著者
片瀬 一男 秋永 雄一 古賀 正義 木村 邦博
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

2003年11月から12月にかけて「教育と社会に対する高校生の意識:第5次調査」を実施した。そして、このデータをもとに分析を行い、2005年3月に報告書を作成した。報告書では、次のようなテーマをもとに、分析を行った。1.第1に、高校生の進路志望(教育・職業アスピレーション)や教育達成など教育をめぐる高校生の意識や実態をとりあげ、それがどのような要因に規定されているのか分析した。この分析においては、高校生の出身階層となる親の地位が、彼らの進路志望や教育達成に与える影響、さらには父母の結婚類型が子どもに及ぼす影響などが明らかになった。またフリーターの問題も、進路意識や規範意識(校則意識)との関連で扱った。くわえて、「アノミー型アスピレーション」という現代の高校生に特有の進路志望のあり方についても、それが形成されるメカニズムが明らかなった。2.第2に、高校生が現代社会をどのように認知し、また評価しているのかについて検討を加えた。ここでは、不公平感や学歴社会イメージ、性別役割意識といった高校生の社会意識が、家族や学校においてどのように形成されているのか分析を行った。3.第3に、この17年間の宮城県の高校教育の変容についても触れた。そして、いくつかの高校を事例として選んで、いわゆる「進路多様高」の成立経過や、仙台における女子教育の変容について時系列的な分析を行った。