著者
北野 信之介 藤本 賢司 須賀 涼太郎 小玉 響平 原田 諭 中澤 真弓 鈴木 健介 小川 理郎
出版者
一般社団法人 日本救急救命学会
雑誌
救急救命士ジャーナル (ISSN:2436228X)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.180-184, 2022-12-20 (Released:2023-06-07)
参考文献数
18

【背景】病院前救護での緊急度と重症度の判断に必要な収縮期血圧測定に際して,聴診法と触診法の正確性を把握することは重要であるが,その詳細は不明である。【方法】正確な血圧設定が可能なシミュレーターを使用し,聴診法と触診法で実測した収縮期血圧と設定値の差(ΔSBP)をシミュレーターが仰臥位と坐位の場合で評価した。【結果】測定者は救急救命士学生で,仰臥位の測定者186名,坐位の測定者130名,計316名とした。仰臥位ΔSBPは,聴診法−7±16mmHg,触診法−11±16mmHg,坐位では各々−4±13mmHg,−12±12mmHgで,いずれも設定値より低値であった。【考察】情報量がより多い聴覚系機能に依存している聴診法が,触診法よりも設定値に近く,病院前救護での緊急度,重症度の判断には一定の留意が必要である。【結語】聴診法や触診法による血圧測定では設定値よりも低くなる傾向にあった。
著者
原田 諭 須賀 涼太郎 鈴木 健介 北野 信之介 坂田 健吾 藤本 賢司 中澤 真弓 小川 理郎 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.797-805, 2022-10-31 (Released:2022-10-31)
参考文献数
15

新型コロナウイルス感染症拡大により対面による実習は中止となった。新たな教育手法としてVR動画を活用した遠隔シミュレーション実習を実施した。目的:VR動画を活用した遠隔実習と,従来実施していた実技を伴う対面実習における知識の教育効果を比較検討した。方法:2020年度シミュレーション履修者4年生82名(VRあり)を対象にVRゴーグルを使用して10想定の動画を視聴させ,救急救命士国家試験と同等の筆記試験を実施した。比較対象は,2019年度シミュレーション履修者4年生68名(VRなし)とした。結果:A問題はVRなし群が有意に高かった。D問題はVRあり群が有意に高かった。一般問題はVRなし群が有意に高かったが,状況設定問題はVRあり群が有意に高かった。結論:一般のシミュレーション実習は,A問題でみる一般医学的知識の向上に有用であり,VR動画を活用した実習は,一般のシミュレーション実習より状況設定問題の知識向上に有用であった。
著者
中澤 真弓 鈴木 健介 小川 理郎
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.14-18, 2021-03-31 (Released:2021-03-31)
参考文献数
6

はじめに : 救急救命士による気管挿管は現場での実施頻度も少なく, 技術維持のため訓練が必要である。目的 : 救急救命士養成課程の学生が雪山において, 屋内の床上で習得した気管挿管と同様の基本手技を施行できるかを検証した。方法 : 日本体育大学救急医療学科2年生72名を対象に, 気道管理トレーナを用い, 雪上において(1)傷病者頭部谷側斜面(2)傷病者頭部山側斜面(3)傷病者立位(4)傷病者埋没の4想定で気管挿管基本手技訓練を行い, 屋内で実施した結果と比較した (対応のあるT検定・有意水準P<0.05) 。結果 : 胸骨圧迫の評価が雪山で有意に低かった。環境に関係なく目視で確認できる項目は雪山で有意に高得点であった。アクシデントは「滑落」「資器材の凍結」「歯牙損傷」が発生した。考察と結論 : 雪山での気管挿管は, 基本手技の習得が現場での応用を可能にしていると思われた。
著者
横堀 將司 須賀 涼太郎 鈴木 健介 小川 理郎 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本在宅救急医学会
雑誌
日本在宅救急医学会誌 (ISSN:2436066X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.16-20, 2022-03-31 (Released:2022-07-03)
参考文献数
4
被引用文献数
1

