- 著者
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和泉 司
- 出版者
- 豊橋技術科学大学
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2018-04-01
主として1926年に始まった文学懸賞である『サンデー毎日』大衆文芸の調査のため、『サンデー毎日』及び競合誌であった『週刊朝日』や同時代の文芸誌、特に大衆文芸誌、文芸同人誌の資料収集を行った。『サンデー毎日』については、国立国会図書館、東京・日本近代文学館に加え、大阪市立大学図書館所蔵のバックナンバーを利用させていただいた。また、1940年に『サンデー毎日』大衆文芸の当選を足がかりに文壇に登場した作家である長崎謙二郎と田村さえに関する調査も進めた。両者は同期当選をきっかけに知り合い、後に夫婦となっているが、両者の家族と連絡を取ることができ、私蔵されていた多くの関連資料を分けていただいた。その多くは現在散逸しているか、あるいは作家間の私信であり、当選作家のその後の文学活動を理解する上で大変貴重な資料である。加えて、1940年代に少女小説家・戯曲作家として活発に活動した作家・田郷虎雄の日記翻刻も着手した。この日記も、田郷の家族から預かったものであり、1940年から45年までの、文学懸賞当選作家の戦時下での文学活動が詳細に描き込まれており、その公開は今後の日本文学・文化研究に大きく資するものになると考えている。他に、『文藝首都』研究会に参加することで、同人誌である『文藝首都』の誕生経緯と、同誌が多くの新進作家を輩出し、その作家達が次々に文学賞を受賞していく過程において、同人誌運営と文学活動・文学賞の関わりを明確にまとめ始めている。