著者
宿岡 愛 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2018年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.242-245, 2018 (Released:2018-05-31)

江戸時代の藩校は、教育機関の枠を超えて財政再建等のイノベーションを期待された。これを支えるものに、藩校が教える学問の所属学派で形成された外部知識ネットワークがある。本研究は、藩を出て学問や武芸を学ぶ遊学や藩主交代が、藩の地理的要因により、外部知識ネットワークを通じた効率的な知識獲得方法に与える影響が異なることを実証する。分析では、1736年から1835年の10期のパネルデータを用いて、統計分析と空間特性を考慮できる地理空間加重回帰分析の双方を行った。その結果、地理的要因により外部知識ネットワークにおける知識を効率的に獲得可能なポジショニングに正負の影響を与え、時代により変化することも実証した。
著者
小串 一貴 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2016年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.83-86, 2016 (Released:2016-11-30)

江戸時代の遊学とは、他藩に出て学問や武芸などを学ぶことである。本研究は、藩士の子弟教育のための藩校のエゴネットワーク形成に遊学が与える影響を実証する。1736年から1835年に渡る10期のパネルデータを利用して、藩校の学問領域をもとに藩の各期のネットワーク分析を行った。さらにエゴネットワークの指標を用いた統計分析も行った。その結果、藩校設立年は古いほど藩のエゴネットワーク形成に負の影響を与えるが、遊学に積極的な藩では促進された。これにより、組織が古くなることによる環境適応能力の低下がエゴネットワークの縮小に影響するが、知識探索に熱心な組織はエゴネットワークが拡大することが示唆された。
著者
植草 隼 飯沼 守彦 柴 直樹 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2018年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.148-151, 2018 (Released:2018-12-25)

日本映画は、リスク分散や製作費確保のために製作委員会方式を採用している。本研究は、個々の映画を発明、高い興行収入をあげた映画をイノベーションと考え、製作委員会は映画を普及させてイノベーションを起こす実務家コミュニティとした。本稿は、日本の映画産業における実務家コミュニティのネットワークポジショニングが、当該映画の海外でのパフォーマンスに与える影響を実証する。分析は、2010年から2012年の日本映画のデータを用いて、ネットワーク分析と多変量解析を行なった。その結果、ネットワーク上で異なるグループをつなげるポジションを持つ製作委員会が出資する映画は、海外で高いパフォーマンスを示すことを実証した。
著者
藤野 真衣 大江 秋津
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR MANAGEMENT INFORMATION (JASMIN)
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
pp.87-90, 2022-01-31 (Released:2022-01-27)

本研究は天下り人材が社会にもたらす利益や、大学の研究力向上に与える影響は何かという研究課題を持つ。大学に天下りした希少な人材である官僚が持つ独自のネットワークが大学の研究力に与える影響やそのメカニズムを明らかにする。また、大学の研究成果を発信する大学発ベンチャー企業の創出に与える影響も実証する。分析には、2017年4月1日から2019年3月31日までに国公立大学へ再就職をした国家公務員の人事データを利用した。その結果、天下りの大学の研究費獲得能力や大学発ベンチャー企業設立への影響が実証された。天下りの有効性を実証したことは、天下りに対する公平な評価の一助となる実務的貢献と言える。
著者
大江 秋津 三橋 平
出版者
東京理科大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2020-07-30

江戸時代の藩校の200年以上の長期データを用いて、知識普及のメカニズムを実証する。国学や算学など、様々な学問を教える藩校では、教員の出身学派の非公式な信頼関係から新たな知識がもたらされる。藩校は知識の集積所といえ、学派ごとに形成された複数の非公式な外部知識ネットワークを持つ。さらに、ネットワーク内の新たな知識の普及には、地理的に近い他の藩校からの影響もあると考える。以上から本研究は、(1) 実践共同体で形成される複数のネットワークで多次元的に知識が普及するネットワーク構造特性の実証と、(2) 組織間信頼による知識の組み替えが起こるメカニズム、(3)組織間の地理的近接性が与える影響を実証する。
著者
杉崎 茉里香 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2015年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.184-187, 2015 (Released:2016-01-29)

本研究は、企業スポーツチームが企業のステークホルダーの模倣的興奮と企業パフォーマンスに与えるメカニズムを明らかにする。模倣的興奮とは、模倣的戦いであるスポーツから喚起される興奮である。分析は一部上場企業に所属する19の実業団バレーボールチームの146件のデータ(2006年~2014年)を利用して、共分散構造分析による確証的因子分析を行った。その結果、スポーツチームの高い戦績は、企業のステークホルダーの模倣的興奮に正の影響を与え、スポーツ関連製品を通じて企業パフォーマンスが向上することが明らかになった。さらに、会社の規模に応じた複数チームの所有は、スポーツ関連製品を通じた利益率向上への効果の可能性が示唆された。
著者
白石 梨紗 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2020年全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.89-92, 2021-01-28 (Released:2021-01-18)

