著者
高橋 健夫 岡沢 祥訓 中井 隆司 芳本 真
出版者
社団法人日本体育学会
雑誌
体育學研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.36, no.3, pp.193-208, 1991-12-01
被引用文献数
1

The purposes of this study were to make clear the structure of teacher behaviors in physical education class and to examine the effect of those behaviors on the student evaluation to physical education class. The subjects were the 66 physical education classes instructed by 27 teachers in elementary schools. The teacher behaviors in those classes were observed by the systematic observation instrumentation, that was modified with ALT-PE-TB and ORRPETB observation to physical education class. Main findings were as follows. Major teacher behaviors in physical education class were "management", "instruction","monitoring", and "interaction". Though Siedentop) reported 3 behaviors excluding interaction as major behaviors, we could recognize that interaction behavior took the same rating as other behaviors. 2) There was no big difference among behaviors between skilled teachers and general teachers. 3) Some specific behaviors of teacher had significant relationship with student evaluation to physical education class. Especially, the amount of time spent for manegement and instruction (lecture) had a significant negative relationship with student evaluntion. On the other hand, interaction (question, acceptance, positive and corrective feedback for skill learning) had a significant positive relationship with it. 4) Supposed that monitoring would have effect on the learning activities, we could not find a clear relationship because of the limitation with the instrumentation. 5) These results suggest that the indirect teaching style has more effect than the direct one at least in order to increase the student attitude to physical education class.
著者
中井 隆司 高橋 健夫 岡沢 祥訓
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.16, no.2, pp.125-135, 1996
被引用文献数
1

本研究では, 学習者の側から体育教師のイメージを教授学的に明らかにするとともに, 学習者の個人的特性がどのように関係するのかを明らかにしようとした。調査票は, 教授学的視点にたった体育教師像を探求する観点から65項目 (内3項目は学習者の個人的特性に関する項目) で作成し, 11大学の学生1058名を対象に回顧形式で中学・高校時代の体育教師について回答させた。<br>そこで得られた結果は次のようである。<br>(1) 62項目の調査項目に因子分析を施したところ, 学習者の側からみた体育教師のイメージとして, 「慕われる人」「専門的な能力」「熱心な指導」「無計画な授業」「恐い存在」「精神力の強さ」「社会的教養の欠如」「健康な人」「情意的な授業」「科学的な授業」「狭い専門性」の11因子が抽出された。これらは, 本研究が意図した教授学的視点が顕著に反映され, 従来の研究とは異なった教師像を示している。<br>(2) これら11因子の因子別項目平均得点から, 学生が体育教師に対して抱くイメージは「丈夫で, 精神力があり, スポーツに関わった能力のみならず, 幅広い教養を持ったすぐれたスペシャリストで, 授業では運動の楽しさなどの情意面に焦点をおいて計画的かつ熱心に指導する人であるが, 信頼感や思いやりに欠け, 生活指導面での厳しい恐い存在である」ということである。<br>(3) 学習者の個人的特性と各因子の関係を分析した結果, 男子学生や体育学部に進学した学生は, 体育教師に対して人間的なイメージを持っている一方, 教育学部に進学した学生は, より教師的なものになっており, 女子学生やその他の学部に進学した学生は, スポーツマン的にみていることが明らかになった。また, 「体育教師への好意度」, 「体育授業への好意度」, 「運動の得意度」と各因子の関係を分析した結果, 「慕われる人」因子が体育教師への愛好的態度育成に最も強い規定力をもっていることが認められた。このことは, 体育教師としての専門的な力量とともに, 教師としての資質や人間性, 特に生徒に対して信頼感や思いやりをもつことの重要性を示唆していると考えられる。<br>最後に, 本研究では, 中学・高校時代の記憶が比較的鮮明に残っている大学生を対象に回顧形式で調査を行ったため, その結果は, 直接授業で教わっている生徒のイメージを反映したものではない。しかし, その研究意図や導き出された結果から, 今後の教師教育にとって非常に有益な示唆が得られたと考える。今後は, この示唆を教師教育に具体的にどのように役立てていくのかについて研究を深めたい。
著者
中井 隆司 高橋 功太郎 松本 雅宏
出版者
奈良教育大学大学院教育学研究科専門職課程教職開発専攻
雑誌
奈良教育大学教職大学院研究紀要「学校教育実践研究」 (ISSN:18836585)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.49-58, 2009-03-31

