- 著者
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唐沢 豊
久保田 徹
- 出版者
- 信州大学農学部
- 雑誌
- 信州大学農学部紀要 (ISSN:05830621)
- 巻号頁・発行日
- vol.23, no.2, pp.p79-86, 1986-12
本研究は,ニワトリヒナに給与する大豆粕飼料の大豆粕を酵母で全量置換することが可能かどうかについて検討した。実験に供試した酵母はA,B,C(粗蛋白質含量はそれぞれ57.1,48.5および55.3%)の三種で,対照飼料の蛋白質源は大豆粕とし,全飼料のCPは21.3%,必須アミノ酸組成はNRC飼養標準を満足するようアミノ酸を添加して補正した。その結果,酵母飼料は全て0.563%のプリンを含有した。飼料摂取量とME摂取量は,A,B両区とも対照区と差がなく,ME/GE比はA,B両区とも対照区より有意に低くなった(P<0.05)。体重増加量と飼料効率はA区は対照区と等しく,B区は対照区より高くなった(P<0.05)。これに対しC区の飼料摂取量,ME摂取量,体重増加量は,対照区より低くなる傾向があった。しかしC区の飼料効率とME/GE比は対照区とほぼ等しかった。窒素摂取量,総窒素排泄量ともに対照区と比べA区とB区で高く,C区で低い傾向が認められた。尿酸窒素の排泄量は,対照区と比べ各区とも低くC区との間に有意差が認められた(P<0.05)。総排泄窒素中の尿酸窒素の割合は,各区とも対照区より有意に低く(P<0.05),A区では特に対照区の半分以下であった。摂取窒素の尿酸窒素への転換率は,同様に各区で対照区より低かった(A区,C区,P<0.05)。しkしながら,摂取窒素の利用率は対照区と各区の間に有意差は認められなかった。以上の結果から,供試した酵母AとBは,ヒナの飼料蛋白質源として大豆数と同等かそれ以上の栄養価を持つものと考えられる。またこれらの酵母は,尿酸生成を抑制する作用を持っていることが示唆された。