著者
吉田 正人 向原 伸彦 大保 英文 尾崎 喜就 本多 祐 金 賢一 溝口 和博 井上 武 深瀬 圭吾 三里 卓也 志田 力
出版者
特定非営利活動法人日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.61-65, 2007-03-15
参考文献数
17
被引用文献数
1

2000年1月から2003年12月までの4年間に当院で施行した80歳以上の大動脈弁置換術(AVR)症例29例を高齢者群とし,その手術成績ならびに中期成績について検討した.使用した弁は,全例,生体弁(Carpentier-Edwards PERIMOUNT)であった.また,同時期に施行された75歳以下の生体弁によるAVR症例36例を対照群として,2群間で比較検討を行った.平均年齢は高齢者群で82.9歳,対照群で71.6歳であり,病変は高齢者群では大動脈弁狭窄(AS)症例が79%と対照群の53%に比較して有意に多く,ASの程度も高度であった.術前合併症としては,高齢者群では糖尿病と腎機能障害(Cr≧1.5)の頻度が有意に高く,緊急手術例も高齢者群24%,対照群6%と高齢者群で緊急手術の頻度が有意に高かった.術後合併症は,48時間以上の長期の人工呼吸器管理を要した症例と一時的にCHDFを必要とするような腎機能障害をきたした症例の頻度が高齢者群で有意に高かったが,病院死亡は高齢者群6.9%,対照群5.6%と差はなく,3年生存率も高齢者群89%,対照群78%と差は認めなかった.80歳以上の超高齢者に対するAVR症例では術前の重症度が高かったが,その手術成績ならびに遠隔成績は良好であり,外科的治療を積極的に考慮すべきであると考えられた.
著者
山本 浩之 吉田 正人 松尾 美幸 安藤 幸世 粟野 達也 鳥羽 景介
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

裸子植物でありながら被子植物のような二次木部を持つグネツム科の高木について、傾斜樹幹における負重力屈性発現のメカニズムを調査した。傾斜樹幹では、上側で二次木部の肥大成長が促進されると同時に、特異的に大きな引張の成長応力が発生することがわかった。その微視的メカニズムは、原始的なタイプの引張あて材をつくるモクレン科の樹種に類似していることがわかった。このことから、グネモンノキの負重力屈性挙動は、他の裸子植物に見られるような圧縮あて材型ではなく、被子植物に見られるような引張あて材型であると結論した。さらに二次師部においても、傾斜の上側で著しい肥厚が見られ、そこには大きな引張応力の発生が認められた。
著者
吉田 正人
出版者
筑波大学
巻号頁・発行日
2012

identifier:http://hdl.handle.net/2241/120572
著者
青木 正哉 向原 伸彦 吉田 正人 村上 博久 邉見 宗一郎 松島 峻介 西岡 成知 森本 直人 本多 祐 中桐 啓太郎
出版者
特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会
雑誌
日本心臓血管外科学会雑誌 (ISSN:02851474)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.391-394, 2013

症例は71歳男性,201×年2月22日に他院にて腹部大動脈瘤破裂に対し人工血管置換術が施行された.術後3カ月目,外来の採血検査でHb 7.0 g/dlの貧血を認めたため,再入院となった.CTならびに上部消化管内視鏡検査にて,Aortoenteric Fistula(以下AEF)と診断され,手術目的にて当科転院となった.手術待機中に,吐・下血後,出血性ショックとなり,緊急でステントグラフトによる血管内治療(Endovascular aneurysm repair : EVAR)を施行した.術後,感染の再燃や消化管出血も認めず,術後58日目に軽快退院した.現在術後1年が経過しているが,再感染の兆候なく,外来にて厳重に経過観察中である.二次性AEFは予後不良であり,外科的根治術が原則である.しかし,出血からショックに陥った症例では,血管内治療はその低侵襲性と迅速性を活かしてbridge to open surgeryとして治療のオプションとなりうる.また,再感染がなく,消化管出血を認めないなどの条件が整っていれば,最終的な治療にもなりうるが,再感染および再出血のリスクを念頭に置いた観察が必要である.
著者
吉田 正人 鈴田 和之 上門 潤一郎 新井 幸三
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.190-199, 2014-09-20 (Released:2016-09-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2

