著者
柏浦 正広 齋藤 一之 横山 太郎 小林 未央子 阿部 裕之 神尾 学 田邉 孝大 杉山 和宏 明石 曉子 濱邊 祐一
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.17, no.6, pp.794-799, 2014-12-31 (Released:2015-01-24)
参考文献数
10

症例は70歳代男性。気分障害にて入院加療中であったが,一時外出中に自宅のメッキ工場でメッキ加工に使用する無水クロム酸を服毒し,その3時間後に当院救命救急センターに搬送された。来院時,口腔内はびらんが強く,一部粘膜は剝離しており,上部消化管内視鏡検査では食道や胃の粘膜表層が剝離していた。血清クロム濃度は842.6μg/dLであった。ジメルカプロールとアスコルビン酸を投与したが,ショック状態となった。集学的管理を行うも,入院36時間後には肝不全,播種性血管内凝固症候群も併発し52時間後に死亡した。剖検では口腔から食道まで粘膜は剝離しており,凝固壊死がみられた。六価クロムは強い酸化剤であり,容易に吸収され腐食性の損傷を生じる。またその細胞毒性から肝・腎障害を生じることが知られている。本症例でも高度の腐食性の化学損傷を起こし,肝・腎不全の悪化から多臓器不全を生じたものと考えられた。
著者
日本小児歯科学会学術委員会 山﨑 要一 岩﨑 智憲 早﨑 治明 齋藤 一誠 徳冨 順子 八若 保孝 井上 美津子 朝田 芳信 田村 康夫 嘉ノ海 龍三 牧 憲司 吉原 俊博 船津 敬弘 手島 陽子 上里 千夏 山下 一恵 井出 正道 栗山 千裕 近藤 亜子 嘉藤 幹夫 渡邉 京子 藤田 優子 長谷川 大子 稲田 絵美
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.29-39, 2010-03-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
58
被引用文献数
13

永久歯の先天性欠如は,その発現部位や欠如歯数によって様々な歯列咬合異常を誘発するため,小児期からの健全な永久歯咬合の育成を目標とした継続的な口腔管理を行う上で大きな問題となる。我が国の先天性欠如の発現頻度の報告は,単一の医療機関を受診した小児患者の資料に基づいたものが多く,被験者数も限られている。そこで,日本小児歯科学会学術委員会の企画で国内の7 大学の小児歯科学講座が中心となり,我が国初の永久歯先天性欠如に関する全国規模の疫学調査を実施した。参加7 大学の代表者と実務者による全体打ち合わせ会を通して,調査方法の規格化や症例の審議を重ね,調査の信頼性向上に努めた。対象者は,大学附属病院の小児歯科,またはこれらの大学の調査協力施設に来院し,エックス線写真撮影時の年齢が7 歳以上であった小児15,544 名(男子7,502 名,女子8,042 名)とした。第三大臼歯を除く永久歯の先天性欠如者数は1,568 名,発現頻度は10.09%であり,男子が9.13%,女子が10.98%であった。上顎では4.37%,下顎では7.58%に認められた。上顎および下顎における左右の頻度の差は0.11%,0.14%であり左右差は小さかった。歯種別では,下顎第二小臼歯に最も多く認められ,次いで下顎側切歯,上顎第二小臼歯,上顎側切歯の順であった。
著者
齋藤 一雄 伊東 良 桑森 真介
出版者
日本武道学会
雑誌
武道学研究 (ISSN:02879700)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.109-117, 2012-12-25 (Released:2014-04-04)
参考文献数
23

