著者
鈴木 亮 中川 哲彦 水口 裕之 今津 進 中西 剛 中川 晋作 中西 真人 早川 尭夫 真弓 忠範
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.87-93, 1998-03-10 (Released:2009-01-21)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

It is necessary to develop a more efficient gene expression system for gene therapy. A plasmid DNA, using eukaryoic or mammalian promoters, requires to localize into nuclear for gene expression. However, it is difficult to entry into nuclear, because nuclear pore size is not sufficient against the size of plasmid DNA. In this study, to develop a novel cytoplasmic gene expression system that dose not require nuclear localization of plasmid DNA to transcription, we examined the characterization of T7 cytoplasmic gene expression system. When co-transfected with pT7-IRES-L(luciferase expression plasmid containing T7 promoter) and T7 RNA polymerase into LLCMK2 cells, the gene expression of pT7-IRES-L was observed rapidly within 6hr after transfection and significant level of luciferase activity was detected. In contrast, pRSVL, a common plasmid DNA consist of luciferase expression plasmid and Rous sarcoma virus promoter, required 24-48hr for induction of gene expression. The gene expression level of the T7 system was enhanced with an increase in the amount of T7 RNA polymerase. To increase and prolong the gene expression, a plasmid DNA(pT7 AUTO-2) which contained the T7 RNA polymerase gene driven by the T7 promoter was co-transfected with pT7-IRES-L and T7 RNA polymerase. The plasmid DNA(pT7 AUTO-2) dose-dependently enhanced the luciferase gene expression by pT7-IRES-L and T7 RNA polymerase. In addition, we attempted to optimize the cytoplasmic gene expression system. The optimal ratio for co-transfection of pT7-IRES-L and pT7 AUTO-2 was 1 to 3 (mole ratio). These results suggest that T7 gene expression system may be useful in many gene therapies where transient but rapid efficient gene expression is required.
著者
伊藤 沙耶美 中川 晋作 岡田 直貴
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-45, 2017-01-25 (Released:2017-04-25)
参考文献数
19
被引用文献数
1 1

現行のワクチンの大半は注射製剤であるため、投与に医療従事者を必要とするだけでなく、ワクチン製剤の輸送・保管に一貫した低温温度管理(cold chain)の整備が求められる。そのため、実際にワクチンを最も必要としている開発途上国などの地域にワクチンが浸透しにくく、また感染症パンデミックやバイオテロリズム発生時にワクチンの大規模接種を迅速に施行できないという課題を有する。したがって、注射に代わる簡便で有効かつ安全な新規ワクチン手法を開発することがさまざまな感染症ワクチンの有用性を向上させると考えられる。本稿では、近年開発が進むさまざまな新規ワクチン剤形のなかで、皮膚に貼るだけという簡便性と低侵襲性を併せもった経皮ワクチン製剤の開発状況について紹介する。
著者
廣部 祥子 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1030-1034, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
29

皮膚の表皮や真皮には免疫担当細胞が多数存在しており、これらの細胞にワクチン抗原を送達することができれば、高いワクチン効果が期待できる。近年、痛みを伴うことなく皮膚に貼るだけでワクチンを接種できるマイクロニードルを用いた経皮ワクチン製剤が、従来の注射ワクチン製剤と比較して、有効性だけでなく迅速大規模接種や開発途上国へのワクチン普及において優位性をもつことから注目されている。
著者
中川 晋作 岡田 直貴
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.23, no.2, pp.112-115, 2008 (Released:2008-06-18)
参考文献数
19

分子生物学の著しい発展により感染病原体の特性や細胞のがん化機構の解明が進み,それらの成果が免疫学と結びつくことで,感染症およびがんに対する新たなワクチン戦略の構築と検証が進んでいる.近年,ウイルス感染による発がんを予防するワクチンも開発された.これまでは,疾病の予防薬としてワクチンが用いられてきたが,今後は生体の免疫系の制御による治療用ワクチンも開発されてくるであろう.いまやワクチンは,感染症やがんにとどまらず,さまざまな疾病に対して開発されようとしている.本稿では,ワクチン開発の現状について紹介する.
著者
廣部 祥子 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
ファルマシア (ISSN:00148601)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.1030-1034, 2016

