著者
山本 昌弘 徳田 泰子 芦田 康示 谷 幸治
出版者
日本未病システム学会
雑誌
日本未病システム学会雑誌 (ISSN:13475541)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.267-273, 2007-03-30 (Released:2010-08-06)
参考文献数
5

目的: 「ルンブルクスルベルス末」は, ミミズ類アカミミズが原料のルンブルクスルベルス末を主成分とする機能性健康食品である。ミミズ類は伝統的医学では地竜として, 脳卒中, 関節痛などに用いられる。成分ルンブロキナーゼが見出され, 線溶系促進作用を持つと報告されている。今回, 製造元である (株) ワキ製薬から本品の提供を受け, 初期段階の臨床試験を行った。方法: 高脂血症・高血圧症・軽症糖尿病などの生活習慣病を有する被験者10名の参加を得て行った。男性8名, 女性2名, 平均年齢48.0±2.8歳 (S. E.)。凍結乾燥精製成分160mgを含む被験品1カプセルずつ1日3回, 毎食後服用。診察・採血検査は, 服用開始2週前, 服用開始直前, 1カ月後, 2カ月後, 3カ月後終了時に行った。原疾患治療のための薬剤は, 服用量を変えないで継続。その他の薬剤は, 試験開始2週前から服用を禁止。推計学的処理はWilcoxon matched-pairs signed rank testによった。結果: 自覚症状: 服用開始時, 何らかの自覚症状を訴えた9例において, 改善項目数・改善程度の観点で, 服用により何らかの改善をみた例が8例あった。疲れやすさ・めまい・冷え・頭痛・肩こり・不眠・いらいらなどに対する効果がみられた。自覚症状の延べ改善率は59%, また症状ごとの改善度の総平均値をみると推計学的有意に有効であった。なお, 自覚症状の改善率および改善度の判定については, 山本らの前報に準拠。検査所見: 血圧, 脂質代謝, 糖質代謝, 血液凝固線溶系, 体重などについて, 服薬前後の比較を行った。服用前値については2回測定で平均値を採用した。脂質代謝に関して最も興味ある成績が得られた。何らかの改善は10例中7例にみられた。服用開始前と終了時との値を比較し推計学的検定を行った結果, 血中LDLコレステロール値は有意に低下, HDLコレステロール値は有意に上昇した。血液凝固線溶系については, 本試験の採血時期, 検査項目では, PT-INR, FDPにほとんど影響を見出し得なかった。また, 中性脂肪・血中総コレステロール, 血糖・HbA1C, 体重・BMI, 血圧などについては, 有意の変化は認めなかった。教案と結論: 本剤の有する自覚症状改善作用とコレステロール代謝改善作用とは, 報告されている血液凝固線溶系への良効とあいまって, 動脈硬化症・血栓症・末梢循環不全などに関連する生活習慣病予防・未病対策貢献への期待が持たれる。
著者
森下 啓明 坂本 英里子 保浦 晃徳 石崎 誠二 月山 克史 近藤 国和 玉井 宏史 山本 昌弘
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第55回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.120, 2006 (Released:2006-11-06)

