groundwater level corresponds to (<I>G</I><SUB>2</SUB>-<I>G</I><SUB>1</SUB>), and a certain relation can be obtained between the various ground water flows and the ground water levels.<BR>This is approximately applicable to the case where G≠0, making it possible to estimate the value of (<I>G</I><SUB>2</SUB>-<I>G</I><SUB>1</SUB>) in every month through the year.<BR>Eventually, the evapotranspiration, <I>E</I> on sandy land can be obtained from (1) and (2).<BR>Generally speaking, <I>E</I> of the sandy land is approximately from 600 to 700mm, and the ratio between <I>E</I> and the pan evaporation is almost equal to 0.7. This ratio is smaller in spring and larger in fall than other seasons.
著者
高瀬 国雄
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 = Journal of the Japanese Society of Irrigation, Drainage and Reclamation Engineering (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.75, no.7, pp.591-594, 2007-07-01
参考文献数
10

東西冷戦終了後, アフリカ諸国の要請によって, 日本政府が主催した「東京アフリカ開発会議(TICAD)」は, 1993年から5年おきに開かれてきたが, アフリカ開発は遅々として進まない。その理由としては, アフリカ政府の主体性と協調性の低さ, 国際機関やドナーの援助方針のまずさ, 市民社会の軽視などが考えられる。しかしその基本には, アフリカ人口の7割以上の住む農村開発戦略の不在が, 大きく影響している。1960年代にアジアで成功した「緑の革命」の経験を, 自然・文化条件の異なるアフリカの食料・貧困の撲滅に活用するには「虹色の革新」が最適であろう。<BR>2008年に日本で開催されるTICADIVとG-8を目標として, 日本政府, 市民社会, 民間企業のより積極的な協力が切に望まれる。
著者
出馬 佳典 道尾 崇
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.74, no.12, pp.1121-1122,a3, 2006

海岸環境整備事業等において養浜を整備すると, 砂の移動や流出が発生したりすることがある。このことから, 養浜の計画を綿密に策定する必要があるが, 波浪による養浜への影響を完全に把握することは難しく, また, 適用できる確率波浪も決められているため, 理想的な養浜計画を策定するのは難しい状況である。本報で紹介する島勝地区では, 気象庁から得た台風前後の波浪データをもとに数値予測シミュレーションを行い, また, 現地において台風の前後で, 海浜変形の観測をすることで数値予測の検証も行い, 砂の移動を最小限にとどめられるように検討した。
著者
小柳 彌 八幡 敏雄
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木研究 (ISSN:18847218)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.308-313, 1953

この調査を通じ<BR>1. 旱天(若干のにわか雨の日を含む)がつづいて河川流量が減少すると, 外海の潮位は大差なくとも, 濃度の濃い監水がだんだん上流に遡上すること。(表5, 表6)<BR>2. 上流にゆくに從つて満干の起時が, 河口よりもおくれること。<BR>3. すべてその地點の満潮の頃に, 監分温度の最大が起ること。<BR>4. 監分濃度の垂直分布から, あげ潮の時でも常に明瞭な楔形がみられるとは限らないこと。<BR>5. 感潮部の流量は同一水位であつても, 引き潮にかかる時とあげ潮にかかる時とによつて, 相當變化するのではないか。從つて感潮部におて流量を測定することは, 時間を極く短く制限しないと危險であること。等がわかつた。<BR>尚調査の結果から次のことが云えると思う。<BR>1. 表6にみるように七取地先に水源を求めることは監分濃度が水稻の枯死限界に近くなることからみて危險と考えられる。<BR>2. 7月雨量の多かつた1951年でさえ今尾橋流量は, 毎秒0數トンにすぎない。(30日の觀測値を除くとしても)<BR>3. 從つて傳えられる如く毎秒7~8トンの水をこの中から汲みあげることは更に監分の遡上をうながし, 盆々危險性をはらむものと想像される。
著者
富永 雅樹
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会論文集 (ISSN:03872335)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.177, pp.347-359,a2, 1995

