著者
井上 達夫
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
no.2005, pp.58-70,198, 2006

The present paper reconstructs the idea of rule of law as a response to the persistence of human conflicts and defends it against the criticism that it hides and speciously rationalizes the rule of men. It is pointed out that Hobbes, who correctly rejected Coke's perception of rule of law as a groundless defense of social tyranny of feudal powers including religious forces, provided a deep insight into the problem of human conflicts which even the Hobbesian social contract cannot overcome. This insight is developed by arguing that the establishment of the state as a collective decision making system and enforcement mechanism cannot prevent the persistent human con-flicts from degenerating into the violent clashes in the state of nature unless the state's power structure is subjected to the governance of the principles which enables the losers of the strife in political decision making process to accept its outcomes as something beyond the victor's justice and pay deference to the winners. The rule of law is reinterpreted and defended as constituting the governance of such principles. This implies that the rule of law constitutes the conditions of the legitimacy of law as distinguished form its rightness. A further elaboration of this point is given by showing that Jeremy Waldron's normative-positivist defense of the dignity of democratic legislation as a response to “the circumstances of politics” helps to clarify the distinction between the legitimacy and rightness of law although it fails to solve the question of what constitutes the conditions of legitimacy. It is concluded that an adequate answer to this question is provided by the “strong structural interpretation” of rule of law. The rule of law on this interpretation protects the proto-right to justice-review of the outcomes of constitutional as well as legislative strife and subjects them to the test of the universalizable and reversible justification which underlies competing conceptions of justice as their common conceptual core.
著者
井上 達志 菰田 俊一 千葉 絵理
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本トキシコロジー学会学術年会 第36回日本トキシコロジー学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.3022, 2009 (Released:2009-07-17)

メラミンおよびシアヌル酸は単独では毒性は低いが、両者が体内に同時に存在すると毒性が高くなる可能性がある。そこで、マウスにメラミン(M)およびシアヌル酸(C)の単独、等量交互、等量混合の経口連続強制投与試験を行い、メラミンとシアヌル酸の相互作用による急性毒性について検討した。 C3N/HeNマウス20頭を対照区、M単独区、C単独区、MC交互区およびMC混合区に分け(n=4)代謝装置内で単飼した。それぞれの日投与量はいずれの区も合計12mg(300mg/kgbw)を生食1.2mlに懸濁させ(対照区は生食のみ)、11時から2時間おきに4回に分け7日間連続行った。これらの投与前後の2時間は絶食絶水とした。摂水量と排尿量は対照区、M単独区およびC単独区では大差なかったが、MC混合区では対照区の約2倍量となり(p<0.05)、MC交互区では1日後の量は多かったものの、その後急激に低下し4日後ではほぼ尿閉となった。また、MC交互区および混合区では腎重量が対照区、M単独区およびC単独区に比べ有意に重く(p<0.05)、BUNでは405mg/dlと、MC混合区の147 mg/dlあるいは正常範囲以内の他区に比べて上昇していた(p<0.01)。同様にCREではMC交互区が2.60 mg/dl、MC混合区が1.08 mg/dlと他区に比べて高く(p<0.01)、これらの区においては腎不全が示唆された。肝重量では全区とも大差なかったが、GOTはMC交互区では181U/Lと他区に比べ軽度の上昇が見られた(p<0.05)。また、腎組織像では、M単独区およびC単独区では正常であったが、MC交互区およびMC混合区では組織の壊死が認められ、MC混合区ではより高度であった。さらに、これらの区では組織内に茶褐色のメラミンシアヌレートと考えられる結晶の散在が認められ、これらは蛍光顕微鏡下では緑色蛍光として観察された。
著者
井上 達夫
出版者
日本法哲学会
雑誌
法哲学年報 (ISSN:03872890)
巻号頁・発行日
vol.1989, pp.6-23, 1990-08-25 (Released:2008-11-17)
参考文献数
23
著者
武田 志乃 小久保 年章 小西 輝昭 酢屋 徳啓 及川 将一 鈴木 享子 寺田 靖子 早尾 辰雄 井上 達也 西村 まゆみ 島田 義也
出版者
日本毒性学会
雑誌
日本毒性学会学術年会 第39回日本毒性学会学術年会
巻号頁・発行日
pp.P-150, 2012 (Released:2012-11-24)