皮膚の表皮や真皮には免疫担当細胞が多数存在しており、これらの細胞にワクチン抗原を送達することができれば、高いワクチン効果が期待できる。近年、痛みを伴うことなく皮膚に貼るだけでワクチンを接種できるマイクロニードルを用いた経皮ワクチン製剤が、従来の注射ワクチン製剤と比較して、有効性だけでなく迅速大規模接種や開発途上国へのワクチン普及において優位性をもつことから注目されている。
著者
吉川 友章 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.127, no.5, pp.789-796, 2007-05-01 (Released:2007-05-01)
参考文献数
39
被引用文献数
3 4

Drug delivery system (DDS) research has contributed greatly toward improving chemotherapy efficacy and reducing its adverse effects through the development of approaches to optimize pharmacokinetics, such as controlled release and targeting. On the other hand, the remarkable progress of this latest life science research has altered the concept of what constitutes medical supplies. A change in this concept would allow for the consideration of medical materials that use not only conventional low molecular-weight organic compounds, but also biomacromolecules, including nucleic acids and proteins, that constitute living organisms. Although these biomacromolecular drugs are expected to demonstrate excellent efficacy based on their intrinsic bioactivity, they quickly degrade when administered in vivo and only a limited number have therefore been developed into medicines. In addition, most biomacromolecular drugs are ineffective until they are delivered to particular cells within a tissue or to particular organelles within a cell. To develop effective biomacromolecular medicines, it is necessary to introduce a DDS that is capable of ensuring internal stability as well as precise control of internal and intracellular dynamics, and to establish a new fundamental technology for DDS that can accommodate the material properties and mechanisms of action of the biomacromolecular drugs. In this context, this review introduces our approach to the design and creation of “Intracellular DDS” using fusogenic liposomes for application to gene therapy and tumor peptide vaccines. We suggest that this technology is very important for controlling the intracellular pharmacokinetics of biomacromolecular drugs.
著者
今井 直 堤 康央 長野 一也 杉田 敏樹 吉田 康伸 向 洋平 吉川 友章 鎌田 春彦 角田 慎一 中川 晋作
出版者
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
雑誌
日本プロテオーム学会大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.151, 2007

現状のプロテオーム解析では、疾患組織あるいは対照となる健常組織由来の蛋白質サンプルを二次元ディファレンシャル電気泳動(2D-DIGE)法で分離した後に、質量分析計を用いて個々の発現変動蛋白質を同定することにとどまっている。そのため、同定された膨大な数の変動蛋白質の中から、発現や変動を詳細に機能解析することで、病態の発症や悪化に中心的な役割を果たしている創薬ターゲット・蛋白質を効率よく絞り込むこが次のステップとして期待されている。その点において、ELISAなどの抗原-抗体反応を利用した解析手法は、特定蛋白質を特異的かつ高感度に検出できることから、プロテオミクス研究においても蛋白質の機能解析を進める上で極めて有用である。しかし、従来のように数十g以上の蛋白質を動物個体に免疫する必要があるハイブリドーマ法では、上述の2D-DIGEによって得られる極微量(数十ng程度)かつ多種類の蛋白質サンプルに対する抗体作製に対応することは不可能である上、この方法ではプロテオミクスの最大の利点である網羅性を著しく損なってしまう。そこで我々は、これらの課題を克服するために、ファージ抗体ライブラリと2D-DIGE法を組み合わせた新しいモノクローナル抗体(Mab)作製技術の確立を試みた。一般に、ファージ抗体ライブラリからのMabのセレクションは、プラスチックプレートなどに固定化した数g~数百g程度の標的抗原に対してファージ抗体ライブラリを反応させ、抗原に結合するファージのみを選択・増幅する、という方法(パンニング法)を用いる。既に我々は、ニトロセルロースメンブランを固相化担体として利用することで蛋白量がわずか0.5 ng程度であっても効率よくMabを選別できるパンニング法の開発に成功している。今回は、ヒト乳癌・乳腺細胞株の2D-DIGE解析により得られた発現変動スポットから蛋白質を抽出し、この蛋白質をダイレクトに抗原として用い、メンブランパンニングを行った。その結果、メンブランパンニング法を適用することで、今回得られた全てのスポットに対してMAbを単離することが出来た。以上、2D-DIGEによる変動蛋白質の同定と抗体作製を一挙に達成できる本手法は、プロテオミクスによる創薬ターゲットや疾患の早期診断・治療マーカーの同定に大きく貢献するものと期待される。
著者
松尾 一彦 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.8-14, 2010 (Released:2010-04-28)
参考文献数
16

