著者
長谷 和生 望月 英隆 横山 幸生 吉村 一克 山本 哲久 中村 栄秀 栗原 浩幸 吉積 司 上野 秀樹 岩本 一亜 玉熊 正悦
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.2944-2950, 1992-12-01
被引用文献数
11

直腸癌手術症例297例のホルマリン固定標本を対象に, 癌の肛門側壁内進展について検討した. 壁内進展は67例, 23% に認められ, その最長距離は 3.7cm であった. 壁内進展陽性例は陰性例に比べ治癒切除率 (34% : 77% ; p<0.005), 治癒切除例における再発率 (57% : 25% ; p<0.005), 累積生存率 (p<0.001) など, いずれも有意に不良であり, 壁内進展には予後規定因子としての意義がうかがわれた. 一方癌の肉眼型3型, 低分化腺癌・印環細胞癌,大きさ 6.1cm 以上, 亜全周以上などの病理学的所見を呈するものでは, 2.1cm 以上の壁内進展がそれぞれ高率に認められた (おのおのp<0.005). これら4因子のうち1因子以下しか伴わない症例では 2.1cm 以上の進展は皆無であったが, 2因子以上を伴う症例では11%に認められた (p<0.005). したがってこれらの病理学的因子を2因子以上有する症例では肛門側切離縁までの距離はホルマリン固定標本 4.0cmが望ましく, 1因子以下では 2.0cm で十分と考えられた.

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著者
早野 龍五 堀 正樹 中村 栄一 松尾 豊 松永 典之 長尾 敬介
出版者
東京大学大学院理学系研究科・理学部
雑誌
東京大学理学系研究科・理学部ニュース
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.10-13, 2011-11

反物質に新たな光を当てる/目に見えるようになった金属原子の触媒作用/銀河系の中心に灯台となる変光星を発見!/太陽風と宇宙線を浴びた「はやぶさ」粒子
著者
中村 栄男
出版者
愛知県がんセンター
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2000

節外性リンパ腫の中心をなす粘膜関連リンパ組織型B細胞リンパ腫(MALTリンパ腫)は発生頻度が高く、明確な疾患単位を形成する。しかし、その腫瘍発生での分子病態の解明は不明のままであった。我々は、t(11;18)染色体転座がMALTリンパ腫の原因の一つである可能性を報告してきた。そして外科的手術材料を用いてt(11;18)切断点を世界に先駆けて公表した。さらに18番染色体上の責任遺伝子の同定に成功し、未知の遺伝子であることからMALT1と命名した。一方、11番染色体上の遺伝子は既知のAPI2であった。t(11;18)染色体転座によるAPI2-MALT1キメラ遺伝子の形成が、MALTリンパ腫の発生に深く関わるものと推定された。当該研究期間中にRT-PCR法あるいはFISH法を用いてAPI2-MALT1キメラ遺伝子のパラフィン切片からの検出システムを開発すると共に、その医学的意義についての解明を進めた。その結果、胃MALTリンパ腫においてはAPI2-MALT1キメラ遺伝子の検出がHelicobacter pylori除菌療法に対するMALTリンパ腫の反応性を予測し得る分子マーカーであることを初めて明らかにした。一方、これら有為なデータの解析において強力な臨床治療研究グループとの提携が不可欠であった。また、それら治療研究グループの育成と連携において、本邦は欧米に比べて未だ立ち遅れた状況にあることが痛感された。今後の研究の展開を計る上での幾つかの課題を残した研究期間であったとも云える。
著者
本間 弘次 中村 栄三 加々美 寛雄
出版者
岡山大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1991

1。薩南諸島海域の火山島・海底火山の岩石のRb・Sr・NdとSmの含量、およびSrとNdの同位体比を分析・測定し、一連の火山岩の成分変化の主要部分がマグマの分化によるものであること、島弧横断方向における微量元素を中心とする化学的変化が、マントルペリドタイトの部分溶融度の差にもとづく初生マグマの違いを反映するものであること、Sr-Nd同位体システマティックスは単なる2成分混合モデルでは説明できず、MORB源-堆積岩源スラブ成分からなるマントル源混合と島弧型マグマ-地殻岩石からなる地殻内混合の組み合わせ=2段階2成分混合モデルを考えなければならないことを明らかにした。2。琉球島弧系の新生代火山岩類では、後期更新世以降の、火山前線と背弧海盆の火山岩類はマントル配列を右上側に離れしかも高^<87>Sr/^<86>Sr低^<143>Nd/^<144>Nd比で特徴づけられる。硫黄鳥島の含石英安山岩はマントル配列のやや近くに位置する。一方第三紀のもの(トカラ列島平島のものを含む)はマントル配列に近い組成をもつ。尖閣諸島の現世アルカリ岩類はホットスポット型で、マントル配列上ないしその左下方に位置する。高苦土安山岩は比較的に海嶺玄武岩に近い同位体組成をもつ。これら同位体的特徴とその多様性は、1次的なものであり基本的にマグマ源物質の性質を反映している。マグマ源の性格は古第三紀から現世まで、それぞれの地質セッティングによって変化している。現世島弧-背弧系火山岩類のSr-Nd同位体システマティックスでの2成分混合モデルによれば他の島弧火山岩に比べ琉球系火山岩の^<87>Sr/^<86>Sr比が高く^<143>Nd/^<144>Nd比が低いのはスラブを構成する堆積物が大陸起源成分に富むことおよびマグマの変化の1部に地殻岩石が関わっているためである。これらは琉球島弧系が大陸縁にある若い沈み込み帯であってしかもやや厚い地殻をもつことと密接な関係にある。