化粧品分野では,毛髪の損傷低減,損傷した毛髪の修復などに様々なタイプのケラチンタンパク質が応用されている。側鎖に非対称性のジスルフィド基をもつ水溶性のS-カルボキシメチルアラニルジスルフィドケラチン (CMADK) タンパク質が,羊毛繊維のチオグリコール酸ナトリウム塩による還元処理と,それに続く過酸化水素による酸化処理により合成された。SDS-PAGE法により,この新しい誘導体化タンパク質の分子量は約64 kDaおよび48 kDaであることがわかった。また,CMADKタンパク質に含まれるジスルフィド基量は4.4×10-4 mol/gであった。非対称性のジスルフィド基をもつ水溶性タンパク質と毛髪中のフリーのチオール基とのSH/SS交換反応を通して共有結合しうるタンパク質による毛髪表面の修飾が期待された。毛髪のねじり応力評価法からCMADKタンパク質で処理した毛髪の剛性率は増加した。洗髪のシミュレーションモデルを用いた繰り返し処理を行っても,毛髪の剛性が維持されることがわかった。
著者
吉田 正人
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (世界遺産学) 学位論文・平成24年8月31日授与 (乙第2614号)
著者
吉田 正人 山本 浩之
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-11-18

樹木の姿勢はあて材に発生する成長応力で調整されている。しかし、木材にあて材が含まれると、割れ・反りが大きくなり、高度利用の障害となる。そこで本研究は、針葉樹のあて材がどのように形成するのかを遺伝子発現の立場から理解することを目指した。細胞壁リグニンの合成に関連する遺伝子を調べたところ、あて材が形成されるときだけに発現する遺伝子を発見し、これをCoLac1と命名した。この遺伝子はあて材の細胞壁においてリグニン増加と密接な関係にあることを明らかにした。また、次世代シーケンサであて材形成時の遺伝子発現を網羅し、あて材形成の理解を深めた。
著者
吉田 正人 河内 直子 伸岡 雅裕
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.119-128, 2003-12-30
被引用文献数
2

沖縄島の最大の海草置場は名護市辺野古沖の173 ha, 第二の海草藻場は沖縄市泡瀬沖の112 haであるが,いずれも米軍普天間飛行場の移設や埋め立て計画によって消失の危機にある. これらの開発活動に先立つ環境影響評価には問題点も指摘されており, その監視のためには, 開発サイドから独立した市民による科学的な調査が有効であると考えられる. そこで, 日本自然保護協会は, 2002年5月より, 沖縄県名護市において, 市民参加による海草藻場モニタリング調査「沖縄ジャングサウォッチ]を実施した. 調査では, まず, ボランテイアとして参加した一般市民を対象に,海草の識別方法や調査方法の講習を行ったうえで, スノーケル潜水を利用して, 実際の海草藻場において被度調査を行った.得られた調査データについては,目視による被度判定の個人差を補正し海草各種の分有および被度を解析した.海草は,海岸線からの距離に応じて,種ごとに特徴的な分布を示した.また,辺野古の海草藻場については, 空中写真による分布域の読みとりでは, 実際の分有面積を過小評価していることが判明した.したがって, 米軍飛行場移設にともなう環境影響評価においては, 空中写真に基づいた予測では不十分であり, 現地調査から得られる海草の種ごとの分布および被度の変異も考慮したうえで環境保全措置をとる必要が示唆された.今後の市民参加のモニタリング活動においては, 特定事業の監視のためだけでなく, 赤土流出等の局所的な環境汚染, および温暖化問題等に代表される地球規模の環境変動の影響などを視野に入れた, より広域かつ長期的な調査体制を整えることが望まれる.

1 0 0 0 OA 樹木と重力

著者
中村 輝子 吉田 正人
出版者
日本宇宙生物科学会
雑誌
Biological Sciences in Space (ISSN:09149201)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.123-131, 2000 (Released:2006-02-01)
参考文献数
67
被引用文献数
6 5 6

: In this review, we attempted to summarize the effect of gravity on growth of woody plants, broad leaved trees, on earth. It is well known that in tilted broad leaved trees, tension wood formed in the secondary xylem causes negative gravitropism. Gibberellin has been shown to induce tension wood in weeping branch, causing its upright growth. Recent study has shown that seedling of Japanese cherry tree grew on three dimensional clinostat, a device that simulates microgravity, grew at random angles, and that the formation of secondary xylem, as supporting tissue for upright growth, decreased. In the decreased xylem formation, the inhibition of the differentiation and development of fiber cell was clearly observed. These results suggest that in attitude control and morphogenesis of stem in woody plant, secondary xylem formation seriously relates to gravity on earth. In woody plant, the mechanism of gravity perception and the following signal transduction have not yet been elucidated, although the recent study reported the possibility that endodermal starch sheath cells and plant hormones may play some role in the mechanism. Space experiment is expected to study these problem.