わが国における救急車搬送は664万件/年を超え、人口高齢化に相まってますます増加傾向にある。個々の患者に迅速かつ最善の治療を施すのが医師の使命であり、救急診療の場においても常に診療の質を保つことが不可欠である。 しかし今、このコロナ禍で学生教育や若手医療者育成はそれに追いついているであろうか? 医学生・看護学生は国家試験対策、若手医師・看護師は働き方改革による労働時間制限やコロナ禍による実習中断からon the job trainingによる自己研鑽の場が失われつつある。緊迫した救急現場では、患者救命優先のため、医学生・看護学生や若手医師・看護師は患者に近寄ることもできない。現場では、より効率よく、リアルで、インプレッシブな医学教育手法が求められているのである。 われわれは患者やご家族の許可をいただき、熟練した医療スタッフによるよどみない初期診療をvirtual reality(VR)化し、学生授業や若手医師・看護師教育に生かす取り組みを始めている。学生や若手医療者が救急医学のエキスパートスタッフによる診療を繰り返し疑似体験でき、場所や時間を問わず的確な診療手順を体得できる。GuruVR Smart Syncによるマルチモードにより複数の受講生目線を共有することでタイムリーなフィードバックも可能になっている。遠隔による授業展開をすることで、コロナ禍に負けない医療体制を構築するのみならず、教育の地方間格差もなくすことで医師の地域偏在解決などにも貢献できればと思う。 「机上の学問」という言葉は従来、実地的でない教育の代名詞としてさげすまれてきた。VR教育ツールがわが国の医療のクオリティを保ち、多くの患者の救命に貢献することで、この言葉の概念を根底から変えることを強く期待している。
著者
鈴木 健介 原田 諭 須賀 涼太郎 土肥 莉里香 中澤 真弓 小川 理郎 横田 裕行
出版者
一般社団法人 日本在宅救急医学会
雑誌
日本在宅救急医学会誌 (ISSN:2436066X)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.21-24, 2022-03-31 (Released:2022-07-03)
参考文献数
8

新型コロナウイルス感染拡大に伴い、2020年5月からMicrosoft Teamsを活用し、チャンネル機能を活用し8~10名に1名の教員を配置した遠隔実習を行った。同年8月から、補講という位置づけで対面実習を行った。50~100名教室に8~10名の学生、1名の教員を配置し、シミュレーター人形を用いて実習を行った。感染対策として、2週間前からの行動記録と体温管理、当日の検温、手袋、ゴーグル、不織布マスク、アルコール消毒液、大型扇風機による換気、高濃度次亜塩素酸水による機材の消毒を行った。検温にて体温が高い場合は、医療機関受診を促し、PCR検査等陽性の場合は、積極的疫学調査を独自で行い濃厚接触者を1時間以内に特定できるようにした。同年9月より、後学期の講義や実習が開始され、各学年週に1回は対面で実習ができる教育環境が構築できた。 2021年4月から、前述した感染対策に加えて、CO2濃度を測定した。「CO2が800ppmを超えたら強制的に換気を行う」を感染対策に加えた。同年6月下旬より職域接種を行った。実習では、virtual reality(以下、VR)視聴とシミュレーション実習を行うだけでなく、学生の目線と定点の2つのカメラで撮影し、映像を用いたフィードバックを実践した。2022年1月からオミクロン株による第6波の影響により、積極的疫学調査による早期隔離、濃厚接触者と感染経路の特定を行った。 コロナ禍において、新型コロナウイルス感染対策に関する最新の医学的知識を学び、感染対策を教職員が学生と一丸となって実施した結果、VRを用いたシミュレーション教育が実施できた。
著者
鈴木 健介 浅井 武 平嶋 裕輔 中山 雅雄
出版者
一般社団法人 日本体育・スポーツ・健康学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
vol.66, pp.261-275, 2021 (Released:2021-04-29)
参考文献数
29

