著者
松岡 猛 川島 よしみ 穐山 浩 三浦 裕仁 合田 幸広 瀬畑 環 一色 賢司 豊田 正武 日野 明寛
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.149-157_1, 1999-04-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
10
被引用文献数
30 38

PCR法を用いて, 遺伝子組換えダイズ (GMSダイズ), 非組換えダイズ (non-GMSダイズ) 及びそれらのダイズを用いた加工食品から組換え遺伝子の検知を行った. DNA溶液の調製は, CTABを用いる方法が有効であった. 検知感度は, ダイズ種子において0.05%のGMSダイズの混入したものまで, 豆腐においては0.5%のGMSダイズを含有した豆腐までであった. 市販豆腐41試料に本法を適用し, 27試料の豆腐から組換え遺伝子を検知した. 納豆では, 本法による組換え遺伝子の検知は困難であった. しかし, 挽割り納豆において, nested PCR 法によりダイズに内在的に含まれるレクチン遺伝子を検知できた.
著者
丸山 卓郎 川原 信夫 吹春 俊光 横山 和正 牧野 由紀子 合田 幸広
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.49-54, 2005
被引用文献数
1 4

2002年6月よりサイロシン類含有キノコが麻薬原料植物に指定されたことから,これに代わり,ベニテングタケ (<i>Amanita muscaria</i>) が,さまざまな形態で販売されている.本研究では,DNA分析および成分分析により,これらベニテングタケ関連商品の実態調査を行った.DNA分析の結果,上記商品の基原種は,<i>A. muscaria</i> あるいはその変種であると推定された.また,これらは,3つの遺伝子型に分類され,その多くが海外産であると思われた.一方,LC/MS分析により添加物質としてハルミン類およびトリプタミン類がそれぞれ2種,検出された.このうち,ハルミン類含有商品からは,ハルマラ (<i>Peganum harmala</i>)のmatK遺伝子が検出され,これらの商品中のハルミン類が,ハルマラ組織に由来することが明らかとなった.
著者
合田 幸広 穐山 浩 大槻 崇 藤井 明美 豊田 正武
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.56-62, 2001-02-25
参考文献数
6
被引用文献数
1 10

アフラトキシン (AF) 通知分析法においても, 健康危害及び環境汚染防止の目的で, 使用溶媒の見直しが要求されている. 著者らは既に報告した毒性の高い溶媒を用いない多機能カラムにHPLCを組合せたAF分析法の応用範囲を拡大する目的で, 通知で分析が義務付けられたナッツ類及びジャイアントコーンを含め, より多種の試料の添加回収実験を行った. その結果マカデミアナッツ, クルミ, ヘーゼルナッツ, ブラジルナッツ, ジャイアントコーン, コメ, コムギ, ソバでB<sub>1</sub>, B<sub>2</sub>, G<sub>1</sub>, G<sub>2</sub>ともに良好な回収率 (85~106%) を得た. また, 妨害ピークが検出された香辛料6種及び紅茶について, 市販のアフィニティーカラムを組合せた分析法を検討した. その結果, G<sub>2</sub>, B<sub>2</sub>で一部回収率が低いものの, B<sub>1</sub>, G<sub>1</sub>の回収率は良好 (71~112%) でこれらの試料でも分析可能であることが示された.
著者
松岡 猛 栗原 秀夫 末藤 晴子 三浦 裕仁 日下部 裕子 穐山 浩 合田 幸広 一色 賢司 豊田 正武 日野 明寛
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.197-201, 2001-06-25
参考文献数
10
被引用文献数
4 30

現在我が国で,食品及び飼料として安全性の確認されていない遺伝子組換えトウモロコシCBH351系統を特異的に検知するプライマーを開発し,PCR条件を設計した.PCR用プライマーは,2又は3生物種由来のDNA配列部分を増幅するように設計し,安全性が確認されている他の遺伝子組換えトウモロコシ,ダイズ,コメ,コムギ,オオムギに対して偽陽性がなく,特異的な検知を行うことができた.検知下限を調べるため,CBH351粉末とnon-GMトウモロコシ粉末の混合試料を調製し,DNAを抽出後,PCRを行った.その結果,CBH351を0.05~0.1%混合したものまで検知可能であった.
著者
丸山 卓郎 代田 修 川原 信夫 横山 和正 牧野 由紀子 合田 幸広
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.44-48, 2003-02-25
参考文献数
7
被引用文献数
11

マジックマッシュルームは,幻覚性物質であるサイロシンおよびサイロシビンを含有するキノコである.最近,これらのキノコ類は日本において麻薬原料植物として規制対象となった.他方,同キノコ類は多種にわたる上,粉末状態で流通する場合もあり,形態学的な手法では同定が難しい場合が多い.本研究では,遺伝子情報を基にした同キノコ類の同定法開発を目的として,国内流通品のrRNA遺伝子の内部転写スペーサー (internal transcribed spacer, ITS) 領域を解析し,その結果を基に国内流通品を6種に分類した.次いで,解析結果を標品およびデータベース中の塩基配列と比較することにより,流通品の基原種を明らかにした.さらに,LCを用いサイロシン含量を調べた結果,<i>Panaeolus cyanescens</i> が最も高い数値を示し,<i>Amanita</i> 属の2種では検出されなかった.
著者
神蔵 美枝子 義平 邦利 合田 幸広
出版者
Japanese Society for Food Hygiene and Safety
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.40, no.6, pp.455-459_1, 1999-12-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
13
被引用文献数
3 5