本研究は、ハロー効果が明治時代のお雇い外国人の契約更新にもたらす影響を実証する。ハロー効果とは、既存の評価がその後の評価に与える影響である。分析は、明治7年から9年の『公私傭入外国人明細書』・『資料御雇外国人』の84件のお雇い外国人のデータにより、多変量解析を行った。その結果、来日前の学歴や業績が高評価の人は高給となるが、成果の評価時はハロー効果により期待したほどでないと判断されやすく、そうでない人はハロー効果が無いため期待値が低く、契約更新されやすかった。本研究は、ハロー効果という数値化が困難なものを実証することで、認知バイアス理論への理論的貢献と、日本史分野にも分野横断的貢献を持つ。
著者
明石 一暉 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2020年全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.69-72, 2021-01-28 (Released:2021-01-18)

新しさゆえの不利益を持つベンチャー企業の資金繰りは厳しい。本研究は、黒字化した大学発ベンチャー企業の特性が速やかな黒字化に与えた影響を実証する。2016年から2019年の115社の経済産業省によるデータを用いて重回帰分析をした。大学発ベンチャー企業の代表者属性と大学属性、設立場所、関連研究者が速やかな黒字化に与える影響を実証し、大学は代表者を研究者にすると黒字化しやすいことを示した。さらに代表者の属性と企業特性を組み合わせた交互作用分析により、速やかな黒字化を生むメカニズムを示した。本研究は、新興企業家研究に対する理論的貢献だけでなく、大学発ベンチャー企業設立戦略を提示することにより実務的貢献とした。
著者
久留島 弘章 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.202111, pp.191-194, 2022

<p>環境変化に適応できる実践共同体はどのような特性を持つかという研究課題を持つ。本研究は、非公式な信頼関係にもとづく実践共同体に着目し、実践共同体の活動により情報が移転するメカニズムと、環境変化への適応をもたらす要因を明らかにすることが目的である。分析は、来日外国人含む江戸時代に活動した蘭学者7729人の師弟データの利用によりネットワーク分析を行った。その結果、幅広く研究を行い、貴重な情報を得やすいポジションにいる師を持つ実践共同体ほど、蘭学の興隆に貢献したことが実証された。本研究は、実践共同体研究に理論的な貢献を行うとともに、組織慣性の克服に効果的な実践共同体の在り方を提示することで実務的貢献とする。</p>
著者
國本 麻悠子 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2020年全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.61-64, 2021-01-28 (Released:2021-01-18)

本研究は、バーチャル空間を活用した研究室がもたらす研究室内のコミュニケーションに焦点を当て、その効果が学生の研究意欲に与える影響を実証する。分析では、バーチャル研究室を利用している学生41人のアンケート結果から、共分散構造分析を行った。その結果、3次元ではなく、2次元的なデザインのバーチャル研究室でも、学生は近くに人がいると充分錯覚でき、学生間の交流が活発になることを実証した。この学生間の交流が組織としての一体感を生み、研究意欲を向上させることを実証した。この結果から、バーチャル研究室がコロナ下における一時的なものではなく、アフターコロナ後も教育ツールとして活用できる可能性を提示した。
著者
菊池 百々帆 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2020年全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.65-68, 2021-01-28 (Released:2021-01-18)

近年、大学の研究成果や技術を商業化する大学発ベンチャー増加が課題となり、その支援や研究管理を行うURA(リサーチ・アドミニストレーター)を導入する大学が増加している。本研究はURAが持つ経験の多様性が大学発ベンチャー増加に与える影響を実証する。分析では、2018年の日本国内の大学401校のデータを利用した。その結果、URAの数や前職の多様性、長期雇用者の割合、研修制度が大学発ベンチャー数に正の影響があることを実証した。定量的にURAの有効性を示したことは資源ベース理論への理論的貢献である。さらに、大学発ベンチャー増加における効果的なURAの採用と育成に関して、交互作用分析から戦略的に提言できたことは、実務的貢献である。
著者
四海 澪 河合 亜矢子 柴 直樹 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.201910, pp.183-186, 2019

