著者
卓 興鋼 吉田 佳督 大森 豊緑
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-266, 2011 (Released:2011-08-01)
参考文献数
43
被引用文献数
4 16

近年,わが国においてもエビデンスに基づく医療(EBM)の提供が求められており,その根拠となる学術論文のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの重要性は,ますます高まっている。システマティックレビュー報告は,疾病の診断および予後,予防対策などに広く活用されている。これまでいくつかの研究でシステマティックレビュー報告の質が評価された結果,報告の質は全体的に不十分であった。1996年,メタアナリシス報告の質を向上させるために,国際研究グループが「QUOROM(メタアナリシス報告の質)声明」という指針(guidance)を作成した。さらに,QUOROMの項目等について検討してきた運営委員会は,2009年6月,その改訂版を作成し,「PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明」と名づけた。このPRISMA声明では,システマティックレビューの概念および実践面におけるいくつかの発展が見られる。本稿では,著者らがこれまでシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行ってきた経験を踏まえ,PRISMA声明の概要と展望について概説する。
著者
新井 健司 池田 雅名 大森 豊
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.G-86_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに・目的】平成26年度における厚生労働省の調査によると民間企業における身体障害者の雇用は43万人を超え、毎年増加傾向にある。介護保険分野で高齢者を主な対象にしている理学療法士は機能回復や日常生活活動動作の獲得、活動参加に向かったアプローチといった医学的なリハビリテーションに偏りがちであるが、リハビリテーションの概念は職業復帰・就労といった部分も含めた広範囲なものである。特に比較的年齢が若い第2号被保険者などの場合にはそのような観点が必要であると考える。また、介護保険サービスの充実に伴い、そのような対象者も増えてきている現状である一方、必ずしも成功するとは限らないのも現状である。障害者の就労支援には、対象者の身体的側面、精神的側面、知的側面、社会的側面、職業的側面の視点からのアセスメントを要する。そして、職業訓練や適正に応じた職場の開拓、職場定着のための相談などを担う就労移行支援事業の活用が推進されている。しかしながら、就労移行率が低い事業所が多く、その背景には対象者の選定に無理があるという報告が散見される。(朝日、2016)また、これらのアセスメントはリハビリテーション職種が専門職として評価すべき点が含まれている。 したがって、理学療法士が対象者のアセスメントを行い、就労移行支援事業への適切な選定されることは障害者の雇用促進に資すると考えた。今回、訪問看護ステーションにおける理学療法士として、症例を通して、職業復帰・就労を望む障害者が就労移行支援事業の活用に至る要因を分析した。【方法】 平成24年から平成29年に当事業所から訪問理学療法を受けた、職業復帰・就労を希望する身体障害がある者5名を対象とした。まず、対象者の基本属性、家族構成、経済状況、就労移行支援事業への活用の有無を調査した。就労支援に必要な身体的・精神的側面のアセスメントとしてFunctional Independence Measure(FIM)、知的側面として自己決定と判断力に関わる障害の有無、Mini Mental State Examination、社会的側面としてLawtonの尺度、職業的側面として職歴を後方視的に調査し、就労移行支援事業の活用に至る要因を分析した。【結果】 対象者は日常生活・屋外活動が自立されており、職業的側面を除くアセスメント項目に大きな差は見受けられなかった。対象者のうち、就労移行支援事業の活用に至ったものは、独居や未婚などの家族・経済状況を有している3名であった。その他2名は、主婦の専従・生活保護受給といった経済状況の変化に伴い、就労自体を断念していた。【結論】障害者の就労に関して、家族構成や経済状況等の要因が大きく関わる傾向が捉えられた。訪問理学療法士は、障害者の就労支援に関わるアセスメントを理解し、就労移行支援事業への適性を検討していくべきである。【倫理的配慮,説明と同意】ヘルシンキ宣言に基づき、本研究の目的を説明し、書面にて同意を得た。
著者
鈴木 和彦 大森 豊緑 川村 悦春
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.271-275, 1995-08-10 (Released:2010-02-22)
参考文献数
23
被引用文献数
1

