- 著者
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与芝 真
半田 宏一
樋口 大介
井上 和明
関山 和彦
- 出版者
- 一般社団法人 日本肝臓学会
- 雑誌
- 肝臓 (ISSN:04514203)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.8, pp.460-465, 1999-08-25 (Released:2010-02-22)
- 参考文献数
- 16
症例は21歳男性のHBVキャリア. 急性発症し近医入院, 1カ月間肝庇護療法を受けたが改善せず, 劇症化を疑われて当院入院した. HBe抗原陽性でプレコア領域にも YMDD 領域にも変異は認められなかった. インターフェロン (IFN), ラミブジン (3TC), ステロイドパルス療法, サイクロスポリン投与と33回にわたる人工肝補助療法により肝不全を脱した. その後ウイルスの再増殖と共に再燃, PT50%に低下したため再入院, 初回と同様の投薬を受け, 劇症化せずに退院した. しかし, HBe 抗原高値, 血中の HBV 量も大量であり, IFN, 3TC 併用投与に全く反応しなかった. そのため, ファムシクロビルを投与したところ, 3カ月の治療後HBe抗原系のセロコンバージョンと血中ウイルス量の低下が見られ, 治療を脱することができた. HBV キャリアの劇症化例では IFN, 3TC のみならずファムシクロビル投与が必要な症例が存在する事が明らかにされた.