著者
杉木 明子
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート (ISSN:09115552)
巻号頁・発行日
vol.61, pp.71-80, 2023-12-12 (Released:2023-12-12)
参考文献数
40

第一次世界大戦以後、国際難民レジームが徐々に形成されてきた。しかし、庇護申請者や難民の増加とそれに伴う負担から多くの国は難民の受入に消極的であり、国際難民レジームが揺らいでいる。それを象徴する事象のひとつが、人権侵害や迫害が行われている地への難民の送還を禁止する、ノン・ルフールマン原則に対する違反である。同原則は難民条約・難民議定書や様々な国際条約に明記され、国際慣習法として広く認知されてきた。本稿は、規範論争理論を援用し、ソマリア難民の帰還を事例としてノン・ルフールマン原則の履行状況を分析し、国際難民レジームの変容を考察する。
著者
杉木 明子
出版者
独立行政法人 日本貿易振興機構アジア経済研究所
雑誌
アフリカレポート (ISSN:09115552)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.1-12, 2016-02-15 (Released:2020-03-12)
参考文献数
45

2000年代半ば以降、アデン湾・ソマリア沖で急増した海賊問題は、海賊の取締や処罰を国際社会に問い直す問題である。海賊の不処罰が顕在化する中で新たな対応に迫られた国際社会は、様々な選択肢の中で拿捕国が拘束した海賊被疑者をソマリア近隣諸国へ引渡し、第三国が普遍的管轄権のもとで訴追・処罰する「地域訴追モデル」を次善策とみなした。ケニアはソマリア近隣諸国の中で最も多くのソマリ海賊被疑者を受入れ、処罰してきた。本稿ではケニアの先駆的な海賊裁判の事例から「地域訴追モデル」の問題を明らかにし、海賊および海上犯罪を処罰するためにどのような取り組みが必要であるか検討する。
著者
杉木 明子
出版者
神戸学院大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は多くの難民が第一次庇護国で長期難民状態となっている状況をふまえ、特に長期的難民が集中しているアフリカ難民受け入れ国に対する支援方法、及び難民保護の「負担分担」に対する国際協力の可能性を多角的に検討した。アフリカに居住する難民および難民受け入れ国のニーズと、ドナー諸国の動向という2つの側面から分析することにより、現在のアフリカにおける難民保護レジームの限界を明らかにし、今後の課題を提示した。
著者
初瀬 龍平 野田 岳人 池尾 靖志 堀 芳枝 戸田 真紀子 市川 ひろみ 宮脇 昇 妹尾 哲志 清水 耕介 柄谷 利恵子 杉浦 功一 松田 哲 豊下 楢彦 杉木 明子 菅 英輝 和田 賢治 森田 豊子 中村 友一 山口 治男 土佐 弘之 佐藤 史郎 上野 友也 岸野 浩一 宮下 豊
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、戦後日本における国際関係論の誕生と発展を、内発性・土着性・自立性の視点から、先達の業績の精査を通じて、検証することにあった。研究成果の一部は、すでに内外の学会や公開講座などで報告しているが、その全体は、『日本における国際関係論の先達 -現代へのメッセージ-(仮)』(ナカニシヤ出版、2016年)として集大成、公開する準備を進めている。本書は、国際政治学(国際政治学、政治外交史)、国際関係論(権力政治を超える志向、平和研究、内発的発展論、地域研究)、新しい挑戦(地域研究の萌芽、新たな課題)に分けた先達の業績の個別検証と、全体を見通す座談会とで構成されている。