皮膚の免疫機能を最大限に利用した経皮ワクチンは,注射に代わる簡便で安価かつ非侵襲的な新規ワクチン手法として期待されている.経皮ワクチンにおいては,抗原を表皮組織に存在する抗原提示細胞へと送達する基盤技術の確立が必須であり,その研究開発が精力的に行われている.本稿では,近年の経皮ワクチンデリバリー技術の研究動向についての解説を交えながら,筆者らが独自に開発した親水性ゲルパッチを用いた経皮ワクチンの研究成果について紹介する.
著者
伊藤 沙耶美 中川 晋作 岡田 直貴
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.32, no.1, pp.39-45, 2017
被引用文献数
1

現行のワクチンの大半は注射製剤であるため、投与に医療従事者を必要とするだけでなく、ワクチン製剤の輸送・保管に一貫した低温温度管理(cold chain)の整備が求められる。そのため、実際にワクチンを最も必要としている開発途上国などの地域にワクチンが浸透しにくく、また感染症パンデミックやバイオテロリズム発生時にワクチンの大規模接種を迅速に施行できないという課題を有する。したがって、注射に代わる簡便で有効かつ安全な新規ワクチン手法を開発することがさまざまな感染症ワクチンの有用性を向上させると考えられる。本稿では、近年開発が進むさまざまな新規ワクチン剤形のなかで、皮膚に貼るだけという簡便性と低侵襲性を併せもった経皮ワクチン製剤の開発状況について紹介する。
著者
中川 岳志 岡田 直貴 中川 晋作
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.35-44, 2013-01-30 (Released:2013-04-30)
参考文献数
41

養子免疫療法は、癌患者より採取したCD8+ T細胞から腫瘍特異的な細胞傷害性T細胞 (CTL) を分化誘導し、再び患者へと移入することで癌の退縮および転移・再発抑制を図る自己細胞療法である。しかし、癌患者は免疫抑制状態に陥っているため、治療に十分な数の腫瘍特異的CTLを誘導することが困難である。この打開策として、キメラ抗原受容体 (CAR) を発現させたCTLを創製する手法の開発が進められている。CARは、標的分子に特異的に結合する細胞外ドメインとCTL機能を修飾する細胞内シグナル伝達ドメインとを融合した人工蛋白質であり、CTLに標的分子特異的な細胞傷害活性を付与できる。本稿では、CAR研究の動向ならびに筆者らの腫瘍血管特異的CAR発現CTLを用いた次世代養子免疫療法について概説する。
著者
中川 晋作 畑澤 順 清野 智史 向 洋平
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、腫瘍ターゲティング素子として腫瘍血管特異抗体を単離、精製し、RI でラベルすることで腫瘍イメージングプローブとして機能することを明らかにした。さらに本抗体を用いて immuno-PET/MRI の為のイメージングプローブとして開発すべく、MRI造影剤としての金酸化鉄複合ナノ粒子を PEG 修飾し、さらにその PEG 鎖先端に本抗体を修飾するための方法論を確立した。