The aim of this study was to clarify the effects of the expansion of the dohyo (the ring in which sumo bouts are performed) on the winning percentage for a lighter wrestler, the number of kimarite (the winning techniques in a sumo bout) and the competitive time. Forty-four pairs of collegiate sumo wrestlers, 21 pairs with a large weight difference (above 10 %) and 23 pairs with a small weight difference (below 10 %), performed 10 bouts of sumo in both a standard dohyo (diameter: 4.55 m) and an expanded dohyo (diameter: 4.85 m). We evaluated the winning number for a lighter wrestler, the number of kimarite and the competitive time in the 10 bouts.The following results were obtained.1) The winning number for a lighter wrestler was 4.67 ± 1.35 (average ± SD) bouts in the standard dohyo and 5.52 ± 1.33 bouts in the expanded dohyo (significant difference, P < 0.01) among the pairs with a large weight difference. On the other hand, the winning number was 4.91 ± 1.70 bouts in the standard dohyo and 5.30 ± 1.72 bouts in the expanded dohyo (NS: no significant difference) among the pairs with a small weight difference.2) The number of kimarite was 4.90 ± 1.14 te in the standard dohyo and 4.95 ± 1.28 te in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a large weight difference. The number was 4.00 ± 1.04 te in the standard dohyo and 4.61 ± 1.56 te in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a small weight difference.3) The competitive time was 8.67 ± 3.95 s in the standard dohyo and 8.80 ± 3.09 s in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a large weight difference. The time was 8.47 ± 3.28 s in the standard dohyo and 8.92 ± 3.06 s in the expanded dohyo (NS) among the pairs with a small weight difference.These results suggest that the expansion of the dohyo (from 4.55 m to 4.85 m of the diameter) increases the winning percentage for a lighter wrestler when the weight difference of a pair is above 10 %, but there is little affect when the weight difference of a pair is below 10 %.
著者
白神 達也 齋藤 一弥 阿竹 徹
出版者
Japan Society of Calorimetry and Thermal Analysis
雑誌
熱測定 (ISSN:03862615)
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.134-143, 1994-07-30 (Released:2009-09-07)
参考文献数
44

Andersonらの理論的見地から,固体の低温熱容量について,近年の実験的および理論的研究を紹介した。Andersonらが仮定した二準位系のほかに,最近数多くの非晶質固体において“余分の”低エネルギー励起が見い出されてきた。コンピュータシミュレーションもそのような励起の存在を支持している。それらはまた“ソフトポテンシャル”理論によって説明された。熱容量や音速の異常な温度依存性は,固体電解質や高温超伝導体,純金属などの結晶性固体においても認められるようになってきた。これらの振舞いは非晶質固体の場合とよく似ており,Andersonらの理論によって説明できる。
著者
原 正昭 高田 綾 斎藤 一之 齋藤 一之 高田 綾
出版者
埼玉医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

テープに付着させた指紋試料からのShort Tandem Repeat(STR)解析を行ったところ、1個の指紋付着試料(約200mm^2大)からでも十分にSTR型判定が可能であることが判明した。次に、メンブレン付きスライドガラスに指紋を付着後、レーザーマイクロダイゼクション装置を用いて指紋の隆線部分を採取し、微量な隆線試料からのSTR型解析が可能であるか否かについて検討したところ、10×6mm大で12~6ローカス、7×4mm大で7~2ローカス、7×2mm大で4~1ローカスのSTR型が判定された。
著者
齋藤 一雄 星名 信昭
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.29, no.4, pp.49-54, 1992-03-30 (Released:2017-07-28)

MA3歳代のダウン症児に対して、手拍子によるリズムパターンへの同期の学習効果をみた。その結果、等間隔の〓への同期は2回の学習で50%以上に達した。そして、4/4〓〓〓〓というリズムパターンへの同期は、4回以上繰り返す中で50%以上できるようになったが、80%以上にはならなかった。リズムパターンへの同期は、等間隔の〓への同期→休符の予期→パターンの把握→細かい動きによる調整をして同期するという過程をたどることも示唆された。さらに、示範やテンポ、同期反応のさせ方は、リズムパターンへの同期の学習に影響を与え、テンポの設定や学習のさせ方、課題提示の仕方、指導方法等を子どもに合わせて工夫する必要がある。また、学校全体が休みになったり、長い間学習が中断したりすると、同期の成績が落ちる傾向がみられた。
著者
齋藤 一雄
出版者
上越教育大学
雑誌
上越教育大学研究紀要 (ISSN:09158162)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.77-87, 2004

