著者
川嶋 太郎 当麻 美樹 高岡 諒 佐野 秀 高橋 晃 伊藤 岳 小野 雄一郎 小野 真義 馬越 健介
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.267-272, 2014-07-20 (Released:2014-07-20)
参考文献数
11

びまん性特発性骨増殖症(diffuse idiopathic hyperostosis:DISH)にともなう腰椎骨折が原因で腰動脈損傷を生じ,大量後腹膜出血より腹部コンパートメント症候群(abdominal compartment syndrome:ACS)をきたした1例を報告する. 症例は77歳男性,歩行中の転倒による腰痛で近医受診後転院となった.造影CTで第2腰椎椎体の水平骨折とDISHによる骨増殖部の直接損傷と思われる腰動脈損傷,大量後腹膜出血を認めた.直ちに経カテーテル動脈塞栓術(transcatheter arterial embolization:TAE)を施行したが,膀胱内圧の上昇(39mmHg)に加え呼吸循環障害も出現しACSを合併した.緊急減圧開腹術後にsilo+vacuum packing closureによるopen abdomen managementを施行しACSを解除した.その後,観血的腰椎後方固定術を行い,神経学的後遺症を残すことなく72病日に軽快転院となった.
著者
籠谷 公司 西川 賢 廣野 美和 楠 綾子 伊藤 岳
出版者
中央大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2023-04-01

外交的抗議は軍事的行動や経済制裁とは異なり、標的国の国民に物理的な損害を与えない。しかし、安全保障政策が顕著な争点である限り、外国からの否定的な声明でさえも標的国の国民の間に愛国心を引き起こすかもしれない。自国の国益と相手国の対外政策が相反する場合、抗議をしなければ事態の更なる悪化を招き、抗議をすれば相手国内の反発や相手国からの強硬策を招いてしまう。それゆえ、外交的抗議のジレンマが存在する。こうした学術的背景を踏まえ、本研究では「いかなる場合に外交的非難がラリー現象を引き起こし、国家間の緊張を高めるのか」という学術的問いの答えを探す中で、外交的抗議のジレンマの解決策を探る。
著者
小野 雄一郎 小野 真義 伊藤 岳 佐野 秀 宮本 哲也 当麻 美樹
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.253-256, 2013-04-01 (Released:2013-05-14)
参考文献数
11

インフルエンザA/H1N1pdm09による重症病態は数多く報告されている。インフルエンザ感染に劇症型A群溶連菌感染症,血球貪食症候群を併発した1例を報告する。症例は24歳の男性。高熱,意識障害で前医を受診,精査の結果,インフルエンザ感染による多臓器障害と診断され,当院に紹介搬送となった。来院時,呼吸不全・循環不全を呈しており,心機能の著明な低下も認めたため,人工呼吸器管理,補助循環を導入した。また,臨床所見から血球貪食症候群を併発していると判断し,免疫抑制療法や血漿交換を施行したが,溶連菌菌血症も併発し,救命することができなかった。死後の骨髄検体で血球貪食像や溶連菌の組織浸潤を認めた。インフルエンザは日常診療でしばしば遭遇する疾患であるが,ときに致死的な合併症をひき起こすため,注意すべきである。
著者
窪田 悠一 原田 勝孝 伊藤 岳
出版者
日本大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

本研究は、歴史事象の現代社会における影響を考察の対象とし、超長期的因果関係の分析 に基づく新たな実証的社会科学研究を提唱することを目的とする。特にここでは、戊辰戦 争における戦闘や暴力の遺産が現代日本政治経済に与える影響について実証データを収集 しながら考察する。この目的のために本研究では、a) 戊辰戦争における戦闘・暴力の発生 メカニズムの解明、b) そうした政治暴力と現代市民の政治意識・行動、また経済活動の関 係性の分析を行う。
著者
大谷 美奈子 小野 雄一郎 伊藤 岳 垣尾 尚美 兵頭 純子 松本 敏明 高岡 諒 当麻 美樹
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.4, pp.497-503, 2014-08-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
13
被引用文献数
2

