著者
三宅 香 熊田 秀文 二瓶 智太郎 大橋 桂 清水 統太 好野 則夫 浜田 信城 寺中 敏夫
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.461-467, 2013-10-31 (Released:2017-04-28)

目的:超高齢社会への進展に伴い,高齢者の口腔粘膜疾患の予防および治療法が重要視されている.そのなかでも高齢者に増加傾向のある口腔カンジダ症は,基礎疾患や免疫不全の患者における誤嚥性肺炎の誘発率が高く,直接死につながる疾患として歯科領域の急務の対策課題である.そこでわれわれは,義歯などの技工物表面に発症するカンジダ症を含む口腔感染症の予防および治療対策として,材料表面への抗菌性の付与を目的とした第4級アンモニウム塩の構造を有する新規の抗菌性シランカップリング剤N-allyl-N-decyl-N-methyl-N-trimethoxysilylpropylammonium iodide(10-I)を開発した.本研究では,口腔常在微生物のカンジダ菌,歯周病原細菌および齲蝕病原細菌を含む8菌株を供試し,10-Iの最小発育阻止濃度(MIC)測定および10-I塗布材料表面の接触型抗菌活性を測定して,その有用性を評価した.材料と方法:BHI-yeast寒天培地および血液寒天培地に10-Iの濃度が100,200,400,600ppmおよび800ppmになるよう加え,各供試菌懸濁液10μlを播種し,好気性菌は37℃,24時間,嫌気性菌は37℃,72時間培養し,コロニー発育が観察されなかった培地の最小化合物濃度をMIC値とした.次いで1.1×104,1.1×105,6.2×107CFU/mlに調製したCandida albicansを4ml,10-Iで表面改質したガラス板を1枚ずつ加え,一定振盪下で37℃,24時間好気的に培養した.培養後,各ウェルの生菌数を計測し,対照ウェルの菌数と実験ウェルの菌数の割合を比較して減少率を求め,抗菌活性とした.結果:MIC測定では,Actinomyces viscosus, Fusobacterium nucleatum, Lactobacillus casei, Porphyromonas gingivalisおよびPrevotella intermediaの5菌株に対してはおのおの200ppm,一方,C. albicans, Staphylococcus aureusおよびStreptococcus mutansは400ppmであった.また,C. albicansに対する10-I処理面の接触型抗菌活性測定では,10-I処理面の生菌数の減少率は1.1×104CFU/mlでは92.5%であり,明らかな減少傾向が認められた.結論:以上の結果より,10-Iは供試したすべての口腔細菌およびカンジダ菌に対して抗菌活性を示したことから,10-Iによる表面処理は,高齢者や免疫機能低下者などにみられる口腔固有の菌が起因となる歯科疾患のみならず,誤嚥性肺炎などの全身疾患の併発の抑制,あるいは予防につながると考えられ,有効な手段であることが示唆された.
著者
江木 盛時 内野 滋彦 森松 博史 後藤 幸子 中 敏夫
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.21-26, 2009-01-01 (Released:2009-07-25)
参考文献数
30
被引用文献数
2 1

過去に報告された無作為化比較試験(randomized controlled trial, RCT)で有効であるとされた治療法が,その後に行われたRCTで否定されることがある。その原因として,過去のRCTが有意差の得られやすい条件で施行されていることが挙げられる。RCTは,この条件を踏まえた上で考察することが重要である。その三要素として,(1)subgroup analysis, (2)single center open label study, (3)early terminationが挙げられる。(1)Subgroup analysisは,統計学的検討回数を増やすことで,(2)single center open label studyは,ホーソン効果と治療の浸透性により,(3)early terminationは,random highと統計学的検討回数の増加により,偽陽性の確率を高める。これらの手法を用いて得られたRCTの結果は,慎重に吟味する必要がある。
著者
畑中 敏夫
出版者
明治大学大学院
雑誌
明治大学大学院紀要 文学篇 (ISSN:03896072)
巻号頁・発行日
no.19, pp.39-47, 1982-02-10

マクシム・ルロワはその『サント・ブーヴの思想』の中でコンディヤックを始祖とする感覚論哲学がサント・ブーヴに及ぼした影響について述べているが、特に18世紀後半のパリ大学医学部教授であり、生理学的心理学の創始者カバニスの影響を重視している。このカバニスは、サント・ブーヴの心理的自伝とも言い得る『快楽』の中でその名を挙げ、主人公アモリーがその哲学的見解に強い印象を受ける場面がある。サント・ブーヴがその文学活動を始める以前医学の勉強を続けていたことは衆知の事実である。1818年パリに出てきたサント・ブーヴはコレージュに通うかたわら、ほぼ19歳頃より毎晩アテネ学校に、生理学、博物学の講義を聞きにいっていたのであるが、この学校に通学したことが、彼の批評の形成に大きな役割りを与えることになった。
著者
池田 和彦 田中 敏夫
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.9-29, 1967-03-01 (Released:2010-06-04)