採卵鶏 (Dekalb XL-L) を用い, 飼料に亜麻仁油を2%添加し, α-リノレン酸強化鶏卵 (以下, α-リノレン酸卵; ω3/ω6比0.44) を得た。このタマゴを1日2個, 普段魚介類の摂取が少なく, 血漿ω3/ω6脂肪酸比の低い女子学生 (年齢19~21歳) 4名に3週間摂取させ, その血漿脂質性状と血漿ω3/ω6脂肪酸比への影響をみた。血漿コレステロール値やトリアシルグリセロール値はやや低下の傾向を示したが, 有意な減少ではなかった。ω3系脂肪酸では, α-リノレン酸やイコサペンタエン酸は上昇傾向を示し, ドコサヘキサエン酸は統計的に有意な上昇を示した。ω6系の脂肪酸では, リノール酸はほとんど変化を示さなかったが, アラキドン酸は有意に低下した。これらの結果, 血漿ω3/ω6脂肪酸比は, α-リノレン酸卵摂取前では0.07±0.03 (mean±SD) と低い値であったが, α-リノレン酸卵の3週間摂取後では, 0.16±0.08と有意に高い値に変化した (p<0.01)。したがって, α-リノレン酸卵は魚介類摂取が少ないために生ずると考えられる血漿低ω3/ω6脂肪酸比を高めるために有効な食品になるかもしれない。本研究は (社) 日本栄養・食糧学会倫理委員会の承認を得たものである。本稿の一部は第48回日本栄養・食糧学会 (福岡, 1994年) において発表した。なお, この共同研究は大森豊緑博士が倉敷西地域保健所長在職時に行った。
著者
卓 興鋼 吉田 佳督 大森 豊緑
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.254-266, 2011
被引用文献数
16

近年,わが国においてもエビデンスに基づく医療(EBM)の提供が求められており,その根拠となる学術論文のシステマティックレビューおよびメタアナリシスの重要性は,ますます高まっている。システマティックレビュー報告は,疾病の診断および予後,予防対策などに広く活用されている。これまでいくつかの研究でシステマティックレビュー報告の質が評価された結果,報告の質は全体的に不十分であった。1996年,メタアナリシス報告の質を向上させるために,国際研究グループが「QUOROM(メタアナリシス報告の質)声明」という指針(guidance)を作成した。さらに,QUOROMの項目等について検討してきた運営委員会は,2009年6月,その改訂版を作成し,「PRISMA(システマティックレビューおよびメタアナリシスのための優先的報告項目)声明」と名づけた。このPRISMA声明では,システマティックレビューの概念および実践面におけるいくつかの発展が見られる。本稿では,著者らがこれまでシステマティックレビューおよびメタアナリシスを行ってきた経験を踏まえ,PRISMA声明の概要と展望について概説する。
著者
保野 健治郎 難波 義郎 大森 豊裕 北条 康正
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文報告集 (ISSN:09108025)
巻号頁・発行日
vol.422, pp.135-143, 1991
被引用文献数
2 1

Recent buildings have been more unburnable than before because changing of construction methods, progress of building materials, preparation of the related laws and regulations and so forth. But buildings have been more unextinguishable contradictory, and extinguish time need more longer than before. There are problems ; Is not the water application ratio low ? How much is the water damage area even if the water is used for extinguishing ? If we survey these problems, it is useful in order to make fire fighting planning. Then we investigated these items as a part of basic study on the extinguishing of the building fire.
著者
松田 博幸 大森 豊裕 難波 義郎 井原 辰彦 毛谷村 英治
出版者
近畿大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

本調査研究は、欧米型のハワイとアジア型のプーケットの事例から、歴史の中で海洋リゾートが成熟してきた過程とその手法を明らかにし、日本との比較(沖縄県)を通して、差異の要因を検討し、我が国の海洋リゾート整備の方向を検討することを目的としている。本年度は、観察調査を中心に行った。調査は、(1)ハワイのホノルル・ワイキキのリゾート整備、(2)沖縄本島・東シナ海側のリゾート整備、(3)タイ・プーケットのリゾートホテルの3つを対象に行った。(1)ハワイのホノルルについては、リゾートとして整備された歴史・問題点などを検討した。トロリー電車はモアナ・ホテルの前のカラカウア通りを走り、ワイキキ中心にハレクラニ・ホテル、ロイヤル・ハワイアン・ホテルが開業した。トロリーの開通をきっかけに、今までダウンタウンに宿泊していた観光客がワイキキへと宿泊するようになった。商業施設はインターナショナル・マーケット・プレイスが1957年に開業して、観光客の増加と共にホテルや商業施設がワイキキ中心に円状にホテル・商業施設の開業ラッシュが始まった。ショッピングスポットがワイキキ中心に開業したことでワイキキの魅力として、ショッピングがあげられる。ワイキキには、高層ビルのホテルが建ち並びワイキキだけでも多くの観光客が定住できるようになり、ワイキキのビーチやワイキキの中心に集まっている商業施設を利用しやすくした。(2)沖縄本島・東シナ海側のリゾート整備については、欧米型に近い遊地を目的とした開発がなされてきた。近年では、温泉ブームのようにくつろぎや安らぎのアジア型が求められており、今後、アジア型を取り入れた癒しやくつろぎを追求したリゾート開発が求められている。(3)パトンビーチを中心にリゾート開発をしてきたプーケットは、プーケットならではの産業を利用してきた。ビーチ沿いには、エビ、カニをメインとしたシーフードレストランや露店などが建ち並んでいる。観光客の脚となる交通はスボローで、軽トラックの荷台を客席用に改造していおり、交渉次第で料金は変化する。くつろぎを目的としているアジア型のリゾート開発は、ホテルは、低層の造りでホテルの敷地は広くくつろぎを与える。