- 著者
-
大野 重雄
丸山 崇
吉村 充弘
梅津 祐一
浜村 明徳
佐伯 覚
上田 陽一
- 出版者
- 日本自律神経学会
- 雑誌
- 自律神経 (ISSN:02889250)
- 巻号頁・発行日
- vol.57, no.2, pp.119-129, 2020 (Released:2020-07-15)
- 参考文献数
- 50
オキシトシン(OXT)は,分娩や射乳反射だけではなく,様々な調節(鎮痛,不安,信頼,絆,社会的認知,向社会的行動,骨・骨格筋)に関わることが報告されている.我々は加齢とOXTの関係を明らかにするために,OXT-monomeric red fluorescent protein 1(mRFP1)トランスジェニックラットを用いて下垂体後葉(PP),視索上核(SON),室傍核(PVN)におけるOXT-mRFP1蛍光強度の加齢変化を調べた.その結果,加齢群でPP,SON,PVNでのmRFP1の集積増加と視床下部でのウロコルチン増加を認めた.また増化したウロコルチンはOXTニューロンにほぼ共発現していた.今後,加齢とOXT発現の機序が解明されることにより,高齢者のサルコペニアや孤独/社会的孤立の予防にも役立つ可能性がある.OXTの加齢との関係を含めて文献をもとにこれまでの知見をまとめ概説した.