著者
堅田 尚郁 西村 治彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.381, pp.45-52, 2000-10-13

弱い信号に対する非線形システムの応答性がノイズの存在下で増強される現象として, 確率共鳴(Stochastic Resonance:SR)が知られている.我々は, これまで, ニューロン集団系が自己連想記憶型のネットワークを構成し記憶パターンを有する場合のSR的現象について考察してきた.本研究では, 白色ノイズをともなうニューロンによる場合の確率共鳴現象について, ニューロン数が3個と156個の場合の記憶モデルを取り上げ, そのシミュレーション実験の結果を報告する.
著者
笹原 和俊 平田 祥人 豊田 正史 喜連川 優 合原 一幸
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

オンラインソーシャルメディアは、社会行動のマクロなパターンやダイナミクスを観察するのに適した系であるが、そのためにはソーシャルデータの特性を活かした解析が必要となる。本講演では、ツイートストリームを情報ダイバージェンスで特徴付け、Twitter上で生じる様々なタイプの集合注意について報告する。さらに、RTネットワークの構造に注目し、社会的相互作用の観点から集合注意のダイナミクスについて議論する。
著者
山本 裕一 山本 耕一郎 徳田 功 長島 知正 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.204, pp.15-20, 2000-07-12
参考文献数
11

人の発声する母音は, 一般にピッチと呼ばれるほぼ同じ形状をした単位波が繰り返される基本構造を持つが, 繰り返されるピッチ毎にその周期間隔および波形は微妙に"揺らぐ"ことが知らされている.この母音に含まれるピッチの"揺らぎ"は, 母音が人間的で自然な発声音として知覚されるために必要不可欠であることが分かってきた。現在の主流な音声合成法の一つである線形予測符号化法でも, 人間的性質持った母音を合成するために, 自然なピッチ揺らぎを再現することはきわめて重要である。そこで本論文では、「線形予測符号化法の枠組で自然な音声を合成するために重要な要素は何か?」について比較検討を行なう。
著者
奥野 孝英 小澤 弘和 堀尾 喜彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.37, pp.37-42, 2003-05-01
被引用文献数
2

最大で1万ニューロン・1億シナプスを有する大規模カオスニューロコンピュータシステムの階層的構成要素である,「ボード」,「ユニット」,「システム」のそれぞれの実現法を提案すると共に,それらのハードウェア実装について詳しく述べる.ボード階層は,ニューロンボートとコントロールボードから成り,さらに,最大10枚のニューロンボードと1枚のコントロールボードによりユニット階層を構成する.システムは,ユニットを最大で100台,特別に設計したバケツリレー式バスにより接続して実装する.次に,2つのユニットから成る200ニューロン・40,000シナプスプロトタイプシステムを構築する.大規模カオスニューロコンピュータシステムの構成が階層的である事に加え,各階層を実装するハードウェアがモジュール化されているため,この2ユニットシステムの動作を検証する事により,1万ニューロンシステムの動作検証に代える事が可能である.2ユニットシステム全体の動作確認は,169個のニューロンから成る動的連想記憶ネットワークにより行なった.その結果,提案したカオスニュ一ロコンピュータプロトタイプシステムの正常な動作を確認した.
著者
小林 千織 堀尾 喜彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.464, pp.13-20, 2001-11-21
被引用文献数
7

1万個のカオスニューロンを1億個のシナプスで完全相互結合させた, 大規模カオスニューロンコンピュータを構築するためのカオスニューロン集積回路を提案する.この回路はスイッチトキャパシタ(SC)回路技術を用いており, 3つの内部状態を持つカオスニューロンモデルを実装している.ニューロンモデル内の全てのパラメータは, プログラマブルキャパシティブアレイ(PCA)によりディジタル信号で制御可能である.また, ニューロンの出力関数特性は双極あるいは単極のいずれかの特性を選択でき, その伝達特性は外部バイアス電圧により調節することができる.ニューロンのアナログ出力値は軸索伝搬関数回路により2値化し, 外部のディジタルシナプス集積回路へ伝達する.一方, シナプス回路で加算された重み付き加算値は符号付き8-bit信号としてニューロン回路に渡される.このディジタルプロセスを用いてニューロン回路を集積化し, その特性を測定した.その結果, 提案した回路の特性が1万ニューロンシステムに必要な仕様を満たしていることが確認された.
著者
小沢 弘和 中村 俊紀 堀尾 喜彦 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.609, pp.45-50, 2001-01-26
被引用文献数
4