目的:バンコマイシン塩酸塩(VCM)の治療効果と副作用発現は血中濃度と相関しており,治療薬物モニタリング(TDM)が重要である。当院でも以前からTDMを実施していたが,抗菌薬適正使用を目的として,薬剤師が積極的に介入する投与プロトコルを作成し,今回その有用性を検討した。方法:プロトコル運用前にVCMを投与された45症例(非介入群)と運用後に投与された43 症例(介入群)の2 群間の比較検討を行った。結果:初回ローディング実施率は介入前後で50.0%から92.7%へと上昇,初回トラフ値が目標内であった割合は非介入群に比べ,介入群で有意に上昇していた。結論:介入群ではより適切なTDMが実施できており,プロトコルは有用であるといえる。適切な抗菌化学療法の実施は,医師のみならず,薬剤師の積極的な介入が必要であり,その結果,良好な臨床成績につながる可能性がある。
著者
鈴木 達也 岩堀 裕介 水谷 仁一 竹中 裕人 大家 紫 清水 俊介 矢澤 浩成 花村 浩克 筒井 求 伊藤 岳史
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.48, 2011

【目的】投球動作による肩・肘障害の原因として,オーバーユース,コンディショニングの不良,不良な投球フォームなどがあげられる.我々は第7回肩の運動機能研究会において,wind-up phase(以下WU)での体幹後方傾斜と肘下がりとの関係を調査し,WUでの体幹後方傾斜とearly-cocking phase(以下EC)での肘下がりとの関係は示唆されたが,late-cocking phase(以下LC)での肘下がりとの関係は見られなかったことを報告した.今回,WUで体幹後方傾斜を認める選手に対し,その場で投球フォーム指導を行い体幹後方傾斜を修正し,投球フォームが即時的に変化するのかどうかを調査したので報告する.〈BR〉【対象】対象は,メディカルチェックを行い本研究に賛同し同意を得た肩・肘に愁訴のない中学生野球選手27名(平均年齢13.30±0.61歳)の中から,明らかにWUで体幹後方傾斜を認めた選手(以下WU体幹後方傾斜群)11名である.なお,11名は全員右投げである.〈BR〉【方法】方法は,CASIO社製デジタルカメラEX-FH25を用い,前方,側方,後方の3方向からハイスピードモードの動画で撮影した.frame rateは240fpsとし,18m先の相手に対し,セットポジションから全力投球で3球投げさせ(撮影1),デジタルカメラの映像から複数人で評価し3球とも明らかにWUで後方傾斜が確認された選手をWU体幹後方傾斜群として抽出した.次に,WU体幹後方傾斜群に対し言語教示と実技によりWUの後方傾斜を修正した状態で撮影1と同様の撮影方法で投球フォームを撮影した(撮影2).撮影と同時にBushnell社製スピードガンスピードスターVで球速も測定し,もっとも速い1球を分析対象とした.投球フォームの分析は撮影1,撮影2とも動画を静止画にして行った.投球フォームの評価項目は(1)ECでの投球側股関節屈曲不足,(2)FPでの体幹後方傾斜,(3)FPでの投球側肘下がり,(4)LCでの投球側肘下がりの有無である.それぞれの基準は(1)右手が最も下がった時点で膝関節と股関節が同程度に屈曲していなければ投球側股関節屈曲不足あり,(2)FPで地面からの垂線に対し,体幹が後方に傾斜していれば体幹後方傾斜あり,(3)FPで両肩峰を結ぶ線よりも投球側肘関節が下がっていれば肘下がりあり,(4)LCで両肩峰を結ぶ線よりも投球側肘関節が下がっていれば肘下がりありとした.撮影1と撮影2の静止画を比較し,(1)から(4)の項目が変化したのかどうかを,i)変化なし,ii)改善,iii)改悪の3項目に分類し,投球フォームの変化を確認した.〈BR〉【結果】WU体幹後方傾斜群の投球フォームの特徴として(1)EC股関節屈曲不足ありが11名中7名(63.6%),なしが4名(36.4%),(2)FPの体幹後方傾斜ありが11名中4名(36.4%),なしが7名(63.6%),(3)FP肘下がりありが11名中8名(72.7%),なしが3名(27.3%)(4)LC肘下がりありが11名中6名(54.5%),なしが5名(45.5%),であった.撮影1の投球フォームと撮影2の投球フォームを比較したところ,(1)EC股関節屈曲不足ありが7名中,変化なし4名(57.1%),改善3名(42.9%),改悪0名(0.0%),(2)FPの体幹後方傾斜ありが4名中,変化なし0名(0.0%),改善4名(100.0%),改悪0名(0.0%),(3)FP肘下がりありが8名中,変化なし6名(75.0%),改善2名(25.0%),改悪0名(0.0%),(4)LC肘下がりありが6名中,変化なし5名(83.3%),改善1名(16.7%),改悪0名(0.0%)であった.〈BR〉【考察】今回の結果から,WUの体幹後方傾斜を即時的に修正することにより,FPでの体幹後方傾斜は100%改善できた.しかし,FPでの肘下がりは25%,LCでの肘下がりは16.7%しか改善できなかった.FP,LCでの肘下がりに関しては別のアプローチが必要であると考えられた.
著者
伊藤 岳史 岩堀 裕介 筒井 求 梶田 幸宏 花村 浩克
出版者
日本肩関節学会
雑誌
肩関節 (ISSN:09104461)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.598-601, 2017