The geology in this area consists of such soft rocks as mudstone, sadstone, tuff and many crashed zone that landslides and collapses of a precipice has happened so freguently. For the purpose of the prevention of these disasters we surveyed thoroughly the geology and selected the root of the double line.This new line has resulted in boring of six tunnels (l=2660m, 1570m, 11355m, 3596m, 1055m and 3025m in length). It is anticipated that these tunnels pass through the swell ing rocks and strata with confined water and gar. sThe writer mentions the correlation about the geology as above mentioned with engineering works.
著者
吉川 恵也 田中 敏夫 三沢 清扶
出版者
Japan Society of Engineering Geology
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.66-80, 1968-06-10 (Released:2010-06-04)
参考文献数
3

We used tentatively a Rock Tunneling Machine on the bottom drift of Konoura Tunnel in Japanese National Railways (double track railway tunnel).The purposes of the test were the evaluation of suitability of the machine against geological condition and investigation of economical advantage of machine tunneling method.Rocks in the tunnel are mudstone and tuffacious mudstone which belong to Miocene, Tertiary, and then those compressive strength are 80 to 130kg/cm2 and those seismic speeds at the site are 1.8 to 2.2km/sec.The machine (bore diameter 2.3m) was Robbins type and was being built in the Komatsu Mfg. Co. it was successful on the test excavation. The total length of the excavating by the machine were 987.6m and rates of advance were 24.6m/day at maximum and approximately 350 m/month in average.This paper describes that:(1) Relation between cutter type and rock properties.(2) Relation between advance of excavation and rock properties.(3) Deformation of ground and surface of the drift after excavation on the machine and ordinary tunneling method.
著者
岩谷 いずみ 向井 義晴 冨永 貴俊 寺中 敏夫
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 = THE JAPANESE JOURNAL OF CONSERVATIVE DENTISTRY (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.50, no.6, pp.818-825, 2007-12-31
参考文献数
23
被引用文献数
3

一般的に,フッ化物徐放性修復材料は,非徐放性修復材料に比較し歯質周囲の脱灰抑制のみならず,窩洞形成時に取り残した脱灰部位の再石灰化も促すといわれている.しかし,再石灰化が歯面を取り巻く環境によってどのように誘導されるかということは知られていない.この研究の目的は,in vitroにおいて,pHと粧性の異なる口腔の条件をシミュレートした液相でこの物性を評価することである.Baselineを作製するため,ウシ象牙質のシングルセクションを,37℃,pH 5.0の酢酸ゲルシステム中に5日間浸漬した.グラスアイオノマーセメント(GIC)およびコンポジットレジン(CR)をアクリルブロックの人工窩洞内に填塞し,脱灰された象牙質のシングルセクションを材料から1mm離れた溝に挿入した.これらのブロックは,以下の4つの再石灰化環境中に37℃で4週間保管された.Group 1:pH 7.0溶液群(Ca/PO_4:1.5/0.9),Group 2:pH 7.0 2層法群(ゲルとpH 7.0の溶液),Group 3:pH 6.5 2層法群(ゲルとpH 6.5の溶液),Group 4:pH 6.0 2層法群(ゲルとpH6.0の溶液).また,Transversal Microradiographyは再石灰化の前後で撮影し,平均的なミネラル喪失量(ΔZ)の差はΔZaとして算出した.収集したデータは,one-way ANOVA とDuncan's multiple range test を用いて統計学的分析を行った.Group 1:再石灰化はGICとCRともに示したが,ΔZaの有意差は認められなかった.Group 2:再石灰化はGICとCRともに示されたが,CRはGICほど著明ではなかった.Group 3:CR と比較して,GICは"過石灰化"を伴う顕著な再石灰化を示し,ΔZaはCRより有意に高かった(p<0.05).Group 4:ΔZaは両材料とも,脱灰を示すマイナスの値になったが,GICはCRより小さかった(p<0.05).結論として,この研究からpHと粘性のわずかな差は再石灰化に影響すること,また,pH 6.5ゲルすなわち,歯の表面状態のプラーク蓄積によるわずかに酸性状態をシミュレートしたような状態では,代表的なフッ化物徐放性填塞材であるGICは,辺縁の表層下病巣に顕著な再石灰化を誘導することが示された.
著者
岩谷 いずみ 向井 義晴 寺中 敏夫
出版者
特定非営利活動法人日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.1-11, 2009-02-28
被引用文献数
7