養護学校小学部用の音楽科教科書に掲載されている歌唱教材を音楽の授業で活用し,リズムの指導がどのように展開できるか,リズム反応の部分を中心に分析した。対象は小学校特殊学級の1~5年生の3名で,教師の支援を得ながら楽しく,授業に参加することができた。そして,手拍子による「ことりのうた」の八分音と「かもつれっしゃ」の四分音で構成されたパターンによく反応した。児童がよく知っている曲であったことと反応動作の工夫が影響したと考える。足踏みによる「あしぶみたんたん」の四分音で構成されたパターンへの反応は,正反応するまでに時間がかかった。手拍子よりも足踏みが大きな動作を必要としたこと,簡単な構成の教材だが児童にとって初めての曲であったことが影響したと考える。正確なリズム反応をひきだすために歌唱教材は有効であったが,教材により親しむことと反応動作のし方,テンポ設定について配慮する必要が示唆された。We made a teaching plan with rhythmic responces, using song teaching material, in mentally retarded class which had 3 children. Their age were 6-11. All of them participated in music class pleasantly with supports by teachers, and enjoyed. In rhythmic responces by clapping, they could respond to the complicated rhythmic patterns on "ことりのうた ""かもつれっしゃ". By stumping, they had much time to respond to the complicated rhythmic patterns on "あしぶみたんたん". For this reason, stumping need large movement in comparison with clapping, and they start begin to listen "あしぶみたんたん". However, we found that song teaching materials are useful in rhythmic responces.
著者
宮本 和英 砂川 真弓 齋藤 一樹
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.393-402, 2017-06-05 (Released:2017-07-12)
参考文献数
44

生体内のユビキチン化反応は,不要なタンパク質の分解,DNA修復,シグナル伝達など多くの機能を担っている.そのユビキチン化反応を構成しているE2(ユビキチン結合酵素)は,白血病,乳がん,大腸がん等,様々ながん疾患と深く関与していることが知られている.将来的に,E2活性を高感度・定量的に捉えることができれば,E2をバイオマーカとして活用できるはずである.これまでに著者らは,簡便にE2活性を検出するために,人工的なユビキチンリガーゼ(ARF)を分子設計・作製し,そのARFを活用する新しい検出システムを独自に研究してきた.ARFは,ユビキチン化反応に含まれるE3(ユビキチンリガーゼ)の活性部位(α-ヘリックス領域)を50残基程度のペプチドに移植して作製されるキメラ分子である.E3の活性部位のみを持つARFは,元のE3の分子サイズに比べ極めて小さくなっている.この分子設計法をα-ヘリックス領域置換法と名付けた.ARFは特異的なE2結合能を有し,また,それ自身が基質となってユビキチン化される機能を有する.したがって,ARFを用いることで,基質の同定を必要とせずに,E2活性を簡便に検出できる.本稿では,このARFの分子設計法,及びその立体構造,機能的な特徴について概説する.また,実践例として,抗がん剤ボルテゾミブを作用させたヒト急性前骨髄性白血病(NB4)において,ARFの検出システムを活用するE2活性の検出法についても紹介する.
著者
齋藤 一夫
出版者
Japan Association of Mineralogical Sciences
雑誌
岩石鉱物鉱床学会誌 (ISSN:00214825)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.315-323, 1981-10-05 (Released:2008-08-07)
参考文献数
8

It has been long understood that some elements tend to be found as sulfides in nature, whilst others as oxides. The importance has been recognized by both chemists and geologists, but chemists were unable to interpret the reason for such difference in occurrence. The abundance of the elements in the space is determined by the characteristics of the nuclides of the elements; i. e. by the rate at which the particular nuclide is synthesized from lighter nuclides. On the other hand, the chemical form of the elements in nature is largely dependent on the electronic structure of the atoms. Recent studies of the stability of various coordination compounds in aqueous solution give useful information for interpreting the affinities of elements towards oxide and sulfide.
著者
岩田 まどか 隼田 尚彦 向田 茂 齋藤 一 安田 光孝 大島 直樹
雑誌
エンタテインメントコンピューティングシンポジウム2013論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.71-76, 2013-09-27

これまでプログラムの可視化・可聴化を取り入れた学習支援手法の研究が多く行われてきた。しかし,メディアアートのような視覚的な魅力に着目した研究はあまり見られない。本研究では,ソースコードの可視化・可聴化を行うプログラミング学習支援システムと学習者との間に起こるインタラクションに着目した。この相互作用を通じて獲得されるメタ認知の仮説を示し,メディアアートのエッセンスを用いたアプリケーションのプロトタイプを開発した。