著者
安岡 義人 紫野 正人 二宮 洋 近松 一朗
出版者
日本小児耳鼻咽喉科学会
雑誌
小児耳鼻咽喉科 (ISSN:09195858)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.268-273, 2016 (Released:2017-03-23)
参考文献数
13

小児の反復する難治性嚥下性肺炎予防のための誤嚥防止術には種々の術式がある。喉頭気管分離術は気管食道吻合術と共に,小児の誤嚥防止術として最も広く普及し施行されている術式である。筆者らは気管を切断せず,気管前壁のU字気管弁を後方に折り曲げ気管後壁と側壁に縫合して気管閉鎖する喉頭気管分離術(気管弁法)を開発し施行している。 気管弁法は低侵襲で簡便なため本人・家族が受け入れやすく,術後の管理が容易で気管孔が安定しているなどの利点がある。今回,気管弁法の術式の改良を行い,小児,成人,気管切開後にも適応を拡大し,喉頭気管瘻や気管腕頭動脈瘻のリスクも軽減させることのできる応用範囲の広い術式とした。さらに,誤嚥防止術の枠を超え,嚥下機能改善や,食道–喉頭シャントにより声帯発声が展望できる術式を目指している。
著者
北川 誠子 藤井 哲英 二宮 洋子 河口 豊 平田 早苗 東田 志乃 寺田 喜平
出版者
一般社団法人 日本環境感染学会
雑誌
日本環境感染学会誌 (ISSN:1882532X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.418-421, 2015 (Released:2016-01-26)
参考文献数
10

調理従事者からのノロウイルス感染集団発生は,特に病院などでは注意が必要である.病院調理従事者のべ370便検体について,イムノクロマト法による迅速抗原検査を実施した.またその1ヶ月以内に本人で嘔吐下痢症状のあった職員および陽性者はリアルタイムPCRで測定した.その結果,迅速抗原検査の陽性者はいなかったが,リアルタイムPCR法で2/44名が陽性であり,陰性化するまで1ヶ月以上かかった.迅速抗原検査法は簡便であるが,無症状の健康成人に対するスクリーニング検査では漏れのある可能性を示した.スクリーニングよりも現場で手指衛生の教育や徹底が重要である.
著者
大場 堂信 赤沢 佳代子 二宮 洋介 桐野 晃教 明丸 倫子 石本 智子 戸野 早由利 中村 輝夫 片岡 正俊 篠原 啓之 木戸 淳一 永田 俊彦
出版者
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.307-313, 2000-12-28 (Released:2010-08-25)
参考文献数
19
被引用文献数
3 3

わが国で腎不全により人工透析を受けている患者は現在約18万人いると言われている。透析処置では腎臓のすべての機能を補うことはできず, 例えばエリスロポエチンの産生やビタミンD3の活性化といった生体にとって重要な反応が行われなくなる。これらの腎機能障害に由来した骨病変は透析患者にみられる主要な副作用の一つである。著者らは人工透析処置を受けている慢性腎不全患者は歯周病に対する感受性の高い集団ではないかと考え, その関連を追求するために透析患者38名の歯周組織診査を行った。対照群として同年代の健常者42名を選び, 同様の歯周組織診査を行った。CPITN (歯周治療必要度指数) を調べた結果, 透析患者群は対照群より高い値を示した (2.4±0.1 vs. 1.9±0.1; p<0.05)。CI-S (簡略化歯石指数) では, 2群間に有意差は認められなかった。欠損歯数では, 透析群の方が2.2倍多かった (6.1±1.3 vs. 2.8±0.8; p<0.05)。次に, 透析期間の違いによって患者を4グループに分けて分析したところ, 指標値に差は認められなかった。また, 透析患者の血中PTH (副甲状腺ホルモン) 濃度と歯槽骨レベルならびにCPITNとの相関を調べたが, 有意な相関は見い出せなかった。一方, 透析患者38名のうち7名が糖尿病由来で人工透析に至った患者 (糖尿病性腎症) であり, これらの患者のほとんどに重度の歯周炎が認められ, 残り31名の透析患者と比較すると, 欠損歯数の増加 (15.9±3.6 vs. 3.9±1.1; p<0.05) および歯槽骨レベル (%) の低下 (58±60 vs. 79±1; p<0.05) が認められた。さらに, 糖尿病性腎症以外の透析患者31名と対照群とを比較した場合, CPITNにおいて有意差が認められ (2.3±0.1 vs. 1.9±0.1; p<0.05), 糖尿病性腎症を除いた透析患者においても健常者より歯周病罹患度が高いことが示された。以上の結果から, 人工透析処置を受けている慢性腎不全患者の歯周病罹患度は健常人より高く, 慢性腎不全が歯周病のリスクファクターになりうる可能性が示唆されるとともに, 人工透析処置を受けている糖尿病性腎症患者はそれ以外の疾患由来の患者よりも重度の歯周病を有する傾向が強いことが示された。
著者
二宮 洋輔
出版者
美学会
雑誌
美学 (ISSN:05200962)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.107-118, 2013-06-30 (Released:2017-05-22)

