著者
江林 明志 井上 和明 高橋 和明 渡邊 綱正 山田 雅哉 安田 宏 三代 俊治 与芝 真彰
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.60-64, 2009 (Released:2009-03-02)
参考文献数
25
被引用文献数
3 4

E型肝炎ウイルス(HEV)はアジア・アフリカにおける流行性肝炎の重要な原因で,一般にはself-limitedな経過を取るが,妊婦では重症化しやすく致死率が高く胎児の合併症も多いとされる.今回我々は本邦で初めて妊娠中のHEV感染により急性肝炎重症型に陥った邦人妊婦例を経験した.本例はインドに長期滞在して帰国後2週間で発症し,入院時の血清よりgenotype 1のHEV RNA(JHN-Kan07R,AB447389)が検出された.抗ウイルス治療開始後速やかに肝機能は回復し,早産であったものの周産期の合併症もなく,母児共にその後は順調な経過をとった.
著者
井上 和明 与 芝真 関山 和彦 黄 一宇 藤田 力也
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.36, no.7, pp.401-407, 1995-07-25 (Released:2009-07-09)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

肝性脳症用特殊組成アミノ酸輸液(Fischer液)が劇症肝炎の予後を悪化させると報告されている.今回同液がurea cycle機能の障害の強い急性重症肝障害例の臨床症状とN処理能に与える影響を知る目的で,劇症肝炎3例,急性肝炎重症型1例にFischer液500mlを2時間で点滴静注し,投与前後での臨床症状,血中の尿素,アンモニア(NH3),グルタミン(Gln),アラニン(Ala)の各値の推移を検討した.一旦肝性脳症から完全に覚醒した劇症肝炎亜急性型の1例で投与後昏睡0度からIV度に悪化し,1例はIV度のまま不変,回復期の2例は0度だがnumber connection testが悪化した.全例で投与直後に血中NH3, Gln, Alaの異常高値が認められ,尿素生成の不良な2例では高値が持続した.urea cycle機能の高度に障害された急性重症肝障害例では他のN処理系を含めたN処理能を上回った量のアミノ酸輸液を行った場合,Fischer液の形でもNH3を増加させ,脳症を悪化させる危険がある.
著者
江藤 敏治 弘野 修一 永田 賢治 加藤 順也 堀 剛 井戸 章雄 林 克裕 坪内 博仁 小野寺 誠 阿部 弘一 宮坂 昭生 川上 格 佐藤 彰宏 坂下 佳子 岩井 正勝 遠藤 龍人 滝川 康裕 鈴木 一幸 佐藤 俊一 鈴木 千衣子 内田 耕一 弘中 孝治 萱野 幸三 増原 昌明 坂井 田功 沖田 極 関山 和彦 井上 和明 与芝 真 半田 宏一 樋口 大介 井上 和明 関山 和彦 与芝 真 松原 寛 道堯浩 二郎 山内 雄介 井内 英人 長谷 部昌 山本 和寿 井上 愛 堀池 典生 恩地 森一 中西 崇 東俊 宏 狩山 和也 山野 智子 辻 孝夫 川口 光彦 糸島 達也 品川 克至 乾 あやの 小松 陽樹 松本 浩 茂木 陽 宮川 芳宏 藤沢 知雄 上本 伸二 猪股 裕紀洋 田中 紘一 平松 活志 橋本 悦子 谷合 麻紀子 野口 三四朗 長谷 川潔 林 直諒 次田 正 高崎 健 中島 一朗 渕之上 昌平 古川 博之 岸田 明博 大村 孝志 松下 通明 藤堂 省 藤田 美悧 清水 道夫 橋倉 泰彦 三田 篤義 窪田 達也 三輪 史郎 池上 俊彦 寺田 克 宮川 眞一 川崎 誠治 君川 正昭 渕之上 昌平 春口 洋昭 唐仁原 全 中島 一朗 阿岸 鉄三 白髪 宏司 伊藤 克己 高崎 健 橋本 悦子 林 直諒 田中 紘一 上本 伸二 猪股 裕紀洋 阿曽沼 克弘 江川 裕人 藤田 士朗 木内 哲也 林道 廣 田中 紘一 石井 邦英 古賀 郁利子 神代 龍吉 草場 信秀 佐田 通夫 坂本 照夫 加来 信雄 森岡 千恵 菊池 英亮 松尾 英城 中谷 吉宏 豊川 泰勲 富永 謙太郎 山尾 純一 福井 博 福田 邦明 安部井 誠人 遠藤 憲一 本橋 歩 正田 純一 松崎 靖司 田中 直見 古坂 明弘 高橋 正明 平本 淳 白浜 圭吾 永山 和男 田中 照二 Yusufu Youlutuz 松井 淳 持田 智 藤原 研司 小畑 達郎 中島 千種 岡山 昌弘 大野 研而 宮下 智之 田村 明彦 絵野 沢伸 鈴木 盛一 雨宮 浩 青木 達哉 小柳 泰久 山際 健太郎 川原田 嘉文 八木 真太郎 飯田 拓 横井 一 垣内 雅彦 足立 幸彦 飯田 拓 田端 正己 町支 秀樹 横井 一 川原 田嘉文 東口 高志 今井 俊積
出版者
The Japan Society of Hepatology
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.189-198, 1999
著者
与芝 真 半田 宏一 樋口 大介 井上 和明 関山 和彦
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.40, no.8, pp.460-465, 1999-08-25 (Released:2010-02-22)
参考文献数
16

症例は21歳男性のHBVキャリア. 急性発症し近医入院, 1カ月間肝庇護療法を受けたが改善せず, 劇症化を疑われて当院入院した. HBe抗原陽性でプレコア領域にも YMDD 領域にも変異は認められなかった. インターフェロン (IFN), ラミブジン (3TC), ステロイドパルス療法, サイクロスポリン投与と33回にわたる人工肝補助療法により肝不全を脱した. その後ウイルスの再増殖と共に再燃, PT50%に低下したため再入院, 初回と同様の投薬を受け, 劇症化せずに退院した. しかし, HBe 抗原高値, 血中の HBV 量も大量であり, IFN, 3TC 併用投与に全く反応しなかった. そのため, ファムシクロビルを投与したところ, 3カ月の治療後HBe抗原系のセロコンバージョンと血中ウイルス量の低下が見られ, 治療を脱することができた. HBV キャリアの劇症化例では IFN, 3TC のみならずファムシクロビル投与が必要な症例が存在する事が明らかにされた.
著者
井上 和明
出版者
昭和大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

慢性C型肝炎は世界で2億人近くが感染し、肝細胞癌や肝不全の原因の筆頭である。現在の標準治療の効果は十分とはいえず新たな治療法の確立は臨床上の急務である。経口剤のウイルス増殖阻害剤の欠点を克服すべく、我々は新たな環状ペプチドライブラリーを用いてHCVの増殖に必須である宿主因子の、サイクロフィリンの阻害薬のスクリーニングを行い、カルシニューリンと相互作用を持たないLead化合物を発見し、検討している。