著者
唐沢 穣 松村 良之 膳場 百合子 村上 史朗 奥田 太郎
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

「責任」や「意図」といった概念は、現実の司法において決定的な役割を果たすにもかかわらず、これらの概念が法律の世界において持つ意味と、一般人がそれについて理解する内容(「素朴法理解」)の乖離は大きい。そこで、社会心理学の研究者が中心となって、法社会学、応用倫理学等の専門家との協働により、実証研究を行った。得られた知見からは、違反行為に関する責任追求と違反者に対する責任追及の峻別の困難さ、法人等の本来は心的状態をもたないはずの社会的実体に自然人と同様に意図や動機などの作用を推論して責任判断を行う傾向等が明らかになった。また、応用倫理学や法教育に適用可能な理論的枠組みの提案を試みた。
著者
松村 良
出版者
日本文学協会
雑誌
日本文学 (ISSN:03869903)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.58-68, 2005

水木しげるは「ゲゲゲの鬼太郎」以前に、貸本漫画で<鬼太郎もの>の大河長編作品を描いている。そこでは繰り返し<他界>(=地獄)へ行く話が出てくる。その一方で、鬼太郎が誕生したのは東京都調布市であり、その後も彼は東京という<都市>に住む少年として描かれる。この<都市>と<他界>は平面的に連続しており、全ての出来事が平面上のどこかで接続するという、この時期の水木の世界観を提示しているものと思われる。
著者
松村 良之 太田 勝造 岡本 浩一
出版者
日本法社会学会/有斐閣
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.49, pp.198-202,247, 1997-03-30 (Released:2009-01-15)
参考文献数
13

Japanese judges usually spend their entire legal career as judges. Many of their legal jargons are unique to their professional circle and reflect their cognitive structure about legal issues."Suji" and "suwari" are among such most frequent jargons. "Suji", whose lexical translation is "line", is often used in a phrase "suji ga warui", meaning "suji is bad for this case". Such a phrase might be translated into "this case has a bad logic or an unclear background". The phrase is typically used to describe civil cases, and is less often spoken of by other legal professionals. "Suwari", whose direct translation is "well-seatedness" is similarly phrased, but it is, arguably more often used to describe judgments that are already made at courts of lower level.The present study is an attempt to give quantitative description of these two concepts by a cognitive psychological approach. As the first stage of our study, we made intensive interviews to seven retired or current judges. Based upon the interview result, we structured the questionnaire.As the second and final stage, we sent out the questionnaires to all the retired judges in Japan (1, 120), out of which 339 were returned. The respondents were asked to respond in psychological judgment scales, to fictitious cases in which some crucial details were manipulated as experimental variables. Statistical analyses on these variables are worked out to render experimental description of these concepts as correlates to and functions on more direct legal perceptions.
著者
松村 良之
出版者
日本法社会学会
雑誌
法社会学 (ISSN:04376161)
巻号頁・発行日
vol.1987, no.39, pp.180-185, 1987-04-20 (Released:2009-01-15)
参考文献数
46
著者
松村 良之 村山 眞雄 白取 祐司 長谷川 晃 太田 勝造 城下 裕二 木下 麻奈子 林 美春
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

この研究では「コミュニティ」の存在が修復的司法の必須の要素であるという認識のもとに、仮想的な小話を利用した要因計画法に基づく一般人に対する調査を行った。一般的に言えば、内集団におけるスティグマ的恥づけが人々の評価が高い。しかし、この結果は再統合的恥づけの重視と矛盾するものと考えるべきではない。修復的司法の制度設計としては、課題解決型裁判所をモデルにシステムが構築されるべきであろう。
著者
松村 良之
出版者
北海道大学大学院法学研究科
雑誌
北大法学論集 (ISSN:03855953)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.142-132, 2017-11-30
著者
副田 賢二 松村 良 原 卓史 天野 知幸 和泉 司 五島 慶一 三浦 卓 杉山 欣也
出版者
防衛大学校(総合教育学群、人文社会科学群、応用科学群、電気情報学群及びシステム工学群)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

