著者
岡崎 好秀 宮城 淳 堀 雅彦 東 知宏 中村 由貴子 小坂田 弘子 紀 螢 Bazar Oyuntsetseg Rodis Omar 松村 誠士 下野 勉
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.40, no.4, pp.693-700, 2002-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
37
被引用文献数
2

齲蝕のない3~5歳の小児114名を対象として,Dentocult-SM®strip Mutansテスト(Orion Diagnostica社製)を用い,ミュータンス連鎖球菌数について調べた。また小児の生活習慣に関する15問のアンケートを実施した。そしてミュータンス連鎖球菌数とアンケート項目との関係について数量化理論II類を用い解析した。さらに上位にランクされた項目についてはχ2検定を用い検討を加えた。1.Dentocult-SM(R) Strip mutansテストの判定結果の分布は,クラス0は69.3%(79/114名),クラス1は21.9%(25/114名),クラス2は8.8%(10/114名)であり,クラス3は1人もいなかった。2.以下の項目はミュータンス連鎖球菌数と有意に関係していた。1)間食の不規則摂取(χ2検定p<0.01)2)間食回数3回以上(χ2検定p<0.01)3)甘味飲料を多く飲む(χ2検定P<0.05)4)保護者の齲蝕が多い(χ2検定p<0.05)5)間食後の歯磨きをしない(χ2検定P<0.05)以上より,これらの項目に対する保健指導を行えば,ミュータンス菌の定着のリスクが減少し,ひいては小児の齲蝕予防につながることが期待できる。
著者
假谷 直之 松村 誠士 RODIS Omar M M 紀 瑩 杜 小沛 志野 綾子 下野 勉
出版者
一般社団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.379-384, 2006-06-25

今回,我々は新しく発売されたミュータンス菌測定キット,オーラルテスターミュータンスの<I>S. mutans</I>検出能力を臨床評価する目的で研究を行った。被検児は岡山県内にあるN保育園児(4,5歳児)52名。オーラルテスターミュータンスとカリオスタットはマニュアルに従い処理,判定した。PCR法は,QIAGENのマニュアルに従いDNAを調製してPCR後,電気泳動にてバンドを確認した。対象を<I>S. mutans</I>とした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間ではP<0.001,カリオスタット値の同様な分析では,High-Low間においてP<0,01でBand検出の有無との問に関連性を認めた。対象を<I>S. sobrinus</I>とした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間においてはBand検出の有無との間に関連性を認めなかった。カリオスタット値の同様な分析においても,High-Low間でBand検出の有無との問に関連性を認めなかった。今回の研究で,<I>S. mutans</I>に特異的といわれている領域を増幅したPCR法によるバンド検出率と関連することが確認された。オーラルテスターミュータンスは,齲蝕原因菌のうち特に<I>S. mutans</I>の検査として有用と考えられる。
著者
岡崎 好秀 東 知宏 田中 浩二 石黒 延枝 大田原 香織 久米 美佳 宮城 淳 壺内 智郎 下野 勉
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.677-683, 1998-09-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
25
被引用文献数
4

655名の小児を対象として,3歳時と小学校1年生時から中学1年生時までの,齲蝕指数の推移について経年的に調査した。1)3歳時の齲蝕罹患者率は65.6%,1人平均df歯数は3.80歯であった。2)中学1年生時の齲蝕罹患者率は93.4%,1人平均DF歯数は4.78歯であった。3)3歳時のdf歯数は,小学校1年生から中学校1年生までのDF歯数と高度の相関が認められた(p<0.001)。4)3歳時のdf歯数が0歯群と9歯以上群の小学校1年生から中学校1年生までの永久歯齲蝕罹患者率には,有意の差が認められた(p<0.001)。5)3歳時のdf歯数が多い群ほど,永久歯のDF歯数も高い値を示した(p<0.05)。3歳時の齲蝕は,将来の齲蝕に影響を与えることから,乳幼児期からの齲蝕予防の重要性が示唆された。
著者
西田 綾美 松村 誠士 堀 雅彦 保富 貞宏 下野 勉
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.767-772, 2009-12-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
1