In soccer, as the number of goals determines victory or defeat, the top priority of soccer attacks is to score goals. In many competitions, more than 70% of goals are scored by shooting from within the penalty area (PA). Thus, entering the PA is an important factor in scoring goals to win games and advance in a tournament. However, as no previous research has analyzed in detail attacking play involving entry into the PA, players are unable to receive effective coaching. Focusing on the group stage of the 2014 FIFA World Cup, the present study compared attacking play into the PA between top-ranked teams that advanced (top teams) and lower-ranked teams that were defeated and did not advance (lower teams) in order to identify the characteristics and differences of the two groups. Samples were obtained from all 48 games played in the tournament at this stage. For statistical analysis, the unpaired t test and c2 test were used. No significant inter-group differences were found in the number of attacks or entering the PA and the number of shots, but the top teams had higher success rates in shooting and attacking, suggesting that they had excellent finishers or created better shooting situations. With regard to movements for receiving passes by players who entered the PA, the top teams showed a higher frequency of moving from the outside to the inside of the PA and receiving passes there, suggesting that their players received the ball as they moved toward the PA. Moreover, compared to the players of lower teams, they received passes inside the PA when no opposition defenders were in the attacking direction. These findings suggest that players of top teams evaded marking by opponents by receiving the ball while moving toward the PA. Furthermore, since top teams had higher scoring rates when their players dribbled into the PA, they likely had players more highly skilled in dribbling, thus resulting in goals.
著者
鈴木 健介 中山 雅雄 浅井 武
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.67, pp.265_2-265_2, 2016

<p> 現在のサッカーは、プレーするのに十分な時間とスペースが確保されていた1970年頃のサッカーから変化し「Less Time、Less Space」と形容されるような、相手チームに時間とスペースを与えないコンパクトな守備組織の形成が主流となっている。試合に勝利するためにはこのようなハイプレッシャーの中でも正確で早い判断と技術を発揮しゴールに向かい、得点をあげる必要がある。特にディフェンスとミッドフィルダーとの間のエリアを指す「バイタルエリア」における技術発揮は多くの指導書等で重要視されている。しかし、バイタルエリアにおいてどのようなプレーが行われているかという分析・研究は報告されていない。そこで本研究は2014W杯優勝チームであるドイツ代表の選手が最も多く所属するドイツのトップリーグであるブンデスリーガと、日本のトップリーグであるJリーグのバイタルエリアでの攻撃プレーを対象に、記述的ゲームパフォーマンス分析を行うことで、バイタルエリアにおけるプレーの特徴及び、それぞれのリーグにおける同エリアでのプレーの特徴や違いを明らかにすることを目的とした。</p>
著者
平嶋 裕輔 浅井 武 鈴木 健介 中山 雅雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.223_3, 2019

<p> ゴールキーパーにとって最も重要なプレーはシュートストップである。このシュートストップは、現在、セーブ率を用いて評価されることが一般的である。しかし近年、セーブ率は、被シュート1本毎のシュートストップ難易度が考慮されておらず、現場に有効な評価指標ではないとその妥当性を疑問視する声もある。そこで本研究は、2014FIFAワールドカップ全64試合を対象に、128名のGKをセーブ率によって評価し、その結果と被シュート1本当たりの平均シュートストップ失敗確率、被シュート数、予測失点との関係を明らかにし、セーブ率の問題点を検証することを目的とした。被シュート1本当たりの平均シュートストップ失敗確率及び予測失点の算出には、平嶋ほか(2014)が開発したシュートストップ失敗確率予測回帰式を用いた。その結果、セーブ率と被シュート1本当たりの平均シュートストップ失敗確率、予測失点との間に有意な負の相関関係が認められた。つまりセーブ率は、シュートストップの難易度が考慮されておらず、平均シュートストップ失敗確率の低い選手、予測失点が少ない選手の評価が高くなるという大きな問題点を有するということが明らかとなった。</p>
著者
鈴木 健介 林 隆一 海老原 充 宮崎 眞和 篠崎 剛 富岡 利文 大幸 宏幸 藤井 誠志
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.169-174, 2014 (Released:2015-02-11)
参考文献数
20
被引用文献数
1 1

