- 著者
-
和田 賢治
- 出版者
- 慶應義塾大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
フランク・ナイト(1921)によって提唱され、エプスタイン・ワン(1994)によって精緻化されたナイトの不確実性について、離散状態および連続状態の二つのモデル化を行い、ナイトの不確実性の定量分析を行った。離散状態モテルは簡素だが、ナイトの不確実性に対して自然な解釈を与えられる。連続状態モデルでは、ナイトの不確実性に対する解釈がそれほど自然ではないが、モデル自体は精緻である。よって両モデルは補完的関係にある。離散状態モデルでは、メラ・プレスコット(1985)によって定式化されたマルコフ過程モデルを用いてナイトの不確実性を定量化した。またこの定式化を用いて日本とアメリカの株および国債の収益率に対して、ナイトの不確実性が存在すれば、リスクプレミアムパズルおよびリスクフリーレートパズルは解決できる事を示した。この論文は、Wada (2005), "The Knightian Uncertainty and the Risk Premium and the Risk Free Rate Puzzles in Japan and the U.S."として2005年8月にEconomic Lettersに投稿中である。連続時間モデルでは、エプスタイン・ワン(1994)によって定式化された動的一般均衡モデルに対して、ルー円バーガー(1969)で証明されハンセン・ジャガナサン(1997)によってファイナンスに応用されたデュアルメソッドを用いて、ナイトの不確実性を定量化した。この論文は、Wada (2006), "A New Measure for the Knightian Uncertainty and the Risk Premium Puzzle in Japan and the U.S."としてJournal of Banking and Financeに2006年3月に投槁中である。