著者
山根 俊喜
出版者
日本教師教育学会
雑誌
日本教師教育学会年報 (ISSN:13437186)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.41-49, 2018-09-29 (Released:2020-07-06)
参考文献数
9
著者
上薗 紗映 加藤 宗規
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.44 Suppl. No.2 (第52回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0372, 2017 (Released:2017-04-24)

【はじめに,目的】認知症は大腿骨頚部骨折・大腿骨転子部骨折の術後成績を悪化させる要因とされている。しかし,認知症以外の精神疾患については明らかではない。当院は常勤理学療法士11名がいる精神科の病院で,精神疾患に対応しながらの理学療法が提供できる環境にある。そこで,本研究は一般病院では対応が困難であったために当院に転院してきた大腿骨頚部骨折術後の患者を対象として,歩行自立率と歩行自立予測について検討することを目的とした。【方法】対象は2007年1月から2014年3月までの間に当院で大腿骨頚部骨折の術後リハビリテーションを受けた108名のうち,脳血管疾患による明らかな運動麻痺がある患者,調査期間終了時点でリハビリテーションを終了していない患者を除いた87名。リハ終了時の歩行FIM予測に用いる重回帰式を求めた。その際,終了時歩行FIMを従属変数とし,その他項目(年齢,性別,精神疾患名,術後からリハビリテーション開始までの期間,受傷前の移動機能)を独立変数とした。精神疾患名は,疾患ごと(統合失調症,うつ病・双極性感情障害,アルコール依存症,認知症,その他)の有無に分けた。そして,終了時歩行自立率,および終了時歩行FIM予測値が6以上である場合の感度,特異度を求めた。【結果】最終時歩行FIMが6点以上で自立に至った人数は33名であり,自立率38%であった。得らえた予測式は「終了時歩行FIM=2.48+うつ病・双極性障害×1.254+開始時歩行FIM×0.674(R2=0.353)」であり,予測値が6以上は8名,うち最終時歩行が自立していたのは7名であった。予測式による予測は感度0.21,特異度0.98,陽性的中率0.88,陰性的中率0.67であった。【結論】結果より,一般病院で対応ができない精神疾患を有する大腿骨頸部骨折術後患者であっても,精神科において理学療法士が対応できる環境であれば40%近くが歩行自立に至り,精神科領域における理学療法士配属の意義が考えられた。しかし,予測式の感度が低いため,得られた予測値の解釈に際しては予測値が6以上であった場合の歩行自立率は約90%,6未満であった場合の歩行自立率は約30%とする程度が適切と考えられえた。今後はさらに精度の高い予測について検討が望まれる。
著者
大金 さや香 城間 将江 小渕 千絵
出版者
日本聴覚医学会
雑誌
AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
巻号頁・発行日
vol.58, no.1, pp.60-68, 2015
被引用文献数
2

要旨: 軽度から重度までの補聴器 (HA) 装用者13名と人工内耳 (CI) 装用者12名に対し, ピアノ音による2~12semitone の幅の2音のピッチ弁別検査と12曲の文部省唱歌の旋律識別検査を実施し, 両者の違いについて比較検討した。 この結果, HA 装用者では, 軽中等度例でピッチ弁別, 旋律識別共に良好であったが, 聴力程度が重度になるほど両者の成績が低下する傾向を示した。 一方, CI 装用者では, 1オクターブのピッチ弁別も困難な例が多いにも関わらず, 旋律識別率では10~90%と個人差が大きかった。 ピッチ弁別が困難な重度の HA 装用者や CI 装用者でも, 既知の曲であればトップダウン処理により識別できる場合があるため, 音楽知覚の可能性が示唆された。
著者
内藤 泰
出版者
日本音声言語医学会
雑誌
音声言語医学 (ISSN:00302813)
巻号頁・発行日
vol.53, no.2, pp.138-143, 2012-04-20
参考文献数
18

補聴(補聴器あるいは人工内耳)を介して符号化された聴覚信号は情報量が少なく,非生理的であり,その認知のために感音難聴者の高次脳機能には再編成が生じる.特に聴覚単独での正確な認知が困難な状況では視覚情報処理の介入が生じ,複数の感覚が統合されて聴覚情報処理を補うようになる.逆に高次脳機能が補聴に影響を及ぼす場合もあり,本稿では脳の外傷や先天性サイトメガロウイルス感染による高次脳機能障害が人工内耳の効果を妨げる例についても述べた.難聴や補聴と高次脳機能の関係を知ることは,その後の診療方針やコミュニケーションモードの選択に重要である.
著者
南原 律子
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.435-438, 1993-12-10 (Released:2017-02-10)
参考文献数
7
被引用文献数
1

アトウッドの実験は,明治時代には多くの教科書で扱われていた。しかしその扱いはしだいに軽いものになり,いったん教科書から消えた。しかし,昭和48年の「物理I」の教科書からは,運動方程式の演習問題として復活した。その理由は定かでないが,本実験の学習目的に疑問をもつ生徒は少なくない。そこで本稿では,本実験の教育的意義を検討してみることにした。研究成果からは,本実験の歴史的意義は大きいことがわかったので,これを教育的意義として評価することを考えた。つまり本実験は,単に重力加速度の測定実験ととらえるだけではなく,運動の第1法則,第2法則の検証実験としても位置づけることができる。このような視座からは,本実験の教育的意義は大きいので,高校物理の生徒実験として効果的に位置づけることを考えた。