一万ニューロン一億シナプスカオスニューロコンピュータを構築するため, スイッチト・キャパシタ(SC)カオスニューロン回路一万個を相互結合するディジタルシナプス集積回路を設計製作した.一万個の入力を可能とするため入力には時分割多重を用いた.さらに, 一万入力の重み付き加算を高速に計算するため, メモリベース構成を採用し, これに加算器も併用した.また完全な線形加算を行うため, 内部のデータ表現は22bitとした.さらに, SCカオスニューロンチップの入力仕様を満たすためのデータコンバータ回路を内臓した.また, チップの機能テストを行うための回路も内蔵した.このシナプスチップはVerilog-HDLにより設計し, ASICで実装した.さらにテストベンチを二種類製作し, シナプスチップの検査および評価を行った.
著者
市瀬 夏洋 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.78, no.3, pp.373-380, 1995-03-25
参考文献数
4
被引用文献数
35

本論文では,パルス頻度というニューラルネットワークモデルで一般に用いられている情報コードに対して,単一のパルスに対する情報を重要視したモデルである非同期カオスニューラルネットワーク(Asynchronous Chaotic Neural Networks)を用いて,ニューロン間のパルス伝搬ディレーおよび連続時間中に非同期に入力されるパルスを考慮したネットワークの機能について検討する.はじめにモデルの構造を説明し,単一ニューロンの周期的パルス入力に対する応答特性を解析する.次に本ネットワークモデルによってループ構造を構成した場合に,ランダムノイズの存在下でもネットワーク固有のパルス間隔構造に対して応答するような機能を実現できることを示す.
著者
大西 立顕 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NLP, 非線形問題 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.723, pp.93-100, 2002-03-08
被引用文献数
1

マルチフラクタルにより日経平均株価の終値を解析した.過去T日間の終値の時系列からマルチフラクタルスペクトルを求めた.そのスペクトルのパラメータと現在とL日後の価格差との間の相関について統計的に調べた.TとTに応じて相関の強さは変わり,場合によっては強い相関が見られることが分かった.この結果は,市場価格の変動はまったくランダムなものではなく,効率的市場仮説が妥当でない可能性を示唆している.また,マルチフラクタル解析は高い確率で価格が上がるか下がるかを予測するのに有益であると考えられる.
著者
濱口 航介 岡田 真人 山名 美智子 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.87, no.8, pp.1689-1696, 2004-08-01
被引用文献数
1

神経細胞集団のスパイク同期による情報表現仮説が注目を集める中,フィードフォワード結合された神経層を同期発火が連鎖して伝搬する,Synfire Chainと呼ばれるモデルが提案されている.このモデルでは神経結合の一様性を仮定することで解析的な取扱いが容易になっている.しかし大脳皮質においては局所的な相互作用が存在し,近距離の興奮性,遠距離での抑制性の結合からなるメキシカンハット型と呼ばれる結合が確認されている.そこで我々はMcCulloch-Pitts型ニューロンモデルで構成された神経層の間の結合をメキシカンハット型の関数で与え,各層を伝搬する同期発火の発展を調べた.この系は発火パターンのフーリエ0次モードと2次モードの強度の発展方程式を用いて統計的に記述される.この系には非発火状態以外に,層状回路を伝搬する孤立局在興奮と一様興奮の二つのノントリビアルな安定状態が存在することが分かった.更に孤立局在興奮と一様興奮の共存相が存在することを明らかにした.
著者
濱口 航介 岡田 真人 山名 美智子 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.153, pp.19-24, 2003-06-20

神経細胞集団のスパイク同期による情報表現仮説が注目を集めるなか,同期発火が連鎖して伝搬するSynfire Chainと呼ばれるモデルが提案されている.このモデルでは神経結合の一様性を仮定する事で,解析的な取扱いが容易になっている.しかし大脳皮質においては局所的な相互作用が存在し,近距離の興奮性,遠距離での抑制性の結合からなる.Mexican Hat型と呼ばれる結合が確認されている.そこで我々はMcCulloch-Pitts型ニューロンモデルで構成された神経層の間の結合をメキシカンハット型の関数で与え,各層を伝搬する同期発火の発展を調べた.この系は発火パターンのフーリエ0次モードと2次モードの強度の発展方程式を用いて統計的に記述される.この系には非発火状態以外に,層状回路を伝播する孤立局在興奮と一様興奮の2つのノントリビアルな安定状態が存在することがわかった.さらに,我々は孤立局在興奮と一様興奮の共存相を発見した.
著者
増田 直紀 合原 一幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.101, no.365, pp.19-24, 2001-10-12

ニューロンの同期は生物の情報処理において重要な役割を果たす。そこで、様々な神経回路網モデルにおいて同期条件が理論的・数値的に研究されてきた。ところで、ほとんどの解析では、全結合か局所的結合といった単純なトポロジーが仮定されてきたが、実際の神経回路網ではsmall-worldネットワークなどの高次構造の存在も示されている。本研究ではパルスで結合されたleaky integrate-and-fireニューロンの同期現象を様々なトポロジーのもとで考察し、small-worldネットワークがランダムネットワークやローカルネットワークに比べて同期を導きやすいことを示す。