著者
相川 慎也 芦原 貴司 天野 晃 有末 伊織 安藤 譲二 伊井 仁志 出江 紳一 伊東 保志 稲田 慎 井上 雅仁 今井 健 岩下 篤司 上村 和紀 内野 詠一郎 宇野 友貴 江村 拓人 大内田 研宙 大城 理 太田 淳 太田 岳 大谷 智仁 大家 渓 岡 崇史 岡崎 哲三 岡本 和也 岡山 慶太 小倉 正恒 小山 大介 海住 太郎 片山 統裕 勝田 稔三 加藤 雄樹 加納 慎一郎 鎌倉 令 亀田 成司 河添 悦昌 河野 喬仁 紀ノ定 保臣 木村 映善 木村 真之 粂 直人 藏富 壮留 黒田 知宏 小島 諒介 小西 有人 此内 緑 小林 哲生 坂田 泰史 朔 啓太 篠原 一彦 白記 達也 代田 悠一郎 杉山 治 鈴木 隆文 鈴木 英夫 外海 洋平 高橋 宏和 田代 洋行 田村 寛 寺澤 靖雄 飛松 省三 戸伏 倫之 中沢 一雄 中村 大輔 西川 拓也 西本 伸志 野村 泰伸 羽山 陽介 原口 亮 日比野 浩 平木 秀輔 平野 諒司 深山 理 稲岡 秀検 堀江 亮太 松村 泰志 松本 繁巳 溝手 勇 向井 正和 牟田口 淳 門司 恵介 百瀬 桂子 八木 哲也 柳原 一照 山口 陽平 山田 直生 山本 希美子 湯本 真人 横田 慎一郎 吉原 博幸 江藤 正俊 大城 理 岡山 慶太 川田 徹 紀ノ岡 正博 黒田 知宏 坂田 泰史 杉町 勝 中沢 一雄 中島 一樹 成瀬 恵治 橋爪 誠 原口 亮 平田 雅之 福岡 豊 不二門 尚 村田 正治 守本 祐司 横澤 宏一 吉田 正樹 和田 成生
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Dictionary.1, pp.1-603, 2022 (Released:2022-03-31)
著者
山本 希美子 安藤 譲二
出版者
東京大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2019-06-28

血管内皮細胞は血流や血圧に起因する力学的刺激であるせん断応力や伸展張力を常に受けている。内皮細胞には力学的刺激をセンシングし、血行動態の情報として細胞内部に伝達することで細胞応答を起こす働きがあり、循環系の恒常性維持に重要な役割を果たしているが、その仕組が障害されると、様々な心血管病の発生に繋がる。最近、せん断応力依存的に血管内皮ミトコンドリアでATPが産生することを見出し、力学的刺激が細胞のエネルギー代謝に直接関与する事を示した。本研究では、血流刺激に反応するミトコンドリアでのATP産生メカニズムに焦点を当て、力学的刺激受容オルガネラとしてのミトコンドリアの役割とATP代謝経路を解明する。
著者
山本 希美子 安藤 譲二
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.124, no.5, pp.319-328, 2004 (Released:2004-10-22)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

血管内面を一層に覆う内皮細胞は血流と直接接していることから,機械力である流れずり応力に曝されている.内皮細胞は流れずり応力の変化を認識し,その情報を細胞内に伝達して,形態や機能や遺伝子発現の変化につながる細胞応答を起こす.流れずり応力に対する内皮細胞の応答は生体で生じる血流依存性の現象である血管新生や血管リモデリング,粥状動脈硬化症の発生に重要な役割を果たすと考えられている. 近年,流れずり応力の情報伝達に関する多くの研究により流れずり応力がGタンパク,アデニル酸シクラーゼ,イオンチャネル,タンパクキナーゼ,接着分子など多彩な情報伝達因子を活性化することが示された.この事実は流れずり応力の情報伝達に複数の経路が関わっていることを示唆している.現在のところ,これらの経路のうち,どれが一次的で,どれが二次的であるかは分かっていない.同時に複数の経路を活性化するのが,流れずり応力の情報伝達の特徴かもしれない. 内皮細胞にずり応力を作用させると,細胞内情報伝達系でセカンドメッセンジャーとして働くカルシウムの濃度が即座に上がることから,カルシウムシグナリングを介した感知機構がある.内皮細胞にずり応力が作用すると細胞内カルシウム濃度が上昇する反応が起こる.そこで本報告では,ヒト肺動脈内皮細胞において,ずり応力の強さに依存して細胞外カルシウムの細胞内への流入が起こることを観察した.このカルシウム流入反応には主にATP作動性カチオンチャネルであるP2XプリノセプターのサブタイプであるP2X4を介していた.また,血管内皮細胞は流れずり応力に反応して,多種類の血管作動性物質を合成,貯蔵,放出することが知られている.この点に関して,我々は流れずり応力を受けた内皮細胞から応力依存的にATPが放出されることを確認した.以上の結果から,この流れずり応力により放出される内因性のATPがP2X4レセプターを活性化することで,内皮細胞のカルシウム反応を修飾する機序が示唆される.
著者
安藤 譲二 山本 希美子
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2003

本研究では血流に起因するメカニカルストレスである剪断応力の生体作用を明らかにするために、血管内皮細胞の剪断応力の受容機構と遺伝子応答の包括的解析を行った。内皮細胞は剪断応力の強さの情報をATP作動性のカチオンチャネルであるP2X4を介する細胞外Ca^<2+>の流入反応に変換して伝達することが判明した。P2X4の欠損マウスを作製したところ、このマウスの内皮細胞では剪断応力による細胞外Ca^<2+>の流入反応が消失し、引き続いておこる一酸化窒素産生が減弱することが示された。また、P2X4欠損マウスでは正常マウスに比べ血流増加による血管拡張反応が減弱し、血圧が上昇していた。さらに、血流の減少による血管径の縮小反応がP2X4欠損マウスで障害を受けていた。このことから、P2X4を介する剪断応力の受容機構は血流依存性の血管のトーヌスや血管のリモデリングの調節に重要な役割を果たしていることが明らかになった。剪断応力に反応する内皮遺伝子についてDNAマイクロアレイによる包括的解析を行ったところ、動脈レベルの15dynes/cm^2の層流性の剪断応力に対し内皮遺伝子全体の約3%が反応して発現が変化することが判明した。このことは約600の遺伝子が剪断応力に応答することを意味している。また、クラスター解析で得た継時的な遺伝子の反応パターンは単一ではなく、多様であることが示された。さらに内皮遺伝子の応答が層流と乱流で異なることが明らかになった。例えば、層流に対してウロキナーゼ型プラスミノーゲンアクチベータ(uPA)遺伝子の発現が低下するが、乱流では増加することが示された。この場合、層流は転写因子GATA6を介する転写抑制とmRNAの分解促進を、一方、乱流はmRNAの安定化を介してuPA遺伝子の発現を修飾していた。