16歳女性,ハンドボール選手.ハンドボール中に右肩水平外転肢位を強制され,右肩関節が亜脱臼した.その後,右肩脱臼不安感が持続するため当科受診した.外傷性肩関節前方不安定症と診断し,Bankart損傷とSLAP損傷および関節上腕靭帯上腕骨側剥離(HAGL)損傷の鏡視下修復術を行った.術後に腋窩神経固有支配領域の知覚低下と三角筋麻痺を確認し,針筋電図検査にて三角筋に脱神経電位を認めたため,術後3か月時に腋窩神経剥離術を行った.HAGL修復に用いた縫合糸が腋窩神経を貫通し結紮していた.糸を除去した上で神経剥離術を行った.神経症状は良好に改善し,再手術後6か月でハンドボールに完全復帰した.HAGL損傷の鏡視下修復術の際には腋窩神経損傷の危険性を念頭に置いて慎重に行う必要がある.
著者
水谷 仁一 伊藤 岳史 岩堀 裕介 竹中 裕人 鈴木 達也 大家 紫 清水 俊介 矢澤 浩成 太田 和義 花村 浩克 筒井 求
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.27, pp.87, 2011

【緒言】投球フォームと投球障害との関連についての報告は散見され,投球障害の治療として投球フォームの修正は再発予防の観点から重要である.しかし不良な投球フォームの修正は簡単ではなく,中には難渋する症例を経験する.このような症例は機能的な問題が不良な投球フォームの原因となっているだけではなく,投球フォームのイメージ自体やその想起,再現に問題がある可能性も考えられる.一般に脳内には運動プログラムが内部モデルとして存在し,運動を行う際にはその運動プログラムをもとに運動が実行されている.つまり,投球フォームを修正するには機能的な面からのみアプローチするだけではなく,投球フォームの内部モデルを投球イメージとして評価し修正する必要もあると思われる.しかし投球フォームのイメージについての報告は少ない.【目的】本研究の目的は,中学生野球選手における投球フォームのイメージを調査することである.【方法】対象は中学生軟式野球チームに所属し,身体に愁訴がなく,本研究の趣旨に賛同し同意の得られた10名で,平均年齢13.6±0.52歳,平均野球歴66±10.2ヶ月であった.ポジションの内訳は,投手1名,捕手2名,野手が7名で,全例右投げ右打ちである.<BR>方法は,十分なウォーミングアップのあと18m先の相手に対し全力投球を3球行わせBushnell社製スピードガンを用いて撮影と同時に球速を測定した.投球フォームの撮影はCASIO社製デジタルカメラEX-FH25を用い,側方,後方,前方の3方向からハイスピードモードで同時に行った.frame rateは240fpsとし,最も球速の速かった1球を分析対象とした.投球フォームはJobe分類を用いて5相に分類し,そのうち(1)Wind-Up phase (WP)の体幹傾斜,(2)Early-Cocking phase (EC)の投球側肘関節位置,(3)Late-Cocking phase (LC)の投球側肘関節位置を静止画にして評価した.それぞれの指標は(1)が地面からの垂線を基準線とし体幹の傾斜を確認,(2)(3)は両肩峰と投球側肘頭を結んだ線を基準線とした.<BR>運動イメージは,自分が運動を行っているような一人称的イメージと他者が運動を行っているのを見ているような三人称的イメージに大きく分類される事から,本研究では2種類の投球イメージの調査を行った.(実験1)言語教示により被検者の持つ投球イメージをWP,EC,LCの各位相で再現,静止させ,静止画で側方,後方,前方より同時に撮影した.分析は,上記の投球フォーム評価項目が実際の投球フォームと投球イメージで明らかに違いがあるものを違いありとして各位相でそれぞれ比較した.(実験2)実験1で分析対象とした位相にAcceleration phase(Ball Release)を加えた実際の投球フォームの静止画をAdobe photoshop CS4でシルエット化し,印刷した側方,後方,前方の各位相の画像を被検者の人数分提示し,自分の投球フォームがどれかを回答させ正答率を算出した.