著者
丸山 浩司 吉野 徹 鍵 裕之
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.306, 2011 (Released:2011-09-01)

非晶質炭酸カルシウム(ACC)はCaCO3・nH2Oと表される準安定な物質である。n値(含水量)によって、加熱によるACC結晶化の際の結晶化温度が異なることが報告されている。本研究では、圧力によってACCが結晶化する可能性に着目し、ACCの加圧実験を行った。また、真空乾燥にACCの含水量を制御できる可能性についても併せて検討した。ACCは、氷浴した0.1 M CaCl2水溶液と0.1 M Na2CO3水溶液を用いて合成した。乾燥には到達圧力の異なる2種類の真空ポンプを用いた。TG-DTAにより、これらの含水量はそれぞれn=1.49およびn=0.60であり、有意に異なることが分かった。それぞれのACCを0.08-0.8 GPaの範囲で加圧し、XRDおよびIRで測定したところ、ACCの圧力誘起結晶化が初めて観測された。この結晶はカルサイトおよびファーテライトであり、圧力によって多形比が変化することが分かった。また、含水量によりACCの結晶化圧力および多形比が異なることも分かった。
著者
西浦 郁絵 中野 智津子 能川 ケイ 藤原 智恵子 丸山 浩枝 服部 素子 小西 真千子 井上 由紀子
出版者
神戸市看護大学短期大学部
雑誌
紀要 (ISSN:13428209)
巻号頁・発行日
no.24, pp.91-99, 2005-03

本学は少子高齢化社会の進展を背景に、神戸市立看護専門学校を前身として、1981年4月に兵庫県下初の看護学単科の公立短期大学として関学した。その後、看護大学の開学に伴い、神戸市看護大学短期大学部へと名称変更し、第2看護学科の廃止、看護学科の定員減少をへて、平成17年3月に閉学を迎えるに至った。1993年以降卒業生を対象とした動向調査は行われていない。そこで、閉学を迎えるにあたり本学で学んだ閉学時までの全卒業を対象に調査しその動向を把握し、専門職者としての自立とキャリアアップについて本学の果たした社会的役割や貢献を明らかにするために2004年の8月から9月にかけて2593名の卒業生を対象に、アンケート調査を実施した。本報ではその結果の中から有効回答数668名の卒業生の動向および就業状況について明らかにした。
著者
岩澤 聡子 道川 武紘 中野 真規子 西脇 祐司 坪井 樹 田中 茂 上村 隆元 MILOJEVIC Ai 中島 宏 武林 亨 森川 昭廣 丸山 浩一 工藤 翔二 内山 巌雄 大前 和幸
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.39-43, 2010

<b>目的</b> 2000年 6 月に三宅島雄山が噴火し,二酸化硫黄(SO<sub>2</sub>)を主とする火山ガス放出のため同年 9 月に全住民に島外避難命令が出された。火山ガス放出が続く中,火山ガスに関する健康リスクコミュニケーションが実施され,2005年 2 月に避難命令は解除された。本研究では,帰島後 1 年 9 か月経過した時点における,SO<sub>2</sub> 濃度と小児の呼吸器影響の関連について,2006年 2 月から11月の 9 か月間の変化を検討した。<br/><b>方法</b> 健診対象者は2006年11月時点で,三宅島に住民票登録のある19歳未満の住民を対象とした。そのうち,受診者は,141人(受診率50.4%)で,33人は高感受性者(気管支喘息などの気道過敏性のある呼吸器系疾患を持つ人あるいはその既往のあり,二酸化硫黄に対し高い感受性である人)と判定された。<br/> 健康影響は,米国胸部疾患学会の標準化質問票に準拠した日本語版の自記式質問票により,呼吸器に関する自覚症状調査,生活習慣,現病歴,既往歴等の情報を収集した。努力性肺活量検査は,練習の後,1 被験者あたり 3 回本番の測定を実施した。<br/> 環境濃度は,既存の地区名を一義的な括りとし,当該地区の固定観測点での SO<sub>2</sub> モニタリングデータをもとに,避難指示解除より健診までの22か月間のデータについて,その平均値により居住地域を低濃度地区(Area L),比較的曝露濃度の高い 3 地域(H-1, H-2, H-3)と定義し,SO<sub>2</sub> 濃度(ppm)はそれぞれ0.019, 0.026, 0.032, 0.045であった。<br/><b>結果</b> 自覚症状では,「のど」,「目」,「皮膚」の刺激や痛みの増加が,Area L と比較すると,H-3 で有意に訴え率が高かった。呼吸機能検査では,2006年 2 月と2006年11月のデータの比較において,高感受性者では%FVC,%FEV1 で有意に低下(<i>P</i>=0.047, 0.027)していたが,普通感受性者では低下は認めなかった。<br/><b>結論</b> 高感受性者では呼吸機能発達への影響の可能性も考えられ,注目して追跡観察していくべきである。
著者
丸山 浩明 宮岡 邦任 仁平 尊明 吉田 圭一郎
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

