著者
滝澤 恵美 小林 育斗 川村 紗世 岩井 浩一
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.11546, (Released:2019-06-05)
参考文献数
40
被引用文献数
5

【目的】本研究は,運動器検診の項目であるしゃがみ動作の可不可,さらに下肢の関節間協調性に関連する要因を調べた。【方法】小学生47 名を対象に,踵接地でしゃがみ動作の可不可を確認した。動作中の膝関節に対する股関節の屈曲角度の変化率が一定であることを表す直線からの偏差を二乗平均平方根で計算し,この値を関節間協調性の指標とした。独立変数として,年齢,性,疼痛・傷害歴,スポーツ活動,生活様式(寝具の種類),身体特性(下肢長,肥満度,足関節背屈の角度および筋力,長座体前屈距離)を調べ,ロジスティック回帰分析または重回帰分析を行った。【結果】しゃがみ動作が不可であった児童は12 名(25.5%)であり,疼痛・傷害歴,肥満度,長座体前屈距離が有意に影響した。膝関節と股関節の関節間協調性は年齢のみが関連した。【結論】児童において,しゃがみ動作の可不可は身体構造の状態を反映し,下肢の関節間協調性には発達による変化が現れる。
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 小林 育斗
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.127-132, 2018 (Released:2018-03-01)
参考文献数
14
被引用文献数
1 2

〔目的〕異なる股関節肢位でスクワットを行い,大内転筋が発揮する伸展トルクの特徴から役割を検討した.〔対象と方法〕健常男性1名が股関節内外転,回旋中間位(NS)と外転,外旋位(SS)でスクワットを行い,大内転筋と股関節伸展筋が発揮する伸展トルクを筋骨格モデルを用いて推定し,比較した.〔結果〕NSとSSともに,大内転筋や大殿筋,大腿二頭筋長頭が発揮する伸展トルクは半膜様筋や半腱様筋よりも大きかった.〔結語〕大内転筋は,前額面や水平面の股関節肢位に関わらず,中腰姿勢を伴う動作に対して抗重力筋の役割を有すると推察された.
著者
滝澤 恵美 鈴木 雄太 小林 育斗
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2015-04-01

抗重力動作における股関節内転筋の役割を検討するために、内転筋が発揮する股関節伸展筋トルクを大殿筋やハムストリングスと比較した。抗重力動作としてスクワット動作を選択した。三次元的に運動データと床反力データを収集し、筋骨格モデル(SIMM)を用いて各筋の伸展筋トルクを推定した。大殿筋と大内転筋は、ハムストリングスよりもより大きな伸展筋トルクを発揮した。大内転筋の抗重力機能はハムストリングスよりも大殿筋に類似するものであり、この筋は補助的ではなく主要な抗重力筋として機能するだろう。
著者
小林 育斗 阿江 通良 加藤 謙一
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.158_2, 2017

<p> 本研究では、小学生の投動作をクラスター分析によって類型化するとともに、標準動作モデルを用いた投動作の練習を実施し、その効果を投動作の類型別に検討して、指導のための知見を得ることを目的とした。投動作の類型化では、6年生女子40名のソフトボール投げを3次元動作分析し、投球腕の関節角度などについて標準動作モデルからの動作逸脱度の指標(zスコア)を求め、これを変数としてクラスター分析を行った。投動作の練習では、6年生女子15名に対し、投動作の標準動作モデルの提示や画像遅延表示システムを用いた小学生自身の動作の観察を含む投練習を計4回(各40分)行わせた。練習期間の前後において投動作を3次元動作分析した。投練習によって、女子全体では投距離とボール初速度は有意に増加した。標準動作モデルからの逸脱が大きい類型では、体幹の側屈や前方回転が改善され、肩関節まわりの力学的仕事が増大し、投距離とボール初速度が増加した。このことから、本研究で用いた方法(目標とすべき動作との比較や修正)は、特に標準動作モデルからの逸脱が大きい小学生に投動作の改善と投能力の向上をもたらすと言える。</p>
著者
小林 育斗 加藤 謙一 阿江 通良
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.70, pp.216_1, 2019