食用赤色104号 (R104) 中の2種の副成色素 (P1, P2) を単離し, 各種機器分析を用い構造決定を行った. その結果, P1は, R104のキサンテン部の2位, 7位の臭素が脱離した4′,5′-ジブロモ-4,5,6,7-テトラクロロ-3′,6′-ジオキシドスピロ [イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H] キサンテン]-3-オン, P2は, 7位の臭素が脱離した2′,4′,5′-トリブロモ-4,5,6,7-テトラクロロ-3′,6′-ジオキシドスピロ [イソベンゾフラン-1(3H),9′-[9H]キサンテン]-3-オンであることが判明した. 更に, HPLCを用い市販R104 (4社9試料) 中の混在量を調べた. その結果, すべての試料でP2が検出され, 0.08~5.21%の混在量であった. 他方, P1は, 5試料で検出されず, 最大検出値は, 0.06%であった.
著者
手島 玲子 穐山 浩 奥貫 晴代 佐久嶋 順一郎 合田 幸広 小野寺 博志 澤田 純一 豊田 正武
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.188-193, 2000-06-25 (Released:2008-01-11)
参考文献数
14
被引用文献数
33 50

世界的に遺伝子組換え技術を利用して開発された農作物の実用化が進んでいるが, 実際の商品は組換え作物の後代交配種由来であることが多く, そのような作物における動物の免疫系への影響, 特にアレルギーとの関連について調べられた報告はない. 著者らは, 今回, アレルギー高感受性のB10Aマウス及びBNラットを使った実験において, 除草剤耐性遺伝子 (CP4-EPSPS) が導入された遺伝子組換え (GM) 大豆摂取が, 動物の免疫系に影響を及ぼすか否かの検討を行った. 同等の栄養成分を有する近親の非組換え (non-GM) 大豆を対照として用いた. GM, non-GM混餌飼料を摂取させたマウス, ラットとも両群の体重及び餌の摂取量に有意差はみられず, 15週投与後の各種主要免疫臓器の病理組織像においても, 両群とも異常は認められず, また大豆抽出物に対するIgE, IgG抗体価とも両群において差はみられなかった.
著者
緒方 潤 花尻(木倉) 瑠理 吉松 嘉代 木内 文之 合田 幸広
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.128, no.11, pp.1707-1711, 2008-11-01 (Released:2008-11-01)
参考文献数
11
被引用文献数
4 10

Cannabis plants show a high Δ9-tetrahydrocannabinol content and are used as a psychoactive drug. Therefore the cultivation of hemp and its possession are prohibited by law in Japan. Meanwhile, Cannabis seeds have been used as a component of shichimi-togarashi (a Japanese spice), bird feed, or a crude drug (mashinin). To exclude the possibility of germination, it is officially noticed that hemp seeds must be killed. However, the number of violators has increased in recent years. To judge the ability of seed germination, a germination test is performed. However, the test requires several days and thus has not been used for on-site inspection. In this study, we developed a rapid detection method to determine the ability of Cannabis seeds to germinate using 2,3,5-triphenyl-2H-tetrazolium chloride (TTC). The principle of the assay is as follows. The endogenous respiratory enzymes in hemp seeds convert added colorless TTC into red 1,3,5-triphenylformazan. Consequently, a living embryo is stained red, while red does not appear in the dead seeds. The reaction was active over a pH range of 8.0-9.0, and the optimum activity was found from 40 to 50°C. Under the optimum conditions, we were able to determine the ability of seeds to germinate based on the presence of color within 20 min. Since this method is rapid and simple, it is applicable to on-site inspections. In addition, it could be used as an alternative technique to the germination test, because erroneous decisions is cannot occur under the assay principle.
著者
松岡 猛 栗原 秀夫 穐山 浩 三浦 裕仁 合田 幸広 日下部 裕子 一色 賢司 豊田 正武 日野 明寛
出版者
[日本食品衛生学会]
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.24-32, 2001-02-25
被引用文献数
18 86

我が国で食品, 飼料用として輸入可能な組換えトウモロコシ7系統のうち, 5系統からの組換え遺伝子の検知を, 既報のMultiplex PCR法に改良を加えて行った. ゲノムDNAの抽出は実験時間が短縮でき, 研究室・環境への安全性で優れているスピンカラムを用いる方法で行った. 組換えトウモロコシに導入されているDNA塩基配列を解析し, 各組換え系統とトウモロコシに内在的にある<i>zein</i>遺伝子を1回のPCRで特異的かつ確実に特定でき, トウモロコシ, ダイズ, コメ, コムギ, オオムギに対してfalse positiveなバンドが見られないプライマーの設計を行った. 非組換え体に組換え体5系統を混合しMultiplex PCRを行うと, 各組換え系統に特異的な長さのバンドが観察できた. 本法による検知感度を非組換え体粉砕物に5系統の組換え体粉砕物を混合して調べたところ, 0.5%程度であった.