ブラジルの南パンタナールを研究対象に,住民が世代を越えて継承してきた湿地管理のワイズユース(wise use,賢明な利用)を発掘し,その有効性を検証した。パンタナールでは,雨季にアロンバード(自然堤防の破堤部)から内陸部へと水を引き込み,水位が低下する乾季にはアロンバードを閉鎖して浸水域を消失させることで,木本種の侵入による草地の森林化に向かう植物遷移を抑制し,良質な天然草地の維持・形成を実現してきたことが明らかになった。
著者
二宮 啓子 内 正子 辻 佐恵子 丸山 浩枝 庄司 靖枝
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

家族参加を強化した学童の生活習慣改善のための一年間の介入プログラムを行い、その効果を明らかにした。参加者は22組の親子であった。介入直後の変化としては、22名中17名の子どもに改善した生活習慣があり、自己管理能力が高まっていた。7家族では、子どもと親の生活習慣の管理に対する意識が高まり、行動変容が見られた。また、介入前、直後、1年後の3時点の調査結果が得られた10組中4組の子どもは介入直後に生活習慣や肥満度が改善し1年後もそれを維持できていた。5組は介入直後に改善したが、介入1年後にはそれを維持できていなかった。1組は改善しなかった。
著者
二宮 啓子 丸山 浩枝 宮内 環 岡崎 裕子
出版者
神戸市看護大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

生活習慣に関連した健康障害をもつ学童と親に自己管理技術を高める1年間の看護介入プログラムを実施し、学童の生活習慣に関する認識・行動・肥満度の改善への効果について検討することを目的に研究を行った。小学1〜6年生37名(男子17名、女子20名)と母親を対象に、子どもにはプログラム前後に自己効力感とソーシャルサポートの質問紙調査、健康状態の認識、日常生活行動に関する面接調査を行った。一方、親にはプログラム前後に健康の定義、健康状態の認識、日常生活行動に関する面接、または質問紙調査を行った。介入方法としては、面接調査時に自作のパンフレットを用いて生活改善の方法を指導した。その後、月1回放課後に2時間の生活改善プログラムを10回実施した。その結果、肥満度は介入1カ月後に有意に減少していた(t=4.09,p<0.001)が、その後上昇し、プログラム終了時には有意差は見られなかった。プログラム前後では、やせ1→0名、標準20→24名、軽度肥満9→5名、中等度肥満5→7名、高度月満2→1名に変化していた。自己効力感は、プログラム後に有意な増加は見られなかった。ソーシャルサポートは、親の得点がプログラム後に有意に増加する傾向が見られた(Z=-1.64,P=0.10)。プログラムの子どもへの効果として、「運動するようになった」「食事・おやつの量が減った」「栄養のバランスがよくなった」等の運動、食事行動の変化、「走ってもしんどくなくなった」「体重が減った」等の身体の変化、「低カロリーのおやつを選択」「体重測定をする」「自分の食べる量が分かる」「運動と食事のカロリー消費との関係を考える」等の健康の自己管理の認識の変化、「前向きになった」「決めた目標に向かって張れた」等の自己効力感の変化に加え、「親子の会話が増えた」が抽出された。本プログラムは肥満度の改善に対する短期・長期効果があると言えよう。
著者
花田 剛士 喜久村 力 児玉 清幸 橋本 成世 金沢 光隆 北川 敦志 須田 利美 前田 和茂 丸山 浩一
出版者
一般社団法人 日本医学物理学会
雑誌
医学物理 : 日本医学物理学会機関誌 = Japanese journal of medical physics : an official journal of Japan Society of Medical Physics (ISSN:13455354)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.1-12, 2006-03-31
参考文献数
14
被引用文献数
1

Heavy ion therapy using the energetic <SUP>12</SUP>C beam is successfully under way at HIMAC, Japan. The method is more advantageous than traditional radiation therapy in dose concentration owing to the Bragg peak and high relative biological effectiveness. A research study using the <SUP>11</SUP>C beam for heavy ion therapy in the future has been carried out in order to develop the capability of monitoring the dose distribution. Our group has examined the total energy absorption spectrum of the <SUP>11</SUP>C beam in a plastic scintillator. We could clearly observe the total absorption peak of <SUP>11</SUP>C in the energy spectrum and, in addition, we found a broad bump structure was associated with the peak. The bump area occupies 37% of the total spectrum and it probably affects the dose calculation for an accurate treatment planning. We elucidated the mechanism that leads to the structure of the total energy absorption spectra given by <SUP>11</SUP>C and <SUP>12</SUP>C in a block of plastic scintillator. This paper describes the method in detail and gives experimental analysis results which deal with the bump structure. We could explain the bump structure using the energy spectra caused by the fragmentation reactions.