著者
平藤 雅之 世一 秀雄 三木 悠吾 木浦 卓治 深津 時広 田中 慶 松本 恵子 星 典宏 根角 博久 澁谷 幸憲 伊藤 淳士 二宮 正士 Adinarayana J. Sudharsan D. 斉藤 保典 小林 一樹 鈴木 剛伸
出版者
Japanese Society of Agricultural Informatics
雑誌
農業情報研究 (ISSN:09169482)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.60-70, 2013
被引用文献数
3

フィールドサーバは,野外における情報収集,灌水等の制御,センサ等新デバイスの実験を行うためのセンサネットワーク用プラットフォームである.そのためには多機能かつ十分な拡張性を備えると同時に,機械作業や栽培ステージに応じて手軽に移設でき作業者等の安全性にも配慮したオールインワン化及びワンユニット化が必要とされる.また,半導体技術の進歩やCPU等LSIの世代交代にあわせてハードウェア及びファームウェアの更新と機能向上を迅速に行う必要がある.ところが,大量生産ができない段階では低コスト化と高機能化を両立させることは困難であり,しかもそのような初期段階においては低コストで高機能な試用機がないとアプリケーション開発ができず市場が拡大しないというジレンマがある.これらの問題を解決するための制作手法としてオープンソース・ハードウェアを用いる方法を考案し,オープンソースのフィールドサーバ(Open-FS)を開発した.さらに,Open-FSを用いて測定したデータを低コストに収集・閲覧・共有するための方法として,既存のクラウドサービス(Twitter等)とHTML5で記述した閲覧用ソフトウェアからなる"センサクラウド・システム"を提案し,試作及びインドと日本における長期現地実験によってその有効性を評価した.<br>
著者
澁谷 幸
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.1_43-1_51, 2019-04-20 (Released:2019-04-20)
参考文献数
25

目的:本研究の目的は,看護師が清拭をどのようにとらえ実践しているのかを明らかにすることである。方法:研究方法はエスノグラフィーで,一般病院外科病棟において参加観察とインタビューを行った。結果:看護師は,清拭を〔患者に快を与えられる〕技術として,専門的知識を活用して創造的に実践していた。また,患者との感覚の共有によって,より深く患者とかかわることで〔患者がみえる〕ととらえていた。看護師は清拭を看護実践には欠かせない技術だと認識し〔清拭しないで看護したとはいえない〕と考えていた。結論:清拭は,安楽の提供という看護師の役割を遂行する最も有効な手段であり,看護職としての自信ややりがい,誇りを見出すことができる技術である。清拭は,看護師が自分の価値観や信念を込め,専門的創造的自律的に実践できる技術であり,看護の専門性が発露される,看護実践の拠り所となる技術である。
著者
香川 秀太 澁谷 幸 三谷 理恵 中岡 亜希子
出版者
日本認知科学会
雑誌
認知科学 (ISSN:13417924)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.355-376, 2016-12-01 (Released:2017-05-31)
参考文献数
39

This study constituted action research that nurses and researchers tried to change a training system for novice nurses by building a community of dialogue that went beyond existing frameworks. First, we interviewed the administrator, clinical educa-tor, and preceptor who were concerned with newcomer education and the design of the training system, and we analyzed the differences or gaps among their perspectives. Second, we planned and tried a cross-boundary method whereby the nurses exchanged knowledge and created a new training system for newcomers, negotiating the bound-aries among wards or between researchers and hospital staff. The micro-process of creating new knowledge through dialogue was examined using discourse analysis and activity theory. The results were as follows: new knowledge was generated; and the training system became multilateral. This was achieved through a process of continu-ous context transformation: from past-oriented interviews to a context on the border between past-oriented and future-oriented activity, then to a context of making con-tradictions visible, and so on. In this process, a ‘nonsense proposal’by the researcher (facilitator), one that nurses had laughed at and denied, also emerged as a springboard for new, important knowledge. The discussion also describes what was created, and its associated or conflicted heterogeneous historicity. This is discussed from the viewpoint of concepts of zone of time perspectives (ZTP) and inter-historicity.
著者
中田 康夫 田村 由美 澁谷 幸 平野 由美 山本 直美 森下 昌代 石川 雄一 津田 紀子
出版者
神戸大学
雑誌
神戸大学医学部保健学科紀要 (ISSN:13413430)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.27-32, 2003
被引用文献数
1