<症例> 61歳男性、既往歴に脳梗塞がある。アレルギー歴なし。 平成17年10月29日昼頃、自宅近くの山林で採取した白色のキノコ約20本を調理して摂取した。同日20時頃より腹痛、嘔気、嘔吐、下痢等の消化器症状が出現したが自宅で経過観察していた。10月31日には経口摂取不能となったため、当院救急外来を受診。受診時は意識清明、バイタルサインに大きな異常はなく、神経学的異常所見も認めなかった。しかし、血液検査に於いて肝機能障害、腎機能障害を認めたことからキノコ中毒を疑い緊急入院となった。 患者の持参したキノコの特徴および、経過(消化器症状に続発する肝機能障害)よりドクツルタケ(アマニタトキシン)中毒を疑い、日本中毒センターに問い合わせを行った上で治療を開始した。補液、活性炭投与(25g/回、6回/日、2日間)、血液還流療法(2日間)、ペニシリンG大量投与(1800万単位/日、2日間)を施行し、肝機能障害は改善傾向、第26病日には正常化した。また、第7病日より急性膵炎を発症したが、メシル酸ガベキサート投与などを行い第28病日には改善したため、平成17年12月26日退院となった。 入院時に採取した血液、尿および持参したキノコは日本中毒センターに送付し、分析を依頼している。<考察> ドクツルタケ、タマゴテングタケなどに含まれるアマニタトキシンは、ヒトにおいては約0.1mg/kgが致死量とされており、日本におけるキノコ中毒の中で最も致死率の高いものである。急性胃腸症状とそれに続発する肝機能障害が典型的な経過であり、肝不全が死因となる。本例は典型的な臨床経過よりアマニタトキシン中毒と診断したが、ドクツルタケでは1から2本で致死量となることから、今回摂取したキノコは比較的アマニタトキシン含有量の少ない種類であったものと推測された。治療法としては腸肝循環するアマニタトキシンを活性炭により除去すること及び対症療法が中心となり、解毒薬として確立されたものはない。血液還流療法が有効とする報告もあるが、未だに確固たる証拠はない。ペニシリンG大量投与によってアマニタトキシンの肝細胞への取り込みが阻害されることが動物実験によって確認されているが、臨床における有効性は確立されていない。その他、シリマリン、シメチジン、アスコルビン酸、N-アセチルシステイン等が使用されることもあるが、いずれの有効性も未確立である。 本例では活性炭投与、血液還流療法、ペニシリンG大量投与を行い、肝機能障害を残すことなく生存退院に至った
著者
田中 丈夫 木下 牧子 野村 英樹 山本 昌弘 清水 貴子 神代 龍吉 船崎 俊一 向原 茂明 松村 真司
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.42, no.4, pp.239-242, 2011-08-25 (Released:2013-03-25)
参考文献数
4
被引用文献数
1

1)調査した10カ国での生涯教育(CME・CPD)履修が義務化されていたのは7カ国で,2カ国では義務に近い推奨の制度であった.我が国と同様「自主性」で運用されている制度はスペインのみであった.2)2000年以降,CME,CPD制度変革がグローバルな潮流として窺えた.3)医療の社会的説明責任をはたすために,我が国のCME・CPD制度のあり方と継続について幅広い論議が必要である.
著者
山本 昌弘 中崎 良成 横田 実 箱崎 勝也
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.65-71, 1982-01-15

本論文は開発したCOBOLマシンのアーキテクチャについて その特徴と設計思想に重点をおいて論じている.COBOLマシンはCOBOLで書かれたソースプログラムに簡単な変換を行って作られた中間言語プログラムを直接実行する高級言語マシンで 汎用計算機に接続されて付加プロセッサとして動作する.そして COBOLの演算処理 データ操作 表操作 実行順序制御などの機能はCOBOLマシンで実行し 入出力処理や通信制御などの機能はホストプロセッサである汎用計算機で実行される.COBOLマシンのアーキテクチャはCOBOLの言語仕様にできる限り近づけるように設定されており (1)多種類の内部データ形式 (2)複雑な属性のデータを効率良く表現するデータディスクリプタ (3)高度なデータアクセス機構 (4)ソースステートメントと直接対応する高機能命令 (5)ホストプロセッサとの高度なインタフェース機能 などを備えている.その結果 COBOLの大部分のステートメントはCOBOLマシンの1命令へ展開でき 翻訳処理が高速化され オブジェクトメモリ量も大幅に減少することが明らかになった.また COBOLマシンを高性能なハードウェアで実現することにより 実行速度も向上する.
著者
山本 昌弘
出版者
島根大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

2型糖尿病は骨折の危険因子であり、骨密度では予測できない骨質低下による骨脆弱性が存在する。本研究により、骨質要素である骨代謝回転において、骨質がPTH分泌低下に基づく骨低骨形成、ならびに骨形成抑制因子スクレロスチン増加と関わりがあり、一方腹部動脈石灰化が骨質低下を介して椎体骨折リス上昇に関与すること明らかとなった。この結果により、骨質を劣化させる機序が骨脆弱性と血管石灰化に関与することが示唆された。