本研究の目的は、動きを上手に行ったり、その動きを他者に示すことができる「動きのリズム化能力」を学ぶ小学校体育実践を開発し、抽出グループを対象に動きや動きのリズムのポイントと基準の習得過程及び児童間の評価点のズレを分析することで、開発した実践の学習成果と可能性を検証しようとした。得られた結果は以下の通りである。①児童が採点した評価点及びその評価点のズレの変容から、単技・組み合わせ技ともに、学習が進むに伴って評価点が向上し、評価点のズレも少なくなったことから、綺麗な技及び動きのリズムのポイントと評価基準を児童間で共有することができたと考えられる。②抽出グループの児童の映像分析から、前転については技術的ポイントを、開脚前転・前転+V字バランスでは動きのリズムのポイントをそれぞれ頭と身体で理解することが可能であったが、後転については十分理解するには時間数がやや足りなかった。
著者
藤田 裕司 中井 隆司 清水 康男 松森 毅
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. IV, 教育科学 (ISSN:03893472)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.279-287, 1997-02

ここ数年継続中の, TATに関するわれわれの集団学習に基づき, 今回は, 特に中年男性のケースを3例, シリーズで報告する。3例とも30代半ばの現職教員であり, 本学への内地留学を機にTATの学習体験を持つに至った次第である。紙幅の都合上, 三者のTATプロトコルまでを本稿に収録し, それ以下の部分は次稿に続く。As part of out TAT(Thematic Apperception Test) case studies based on the group learning supervised by the first author of this article, a serial examination of three male cases was made. All of them, aged 35 or so, were enrolled in an in-service training course for teachers.In this article, their TAT protocols were presented in sequence. Their own interpretations and the supervisor's comments on them are to be shown in the following number of this journal.
著者
藤田 裕司 中井 隆司 清水 康男 松森 毅
出版者
大阪教育大学養護教育教室
雑誌
障害児教育研究紀要 (ISSN:03877671)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.27-38, 1997-03-30

As part of our TAT (Thematic Apperception Test) case studies based on the group learning supervised by the first author of this article, a serial examination of three male cases was made. All of them, aged 35 or so, were enrolled in an in-service training course for teachers. In this article, continued from the previous one dealing with their TAT protocols, their own interpretations and the supervisor's comments on them were shown.
著者
大友 智 岡出 美則 中井 隆司
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2002

本研究の目的は,大学・大学院における実践的指導力量形成のための体育科教員養成プログラムの開発であった.この目的を達成するために,以下の課題を設定し,検討した.第一に,体育科教員養成の課題について検討した.具体的には,近年,諸外国から体育科教育学研究者が招聘され体育教師教育に関する情報交換が行われているが,そこで論議されていることは何か,体育科の専門性と教師教育の課題は何か,教師の力量を高めるためにどのような授業研究が求められるのか,そして,教員養成段階にある学生は,体育をどのように捉えているのかを検討した.第二に,新任教師の能力基準を打ち出し,教師教育改革がすでに実行されているアメリカを対象に,体育教師教育カリキュラムとそのアセスメントを分析した.特に,JTPEにおいて,体育教師教育の取り組みが特集で紹介されているジョージア州立大学に焦点を絞り,その考え方やシステムを分析した.第三に,体育教師教育で利用することのできる期間記録に関するデジタルコンテンツ及び相互作用行動に関するデジタルコンテンツを作成し,それらの有効性を検討した.これらのデジタルコンテンツは,近年の体育授業研究成果を参照し,どの教師にとっても必要とされ,獲得できる可能性の高いものを設定するように試みた.また,それらのデジタルコンテンツを実際の大学の授業に適用し,学生の指導力量がどのように変化したかを分析した.第四に,体育授業の研究方法論を検討した.体育授業研究の研究成果は,体育教師教育の内容を豊かにしていくが,新たな知見は,新たな研究方法によって産出される.そのような意味から,質的研究と認知に関する体育授業研究方法論に検討を加えた.