骨肉腫は骨原発の悪性腫瘍として最も多いが,頭頸部領域に生じる骨肉腫は全体の10%以下と比較的まれである。今回,われわれは下顎骨に発生した骨肉腫を6例経験したので,文献的考察を加えて報告する。治療法は6例全例で手術が施行され,4例は手術療法単独,2例で導入化学療法が併用された。導入化学療法が併用された2例においてはいずれも化学療法の効果は認められなかった。諸家の報告と同様に,初回治療で切除断端陰性の症例では長期生存が得られていた。頭頸部原発骨肉腫の治療の中心は外科的完全切除であるため,手術時期を逸することがないよう,導入化学療法の適応に関しては慎重になる必要があることが示唆された。
著者
鈴木 健介 浅井 武 平嶋 裕輔 松竹 貴大 中山 雅雄
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
pp.19002, (Released:2019-08-20)
参考文献数
32
被引用文献数
1

In football it is necessary to score more goals than one’s opponents in order to win the game. One strategy for gaining goals and scoring opportunities is attacking through the gap between an opposing defender (DF) and a midfielder (MF) (the DF-MF gap). However, research on this form of attack has revealed that it is merely more likely to lead to scoring and scoring opportunities than other forms of attack. In the present study, therefore, through a comparison between the Japanese J League (JL) and the German Bundesliga (BL), we examined the features of DF-MF attack play in the JL and BL and differences between them, in order to clarify the challenges in the JL for creating scoring opportunities. We determined the number of passes into the DF-MF gap, the number of passes from players receiving the ball in the DF-MF gap, and the relationship between receiving the ball in the DF-MF gap and the opposing DF. The sample used for analysis was a total of 40 games: 20 in the JL (2015 season) and 20 in the BL (2015/2016 season). For statistical analysis, independent t test and chi-squared test were conducted. In comparison to the BL, the rate of penetration into the DF-MF gap was lower in the JL. In addition, it became clear that in the JL there was a lower proportion of scoring opportunities such as penetration into the PA and shots when penetrating into the DF-MF gap than was the case in the BL. This was considered to be due to the fact that in the JL, the number of balls received in the DF-MF gap in the direction of goal was lower than that in the BL. Furthermore, in the JL, when the ball was received in the DF-MF gap, the proportion of moves defended from the opponent goal side was higher than in the BL, suggesting a problem in how the ball is received. These findings suggest that in the JL it is necessary to increase the opportunity for scoring by making it easier for the ball to advance in a goalward direction by receiving the ball when separated from the opponent DF.
著者
松竹 貴大 夏原 隆之 小井土 正亮 鈴木 健介 田部井 祐介 中山 雅雄 浅井 武
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.107-123, 2018-02-01 (Released:2018-01-19)
参考文献数
62
被引用文献数
2

In this study, observing football players under simulated playing conditions to measure event-related potentials (ERPs, i.e. P300), electromyography reaction time (EMG-RT), and reaction time (RT), we investigated neural correlates of information processing during selective reaction challenges. A high performance group included 13 collegiate football players who had previously won the All Japan University Championships. A low performance group included 13 collegiate football players who never competed at the national level or played in prefectural or regional competitions. We conducted a 4 vs. 2 ball possession task (i.e. a Go/NoGo task) under simulated playing conditions that required situational assessment. Our results showed that the high-performance group had a significantly higher correct response rate than did the low-performance group in 4 vs. 2 ball possession tasks. Moreover, the EMG-RT and RT of the high-performance group were significantly shorter than that of the low-performance group. Furthermore, the P100 and P300 latencies of the high-performance group was significantly shorter than those of the low-performance group. These findings indicated that high-performance football players could perform the task-relevant stages of information processing (such as visual information processing, stimulus evaluation, and motor response output) in a short time. There was no correlation between EMG-RT and P100 (Go, NoGo stimulation), indicating that initial visual information processing did not contribute to the execution of the final motor response. There was no correlation between EMG-RT and Go P300 latency, whereas a significant correlation with NoGo P300 latency was shown. This suggested that the stimulus evaluation system by NoGo stimuli (response inhibition) is strongly involved in the final motor output reaction.