戦前期『サンデー毎日』を中心とした週刊誌メディアと文学との関わり、及びその誌面レイアウトや視覚表象の構造を扱う本研究は三年目となり、大阪市立大学所蔵『サンデー毎日』の調査、分析、データ化を進めた。その研究実績は、主に学術研究誌への論文掲載及び学会・研究会での研究発表で発表した。2019年度は、7月に第3回科研費研究成果中間発表会を大阪市内で実施した。同時に日本出版学会関西部会に参加し、雑誌メディアにおける挿絵やレイアウトの研究において、同学会との交流を実現した。なお、2020年3月に京都教育大学で第4回科研費研究成果報告会(一般公開形式)の開催を予定していたが、新型コロナ感染流行のため延期となった。また、大阪市立大学や国立国会図書館、大宅文庫等で調査した戦前期『サンデー毎日』をめぐる資料やデータベースについては冊子形式の資料集として刊行して実績報告書とする予定であったが、3月以降図書館等での調査が不可能になったため、現在研究期間延長申請を提出し、受理されている。延長期間は1年間だが、新型コロナ問題が改善された場合は、2020年8月までに本研究の研究活動及び資料集の出版(成果報告)を完了しようと考えている。そこで刊行する成果報告には、データ化した戦前期『サンデー毎日』の全表紙のデータベース(創刊から占領期まで)、『サンデー毎日』創刊記念号等の特集号の資料紹介、分析、1920年代の文壇ゴシップ記事の分析等、これまでの研究成果を掲載する予定である。また、まず大正期を対象として『サンデー毎日』の視覚表象を分析して目録を作成、データベース化する調査を現在複数メンバーで進めている。その調査、研究成果は、新たに獲得した「1920~1950年代の週刊誌メディアにおける文学テクストと視覚表象の総合的研究」(基盤研究(C) 課題番号:20K00361)にて公刊する研究書に掲載予定である。
著者
松村 良之 木下 麻奈子 白取 祐司 佐伯 昌彦 村山 眞維 太田 勝造 今井 猛嘉 林 美春 綿村 英一郎 長谷川 晃
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2020年度には実査が予定されているので、総括班、社会調査班を中心に実査の大枠を固めた。本調査は継続調査であり、第1、2波の調査と同一の調査方法によることが必須であることが確認された。予算制約の結果、抽出サンプル数は900(予想回収数500)であり、第1波、第2波調査の半分程度となるが、統計学的に許容できる水準であることが確認された。調査票については、16頁構成のうち、シナリオ部分約4頁を新規設問に入れ替えることが確認された。そして、心理学班も加えて検討した結果、責任主義関連項目では、心理学的な能動性(moral agency)評価と責任能力、少年、過失・故意を取り上げることとした。心理学班は第1に、日本人の法意識の背後にあると想定される公正観(公正世界尺度に由来する「運の等量仮説」、ハイトに由来する道徳尺度の日本バージョンなど)尺度の開発を試た。さらに、agency性評価の心理尺度について、その妥当性、信頼性を検討し調査票に組み込むべく準備した。第2に、少年犯罪について、人々が少年を罰しようとする応報感情の性質について検討した。世論は非行少年に対して厳罰志向的な態度を有しているが、他面、非行少年の置かれた環境的負因(責任主義につながる)について全く意識していないわけではない。そのことを踏まえて、少年に対する保護と刑罰という観点からの質問票作成を試みた。第3に、刑事法学班と協力して、刑法学の観点からは学説史に遡りつつ、また近年の脳科学の成果を踏まえた自由意思についての見解にもよりつつ、錯誤論、共犯論と関連させて過失・故意の教義学的議論について検討を深めた。それを踏まえて、大きくは結果責任と主観責任という枠組みで、質問項目を検討した(なお、少年、過失・故意については、シナリオを用いた実験計画法による)。