著者
加野 芳正 矢野 智司 湯川 嘉津美 鳶野 克己 村上 光朗 古賀 正義 越智 康詞 松田 恵示 毛利 猛 櫻井 佳樹 西本 佳代
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008 (Released:2008-04-01)

マナーに関する理論研究と実証的研究を平行して進めてきた。その結果、以下のような知見が得られた。(1)法律や道徳と比較したときにマナーは独自の領域を構成している。(2)マナー(あるいは礼儀作法)は人と人を結びつけ、公共的な社会に参加していく上で不可欠なものである。(3)マナーは文明化や社会の近代化とともに私たちの社会に出現してきた。(4)日常生活におけるマナーとしては挨拶を重視する人が多い、また、家庭でのマナー教育に焦点を絞れば、食事の場面を重視する人が多い。(5)どのようなマナーが求められるかは、文化によって規定されている。
著者
加野 芳正 吉田 文 飯田 浩之 米澤 彰純 古賀 正義 堤 孝晃
出版者
香川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01 (Released:2014-04-04)

本研究は研究課題を達成するために、4つの作業を同時並行的に進めている。それらの作業は、(1)学会の歴史に関する資料の収集と整理と分析、(2)日本教育社会学会の先輩会員(教育社会学第2 世代)へのインタビュー調査、(3)学術的な課題による日本語論文集= 2巻の刊行、(4)英語による論文集の刊行、の4 つである。(1)学会の歴史に関する資料の収集と整理については、研究分担者の飯田浩之を座長として進めている。具体的な内容としては、保存資料の整理、保存資料のPDF化(アーカイブ化)、学会に関する基礎資料の整備、欠落している資料の補填、アーカイブ化した資料の保存・公開についての検討、アーカイブ化した資料の活用・分析、がある。(2)日本教育社会学会会員(教育社会学第2 世代)へのインタビュー調査については、研究分担者の吉田文を座長として進めた。これまで、柴野昌山、市川昭午、潮木守一,木原孝弘、神田道子、原田彰、柳治男にインタビューを実施した。(3)学術的な課題による日本語論文集= 2 巻の刊行については、研究分担者の古賀正義を座長として進めた。第1 巻は『教育社会学のフロンティアⅠ-学問としての展開と課題』(日本教育社会学会編 責任編集:本田由紀、中村高康)、第2 巻は『教育社会学のフロンティアⅡ-変容する社会と教育のゆくえ』(日本教育社会学会編 責任編集:稲垣恭子、内田良)である。両巻とも13 章からなり、これに「序論」と「まとめ」が加わる。2015年12月19日には執筆者が集まり、執筆内容についての検討会を行った。(4)英語による論文集の刊行については、研究分担者の米澤彰純を座長として進めている。タイトルは、Akiyoshi Yonezawa,Yuto Kitamura,Beverley Yamamoto,Tomoko Tokunaga eds, Education in Japan in a Global Age -Sociological Reflection and Future Direction,を予定している。
著者
古賀 正義
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.96, pp.47-67, 2015-05-29 (Released:2016-07-19)
参考文献数
36
被引用文献数
1

高校中退者がワーキングプアになりやすいことは,多くの研究が実証するところである。排除型社会が進展する今日の日本社会では,中退者が社会参加していく包摂の道筋は容易でなく,将来への「液状不安」を訴える事例さえ存在する。そこで,都立高校中退者の退学後の移行に焦点化した悉皆調査を実施した。 その結果によると,①中退理由の中心には,学校ハビトゥスとしての「生活リズム」の乱れがあげられ,自己の未達成による中退という理解が強い。②ひとり親家庭が多く,かつ就学の相談・援助的行動や文化資本が欠如している者が多い。③中退後に何らかの学習・就学活動に向かう者は半数におよび,学校に復帰した者も3割に達する。他方,非正規の単純労働となりやすい就労行動を8割以上の者が経験している。移行を模索する期間が2年ほどを経て平均6か月もある。④しかしながら,高校タイプによって違いがあるが,概して学習指向が減退し就労指向が急速に強まる。⑤リスクへの一定の不安はあるものの,全体に支援機関の利用度は非常に低く,直接的な経済的援助・無償による学習や職能開発などの支援を求めている。 以上,在学した高校や家庭等の資源や経験知に依拠した中退者の進路選択が行われやすいものの,それを活動に移すための「ケイパビリティ」(将来的な移行可能性への媒介となる環境)が重要になるとみられる。相談・支援できる他者との関係づくりを介して選択のチャンスを活かせる環境作りが求められる。
著者
古賀 正義
出版者
一般社団法人日本教育学会
雑誌
教育學研究 (ISSN:03873161)
巻号頁・発行日
vol.75, no.1, pp.46-54, 2008-03-31