先天性表皮水疱症の3 歳児を5 年間にわたり口腔ケアを行った。初診時,プラークコントロールは不良で,多数歯に重症齲蝕を認めた。加えて歯科診療に対する不安が強く,診療は困難をきたした。治療方針を(1)歯科診療に対する協力性の向上(2)口腔衛生の改善(3)齲蝕の進行抑制とし,2 週間に1 回の間隔で来院させた。Tell Show Do 法(TSD)などで行動変容を行い,使用する歯ブラシを加工する等の工夫,診療室でのフッ化物塗布,家庭でのフッ化物洗口等を行った。その結果,プラークの付着が減少し,健全な永久歯が萌出中である。また,初診時には歯冠崩壊のため咀嚼が困難であったが,永久歯の萌出に伴う咬合部位の増加により,食事内容や量が増加し栄養状態もよくなった。患児と信頼関係を築き,両親の理解や協力を得る事で口腔ケアが容易となり,健全な永久歯の萌出を迎えることができた。
著者
進賀 知加子 下野 勉 仲井 雪絵 紀 瑩 守谷 恭子 瀧村 美穂枝 加持 真理 竹本 弘枝 森 裕佳子 山中 香織
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.45, no.5, pp.584-592, 2007

妊婦の口腔内ミュータンスレンサ球菌群(MS)の菌数レベル,喫煙習慣,食事習慣に関する実態調査を目的として,産婦人科医院を受診した妊娠3-6か月目の妊婦400名(平均年齢29 .2±4.2歳,19-43歳)を対象にデントカルトSMを用いた唾液検体中のMS菌数レベルの測定,食事調査および喫煙習慣に関する質問調査を行ったところ,以下の結果を得た。<BR>1.各SMスコアの割合は,8.5%(SM=0),35.3%(SM=1),38.0%(SM=2),18 .3%(SM=3)であった。MS菌数レベルがハイリスク(SMスコア>2)を示した者は半数以上(56 .3%)であったにも拘らず,歯科医院を受診中の者は1割未満であった(7.8%)。その中で受療目的が「予防」であった者の割合は29.0%であった。歯科医療者と妊婦に対し,妊娠期の口腔衛生管理の重要性について認識を広めるための社会的啓蒙活動や教育が必要である。<BR>2.喫煙習慣の既往がある妊婦はMS菌数レベルがハイリスクになる傾向を認めた(10 .7%vs.6.3%;P=0.08)。<BR>3.「シリアル(無糖)」「アイスクリームまたはシャーベット」「ドーナツまたはマフィン類」「クッキー」「チョコレート」「あんパンまたはジャムパン」「まんじゅう」「ようかん」の8項目の食品においてハイリスク群はローリスク群より有意に摂取頻度が高かった。
著者
岡崎 好秀 東 知宏 田中 浩二 石黒 延枝 大田原 香織 久米 美佳 宮城 淳 壺内 智郎 下野 勉
出版者
The Japanese Society of Pediatric Dentistry
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.677-683, 1998-09-25
参考文献数
25
被引用文献数
5

