著者
酒井 武則 古川 慎哉 三宅 映己 上田 晃久 小西 一郎 横田 智行 阿部 雅則 日浅 陽一 松浦 文三 恩地 森一
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.301-303, 2009-04-30 (Released:2010-03-01)
参考文献数
9

症例は57歳,女性.主訴は口渇.1995(平成7)年より高血圧,高脂血症で外来通院中.2002(平成14)年10月の健診でFPG 220 mg/dlを指摘され,精査目的で受診した.普段から毎朝4単位程度の果物を摂取していたが,加えてみかんを10個から15個程度連日摂取していた.外来受診時には空腹時血糖値が198 mg/dlであったが,尿中ケトン体は陽性で,ケトーシスを伴った2型糖尿病と診断した.果物の大量摂取がケトーシスを伴う糖尿病の原因となった報告は極めて少ない.みかんはショ糖が多いことや水分の含有量が多いなどの特徴があるため,ソフトドリンクケトーシスと類似した機序でケトーシスを呈したものと考えられる.果物過剰摂取によって発症したケトーシスを合併した2型糖尿病の特徴を明らかにすることは非常に重要であると考えて報告する.
著者
恩地 森一 道堯 浩二郎 堀池 典生
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.11, pp.518-523, 2006 (Released:2007-02-21)
参考文献数
39
被引用文献数
1 1
著者
井上 学 道堯 浩二郎 高橋 和明 安倍 夏生 岡 清仁 布井 弘明 上田 晃久 島瀬 公一 日浅 陽一 堀池 典生 三代 俊治 恩地 森一
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.459-464, 2006 (Released:2007-01-29)
参考文献数
24
被引用文献数
12 11

症例は,54歳の女性.全身倦怠感と黄疸と肝機能異常(T.Bil 2.9mg/dl, AST 1143IU/l, ALT 1767IU/l, γ-GTP 158U/l)により急性肝炎と診断.入院後,安静のみで経過観察し,劇症化,遷延化することなく軽快退院した.海外渡航歴,薬剤服用歴はなく,A, B, C型肝炎ウイルスマーカー陰性,抗核抗体陰性.発症1カ月前にイノシシ肉を摂取していたため,E型肝炎ウイルス(HEV)マーカーを測定したところ,IgM型HEV抗体及びHEV-RNAが陽性であり,急性E型肝炎と診断した.HEV genotypeは3型であった.当初はイノシシ肉の摂食による感染が疑われたが,調理行為により感染した可能性も考えられた.海外渡航歴のない国内発症の急性E型肝炎としては,本例が四国からの初報告例となる.
著者
村田 洋介 阿部 雅則 道堯 浩二郎 松原 寛 舛本 俊一 山下 善正 堀池 典生 恩地 森一
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.44, no.8, pp.1186-1190, 2002-08-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
15
被引用文献数
1

症例は53歳,女性.初回入院時,抗ミトコンドリア抗体陰性.腹腔鏡では,溝状および広範陥凹があり,肝組織では広範壊死がみられた.自己免疫性肝炎(AIH)と診断,副腎皮質ステロイドの投与を開始.その後,胆道系酵素の上昇がみられた.第2回目の腹腔鏡では,陥凹所見は改善.肝組織では非化膿性破壊性胆管炎がみられた.AIHの経過中に原発性胆汁性肝硬変が顕在化し,その経過を腹腔鏡で観察しえたので報告する.
著者
恩地 森一 阿部 雅則
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.108, no.11, pp.1823-1836, 2011 (Released:2011-11-07)
参考文献数
82
被引用文献数
1

自己免疫性肝炎(AIH)の疾患概念が定着してきていて,最近の全国調査では高齢化,軽症例や急性肝不全症例が報告され,非典型例が増えている.また,急性肝炎例やIgG4関連AIHなどの新しい病態や病型も報告され,診療,研究に新しい話題が提供されている.発症機構は依然不明であるが,免疫学的解析と遺伝子解析が進んでいる.診断方法や治療法については大きな進歩がなく,今後,疾患特異的な治療法の開発が待たれる.
著者
尾方 真帆 平塚 京子 赤尾 智広 越智 繁樹 竹治 智 恩地 森一
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.466-471, 2016

<p>吸収不良症候群の診断は,脂肪吸収試験が必須である。今回,脂肪吸収試験(簡易便中脂肪定量法)が有用であった吸収不良症候群疑いの2症例を経験したので報告する。症例1は60歳代男性で,体重減少が生じていた。脂肪吸収試験の結果,脂肪吸収率0%(参考基準値:97–100%)で,吸収不良症候群と診断するために脂肪吸収試験が有用であった。治療としてリパクレオン<sup>®</sup>,タフマック<sup>®</sup>Eによる消化酵素補充療法が開始され,治療経過中に再度行った脂肪吸収試験の結果は脂肪吸収率63.9%と,治療前と比較すると大幅な改善が認められた。症例2は60歳代男性で,体重減少が生じていた。脂肪吸収試験の結果,脂肪吸収率97.8%で,吸収不良症候群を否定するために脂肪吸収試験が有用であった。脂肪吸収試験は脂肪負荷食の設定や試験中の間食の監視,蓄便の徹底,および採便前の混和など,手技を正確に行えば再現性は良好で,精度が高い検査であった。また簡易便中脂肪定量法を用いた脂肪吸収試験は界面活性剤と汎用自動分析装置を用いる簡便な検査であり,吸収不良症候群の鑑別のためのスクリーニング検査として,どの施設においても実施が可能であると思われる。さらに,簡易便中脂肪定量法を用いた脂肪吸収試験は吸収障害の程度を定量的に把握することが可能であるため,吸収不良症候群の診断や治療方針の決定,その効果判定に有用であった。</p>
著者
道堯 浩二郎 恩地 森一 灘野 成人 堀池 典生 太田 康幸
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.86, no.9, pp.2210-2214, 1989 (Released:2007-12-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

