著者
中澤 真弓 中村 秀明 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.17-22, 2018-02-28 (Released:2018-02-28)
参考文献数
9

はじめに:救急車の不適正利用が社会問題となっている。目的:一般市民が,救急車を呼ぶべき救急疾患を示唆する状況に遭遇した場合,救急車を呼ぶ判断をするのかを明らかにする。方法:2016年5月,全国の一般市民5,000人を対象にインターネットによる質問調査を実施した。結果:平均年齢45.2(± 14.6)歳。「救急車を呼んだことがある」38.5%,「自分または身近な人が救急車で運ばれたことがある」62.6%,「救急車を呼ぶべき症状について見聞きしたことがある」46.9%。救急車を呼ぶべき状況では,15症例中9項目で「どちらともいえない」と回答した割合が15%を超えた。考察と結論:一般市民は救急車を呼ぶべき救急疾患を示唆する状況にある傷病者に遭遇した場合でも,救急車を呼ぶかどうか判断できない場合もある。その際,救急車を呼ぶとの判断ができるように,緊急度を判定するツール等のさらなる周知が必要である。
著者
中村 秀明 中澤 真弓 井上 隆康 田中 幸太郎 刈間 理介 鈴木 宏昌
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.5, pp.659-664, 2019-10-31 (Released:2019-10-31)
参考文献数
20
被引用文献数
1

目的:二項目の処置拡大により救急救命士の静脈路確保(intravenous approach;IVA)の機会が増加し, このことが手技の成功率に及ぼす影響を明らかにする。方法:茨城西南地方広域市町村圏事務組合消防本部の2014年1月1日〜2016年12月31日までの処置拡大二項目の実施記録とウツタインデータから後ろ向きに調査した。結果:処置拡大前後の全IVA成功率は52.2から63.2%に上昇した(p<0.01)。心肺停止例(cardiopulmonary arrest;CPA)に限定しても52.2から63.8%と有意に上昇していた。また,対象別にみたIVA成功率はCPAで58.5%ともっとも低く,低血糖で78.5%と有意に高かった。考察:処置拡大により救急救命士がIVAを実施する機会が増加したことで,全IVAの成功率のみならず,CPAに対するIVA成功率も改善することが示唆された。
著者
北野 信之介 藤本 賢司 須賀 涼太郎 小玉 響平 原田 諭 中澤 真弓 鈴木 健介 小川 理郎
出版者
一般社団法人 日本救急救命学会
雑誌
救急救命士ジャーナル (ISSN:2436228X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.180-184, 2022-12-20 (Released:2023-06-07)
参考文献数
18

【背景】病院前救護での緊急度と重症度の判断に必要な収縮期血圧測定に際して,聴診法と触診法の正確性を把握することは重要であるが,その詳細は不明である。【方法】正確な血圧設定が可能なシミュレーターを使用し,聴診法と触診法で実測した収縮期血圧と設定値の差(ΔSBP)をシミュレーターが仰臥位と坐位の場合で評価した。【結果】測定者は救急救命士学生で,仰臥位の測定者186名,坐位の測定者130名,計316名とした。仰臥位ΔSBPは,聴診法−7±16mmHg,触診法−11±16mmHg,坐位では各々−4±13mmHg,−12±12mmHgで,いずれも設定値より低値であった。【考察】情報量がより多い聴覚系機能に依存している聴診法が,触診法よりも設定値に近く,病院前救護での緊急度,重症度の判断には一定の留意が必要である。【結語】聴診法や触診法による血圧測定では設定値よりも低くなる傾向にあった。
著者
原田 諭 須賀 涼太郎 鈴木 健介 北野 信之介 坂田 健吾 藤本 賢司 中澤 真弓 小川 理郎 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.797-805, 2022-10-31 (Released:2022-10-31)
参考文献数
15

新型コロナウイルス感染症拡大により対面による実習は中止となった。新たな教育手法としてVR動画を活用した遠隔シミュレーション実習を実施した。目的:VR動画を活用した遠隔実習と,従来実施していた実技を伴う対面実習における知識の教育効果を比較検討した。方法:2020年度シミュレーション履修者4年生82名(VRあり)を対象にVRゴーグルを使用して10想定の動画を視聴させ,救急救命士国家試験と同等の筆記試験を実施した。比較対象は,2019年度シミュレーション履修者4年生68名(VRなし)とした。結果:A問題はVRなし群が有意に高かった。D問題はVRあり群が有意に高かった。一般問題はVRなし群が有意に高かったが,状況設定問題はVRあり群が有意に高かった。結論:一般のシミュレーション実習は,A問題でみる一般医学的知識の向上に有用であり,VR動画を活用した実習は,一般のシミュレーション実習より状況設定問題の知識向上に有用であった。
著者
中澤 真弓 鈴木 健介 小川 理郎
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.14-18, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
6