655名の小児を対象として,3歳時と小学校1年生時から中学1年生時までの,齲蝕指数の推移について経年的に調査した。<BR>1)3歳時の齲蝕罹患者率は65.6%,1人平均df歯数は3.80歯であった。<BR>2)中学1年生時の齲蝕罹患者率は93.4%,1人平均DF歯数は4.78歯であった。<BR>3)3歳時のdf歯数は,小学校1年生から中学校1年生までのDF歯数と高度の相関が認められた(p<0.001)。<BR>4)3歳時のdf歯数が0歯群と9歯以上群の小学校1年生から中学校1年生までの永久歯齲蝕罹患者率には,有意の差が認められた(p<0.001)。<BR>5)3歳時のdf歯数が多い群ほど,永久歯のDF歯数も高い値を示した(p<0.05)。3歳時の齲蝕は,将来の齲蝕に影響を与えることから,乳幼児期からの齲蝕予防の重要性が示唆された。
著者
大村 満晴 河村 晃代 難波 美保子 壷内 智郎 大町 耕市 岡崎 好秀 下野 勉
出版者
Japanese Society of Psychosomatic Dentistry
雑誌
日本歯科心身医学会雑誌 (ISSN:09136681)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.148-154, 1991-12-25 (Released:2011-09-20)
参考文献数
6
被引用文献数
4

Weinstein and Domoto reported that almost dental fear of adult's were based on the dental treatment during their childhood and so we can prevent these problem. We study for these problem from a point of veiw as prevention of dental fear. We reported about dental anxiety and fear for dental and non dental students with using a questionnaire before. This time we performed a dental fear survey by using a new questionnaire that had some questions concerning generalized anxiety. And tried to compare the results of dental fear survey that had achieved for Japanese residents in Seattle, U. S. A. and for native people in the U. S. A. Subjects were 3041 Japanese in Japan, 419 Japanese in the U. S. A.(Japanese residents) and 1019 Americans in the U. S. A.The results obtained were as follows;1. The proportion of the people who have some dental anxiety was 82% for Japanese, 82% for Japanese residents and 50% for Americans. The people who were hurt at the last visit to a dental office was 59%, 68% and 16% respectively. The people who did not feel comfortable asking questions about the dentists or the staff was 37%, 44%, and 10% respectively.2. In the data of Japanese in Japan, we found some differencse between high dental fear group and low dental fear group for all the categories of respondents.3. In the data of Japanese in Japan, a significant correlation between responses to questions for generalized anxiety and for dental anxiety was found.This study shows that dental anxiety is related not only to specific stimuli of dental treament, but also to anxiety of trust for the dental staff, to anxiety of unusual physical reactions, to anxiety for their own oral health and to generalized anxiety.Recently informed consent was noticed. So it is most important to make a comfortable situation a good relationship petween patients and dental staff. And in the study also in the clinic, we must not take up only reactions that have appeared when anxiety is over the physiologic limit. But, before that, the things, we should be interested in, are considering a lot of information about sociology, economics and anthropology around medicare and patients from the view point of prevention of dental fear with behavioral science.
著者
假谷 直之 松村 誠士 Omar M M Rodis 紀 瑩 杜 小沛 志野 綾子 下野 勉
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.44, no.3, pp.379-384, 2006-06-25 (Released:2013-01-18)
参考文献数
15

今回,我々は新しく発売されたミュータンス菌測定キット,オーラルテスターミュータンスのS. mutans検出能力を臨床評価する目的で研究を行った。被検児は岡山県内にあるN保育園児(4,5歳児)52名。オーラルテスターミュータンスとカリオスタットはマニュアルに従い処理,判定した。PCR法は,QIAGENのマニュアルに従いDNAを調製してPCR後,電気泳動にてバンドを確認した。対象をS. mutansとした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間ではP<0.001,カリオスタット値の同様な分析では,High-Low間においてP<0,01でBand検出の有無との問に関連性を認めた。対象をS. sobrinusとした場合,オーラルテスターミュータンスの値をHigh,Low二群に分けた分析で,High-Low間においてはBand検出の有無との間に関連性を認めなかった。カリオスタット値の同様な分析においても,High-Low間でBand検出の有無との問に関連性を認めなかった。今回の研究で,S. mutansに特異的といわれている領域を増幅したPCR法によるバンド検出率と関連することが確認された。オーラルテスターミュータンスは,齲蝕原因菌のうち特にS. mutansの検査として有用と考えられる。
著者
岡崎 好秀 東 知宏 田中 浩二 石黒 延技 大田原 香織 久米 美佳 宮城 淳 大町 耕市 松村 誠士 下野 勉
出版者
有限責任中間法人日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.310-318, 1998-07-30
被引用文献数
11