本研究は、基礎看護実習Iの実習日誌として学生に課した2002年度および2001年度のリフレクティフシャーナル(以下、RJ)の内容を分析検討し、RJにおけるリフレクションに必須なスキル(以下、リフレクティフなスキル)の活用状況を明らかにするとともに、リフレクティフなスキルの修得促進のためのRJの早期導入の意義について検討することを目的とした。両年度の相違は、2002年度は基礎看護実習Iに先行して開講している演習に演習日誌としてRJを導入したが、2001年度は演習にRJを導入していないことてある。2002年度の実習期間中に毎日提出された64名のRJにおいて、リフレクションの必須スキルが活用されているかどうかについて、各々の定義をもとに詳細に分析・検討を行い、2001年度の58名のそれと比較した。その結果、「自己への気付き」のスキルの活用が、5日間のRJのうち少なくとも1日分のRJにおいてみられた学生の割合は155%から344%へ増加し、また、「分析」のスキルの活用がRJ上でなされていると判断できた学生の割合はO%たったものが14.1%認められた。一方、「記述描写」のスキルの活用がRJ上でなされていると判断てきた学生は、両年度とも全員であり、相違は認められなかった。以上のことから、RJの早期導入は、学生のリフレクティフなスキルの活用修得をより促進することが示唆された。したがって、実践的思考能力育成のためにも看護基礎教育においてRJを早期に導入することは意義があると考えられた。
著者
山本 直美 登喜 和江 澁谷 幸 矢田 眞美子 澁谷 幸 日坂 ゆかり 山添 幸
出版者
千里金蘭大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

本研究は、無症候性脳血管障害患者のQOL支援する包括的看護活動の探求を目的とした。方法1は、未破裂脳動脈瘤で自然経過観察患者の生活体験に注目した。その結果、『動脈瘤を忘れる』『生活を変えない』『病気ではない』という認識の一方で、患者の背景ごとに特有な体験も明らかになった。方法2は、脳卒中看護に関わる看護師91名に質問紙調査を実施した。看護師は未破裂脳動脈瘤の発見を良い傾向と認識し、自然経過観察患者の「心理的サポート」「生活改善」に関心が高いことが分かった。結果より、看護師と患者の認識には若干の乖離を認めた。今後は看護プログラムの個別化や医療と患者のつながりを維持するシステムの検討が示唆された。
著者
福田 栄紀 須山 哲男 澁谷 幸憲 八木 隆徳 目黒 良平
出版者
日本草地学会
雑誌
日本草地学会誌 (ISSN:04475933)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.132-140, 2009-07-15

放牧牛がチシマザサ(以下、ササとする)優占植生中のスギ稚樹の生残に及ぼす影響を調べた。放牧共用林野内のスギ人工林に隣接するブナ林の空隙地に、禁牧区と放牧区を設定し、両区で放牧牛がササの生育、およびスギ稚樹の光環境、生残と樹高伸長に及ぼす影響を5年間比較した。禁牧区では、ササの被度と高さは急増して相対光量子束密度は低下し、スギ稚樹の生存率は禁牧3年目で急減した。一方、放牧区では、ササは採食されて生育が抑制されたため、良好な光環境が維持され、スギ稚樹の生存率と樹高伸長量は相対的に高く保たれた。放牧牛によるスギ稚樹の採食は稀で、踏圧や排糞による影響も軽微であった。放牧牛はササに対しては撹乱要因として作用したが、スギ稚樹に対しては作用しなかったため、ササに対する選択的生物撹乱要因と言える。スギの更新の成否は、ササが同所的に分布するブナ林床では、放牧牛の採食圧に強く依存する。