肝組織内DNAポリメラーゼα (DNA-Pα) をモノクローナル抗体を用いて検出し, 各種肝疾患の肝細胞増殖動態について検討した. 肝細胞1000個に対するDNA-Pα陽性肝細胞数は, hospital control では平均1個であつたのに対し, 急性肝炎, 慢性肝炎, 肝硬変ではいずれも平均約20個に増加していた. また, 肝細胞癌では平均約500個と著明に増加していた. 慢性活動性肝炎は慢性非活動性肝炎よりDNA-Pα陽性肝細胞が多く, piecemeal necrosis, 巣状壊死の高度な例では軽度例に比べDNA-Pα陽性細胞が多く認められた.
著者
江藤 敏治 弘野 修一 永田 賢治 加藤 順也 堀 剛 井戸 章雄 林 克裕 坪内 博仁 小野寺 誠 阿部 弘一 宮坂 昭生 川上 格 佐藤 彰宏 坂下 佳子 岩井 正勝 遠藤 龍人 滝川 康裕 鈴木 一幸 佐藤 俊一 鈴木 千衣子 内田 耕一 弘中 孝治 萱野 幸三 増原 昌明 坂井 田功 沖田 極 関山 和彦 井上 和明 与芝 真 半田 宏一 樋口 大介 井上 和明 関山 和彦 与芝 真 松原 寛 道堯浩 二郎 山内 雄介 井内 英人 長谷 部昌 山本 和寿 井上 愛 堀池 典生 恩地 森一 中西 崇 東俊 宏 狩山 和也 山野 智子 辻 孝夫 川口 光彦 糸島 達也 品川 克至 乾 あやの 小松 陽樹 松本 浩 茂木 陽 宮川 芳宏 藤沢 知雄 上本 伸二 猪股 裕紀洋 田中 紘一 平松 活志 橋本 悦子 谷合 麻紀子 野口 三四朗 長谷 川潔 林 直諒 次田 正 高崎 健 中島 一朗 渕之上 昌平 古川 博之 岸田 明博 大村 孝志 松下 通明 藤堂 省 藤田 美悧 清水 道夫 橋倉 泰彦 三田 篤義 窪田 達也 三輪 史郎 池上 俊彦 寺田 克 宮川 眞一 川崎 誠治 君川 正昭 渕之上 昌平 春口 洋昭 唐仁原 全 中島 一朗 阿岸 鉄三 白髪 宏司 伊藤 克己 高崎 健 橋本 悦子 林 直諒 田中 紘一 上本 伸二 猪股 裕紀洋 阿曽沼 克弘 江川 裕人 藤田 士朗 木内 哲也 林道 廣 田中 紘一 石井 邦英 古賀 郁利子 神代 龍吉 草場 信秀 佐田 通夫 坂本 照夫 加来 信雄 森岡 千恵 菊池 英亮 松尾 英城 中谷 吉宏 豊川 泰勲 富永 謙太郎 山尾 純一 福井 博 福田 邦明 安部井 誠人 遠藤 憲一 本橋 歩 正田 純一 松崎 靖司 田中 直見 古坂 明弘 高橋 正明 平本 淳 白浜 圭吾 永山 和男 田中 照二 Yusufu Youlutuz 松井 淳 持田 智 藤原 研司 小畑 達郎 中島 千種 岡山 昌弘 大野 研而 宮下 智之 田村 明彦 絵野 沢伸 鈴木 盛一 雨宮 浩 青木 達哉 小柳 泰久 山際 健太郎 川原田 嘉文 八木 真太郎 飯田 拓 横井 一 垣内 雅彦 足立 幸彦 飯田 拓 田端 正己 町支 秀樹 横井 一 川原 田嘉文 東口 高志 今井 俊積
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.189-198, 1999
著者
平岡 淳 道堯 浩二郎 重松 秀一郎 眞柴 寿枝 熊木 天児 徳本 良雄 長谷部 昌 日浅 陽一 堀池 典生 恩地 森一
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 = ACTA HEPATOLOGICA JAPONICA (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.45, no.11, pp.609-613, 2004-11-25
被引用文献数
5 5

症例は56歳男性. アルコール性肝硬変. 平成15年8月より全身倦怠感を自覚. 同年10月より体重増加. 11月8日より39度台の発熱が出現し, 近医入院. 同14日当科入院. WBC 7700/μ<i>l</i>, Hb 8.8g/d<i>l</i>, Plt 5.2万/μ<i>l</i>, PT 46.1%, T-Bil 4.8mg/d<i>l</i>, AST 129IU/<i>l</i>, ALT 59IU/<i>l</i>, γ;-GTP 27IU/<i>l</i>, Alb 2.5g/d<i>l</i>, 入院当初より左腰背部痛を軽度自覚. 入院後, 肝不全に対して保存的に加療を行ったが, 貧血が進行した. 下血はなく, 上部消化管内視鏡では明らかな出血はなかった. 第6病日, 腹部造影CTにて左腸腰筋の軽度腫大が描出された. 再検前にショックに陥り第7病日死亡. 剖検にて左腸腰筋血腫と診断された. 肝硬変に合併した特発性腸腰筋血腫は稀であるが, 貧血が進行する肝硬変患者における鑑別として重要である.