「学校が消える!」2008年の年明け、衝撃的な記事を目にした。読売新聞の調査(1月11日付)によれば、全国で今後数年間に一千校以上の公立小中学校が廃校になる見通しだという。急激な人口減少と補助金抑制の影響などで、東京都でも約50校(2.5%)が廃校になる勘定だ。教育機会の均等を実現してきた義務教育制度にあっても、社会変動の波は容赦なく地域社会を襲っている。学校選択制や中高一貫校など市場型改革の導入が進めば、一層、「生き残る学校」と「消え去る学校」とが出現する状況である。 「学校」を自明の教育機関とみなしてきた教育学者にとっても、学校とはいかなる特徴を持った教育の場で、そこで何が達成され、今後何を成し遂げることが可能なのか、いわば「学校力」(カリキュラム研究会編2006)を再度検証しなければならなくなっている。そうでなければ、教師や保護者、地域住民などを巻き込んで、学校に対して体感される不安やリスクは増大していく一方なのである。そもそも学校とは、不可思議な場である。教育学で、学校を念頭におかない研究はほとんどないし、教員養成にかかわらないことも少ない。そうでありながら、学校の内実に長けているのは現場教師であって、研究者はたいてい余所者として外側からその様子を眺め批評する立場にある。マクロレベルから教育政策や学校制度を講じることもできるし、ミクロレベルから授業実践や学級経営を論じることもできるが、学校の実像を客観的総体的に把握し切れているという実感は乏しい。 『教育学研究』を紐解いても、「学校」は学会シンポジウムのテーマに度々取り上げられてきた。「学校は子どもの危機にどう向き合うか」(1998年3月号)、「学びの空間としての学校再生」(1999年3月号)、「21世紀の学校像-規制緩和・分権化は学校をどう変えるか」(2002年3月号)など、教育病理の深刻化や教育政策の転換など、教育関係者の実感と研究者の思いが交錯する時、学校がたびたびディベートのフィールドとして選択された。今日なら、学力低下やペアレントクラシー、指導力不足、いじめ事件など、学校のガバナンスやコンプライアンスにかかわる諸問題が、個々の学校やさまざまな種別の学校、制度としての学校など、各層にもわたる「学校」について論議されることだろう。急激な改革と変化のなかで、問題言説の主題としての「学校」は隆盛であるのに、現実分析の対象としての「学校」は不十分。学校研究の10年は、こうしたねじれ状態と向き合い、その関係を現実的・臨床的にどのように再構築し、教育学の公共的使命を達成するかの試行錯誤の期間だったといえる。
著者
古賀 正義
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.90-108, 2009-06-30 (Released:2010-08-01)
参考文献数
41

従来インタビュー調査は,構造化された質問によって「本音」を引き出す作業と理解されやすかった.しかし,近年の構築主義的調査観では,インタビューは聞き手と語り手の共同行為であり,「語りうるもの」をめぐるネゴシエーションの政治力学的な産物であるとされる.ICレコーダーなどの利用による音声データの再現可能性の向上は,「出来事」としてのインタビュー実践をきめ細やかに理解することを可能にしている.これに伴って,筋書きを用意した物語型の聞取りから,「声」と「音」(ここでは,互いの発話行為と収集される状況内の音声要素)を,インタビュー状況に沿って収集するデータベース型の分析が必要とされる.「インタビューのエスノグラフィー」が求められるのは,そのためである.データの内在的分析は,「ストーリー」が制作される聞き手と語り手の多元的な関係性に注目させ,他方,1つの立場から回答者の「声」を読み込む問題性を指摘する.調査者に解釈される「物語世界」を重層的に構築するには,インタビューにおける「声」の濃密さと「音」の収集との相互連関を理解し,回答者の多声性を読み解くスパイラルな実践を試みる必要がある.進路多様校卒業生の聞取り調査から,「声」と「音」を丁寧に読み込むことで,ステレオタイプな卒業生イメージが溶解し彼らの生活世界と接合していく局面を提示して,インタビューデータの飽和的で重層的な理解の必要性を強調する.
著者
片瀬 一男 秋永 雄一 古賀 正義 木村 邦博
出版者
東北学院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002 (Released:2002-04-01)

2003年11月から12月にかけて「教育と社会に対する高校生の意識:第5次調査」を実施した。そして、このデータをもとに分析を行い、2005年3月に報告書を作成した。報告書では、次のようなテーマをもとに、分析を行った。1.第1に、高校生の進路志望(教育・職業アスピレーション)や教育達成など教育をめぐる高校生の意識や実態をとりあげ、それがどのような要因に規定されているのか分析した。この分析においては、高校生の出身階層となる親の地位が、彼らの進路志望や教育達成に与える影響、さらには父母の結婚類型が子どもに及ぼす影響などが明らかになった。またフリーターの問題も、進路意識や規範意識(校則意識)との関連で扱った。くわえて、「アノミー型アスピレーション」という現代の高校生に特有の進路志望のあり方についても、それが形成されるメカニズムが明らかなった。2.第2に、高校生が現代社会をどのように認知し、また評価しているのかについて検討を加えた。ここでは、不公平感や学歴社会イメージ、性別役割意識といった高校生の社会意識が、家族や学校においてどのように形成されているのか分析を行った。3.第3に、この17年間の宮城県の高校教育の変容についても触れた。そして、いくつかの高校を事例として選んで、いわゆる「進路多様高」の成立経過や、仙台における女子教育の変容について時系列的な分析を行った。