カリオスタットと齲蝕の関係について数多くの報告があるが,歯周疾患との関係については少ない。学童期における歯肉炎の多くは,不潔性歯肉炎であり,齲蝕と同様プラークが原因である。そこで中学生437名を対象に,齲蝕活動性試験カリオスタット^[○!R]および唾液潜血テストサリバスター潜血用^[○!R]を行い,齲蝕歯数(D歯数)・歯肉炎との関係について調査した。1)カリオスタット24時間判定結果(24H)においては,D歯数・歯肉炎と高度の相関関係が認められた(p<0.001)。また,歯肉炎の程度より3つに群分けし,カリオスタット(24H)との関係をみたところ,有意な分布の差が認められた(χ^2検定p<0.001)。2)カリオスタット48時間判定結果(48H)においては,D歯数・歯肉炎との間に相関関係が認められた(p<0.05p<0.001)。しかし歯肉炎の群分けにおいては,カリオスタット(48H)に有意な分布の差が認められなかった。3)サリバスターはD歯数と有意な関係は認めなかった。しかし歯肉炎とは相関関係が認められた(p<0.05)。歯肉炎の群分けにおいては,サリバスターには,有意な分布の差が認められなかった。4)カリオスタット(24H)とサリバスターの間には,有意な関係が認められなかった。5)カリオスタット(24H)を用い, 1.0以上を基準として歯肉炎をスクリーニングし敏感度・特異度を算出すると,それぞれ0.34,0.83となった。サリバスターで+以上をスクリーニング基準とすると0.55,0.55であった。歯垢を試料とするカリオスタットは,口腔衛生状態を反映し,齲蝕だけでなく,歯肉炎とも関係が深いことが考えられた。
著者
隈元 美貴子 柳田 元継 下野 勉
出版者
山陽学園大学
雑誌
山陽学園短期大学紀要 (ISSN:13410644)
巻号頁・発行日
vol.37, pp.29-38, 2006

歯科診療は様々な不快な刺激によりストレスがかかる場面である。特に、子どもは苦痛を敏感に感じ、それを行動に示す。歯科診療時の恐怖感や不安感は痛みの閾値を下げ、治療を困難にさせ、悪循環を引き起こす。そのため、歯科医院では効果的なリラックス法を必要としている。リラックス法の一つである漸進的弛緩法は骨格筋の間歇的な緊張を通して、結果的に心身のリラックスを得る方法である。我々は筋肉の緊張と同様に脳の緊張が漸進的弛緩法に適用できるのではないかと仮説を立てた。これまでに脳に刺激をより強く与える可能性のある誘目性の高い図形の探索を行い、幾何学図形である三角形がその一つであることを見出した。そこで本研究では、なぜ三角形の誘目性が高いのかを明らかにするために、様々な形状の三角形を提示した時のラットの行動学的調査を行った。その結果、三角形のサイズや向きは図形提示部屋での滞在時間や注視時間に影響を与えなかった。次に、三角形を構成する線分の視覚走査回数を調べたところ、倒立三角形では右斜線を、正立三角形では左斜線をより多く注視した。このことは、斜線の誘目性が三角形における斜線の位置(左斜線か右斜線か)ではなく、角度(右上がり斜線か左上がり斜線か)に依存することを示唆する。そこで、斜線のみを提示した時の注視時間を調べたところ、ラットは右上がり斜線を左上がり斜線より長く注視した。これは右上がり斜線の誘目性が高いことを示す。この結果と円やフラクタル図形に右上がり斜線が含まれないことを考慮すると、三角形の高い誘目性が右上がり斜線の高い誘目性に起因することが示唆される。