【はじめに】原子力発電で利用されるウランは腎毒性物質として知られている。原発事故をはじめ、劣化ウラン弾汚染や原子力資源獲得競争による環境負荷の懸念などを背景に、ウランの毒性影響に関心がもたれ、放射線防護の観点から早急な対応が求められている。これまで我々は、標的臓器である腎臓のウランの挙動を調べ、ウランが近位直尿細管に選択的に蓄積し、組織損傷を引き起こしていることを示してきた。本研究では、微小ビームを用いたウラン局在量解析により、毒性発現および尿細管再生期における尿細管におけるウラン局在を調べた。【実験】動物の処置:Wistar系雄性ラット(10週齢)に酢酸ウラン(天然型)を背部皮下に一回投与(0.5 mg/kg)した。ウランの分析:腎臓中ウラン濃度は誘導結合プラズマ質量分析により測定した。腎臓内ウラン分布および局所量の解析は高エネルギー領域シンクロトロン放射光蛍光X線分析(SR-XRF)により調べた。下流部位近位尿細管の検出:SR-XRF測定試料の隣接切片について下流部位近位尿細管に特異的に存在するグルタミンシンターゼの免疫染色を行った。組織影響観察: TUNELおよびPAS染色した。【結果および考察】投与1日目ウランは下流部位近位尿細管に分布した。管腔側の刷子縁へのウラン沈着は認められず、尿細管上皮には腎臓平均ウラン濃度の50倍程度のウラン濃集部位が検出された。投与8日目では下流部位近位尿細管上皮の脱落が観察されたが、15日目になるとダメージ部位には再生尿細管が出現した。15日目の腎臓平均ウラン濃度は1日目の12%に減衰した。尿細管上皮のウラン濃集部位は減少したが、数ミクロン四方程度の微小領域に1日目と同等のウラン局所量の部位も検出された。このようなウラン濃集がばく露後どの程度持続するのか、今後明らかにする必要があると考えられた。
著者
井上達夫編
出版者
ナカニシヤ出版
巻号頁・発行日
2014
著者
北居 明 山田 幸三 伊藤 博之 河合 篤男 吉村 典久 井上 達彦 石川 敬之
出版者
大阪府立大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

前年度の研究成果を踏まえ、中部地方を中心に蔵元へのヒアリング調査を行った。また、丹波杜氏記念館へのヒアリング調査も併せて行った。研究者グループが全員集合した研究会を、神戸大学と大阪府立大学中之島キャンパスで計2回行った。中之島キャンパスの研究会では、静岡県立大学の尹大栄准教授を研究会に招聘し、静岡県における酒造りについて研究発表をお願いした。このような研究活動の結果、まず杜氏と蔵元の関係の地域ごとの違いが明らかになった。桶買いが主な製造方法となった灘においては、主な杜氏供給元であった丹波は徐々に杜氏の数を減らして行き、平均年齢も高くなっていることがわかった。また、蔵元へのヒアリング調査からは、桶売り依存度が高い蔵元は、衰退する傾向があることも明らかになった。一方、蔵元の地域にこだわらない杜氏供給によって、南部杜氏は杜氏の数をあまり減らしておらず、若い杜氏も育ちつつあることがわかった。また、杜氏も、複数の蔵元を経験しつつ、ある蔵元での在籍期間が長い方が品評会で高い評価を受けることが明らかになった。その一方で、独自の酵母や発酵技術の開発により、杜氏を用いない蔵元も出現しつつあることが明らかになった。前述の尹准教授による静岡における酒造産業の研究からは、近年独自の酒造りによって品評会で高い評価を受けたり、国内での売上を伸ばしつつある蔵元には、このような蔵元が多いことも示唆された。このように、日本酒産業全体の衰退の中で、伝統的な事業システムである杜氏と蔵元の関係は、近年変貌を遂げつつあり、このような変化が次世代の酒造りに対しても、杜氏への依存度が低い事業システムへの圧力となりうることが予想される。
著者
上原 拓也 井上 達雄
出版者
社団法人日本材料学会
雑誌
材料 (ISSN:05145163)
巻号頁・発行日
vol.44, no.498, pp.309-315, 1995-03-15
被引用文献数
1 9

The quenching process of a Japanese sword is simulated by a CAE system "HEARTS" developed by one of the authors. The system is available to consider the coupling effect among metallurgical change due to phase transformation, temperature and inelastic stress/strain. In the quenching process of the Japanese sword, a special kind of clay is pasted on the surface to control the heat transfer coefficient between metal and water. The dependence of the coefficient on the thickness of clay and also the surface temperature is experimentally evaluated first by using a cylindrical rod of silver. The results show a relatively higher value with thin-pasted clay than that without clay at a high temperature range. The data are then applied to simulate the variation of temperature coupled with the structural change from austenite to martensite and pearlite as well as the variation of stress. It gives an attractive result that the sword is bent two times to the direction opposite to the normal shape due to the complicated time difference between martensitic and pearlitic transformation and thermal contraction. The simulated results of residual stress distributions are compared with the measured data by X-ray diffraction technique.