はじめに : 救急救命士による気管挿管は現場での実施頻度も少なく, 技術維持のため訓練が必要である。目的 : 救急救命士養成課程の学生が雪山において, 屋内の床上で習得した気管挿管と同様の基本手技を施行できるかを検証した。方法 : 日本体育大学救急医療学科2年生72名を対象に, 気道管理トレーナを用い, 雪上において(1)傷病者頭部谷側斜面(2)傷病者頭部山側斜面(3)傷病者立位(4)傷病者埋没の4想定で気管挿管基本手技訓練を行い, 屋内で実施した結果と比較した (対応のあるT検定・有意水準P<0.05) 。結果 : 胸骨圧迫の評価が雪山で有意に低かった。環境に関係なく目視で確認できる項目は雪山で有意に高得点であった。アクシデントは「滑落」「資器材の凍結」「歯牙損傷」が発生した。考察と結論 : 雪山での気管挿管は, 基本手技の習得が現場での応用を可能にしていると思われた。
著者
鈴木 健介 原田 諭 須賀 涼太郎 土肥 莉里香 中澤 真弓 小川 理郎 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本在宅救急医学会
雑誌
日本在宅救急医学会誌 (ISSN:2436066X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.21-24, 2022-03-31 (Released:2022-07-03)
参考文献数
8

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年5月からMicrosoft Teamsを活用し、チャンネル機能を活用し8~10名に1名の教員を配置した遠隔実習を行った。同年8月から、補講という位置づけで対面実習を行った。50~100名教室に8~10名の学生、1名の教員を配置し、シミュレーター人形を用いて実習を行った。感染対策として、2週間前からの行動記録と体温管理、当日の検温、手袋、ゴーグル、不織布マスク、アルコール消毒液、大型扇風機による換気、高濃度次亜塩素酸水による機材の消毒を行った。検温にて体温が高い場合は、医療機関受診を促し、PCR検査等陽性の場合は、積極的疫学調査を独自で行い濃厚接触者を1時間以内に特定できるようにした。同年9月より、後学期の講義や実習が開始され、各学年週に1回は対面で実習ができる教育環境が構築できた。 2021年4月から、前述した感染対策に加えて、CO2濃度を測定した。「CO2が800ppmを超えたら強制的に換気を行う」を感染対策に加えた。同年6月下旬より職域接種を行った。実習では、virtual reality(以下、VR)視聴とシミュレーション実習を行うだけでなく、学生の目線と定点の2つのカメラで撮影し、映像を用いたフィードバックを実践した。2022年1月からオミクロン株による第6波の影響により、積極的疫学調査による早期隔離、濃厚接触者と感染経路の特定を行った。 コロナ禍において、新型コロナウイルス感染対策に関する最新の医学的知識を学び、感染対策を教職員が学生と一丸となって実施した結果、VRを用いたシミュレーション教育が実施できた。
著者
齋藤 友彦 梅澤 克之 ?? 崇 中澤 真 平澤 茂?
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 PACIS2018主催記念特別全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.47-50, 2018 (Released:2018-08-31)

著者らは新潟県立松代高校を中心に,近隣の高校生を対象とした「まつだいサイエンス講座」を開催した.講座内でプログラミングやタイピングソフト実施時における閲覧・編集履歴及び脳波履歴を収集し,その解析を行った.これまでの結果,プログラミングやタイピングソフト実施時においてβ波/α波の値が学習の困難度を測る指標として有効であることが確認した.本稿では,まず,講座冒頭に行ったプログラミングに関する事前アンケート及び事前テスト(中学3年生~高校1年生レベルの英語,数学,国語)の結果をまとめる.続いて,事前アンケート・テストと脳波の関係を解析し,特にβ波/α波との関係について考察を行う.
著者
梅澤 克之 石田 崇 中澤 真 平澤 茂一
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 PACIS2018主催記念特別全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.35-38, 2018 (Released:2018-08-31)

近年,授業と宿題の役割を「反転」させ,授業時間に先立って知識習得(自習)を済ませ,教室では知識確認や問題解決学習を行う授業形態をとる反転授業が注目され始めた.我々は,学生が自宅で自習を行うときに学習ログを取得し,学習時間と理解度の関係から学生を複数のグループに分類した上で教場での授業を行うグループ分け反転授業を提案し,提案方式と反転授業ではない従来の講義形式,および反転授業ではあるがグループ分けを行わない授業との比較評価を行ってきた.本論文では,いままで提案してきたグループ分け反転授業を16週間の実授業へ適用し、有効性を評価する.
著者
木村 翔 井上 勝夫 中澤 真司
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文報告集 (ISSN:09108017)
巻号頁・発行日
no.398, pp.1-8, 1989-04-30
被引用文献数
1

In this paper, We examined the impulsive force characteristics of the heavy impact source stipulated by JIS A 1418, and measured the impulsive force characteristics of the jumping down of the adults and children. It is said that the impulsive force of the heavy impact source stipulated by JIS A 1418 is too large for the measurement of the wooden floor construction. When the falling height of the heavy impact source becomes lower, the impulsive force decreases and the impact time increases gradually. As the results of the theoretical and the experimental examination, it can be said that the falling height of the heavy impact source should be kept more than about 20 cm, for getting the linearity of the impulsive force characterisics to JIS A 1418. In the field measurement, the relation between the impulsive force for the various falling height of the heavy impact source and the vibration velocity of the several kind of floor construction was studied.