著者
田口 博一 山村 仁 溝端 康光 加賀 慎一郎 野田 智宏 晋山 直樹 安田 光宏
出版者
一般社団法人 日本外傷学会
雑誌
日本外傷学会雑誌 (ISSN:13406264)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.320-324, 2012-07-20 (Released:2020-08-19)
参考文献数
7

外傷性心肺停止は出血が原因のことが多く, 大量輸液は迅速かつ有効に施行されなくてはいけない. しかし, 確立された投与方法は存在しない. 今回われわれは, 心臓手術における右心耳からのカニュレーションをヒントに外傷性CPA例に対して右心耳内輸液を行い, その有用性を検討した. 対象・方法 : 2009年4月1日~2010年12月31日に当センターに搬送された来院時外傷性CPA30例中20例 (平均年齢47.3歳, 男性 : 女性=15 : 5例) で, 右心耳内10例に対して末梢静脈路10例で点滴量 (総量・分時量), 投与開始までの時間, 心電図変化, 心拍再開等を比較検討した. 結果 : 分時点滴量に関して, 右心耳内が末梢静脈路に比較して大量投与可能であった (p<0.05). 投与開始までの時間, 心電図変化, 心拍再開に関して有意差はなかった. 右心耳内輸液は, 時間を要さずに大量輸液を行うことが可能なことが示唆された.
著者
安田 光男 木村 博昭
出版者
一般社団法人 芸術工学会
雑誌
芸術工学会誌 (ISSN:13423061)
巻号頁・発行日
vol.77, pp.126-133, 2018 (Released:2019-02-01)

古代ローマ住宅はペリスタイルと呼ばれる中庭が紀元前2世紀ごろから富裕層を中心とする住宅の平面計画に導入され始め、ドムス住宅が形成された。ポンペイのメナンドロスの家もそういったドムス住宅の一つであるが、ペリスタイルを構成する列柱は等ピッチで整然と並ぶイメージとは異なり、一見ランダムに配置されているように見える。本論考では、メナンドロスの家をケーススタディとして、R.リングらの復元図から3Dモデルを作成し、検証・考察を通して、ペリスタイルの柱配置によって、どのような視覚的効果を用いて空間演出を行おうとしていたかを明らかにすることを目的とする。古代ローマ住宅には二つの軸線が存在することが、一般的に知られている。ファウセス(玄関)からペリスタイルへの視覚軸、もう一つはトリクリニウムからペリスタイルへの視覚軸である。メナンドロスの家においても、この二つの軸線に対応するペリスタイルの柱間の間隔は他の柱間より広げられており、軸線が強調されている。ファウセス(玄関)からペリスタイルを見る視覚軸はペリスタイル列柱の柱芯間隔について手前を広く、奥を狭くすることで、初源的な遠近法の効果で実際の距離よりも長く見えるように設えられていると考えられる。その視覚軸の終点に位置するオエクス前の列柱の中心と視覚軸にはズレが生じており、そのズレの要因は対称性と列柱の連続性の双方を維持するということを意図したためと考えられる。また、トリクリニウムからペリスタイルへの視覚軸について、ペリスタイルの東側から西側に向けて柱芯間隔を徐々に減じさせて、初源的な遠近法の効果で庭をより大きくみせるような空間演出を行っていると推測できる。ペリスタイル列柱の配置は主に北側及び東側に存在する饗宴用の部屋から庭へ向かう視線のためのウィンドーフレームとしての機能が色濃く、ペリスタイル西側及び南側の列柱に、その視線の先にある背景としての役割を担わせることで、劇場の舞台装置のような空間演出を行っていたと考えることができる。メナンドロスの家のペリスタイルの列柱は構造的な機能を超えて、柱芯間隔の巧みな操作や初源的な遠近法を用いた視覚操作を通して、空間演出に利用されていたことがわかった。
著者
阿曽 真弓 加藤 京一 安田 光慶 高橋 俊行 崔 昌五 藤村 一正 黒木 一典 中澤 靖夫
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.793-799, 2011-07-21 (Released:2011-07-28)
参考文献数
9
被引用文献数
4 6

