著者
宮下 豊
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.67, no.2, pp.2_334-2_355, 2016 (Released:2019-12-10)
参考文献数
77

本稿は, H・J・モーゲンソー, R・アロン, 永井陽之助, 高坂正堯における慎慮の意味内容として次の2点を提起する。第1に, 「結果の考慮」 に置き換えられる目的合理的な理解ではなく, 国家が利用可能な手段に即して追求する目的を定義することによる〈穏和〉な政策であり, それは力の均衡や外交を擁護することに関連する。第2に, 行動の自由を確保するために, 法的思考および道義的思考を退け, 状況の認識において徹頭徹尾具体的たろうとすることである。さらに, 慎慮のリアリストの思考様式に基づき, 状況認識が具体的であるための前提条件として次の2点を指摘する。第1に, 米国や日本等, 実在する国家について客観的条件に基づいた個性を重視して, 他国から類推しないことである。第2に, 状況が動態的・可変的である故に, 日々の出来事をフォローしてその影響に注意を払うとともに, 核兵器の開発に象徴される現代の革命的な変化を重視することである。こうした具体的な状況認識を重視したことが, 彼らがゲームの理論を含めて単純な見方を退ける一方, 政治を 「わざ」 と喝破してそれに固有の思考法・判断基準を強調したことが理解されるべきと論ずる。
著者
宮下 豊
出版者
日本政治学会
雑誌
年報政治学 (ISSN:05494192)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1_171-1_193, 2010 (Released:2016-02-24)

This paper proves that the kernel of Morgenthau's Scientific Man vs. Power Politics is not in defense of the pursuit for power but critique of modernity. In modernity, he thinks, normative ethics disappears under the reign of rationalism which substitutes “laws of causality” for “laws of morality” and as a consequence “the scientific approach” governs both politic sand ethics. Then it becomes clear that to focus only on his critique of liberalism in disregard of his critique of Marxism and Nazism is to misunderstand this normative concern. Lastly, it is argued that Morgenthau has gloomy prospect of man in modernity as “Scientific Man”, which is thought to be similar to Friedrich Nietzsche's “die letzten Menschen” and Max Weber's “Fachmenschen ohne Geist, Genußmenschen ohne Herz”, in that, according to Morgenthau, modern man cannot fail to aggravate the struggle for power by embracing the political religions which promise salvation from suffering of this world.
著者
中山 純一 宮下 豊勝 赤木 伸弘 小倉 久直 吉田 靖夫 相馬 敬司
出版者
電子通信学会
雑誌
電子通信学会論文誌 B (ISSN:03736105)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.p93-100, 1979-02

本論文では著者らが先に電波・超音波ホログラフィの新しい方法として提案したホログラムマトリクスによる2次元映像法について述べている。ホログラムマトリクスは従来のホログラフィとは異なり、より要素的な情報を含んでいるため、計算機で合成した送信・受信の両ビームの焦点を同一点に合わせる共焦点再生処理が可能で高い分解能が得られる。送信アレーと受信アレーを直交に配置すれば、送・受信の両ビームが標的領域内ではほぼ直交するため、2波長程度の高分解能が得られることを理論的に示す。 次に、超音波実験を行い、種々のモデル標的の再生象を示している。実験より得られた像は、標的の数が多くなければほぼ理論値に近い分解能をもつ良好なものであった。又、アレーの各チャンネルの位相・振幅の補正の効果についても検討を加えている。
著者
初瀬 龍平 野田 岳人 池尾 靖志 堀 芳枝 戸田 真紀子 市川 ひろみ 宮脇 昇 妹尾 哲志 清水 耕介 柄谷 利恵子 杉浦 功一 松田 哲 豊下 楢彦 杉木 明子 菅 英輝 和田 賢治 森田 豊子 中村 友一 山口 治男 土佐 弘之 佐藤 史郎 上野 友也 岸野 浩一 宮下 豊
出版者
京都女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、戦後日本における国際関係論の誕生と発展を、内発性・土着性・自立性の視点から、先達の業績の精査を通じて、検証することにあった。研究成果の一部は、すでに内外の学会や公開講座などで報告しているが、その全体は、『日本における国際関係論の先達 -現代へのメッセージ-(仮)』(ナカニシヤ出版、2016年)として集大成、公開する準備を進めている。本書は、国際政治学(国際政治学、政治外交史)、国際関係論(権力政治を超える志向、平和研究、内発的発展論、地域研究)、新しい挑戦(地域研究の萌芽、新たな課題)に分けた先達の業績の個別検証と、全体を見通す座談会とで構成されている。