This paper attempts to reveal the relevance between the composition of Pembroke Family Portrait (which has been emphasized on the influence of the Venetian paintings, especially the history paintings of Titian) and its subject of marriage in the context of the court masques. Beholder's eyes are led from cupids to Charles and Mary, and then, to the huge coat of Arms of the Earl of Pembroke. This is a visualization of prosperity of the family through their marriage, and it corresponds to the typical subjects of masques: prosperity of Britain through the love of King and Queen. Therefore, this work can be seen as the response of the Pembroke (he was "Lord Chamberlain" who takes charge of playing the court masques) to the norms which masques advocated as "the mirrors of man's life". In addition, the temple-like building in this work resembles the stage design of masques which frequently used in the scene of "order" gained through the overcoming of "chaos". This synopsis tallies with the circumstances of this marriage: its main purpose was to resolve the confrontation between William, 3^<rd> Earl of Pembroke and the Duke of Buckingham. From the above, this work recalls not only the Venetian paintings, but narrative or stage effects of the court masques.
著者
山元 敬之 二宮 洋 浅井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題
巻号頁・発行日
vol.96, no.434, pp.131-137, 1996-12-19

本研究では,立体パズルをニューラルネットワークを用いて解くアルゴリズムを提案する.ここで,立体パズルとは,形の異なる複数のブロックをあらかじめ定められた直方体に組み合わせる問題である.本報告では,平面パズルを解く手法として提案されたタイリングアルゴリズムを拡張,応用する事を考える.タイリング問題とは,有限の升目上に隙間なくポリオミノを敷き詰めていく問題である.はじめに従来のタイリングアルゴリズムについて検討する.次に我々は,これまでのタイリングアルゴリズムで使用されたエネルギー関数を,立体パズルを形成する個々の立体ブロックの重複度や接触度を定式化したエネルギー関数に修正する.最終的に,このエネルギー関数を用いたアナログニューラルネットワークに基づく立体パズルの解法を提案する.
著者
二宮 洋
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.J93-A, no.12, pp.828-832, 2010-12-01

本研究では準ニュートン法に基づくニューラルネットワークの新たな学習法を提案する.従来,準ニュートン法はこう配法に基づく強力な収束特性をもつバッチ学習法であった.近年,大規模なデータを扱う問題への応用としてオンライン準ニュートン法が提案された.本研究ではオンライン準ニュートン法の学習データの与え方を改良することで,準ニュートン法の収束特性を向上させた学習法を提案する.
著者
中山 武司 二宮 洋 浅井 秀樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CAS, 回路とシステム
巻号頁・発行日
vol.95, no.482, pp.31-38, 1996-01-25

タイリング問題とは有限の升目上に隙間なくポリオミノを敷き詰めていく典型的なNP-complete問題である. 本研究ではm×nの升目上に, 異なる形のι個のポリオミノを敷き詰めることを考える. はじめに, 我々が以前提案した接触検出関数を用いたタイリングアルゴリズムについてぶれる. 次に, その手法について異なる四つのアルゴリズムを提案し比較検討する. そして, このアルゴリズムの適用例を挙げ有効性を示す.