【結果】実際の投球フォームはWPでの体幹後方傾斜が7名(70%),ECでの投球側肘下がりが3名(30%),LCでの投球側肘下がりが6名(60%)であった.<BR> 実験1では明らかな違いがあったものが,WPの体幹傾斜で7名(70%),ECの肘関節位置で5名(50%),LCの肘関節位置では5名(50%)であった.投球イメージが実際の投球フォームより良好であったのはECで1名のみで,他はすべて実際の投球フォームより不良なフォームとなっていた.<BR>実験2では,シルエット化した投球フォームの正答率が側方20%,後方20%,前方20%であった.全方向で正しく選択できたものは0人で,2方向で正しく選択できたものが1名という結果であった. 【考察】本研究の結果から,実験1では投球イメージと実際の投球フォームに明らかな違いがみられ,さらに投球イメージのほうが実際の投球フォームよりも不良な投球フォームとなっている被検者が多くみられた.実験2においても全体的に正答率が低かった.これらのことから,本研究の被検者はいわゆる良好な投球イメージを元々有していないか,投球イメージを想起,再現する能力が十分でない可能性が考えられる.しかし個別で確認すると,実際の投球フォームに問題の見られなかった被検者は,実験1で2つの投球フォームに違いが少なく,実験2においても自分の投球フォームを2方向で正しく選択していた.このことから投球フォームが良好なものと不良なものとの投球イメージに違いがある可能性があり,調査,比較する必要があると思われた.その他に本研究に影響を与える因子として年齢や野球歴などが考えられるため,被検者数を増やすことや年代の幅を広げ調査する必要があると思われる.さらに投球フォームの分類はあくまで検者側に立ったものであり,選手自身が持っている投球イメージと異なっている可能性も考えられることから,投球フォームの位相を細かくするなどの工夫も必要だと考えられた.
著者
松田 哲也 伊藤 岳人 鈴木 春香 丸谷 俊之 松島 英介 小島 卓也
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.22, no.4, pp.257-261, 2011 (Released:2017-02-16)
参考文献数
21

統合失調症の思考障害について,意識的・無意識的な意思決定システム,構え,自己認知という観点から考察する。我々は課題遂行時,まだそれに慣れていないときには,意識的な思考システムが優位に働くが,繰り返し行うことで無意識的な思考システムに移行する。一方,環境に変化があったときはそのシステムを必要に応じて切り替える。スムーズな思考には,このような柔軟な思考システムの切り替えが必要なのである。この切り替えには,構えが重要な役割をもつ。構えは繰り返し課題を行う中で整理され,単純化されていく。これには,自己認知(セルフ・リフレクション)による,自分の思考,行動に対する評価からの正確なフィードバック信号が必要である。思考には,これらの機能が正確に働くことが必要であるが,統合失調症は,これら一連の思考過程の何らかの異常があることで思考障害が引き起こされている可能性があるのではないかと考えられる。
著者
那須野 薫 萩原 静厳 井上 綾香 伊藤 岳人 浜田 貴之 川上 登福 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.29, 2015

教材推薦において学習行動だけでなく学習項目の理解度を考慮することが重要である.しかし,近年注目を集めている大規模オンライン講座では利用教材の選択は学習者に委ねられるため,テストの結果から統一的,網羅的に理解度を評価することは難しい.本研究では,大規模オンライン講座において自分自身で適応的に利用教材を選択する学習者に着目し,ある教材を勉強した場合にその内容を十分理解できるか否かの予測を試みる.