降雨入力の変動パターンが地盤中を伝搬する現象, および豪雨の中断が持つ意味を明らかにするために円柱土層による実験と考察を行った.M系列信号(疑似不規則信号の一種)状の降雨入力による実験では, 降雨入力と地盤各部での体積含水率の変動との相互相関関数をとることにより, 地表から-4m付近でも体積含水率の変動が降雨パターンに対応していることが観察された.中断を含む降雨を与えた結果では, 中断後の降雨による二次的浸潤前線が一次的な浸潤前線の降下速度を速めることがわかった.これらの現象は, 開放不飽和毛管浸透モデルによって説明できることを示した.最後に, 降雨浸透現象と土砂災害発生との関係について考察した.
著者
河野 英一
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.115-116,a1, 1997

現在の「私学の大学院」について, 思うところを私学・日本大学の大学院を例にしつつ述べた。<BR>それは, 私学大学院と博士前期 (修士)・後期課程の設置の目的, 農業土木学に関わる分野を基幹にする各私学大学院の研究科・専攻・専門分野・入学定員・入学試験科目等の内容紹介, 私学大学院の改組の計画, 私学大学院で培われる諸能力・得意科目の活かし方等への進学者における心構えについてであった。
著者
元杉 昭男
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.179-184,a1, 1989
被引用文献数
1

土地利用型農業の生産性向上には経営規模の拡大ばかりでなく, 新技術を駆使した大区画圃場整備も重要な意義を有する。大規模農家は経営規模に対して意欲的であるとともに, 圃場の大型化に興味をもっている。<BR>事業を推進してゆくためには, 農地の流動化を促進し, 新しい施行技術・営農技術の開発を急ぐとともに, 技術吸収力と経営感覚にすぐれた担い手農家の育成が大切である。<BR>また, 今後の課題として, 小規模農家を事業の中にどう組入れてゆくかが技術開発の課題となるものと思われる。
著者
中村 則彦
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.71, no.11, pp.967-972,a1, 2003

磐梯朝日国立公園の名峰朝日岳のブナ原生林に源を発し, 村上市の農村地帯を潤しながら日本海に注ぐ清流三面川は, 世界で初めて鮭の回帰性を利用した「種川の制」を考案して, 天然増殖を図った, 歴史の深い自然豊かな川である。<BR>農業農村整備に伴う当市の環境保全対策は, この母なる三面川に鮭が永久に遡上し稚魚が育つ環境を将来に引継ぐために, 基本方策を「鮭の子のふる里づくり」と名付けたマスタープランの内容紹介と, 環境に配慮した取組みとして, 県営ほ場整備事業区域内のホタル等貴重生物の保護のための人工水路の整備からホタルの飛翔まで, 当市独特の育成方法を解説し, その取組み事例を記した。
著者
井谷 昌功 半田 修弘 小林 秀匡 谷 茂
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.265-269,a2, 2000

「ため池防災データベース」は, 溜池の防災に資する基本的なデータの集積を図ることを目的として, 平成7年度, 全国の45自治体, 7農政局および北海道開発局の委託により整備を実施した。その後, 溜池防災関連情報の蓄積が継続的に行われ, 現在, 登録されている溜池数は8万件以上に達している。本データベースの震央検索を利用して, 96年6月以降に震度4以上の地震があった山口県や岩手県などにおいて, 迅速な点検作業に有効利用されたという実績を得ている。<BR>平成10年度にバージョンアップした内容および緊急時の活用事例について説明し, たあ池防災データベースの今後の展開について報告した。
著者
今橋 真二
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業農村工学会誌 (ISSN:18822770)
巻号頁・発行日
vol.75, no.8, pp.740-741,a3, 2007

高知県中西部の二級河川新荘川は日本で最後にニホンカワウソが現認された川として有名である。いまなお清涼な水質を保つ新荘川下流域には, 現在14カ所の農業用取水堰があるが, 河床低下等によりアユ等の遡上を阻害して炉る状況にある。本報では, 学識経験者, 地域住民, 漁業関係者の意見を反映させながら改良に取り組んだ魚道工事について紹介する。