著者
大嶽 真康
出版者
鎌倉女子大学
雑誌
鎌倉女子大学紀要 = The journal of Kamakura Women's University (ISSN:09199780)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.166-158, 2018-01

本研究は、近年の諸研究の成果に基づき、従来北条時政の事績とされてきたものを精査し、真の時政像に迫ろうという意図を持つものである。その為に、本論考では鎌倉政権初期における北条氏の動向を一元的に見るのではなく時政とその子義時・政子の行動を分けて考えることを試みてみた。本稿は頼朝の没直後で考察を終えたが、今後さらに時代を下って考察を進めていきたい。
著者
植田 康孝
雑誌
江戸川大学紀要 = Bulletin of Edogawa University
巻号頁・発行日
vol.29, 2019-03-15

物事が変化する時には,予想を超えて急速に非連続的に変化することがある。物理学で言う「相転移」に相当する時代転換である。アイドルの世界における「相転移」は,メディアの変化をきっかけとして生じた。人工知能(AI),情報通信などが急速に発展する中で,アイドル・エンタテインメントも予想を大きく上回る速さで進展している。 経済,社会が移り変わる中で,アイドル業界はメディアの劇的な変化に適応しながら,あの手この手でマーケットを切り拓いて来た。人口減少により,国内でアイドルのファンになる人の数は確実に減って行く。アイドル分野は幸いにも不況を抜け出し,新しい技術やモデルが生み出された「多面的な確変モデル」に入っている。21 世紀に入り,昭和のマスメディア型思考から捉えて「音楽番組がまた一つなくなった」「CD が売れない」「音楽は斜陽産業である」という論調が支配的であったが,ライブ,握手会,サイン会などの「直接コミュニケーション」,SNS,動画配信,音楽配信などの「ヴァーチャルコミュニケーション」の高まりにより,アイドルを取り巻く状況はドラスティックに変わっている。インターネットを使ったライブ配信の発達・普及に伴い,最近数年でアイドルファンは質的に変化した。かつて女性アイドルのファンは男性が中心であったが,アイドルが発信するメイクやファッションの情報に興味を持つ女性ファンが急増するようになっている。楽しみ方が多様化した中で,生まれたのが現在のアイドルブームである。ブームをリードする存在が,乃木坂46,欅坂46,けやき坂46 の「坂道シリーズ」とTWICE,BLACKPINK などの「KPOP」である。かつてのアイドルはテレビや雑誌を通して,歌や踊り,かわいさを見せることが第一であったが,現在は,個々のメンバーがインターネットを通して表情豊かにキャラクターを見せることにより,ファンの裾野を拡大している。ライブ中継を通して自然体で振る舞うことは,デジタル時代のアイドルのあり方を象徴する。かつてのアイドルは手の届かないセレブが中心であった。AKB48 は素人が成長していく姿を男性ファンに訴求するアイドルグループであった。一方,現在,アイドル・エンタテインメントの頂点に立つ坂道シリーズは,そのどちらでもない,男性ファンだけでなく,同性ファンにも憧れと親しみの両方の感情を抱かせる絶妙な距離感を保つ独自の強みを打ち出すことに成功した。 本稿は通常,定性的にしか議論されないアイドルとファンのコミュニケーションについて数理モデルを援用して科学的アプローチを試みたことに,新規性と独自性を伴う。
著者
須永 徳武 スナガ ノリタケ
雑誌
立教經濟學研究
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.95-134, 2019-03
著者
豊澤 修平 村井 源
雑誌
じんもんこん2018論文集
巻号頁・発行日
vol.2018, pp.75-82, 2018-11-24

本論文では星新一のショートショートにおけるオチに至る物語構造の分析をするために,古典的なプロット分 析を利用しオチパターンの抽出を行った.物語の自動生成において意味の通る作品を作ることが困難であるが, オチに至る物語構造を分析することにより,より自然な物語の自動生成を実現できる能性がある.星新一の代表 的なジャンルである SF から「宇宙」と「薬」,特徴的なテーマとして「悪魔・魔人」に作品を限定しオチのパ ターン化と必要条件,前提条件の抽出を行った.結果として各テーマにおける特徴的なパターンの抽出を行うこ とができた.テーマのパターン化及び必要条件と前提条件の記述の統一化と抽象化の結果を用いることで,今後 より星新一らしい自然な物語の自動生成が可能になると考えられる.
著者
市川 純
出版者
日本体育大学
雑誌
日本体育大学紀要 (ISSN:02850613)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.27-38, 2016-09-30

本稿は2016年3月17日、アメリカ、フロリダで行われたThe International Conference on the Fantastic in the Artsにおいて口頭発表した"'Alice' in Japanese pop culture : transformation through translation"を日本語にし、大幅に加筆・修正を加えたものである。また、2015年度日本体育大学学術研究補助費の研究課題「翻訳される文化としての日本における「アリス」」の研究成果の一部でもある。

5 0 0 0 OA 大江匡房

著者
山口 昌男
雑誌
比較文化論叢 : 札幌大学文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.11, pp.9-68, 2003-03-15
著者
田中 洋平 Yohei Tanaka
雑誌
淑徳大学人文学部研究論集 (ISSN:21895791)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.138-120, 2021-03-15

本論では茨城県稲敷市の天台宗寺院・不動院に残された「江戸崎不動院門徒分限帳」全三冊を基礎史料として、近世における同院の配下寺院について、その経営実態を分析した。特に天台宗教団内における寺格に注目し、寺格別に各寺院の檀家数や檀家から得られる収入、所持耕地などに関しての考察を進めている。そこからは、従来の研究史のうえで等閑視されてきた寺格によって、右記の分析項目に著しい差異が生じている実態を明らかにした。具体的には、寺請や葬祭を執行することができる住持によって営まれる「末寺」寺院では、一定の葬祭檀家と所持耕地を有しており、これによって寺院経営が維持されていたのに対し、寺請や葬祭の執行が原則として許されていない住持によって営まれる「門徒」寺院の場合には、檀家、所持耕地からの収入ともに充分ではない様子を数量的把握によって描出している。
著者
松浦 悠 児玉 幸子
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2017論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.201-204, 2017-09-09

近年,ビデオゲームのプレイ映像を個人がインターネット上で配信する「ゲーム実況」が流行している.本研究では放送者と視聴者が共に,よりゲームを楽しむための手法を検討する.多くのゲーム実況生放送において,放送者と視聴者のインタラクションは生放送サービスのコメント機能を用いたコミュニケーションに留まっている.今回我々は,視聴者のコメントから得られる感情がゲーム内容に反映されるゲームシステムを開発し,その効果を検証した.
著者
佐々木 啓子 松岡 耕二 ササキ ケイコ マツオカ コオジ Keiko SASAKI Koozi MATUOKA
雑誌
千葉科学大学紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.61-67, 2012-02-28

イチョウ葉エキス(EGb761)は、1950年代から薬理研究が始められ、現在では、アルツハイマー病や認知症の治療に利用されている。フラボノイド24%、テルペノイド6%を含有する標準化されたエキスは、めまいや耳鳴り、記憶力減退、不安などの精神神経症状の改善に効果が報告されている。EGb761のこれらの作用には、活性成分と考えられているフラボノイドやテルペノイドの抗酸化作用や神経保護作用が、関係すると考えられている。ここでは、薬理学的根拠とされるフラボノイドやテルペノイドの中枢神経系における生理活性と、近年報告されているEGb761の臨床効果に対する評価について述べる。