<p>本研究は、アクティブラーニングの1つである問題解決型学習(PBL)において、学習者の同質性や多様性が学習者に活発な発言をもたらす影響を実証する。データは、社会人を対象にしたサプライチェーンマネジメントゲームで得られたアンケートデータを用いた。多変量解析を行った結果、学習者が関心を持つ分野の同質性や、職業経験の多様性が高いほど、学習者の活発な発言を促進することを実証した。本研究は、組織学習論に基づいて、PBLにおいて学習者の活発な発言をもたらすチーム構成を提案したことに理論的・実務的貢献がある。</p>
著者
河合 亜矢子 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2017年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.233-236, 2017 (Released:2017-05-31)

アウトプットがインプットより遅れて生じることを“遅れ”といい、サプライチェーンシステムの動的特性を分析する研究において、”遅れ”はしばしばプロセスリードタイムと同義として扱われる。しかしながら、サプライチェーンマネジメント(SCM)の意思決定プロセスを含めたシステム全体という視点で見ると、より広い意味で“遅れ”を捉えることで、受発注の流れと物の流れの相互作用のみならず、意思決定プロセスがサプライチェーンシステム全体に及ぼす影響を分析できると考えられる。本報告では、SCMゲームの実施によって収集したゲーミングデータを解析することによって、サプライチェーンシステムにおける新たな“遅れ”構造の同定を試みる。
著者
大薗 洸亮 佐藤 愛斗 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2017, pp.111-114, 2017

日本の石油化学産業は、多くの導入した技術を基に自社開発を進め、競争優位を獲得してきた。本研究は、技術導入が研究開発能力に与える影響のメカニズムの実証を目的とする。分析では、2009年と2013年における石油化学産業の技術導入データを利用したネットワーク分析後に、パネルデータによる統計分析を行った。その結果、技術導入が組織の研究開発能力に与える正の影響と、その限界効果を実証した。同一企業から技術を導入したことにより形成される外部知識ネットワーク効率性が、研究開発能力に与える影響も同様であった。以上より、技術導入がもたらす効果の背景に、外部知識ネットワークを活用した技術知識移転がある可能性を実証した。
著者
濱口 颯 飯沼 守彦 大江 秋津 柴 直樹
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2018年秋季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.144-147, 2018 (Released:2018-12-25)

ゲームアプリ市場がスマートフォンの普及とともに急成長を遂げた。ゲームアプリの中心となる収入源は、アプリ内課金と広告収入である。本研究は、収益予測が困難であると言われている前者のみに焦点を当て、プレイヤーの課金行動とプレイヤー間の相互作用を含むマルチエージェントモデルを作成することで、ゲームアプリ市場における収益のメカニズムを明らかにすることを目的とする。プレイスタイルの違いが課金行動に影響を与えると考え、モデルでは4タイプのプレイヤーを想定した。シミュレーションの結果、非課金者の減少が課金者の課金行動を誘発し、非課金者の増加が課金者の課金行動を抑制するということなどが観測された。
著者
大江 秋津 岩井 良和 岡田 幸彦
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, pp.173-176, 2014

本研究は、新興企業成立プロセスにおける、財務担当役員であるCFOがビジネスプランの質の向上や組織パフォーマンスへ与える影響を明らかにした。データは、米国新興企業家858企業の6期に渡るパネルデータを利用した。分析の結果、新興企業は創業者チームにおけるCFOの貢献度が高いほど黒字化し、ビジネスプランの修正を行い、実務とその内容が一致することが明らかとなった。さらに、ビジネスプランの修正と、実務とその内容の一致は、新興企業の黒字化に強い正の影響を与えることから、ビジネスプランの質の向上を意味する可能性を示した。
著者
佐藤 愛斗 大薗 洸亮 大江 秋津
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2017年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.40-43, 2017 (Released:2017-05-31)

本研究は、特許が組織の外部ネットワーク形成に与える影響を実証した。特許は、企業の製品イノベーションを起こすための研究開発能力の指標となる。石油化学企業の技術導入データを利用して、ネットワーク分析を複数年行った。さらに算出されたネットワーク分析指標と企業情報を組み合わせて、パネルデータによる統計分析を行った。その結果、登録特許数が多いほど、組織の外部ネットワーク形成において、組織が持つネットワークのサイズと効率性が促進された。これにより、研究開発能力が高い企業ほど、技術導入に関する外部ネットワークから獲得できる知識の多様性が高いうえに、効率的に獲得できるネットワークを持つことを実証した。
著者
大江 秋津
巻号頁・発行日
2012

筑波大学博士 (マネジメント) 学位論文・平成24年11月30日授与 (甲第6338号)