エナメル質に対して高濃度の過酸化水素水を用いて多数回の漂白処理を施した場合,表層が脱灰されると報告されている.しかし,実際の口腔内においてエナメル質は漂白処理以外の期間は常に唾液に覆われており,漂白による脱灰は唾液中のミネラル成分により修復される可能性も考えられる.本研究では多数回の漂白が与える影響についてウシエナメル質を用いて,漂白処理以外の時間は脱イオン水(DW)に浸漬した(Hw)群と,唾液をシミュレートした再石灰化溶液に浸漬した(Hr)群を設け比較した.漂白には,35%過酸化水素水を主成分とするHiLite(松風)を用い,1週間を1クールとして12クール行った.脱灰様相はTransversal Microradiographyによるミネラル喪失量(IML),および超微小押し込み硬さにより比較した.また,漂白後の再石灰化処理がエナメル質結晶の構成に与える影響について顕微ラマン分光分析を用い,漂白面,および非漂白面の表面および断面10〜300μmにおける炭酸基とリン酸基の変化を測定した.なお,漂白効果の有無は色彩色差計を用いて判定した.Hw群には,エナメル質表面から10μmの位置にミネラル密度が約60vol%の表層下病巣が形成され,12週間再石灰化液に連続して浸漬したコントロール(C)群に比較し,IMLは有意に大きな値であった.Hr群はC群と同様,脱灰,ならびに硬さの低下は示さなかった.各群に耐酸性試験(D)を行ったCD,HwD,およびHrD群すべてに表層下病巣が形成されたが,IMLは全群間で差はなかった.Hr群の表面の顕微ラマン分光分析の結果,漂白面は非漂白面に比較しリン酸基の強度が上昇していた.12クールという多数回の漂白処理においても,口腔内をシミュレートした再石灰化環境に置かれたエナメル質では,漂白により無機質が溶出した後も,周囲環境中の無機質イオンがエナメル質中に取り込まれる可能性が示唆された.また,最表層部では,その後の耐酸性に影響を与えるほどの変化ではないものの,炭酸基が減少し,リン酸基の含有量が多い安定したアパタイトが沈着する再石灰化が生じていることが確認された.
著者
富山 潔 寺中 敏夫 向井 義晴
出版者
神奈川歯科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マイクロコスムバイオフィルムを用いたin vitroモデルが,口腔内を模した,表層下脱灰病巣を誘発できることを確認・報告した.本モデルを用いて作成したバイオフィルムにSPRGフィラー含有歯磨材による処理を行なうことにより,顕著に脱灰を抑制することを報告した.また,渋柿由来の縮合型タンニンを含有させた食品・化粧品等の原料(PancilⓇ PS-M:リリース科学工業株式会社)が,濃度依存的にガラス上で形成したバイオフィルムの生菌数を抑制することを報告した.
著者
二瓶 智太郎 倉田 茂昭 近藤 行成 楳本 貢三 好野 則夫 寺中 敏夫
出版者
一般社団法人日本歯科理工学会
雑誌
歯科材料・器械 (ISSN:02865858)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.104-115, 2002-03-01
被引用文献数
10

シリカ/レジン界面のポリシロキサン層の耐水性を高めるために,3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(3-MPS)と3- {[1'-(ペルフルオロ-5-メチルヘキシル)メチル-2'-(メタクリロイルオキシ)]エトキシ}プロピルトリメトキシシラン(MA 7 bF)のような疎水性のフルオロアルキル基と重合性基を含む新規シランカップリング剤の混合シランの処理効果を調べた.各シラン溶液の濃度は,MAnbF(n=5, 7, 9, 11)を3-MPSに対し,10, 20, 30, 50, 70, 100質量%の割合で混合したもので,2質量%エタノール溶液として調整した.それら混合シランで処理したガラス面に対するレジンの引張接着強さやガラス面に対する混合レジンモノマー(50%Bis-GMA,50% TEGDMA)の接触角を測定した.その結果,MA 5 bFはすべての処理濃度で,MA 7 bF,MA 9 bF,MA 11 bFでは10〜30質量%混合のとき,3-MPS単独処理に比べ,高い接着強さと耐水性をもつカップリング層の生成に有効であった.