A hand hygiene behavior questionnaire and environmental survey were conducted regarding the mobile X-ray system used in the emergency room. As a result, among a total of 22 radiological technologists at this hospital who replied to the questionnaire, 18 wore disposable gloves when performing X-ray imaging using the mobile system. Among those 18, 11 were found to touch computed radiology (CR) consoles and HIS/RIS terminals while still wearing the gloves, thus creating the potential for spreading pathogens to other medical equipment and systems. According to the results of an environmental survey of the emergency imaging preparation room, the highest levels of bacteria were detected on CR consoles and HIS/RIS terminals. A possible reason for this is that these locations are not wiped down and cleaned as a part of routine cleaning and disinfection protocols, thus demonstrating the importance of cleaning and disinfection. Hand hygiene by medical personnel and appropriate cleaning and disinfecting of the working environment are important for preventing the spread of nosocomial infections. Radiological technologists are also required to take effective measures against infections in consideration of the high frequency of contact with both infected patients and patients susceptible to infections.
著者
岩田 まどか 隼田 尚彦 向田 茂 齋藤 一 安田 光孝 大島 直樹
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.71-76, 2013-09-27

これまでプログラムの可視化・可聴化を取り入れた学習支援手法の研究が多く行われてきた。しかし,メディアアートのような視覚的な魅力に着目した研究はあまり見られない。本研究では,ソースコードの可視化・可聴化を行うプログラミング学習支援システムと学習者との間に起こるインタラクションに着目した。この相互作用を通じて獲得されるメタ認知の仮説を示し,メディアアートのエッセンスを用いたアプリケーションのプロトタイプを開発した。
著者
安田 光孝 前田 真人
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告エンタテインメントコンピューティング(EC) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2014, no.12, pp.1-6, 2014-05-30

北海道情報大学では 2014 年度より,新 1・2 年生の全学生を対象に 900 台の iPad を貸与した.これにより中・大教室での座学講義でも全受講生が iPad を利用できるようになる.この状況を受けて,2011 年に開発したクローズド型の教室内リアルタイムコミュニケーションツール 「Kaiwa」 をこの 3 年間のデータをもとに再度分析した.評価の結果,講義で Kaiwa を利用することは,講義の面白さや講義への参加意識向上に有効であることがわかった.今後,iPad と Kaiwa の活用によって,中・大教室においても学生同士の知識や意見の共有がリアルタイムに行われ,教員・学生間での縦横のコミュニケーションが活性化する可能性がある.In 2014, Hokkaido Information University (HIU) starts lending 900 iPad to all the student of freshmen and sophomores. This will enable all of them to use iPad especially in the large class room lectures. For this situation, we re-evaluated "Kaiwa", a closed micro-blog system developed by ourselves in 2011. The evaluation based on questionnaires and morphological analysis of "Kaiwa" indicated reasonable effectiveness for activating in-class communication. By utilizing iPad and "Kaiwa", the communication between teacher and students would be activated in the large class room.
著者
安田 光 井上 亮文 市村 哲
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1, pp.81-89, 2012-01-15

現在のプログラミング講義・演習科目では,完成したソースコードを示して解説する手法が主流であるが,この手法では,学生がエラー解決方法を習得することが難しいという問題がある.そこで本研究では,ティーチングアシスタント(TA)が学生にエラーの解決方法を教えている状況を動画記録し,学生とTA間で共有することができるプログラミング演習支援システムを構築した.本システムは,TAが学生のトラブルを解決している過程を記録して資料化するクライアントツールと,この資料を閲覧できるようにする資料閲覧サイトから構成されている.評価実験の結果,トラブルを解決している過程を記録して資料化することに一定の有用性があることが示唆された.Recently, programming class is mostly done using electronic slide-show that shows completed source codes. It is difficult, however, for students to learn how to resolve errors. In this paper, we propose a process-recording-based programming education system composed of the process-recording tool that produces a video file and the process-recording material viewing sites where the process-recording material shows how to solve problems in programming. As a result of the experiment, recording the process of debugging and sharing it were proved somewhat effective to teach how to resolve errors.