<p> 本研究では小学生男子の投動作をクラスター分析によってパターン分けし、そのバイオメカニクス的特徴を明らかにして、指導のための基礎的知見を得ることを目的とした。対象者は国公立小学校2校の男子とし、1年生18名、2年生13名、3年生16名、4年生13名、5年生18名、6年生16名、計94名のソフトボール投げを3次元動作分析し、投球腕の関節角度、体幹の部分角度などを算出した。さらに、関節角度および部分角度を変数としてクラスター分析をおこない、各群の平均的な動作を構築した。各学年の投距離では、1年生は7.4±2.6m、2年生は13.0±6.6m、3年生は14.6±3.9m、4年生は18.9±7.4m、5年生は17.2±4.5m、6年生は28.3±7.7mであった。動作パターンに分けられた各群をみると、平均投距離が大きい群ほど高学年児が多く存在する傾向にあり、平均投距離が小さい群では体幹の水平回転の動作範囲が小さい、リリース直前での肩の水平内転が大きいなどの特徴がみられた。また、平均投距離が小さい群には、低学年児だけでなく高学年児も存在した。このことから、小学生の投動作を指導する際には、児童の学年とともに動きのパターンも考慮する必要がある。</p>
著者
西村 三郎 宮崎 明世 岡出 美則 小林 育斗
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.15-29, 2018-02-28 (Released:2018-05-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1

The purpose of this study was to examine whether male high school students can increase their sprinting velocity by improving sprint techniques according to the sprinting abilities in physical education. The participants were grouped according their sprinting velocity by classification criteria (Nishimura et al., 2016) from 139 male students in the 2nd year of high school. The Normal group and the Poor group had 16 and 18 students, respectively. Participants received sprinting instruction over 6 lessons, and 50m sprinting measurements were taken during the 1st and 6th lessons. Their sprinting motions were recorded approximately 35 m from the start line with a high-speed video camera using the side view angle. For evaluating the sprinting motion, joint and segment angles were obtained from the video. The 2 groups were compared using a paired t-test, which revealed significant differences between the pre and post-measurements. Both the Normal group and the Poor group increased their sprinting velocity by improving not so much common sprint technique as specific sprint technique. This result suggested that high school male students could increase their sprinting velocity by improving techniques according to their sprinting abilities.
著者
西村 三郎 宮崎 明世 小林 育斗 岡出 美則
出版者
日本スポーツ教育学会
雑誌
スポーツ教育学研究 (ISSN:09118845)
巻号頁・発行日
vol.36, no.2, pp.1-14, 2016-11-30 (Released:2017-04-03)
参考文献数
29
被引用文献数
2 2

This study aims to reveal necessary sprint techniques based on the abilities observed in male high school students. The participants were 232 boys. The experiment involved the participants performing a 50 m sprint.Their sprinting motions were recorded approximately 35 m from the start line with a high-speed video camera using the side view angle. The participants were extracted according to their sprinting velocity by following criteria: the Excellent group (35 students, M + 1SD), Normal group (27 students, M ± 0.25SD), and Poor group (27 students, M−1SD). For evaluating the sprinting motion, joint and segment angles were obtained from the video. These were ankle joint angle, knee joint angle, shank segment angle, thigh segment angle, and body trunk segment angle. The three groups were compared through an analysis of variance to explain the significant differences between them. We identified the techniques each group needed to learn for good sprint ability based on these differences.The results were as follows:1) The sprint techniques that the Normal and Poor groups both needed to acquire were swinging the free leg forward with a flexed knee just after takeoff and pulling the thigh of the free leg up.2) Specific sprint techniques that the Normal group needed to acquire were keeping the knee of the support leg less flexed during the support phase and not leaning the body trunk forward excessively at prophase in support phase.3) Specific sprint techniques that the Poor group needed to acquire were bringing the shank perpendicular to the ground and landing forefoot.